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第25回 小李広、賊兵をひきいて梁山に合すること
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青州いちの武人の協力をえて意気あがる宋江たちではありますが、まだ清風寨のしまつが残っています。
花栄と王矮虎に率いられた山賊軍が押しよせると、わずかに残った守備兵はわれ先と逃げだし、寨はもろくも開城してしまいました。
守将黄信は役場にこもり最後の反撃をこころみていましたが、そこに秦明がふらりと姿をみせます。
「秦将軍、不用心にもほどがあろう。よろいも武器も持たずにひとりでやって来て、いまさら何の講釈か。ここで死なしてくれい」
「旧知のお前さんに斬られるのも悪くないが、まあ聞け」
さて秦明、語り明かしますのは張三もとい宋江のこと。そして家族と名誉をすべて失っても、まだ命をつないでいるみずからの身の上です。
「ああ、よもや賊徒張三が宋江どのの変名とは……!知らず、大人物を処断するところだったか」
黄信もいまは抵抗のこころも失せ、寝返って清風山に身を投じることに決めました。
一同はことの元凶である劉高夫人を血祭りにあげ、凱歌を奏しながらお山へ帰ってゆくのでした。
天下泰平の世のなかで基地がひとつ陥落した以上、事件は青州のみにとどまりません。後生楽をむさぼっていた開封府の中央官僚たちもとうぜん対策に乗り出します。衆議は一決、ただちにみやこの官軍から一個師団ほどが編成され、清風山への征伐と叛将秦明、黄信、花栄の追討が裁可されました。
「これはまずい。数百ていどの兵ならいくらでも跳ねッかえしてやる自信はあるが、国の主力軍が数千単位で来るとなれば、このとりでなぞ砂山遊びのようなものだ。たちまち踏みつぶされてしまう」
一報をうけ黄信も秦明も困り顔です。
「ここに籠ってもジリ貧なら、みなして引っ越しするより他にない。梁山泊に受け入れてもらいましょう。大言するようですがこの宋江、晁天王にはいくらか貸しがあります」
一同「それは名案」ということで、さっそく荷物財物をまとめて山寨をひき払い、はるばる済州梁山めざして南への逃避行をはじめました。
賊兵のかずは四百名、率いるは海千の山賊頭に名将たち、そして天下の男伊達に名の通った宋公明ときたもんですから、なかなか目立つ一行です。道中いくたりかの侠客たちも合流し、員数はふくらむ一方。なにせ州軍を破ったお尋ね者ども、通りみちの県城などは勢力を恐れてもうちょっかいをかけて来ません。
「こうも大所帯で押しかけては、乗っ取りに来たのと勘違いされはしませんか?」花栄の懸念ももっともです。
「いまや梁山泊の総兵力は四、五千と聞く。さきの王倫でもあるまいに、十分の一を恐れる晁蓋どのとも思えんが、わたりをつけておくに越したことはない」
宋江は王矮虎とふたりで先駆けし、ひと足さきに水寨にあがって話しを通すことにしましたが、道中の酒場で彼の運命を大きく変える出会いがあったのです。
男の名前は石勇。さっきから四人がけをひとりで占領してグビグビやっております。宋江、矮虎が入ってきて、
「すまねえ兄さん、いっぱいなんでカウンターの方に移ってくんな」
「けっ、ちんちくりんの三下どもが、俺さまに命令とはいいご身分だな」
まあここまでなら、どこにでもいる酔っ払いのぐだです。
「いいかよく聞け!このひろい天下に俺さまが“へいそうですか”と言う事きくのはたったふたりしかいねんだ。誰と誰だとおもう?天子さまじゃねえぞ、ひとりは滄州横海郡の小旋風だ」
「なるほど、柴の大旦那というわけですね。そりゃうなずける。もひとりは?」
「こいつもすげえぞ。あの及時雨宋押司さんよ。おれは会いたい一心で鄆城までいったんだが、あいにくお留守だった。弟さんから手紙を託されたんで、いまから白虎山へ足をのばすつもりだ」
「や、なんという奇縁だろう!わたしです、わたしがその黒三郎宋江です」
石勇おどろき、あわててハーッと平伏しました。
もらった手紙を開けようとすると、封がさかさでお定まりの“平安”の二字がありません。宋江青くなって読みはじめるや、机に突ッ伏し泣きはじめました。
「宋あにき、どうされたんで?」
「ああ!父が、父がみまかりました!さいごにそばに居てやれなかったとは、なんて親不孝なんだろう!いますぐ戻らねば」
「そりゃいけねえよ。あにきはお尋ねもの、どこで捕まるかわかりゃしない。それに俺は晁天王にも呉軍師にも面がとおってないもの、ひとりで会えば疑われちまいまさ。“頭のない蛇は動けない”なんて言うじゃねえですか。せめて梁山泊までは一緒に来ておくんなさいよ」
「いや、一刻もはやく父を葬いたいんだ、行かしてくれ。お山へは手紙を書いて説明しておくから心配ないよ」
宋江というひとはナヨナヨしているようでいて、こうと決めたら梃子でも動きません。結局王矮虎に手紙を渡して、じぶんひとり故郷の宋家村へと帰ってしまいました。
王矮虎と石勇はしばらく時間をつぶして後から追ってきた本隊に合流すると、みなに事情を説明します。おもえば宋江は清風山の連中にとってまさに結節点、みな彼をしたって集まったものを、張本人がいなくなっていきなり梯子をはずされた心持ちです。さりとてこんな処で解散するのも無責任。とりあえず花栄を臨時の頭に推しいただき、手紙を信じて行ってみるかと梁山泊のほとりまで行軍をつづけました。
すると早くも彼方の葦のしげみから十艘ばかりの早舟が現れて、弓矢を手にこちらをうかがっております。舳先に立った立派な風采の男が申すよう、
「われこそは梁山泊が頭領、豹子頭林冲!そこゆく隊伍に質問がある。そもなんじらは官兵か?なにしに参った!?」
いや、よく見れば舟は目前のみにあらず、右からも左からも次々押し寄せ、一味をなかば包むかっこうになりました。
「我らは官軍でも敵でもござらん。ただ青州よりこの地に落ち来たる山賊団でござる。宋押司よりの紹介状を持ちました。どうかご一読を!」
林冲紺色の旗をさっ、とうち振れば、小舟は警戒を一段ゆるめて囲みが後退してゆきます。
花栄「何という訓練の行きとどきよう。ここの兵士たちに比べたら我らの手下など子供のようなもの」と舌を巻きました。
宋江の書状が効を奏して誤解は間もなくとけ、一行はみな梁山泊への合流を許されます。晁蓋以下すべての頭領たちがとりでの奥、山頂に建てられた“聚義庁”にあつまり、歓迎のうたげが開かれました。
ここに至るまでのいきさつを語って聞かせるうち、花栄はひそかに思います。
「やれやれ、何とかひと安心だ。しかし我らはしょせん外様。晁天王も呉先生も宋江どのの面子をたてて厚遇してはくれるが、内心はどうだかわからない。さっきも俺が秦明のかぶとを射たはなしを真にうけない様子だったな……よし!」
と、ばっと立ち上がるや細手の弓をたばさみ、庭さきにみなを誘います。
「さあ、酔いも回ってきましたところでお立ちあい。ご一同、あの中空に雁の群れがまっすぐ南へ飛びゆくのが見えますかな。拙者、前から三羽めの頭を射てみようと思いまするが、もし外してもお笑いくださいませぬよう!」
花栄、鷲の羽の矢をつがえ満月に引きしぼりひょう!と放てば、見事その雁に命中します。手下に取りに行かせると矢はあたまのド真ん中を正確に射抜いておりました。満座は驚きと歓喜のあらし、呉用軍師は称えていいます。
「ひとは貴方を“小さい李広”と呼ぶが、それでは到底たりない。養由基(伝説上の弓の名人)あたりとタメをはる才能でしょう」
これよりのち、水寨で花栄を尊敬せぬものは誰ひとり居なくなりました。
さてこちらはふるさとにもどった宋江、息せき切ってわが家の門をたたきますと、なんと出迎えてくれたのは死んだはずのお父うえ!もう嬉しいやら訳がわからぬやら、感情はぐちゃぐちゃです。
「なんで嘘の手紙をよこしたんです?わたしは悲しくて悲しくて、もう死んでしまうところでしたよ!」
「せがれや、本当にすまなんだ。わしはただ、お前に帰ってきて欲しかったんだよ。さいきん皇子さまが立太子なさったのを知っとるかね。それで恩赦が出るんだと。お前の罪もうんと軽くなるらしいから、もし捕まってもせいぜい流罪ていどだろう。青州の治安はひどいと聞くし、おまえは侠客や無頼のものに友人がおおい。賊に引き入れられはせぬかと、ずっと気がかりでおったのだ」
こう言ってさめざめと泣くものですから、宋江もそれ以上恨みごとを申せません。
「わかりました。しかしここにいては見つかるのも時間の問題、いつまでもびくびくと日を過ごすのも良くありません。いっそおかみに自首して出ます。刑期があけたら、また親子で大手をふって暮らしましょう」
花栄と王矮虎に率いられた山賊軍が押しよせると、わずかに残った守備兵はわれ先と逃げだし、寨はもろくも開城してしまいました。
守将黄信は役場にこもり最後の反撃をこころみていましたが、そこに秦明がふらりと姿をみせます。
「秦将軍、不用心にもほどがあろう。よろいも武器も持たずにひとりでやって来て、いまさら何の講釈か。ここで死なしてくれい」
「旧知のお前さんに斬られるのも悪くないが、まあ聞け」
さて秦明、語り明かしますのは張三もとい宋江のこと。そして家族と名誉をすべて失っても、まだ命をつないでいるみずからの身の上です。
「ああ、よもや賊徒張三が宋江どのの変名とは……!知らず、大人物を処断するところだったか」
黄信もいまは抵抗のこころも失せ、寝返って清風山に身を投じることに決めました。
一同はことの元凶である劉高夫人を血祭りにあげ、凱歌を奏しながらお山へ帰ってゆくのでした。
天下泰平の世のなかで基地がひとつ陥落した以上、事件は青州のみにとどまりません。後生楽をむさぼっていた開封府の中央官僚たちもとうぜん対策に乗り出します。衆議は一決、ただちにみやこの官軍から一個師団ほどが編成され、清風山への征伐と叛将秦明、黄信、花栄の追討が裁可されました。
「これはまずい。数百ていどの兵ならいくらでも跳ねッかえしてやる自信はあるが、国の主力軍が数千単位で来るとなれば、このとりでなぞ砂山遊びのようなものだ。たちまち踏みつぶされてしまう」
一報をうけ黄信も秦明も困り顔です。
「ここに籠ってもジリ貧なら、みなして引っ越しするより他にない。梁山泊に受け入れてもらいましょう。大言するようですがこの宋江、晁天王にはいくらか貸しがあります」
一同「それは名案」ということで、さっそく荷物財物をまとめて山寨をひき払い、はるばる済州梁山めざして南への逃避行をはじめました。
賊兵のかずは四百名、率いるは海千の山賊頭に名将たち、そして天下の男伊達に名の通った宋公明ときたもんですから、なかなか目立つ一行です。道中いくたりかの侠客たちも合流し、員数はふくらむ一方。なにせ州軍を破ったお尋ね者ども、通りみちの県城などは勢力を恐れてもうちょっかいをかけて来ません。
「こうも大所帯で押しかけては、乗っ取りに来たのと勘違いされはしませんか?」花栄の懸念ももっともです。
「いまや梁山泊の総兵力は四、五千と聞く。さきの王倫でもあるまいに、十分の一を恐れる晁蓋どのとも思えんが、わたりをつけておくに越したことはない」
宋江は王矮虎とふたりで先駆けし、ひと足さきに水寨にあがって話しを通すことにしましたが、道中の酒場で彼の運命を大きく変える出会いがあったのです。
男の名前は石勇。さっきから四人がけをひとりで占領してグビグビやっております。宋江、矮虎が入ってきて、
「すまねえ兄さん、いっぱいなんでカウンターの方に移ってくんな」
「けっ、ちんちくりんの三下どもが、俺さまに命令とはいいご身分だな」
まあここまでなら、どこにでもいる酔っ払いのぐだです。
「いいかよく聞け!このひろい天下に俺さまが“へいそうですか”と言う事きくのはたったふたりしかいねんだ。誰と誰だとおもう?天子さまじゃねえぞ、ひとりは滄州横海郡の小旋風だ」
「なるほど、柴の大旦那というわけですね。そりゃうなずける。もひとりは?」
「こいつもすげえぞ。あの及時雨宋押司さんよ。おれは会いたい一心で鄆城までいったんだが、あいにくお留守だった。弟さんから手紙を託されたんで、いまから白虎山へ足をのばすつもりだ」
「や、なんという奇縁だろう!わたしです、わたしがその黒三郎宋江です」
石勇おどろき、あわててハーッと平伏しました。
もらった手紙を開けようとすると、封がさかさでお定まりの“平安”の二字がありません。宋江青くなって読みはじめるや、机に突ッ伏し泣きはじめました。
「宋あにき、どうされたんで?」
「ああ!父が、父がみまかりました!さいごにそばに居てやれなかったとは、なんて親不孝なんだろう!いますぐ戻らねば」
「そりゃいけねえよ。あにきはお尋ねもの、どこで捕まるかわかりゃしない。それに俺は晁天王にも呉軍師にも面がとおってないもの、ひとりで会えば疑われちまいまさ。“頭のない蛇は動けない”なんて言うじゃねえですか。せめて梁山泊までは一緒に来ておくんなさいよ」
「いや、一刻もはやく父を葬いたいんだ、行かしてくれ。お山へは手紙を書いて説明しておくから心配ないよ」
宋江というひとはナヨナヨしているようでいて、こうと決めたら梃子でも動きません。結局王矮虎に手紙を渡して、じぶんひとり故郷の宋家村へと帰ってしまいました。
王矮虎と石勇はしばらく時間をつぶして後から追ってきた本隊に合流すると、みなに事情を説明します。おもえば宋江は清風山の連中にとってまさに結節点、みな彼をしたって集まったものを、張本人がいなくなっていきなり梯子をはずされた心持ちです。さりとてこんな処で解散するのも無責任。とりあえず花栄を臨時の頭に推しいただき、手紙を信じて行ってみるかと梁山泊のほとりまで行軍をつづけました。
すると早くも彼方の葦のしげみから十艘ばかりの早舟が現れて、弓矢を手にこちらをうかがっております。舳先に立った立派な風采の男が申すよう、
「われこそは梁山泊が頭領、豹子頭林冲!そこゆく隊伍に質問がある。そもなんじらは官兵か?なにしに参った!?」
いや、よく見れば舟は目前のみにあらず、右からも左からも次々押し寄せ、一味をなかば包むかっこうになりました。
「我らは官軍でも敵でもござらん。ただ青州よりこの地に落ち来たる山賊団でござる。宋押司よりの紹介状を持ちました。どうかご一読を!」
林冲紺色の旗をさっ、とうち振れば、小舟は警戒を一段ゆるめて囲みが後退してゆきます。
花栄「何という訓練の行きとどきよう。ここの兵士たちに比べたら我らの手下など子供のようなもの」と舌を巻きました。
宋江の書状が効を奏して誤解は間もなくとけ、一行はみな梁山泊への合流を許されます。晁蓋以下すべての頭領たちがとりでの奥、山頂に建てられた“聚義庁”にあつまり、歓迎のうたげが開かれました。
ここに至るまでのいきさつを語って聞かせるうち、花栄はひそかに思います。
「やれやれ、何とかひと安心だ。しかし我らはしょせん外様。晁天王も呉先生も宋江どのの面子をたてて厚遇してはくれるが、内心はどうだかわからない。さっきも俺が秦明のかぶとを射たはなしを真にうけない様子だったな……よし!」
と、ばっと立ち上がるや細手の弓をたばさみ、庭さきにみなを誘います。
「さあ、酔いも回ってきましたところでお立ちあい。ご一同、あの中空に雁の群れがまっすぐ南へ飛びゆくのが見えますかな。拙者、前から三羽めの頭を射てみようと思いまするが、もし外してもお笑いくださいませぬよう!」
花栄、鷲の羽の矢をつがえ満月に引きしぼりひょう!と放てば、見事その雁に命中します。手下に取りに行かせると矢はあたまのド真ん中を正確に射抜いておりました。満座は驚きと歓喜のあらし、呉用軍師は称えていいます。
「ひとは貴方を“小さい李広”と呼ぶが、それでは到底たりない。養由基(伝説上の弓の名人)あたりとタメをはる才能でしょう」
これよりのち、水寨で花栄を尊敬せぬものは誰ひとり居なくなりました。
さてこちらはふるさとにもどった宋江、息せき切ってわが家の門をたたきますと、なんと出迎えてくれたのは死んだはずのお父うえ!もう嬉しいやら訳がわからぬやら、感情はぐちゃぐちゃです。
「なんで嘘の手紙をよこしたんです?わたしは悲しくて悲しくて、もう死んでしまうところでしたよ!」
「せがれや、本当にすまなんだ。わしはただ、お前に帰ってきて欲しかったんだよ。さいきん皇子さまが立太子なさったのを知っとるかね。それで恩赦が出るんだと。お前の罪もうんと軽くなるらしいから、もし捕まってもせいぜい流罪ていどだろう。青州の治安はひどいと聞くし、おまえは侠客や無頼のものに友人がおおい。賊に引き入れられはせぬかと、ずっと気がかりでおったのだ」
こう言ってさめざめと泣くものですから、宋江もそれ以上恨みごとを申せません。
「わかりました。しかしここにいては見つかるのも時間の問題、いつまでもびくびくと日を過ごすのも良くありません。いっそおかみに自首して出ます。刑期があけたら、また親子で大手をふって暮らしましょう」
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