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第15回 林師範、王倫を成敗して水寨のあるじを替えること
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新手の官兵を率いているのは何濤捜査官。州のほうからも加勢を回してもらって、今度は総勢五百名の大人数です。勢いつけて阮兄弟のあばら屋に踏み込みますがもぬけの空、どうやら賊は小舟で逃げた模様です。
「いかんぞ、ここの入り江は蓼児洼といって、水路づたいに梁山泊までつながっとる。あすこに転がり込まれると厄介だ。いそげ、こっちも船を出して追え!」
あたり一帯の漁村から舟を徴発してまわり、みなで分乗して湖のさきへと進みます。
と、どこからともなく調子のいい舟唄が聞こえてくるではありませんか。
おいらは一生 いさな取り
稲も植えねば 麻もいらぬ
忠義ひと筋 お国のために
むごい役人 みなぶち殺す
「あっ。阮小五だ!」松明かかげた兵士がさけびます。見れば眼前に小舟をゆうゆうと漕いでゆくひとりの男の影が。
「おおい、悪徳役人!虎のヒゲにさわるのはよしときな!」
「捕まえろ!下手人だぞ!」
しかしどれだけ竿を引っかいても、先ゆく舟に追いつけません。ついに葦原の向こうに見失ってしまいました。
ところが今度は左手から一艘、舟がスーッとやって来て、おんなじようにへさきの男が小唄をうたいます。
おとこ一代 石竭の村
人を殺すは 朝飯まえ
何濤親分の 首はねて
都の天子へ 捧げもの
「阮小二です!阮小二が出ました!」
必死に追っかけてはみるのですが、やはり何処へやら消えてしまいました。
いつしか岸ははるか向こう、蓼児洼の入り組んだ地形の奥深くにまで来てしまいました。兵士たちはすっかり怖気づいています。
「捜査官、いったん引き返しましょう。ここから先は葦が密集してあちこち洲のようになっています。集団では進めませんぞ」
「なら偵察隊を出すまで。おまえ行ってこい!」
ところが一刻ちかく待っても斥候にやった者が戻りません。
「もう一艘出せ!」
やはりこの舟も帰ってきませんでした。兵たちはいよいよ怖くなって、ガタガタふるえています。
「しょうのないやつらだ、俺がいく!」
何捜査官が立ち上がった、まさにそのときでした。
背後から生ぬるい風が吹きつけてきたかと思うと、突如として激しいつむじ風に変じ、ゴウゴウと音を立てて船団をつつみ込みます。公孫勝が得意の道術で突風を起こしているのです。大船小舟は迷子にならぬよう縄でつないであったのですが、そいつもバラバラ。たちまち舟は木の葉のようにきりもみを始めました。
「あっ。火だ!」誰がさけんだか、四方の葦原から同時に炎が起こり、風にあおられ迫ってきます。もはや賊をさがすどころではありません。
「いかん、退却だ。退却ーーッ!」
これまた誰かが勝手におめいていますが、兵たちはわれ先にと小舟を急がせます。しかしどこへ?岸辺は遠く、あるのは紅蓮の水面と奈落のような沼地ばかり。なんとか火を消し葦はら洲に上陸した者は、ぬうっと棍棒片手に出てきた三兄弟にことごとく脳天をくだかれました。
あわれ五百の官兵、おおくは炎と煙にまかれ、あるいは沼に溺れて生命を失ってしまいました。
岸に張られた仮の陣屋に何濤がかつぎこまれたのは、ふた刻もあとのことでした。なんと無惨!両の耳を切りとられています。見せしめだろうことは誰の目にも明らかでした。
わずか五人やそこらのおたずね者に、済州政府が大敗北を喫したのです。
三艘の小舟をあやつって、晁蓋一行はようようと梁山泊に凱旋してきました。すでに朱貴を通じて話しを聞いていた王倫以下の頭領たち、金沙灘のなぎさにうち揃って迎え入れます。ここに黄泥岡の強盗一味は梁山泊の水寨に身をよせることになりました。
あくる日、新入り豪傑たちを歓迎する盛大なうたげがとりでの中心、聚義庁でおこなわれます。晁旦那はここに至る経緯をみなに語ってやりますが、聞かされる王倫のほうは気が気ではありません。
「十万貫の強奪といい、蓼児洼の大殺戮といい、いちいちやる事がでかい連中だ。そうでなくとも托塔晁天王の雷名は知らぬものはいない。ここに置いとけばわしの地位が危ういぞ……」いつもの小心が顔色にあらわれたのを、呉用は見逃しませんでした。
山中の仮宿舎にかえった一行。晁蓋はなかなか上機嫌です。
「こんな下へもおかぬ歓待を受けるとは思わなんだよ。決めた!わしはここに落ち着くぞ」
呉先生はため息ひとつ、
「あんたほどの英雄が見通しのわるい。このままでは我ら、明日にも追ン出されてしまいますぞ」
「えっ。そりゃほんとかね」
「考えてもみなされ。我々を受け入れるつもりがあるなら、今日のうたげで兄弟の盃をかわし、席次を決めようとするはずです。歓迎されていないことなぞ、王首領のあの猜疑心にみちた顔をみれば瞭然」
「さりとてこの水寨以外にわしらの生きられる場所はあるまい」
「ならば、ならばこそ答えはひとつなのです。よいですか、まずは林冲どのを抱きこんでおいて……」
翌日、またまた豪華な宴会を行なったあと、王倫ころ合いを読んで切り出します。
「晁蓋どの、頼っていただいたのは嬉しいが、この梁山泊はいわば小さな水たまりの様なもの。糧食もとぼしければ武具もたりぬ。とうてい貴殿がごとき雲竜のひそむ淵ではございません。路用の銀子をご用意するゆえ、ご一同つれてどこかほかの立派な山寨に身を落ち着けられてはいかがかな」
晁蓋、かなしげな顔をつくって「左様でしたか、ならばお暇するよりほかない」
そそくさと席を辞そうとしましたが、林冲とつとして立ち上がり、大音声に吠えたてます。
「やい王倫、これじゃ俺のときとおんなじじゃないか?晁の旦那は天下の英傑、なんで追い出す必要がある!」
「やかましいぞ、おまえはわしの子分、上下の別を忘れたか!」
「なにを落第書生の分際で。あんたが晁天王を厚遇しないなら、俺もあんたを立てる義理はない!」
とつぜんの造反劇に、聚義庁のなかは騒然といたします。
晁蓋、「いや、これはいけない。わしらのせいで頭領がたの仲に亀裂をいれては」ふたりの間に立つふりして、パッと王倫の二の腕をつかみました。むろん逃げられぬようにするためです。
阮三兄弟に劉唐も「まあまあ皆さん」「落ち着きなされ」などと口では言いながら朱貴や幹部たちを通せんぼする格好で、助太刀できぬようにいたします。
さあこうなっては仕上げを待つばかり。林師範ふところ刀を取り出すや、王倫めがけてグサリとやりました。ああ王倫、みずからの狭量の招いたこととは申せ、危惧した通りの結末とあいなりました。
呉用、場をおさめるべく口を開きますには「みなの衆、こうなったからには林冲どのに新しい親分になってもらうしかない」
林冲は血の滴る王倫の首をぶら下げ、
「それは困る。天下の人にまるで首領になりたくて殺したようにうつってしまう。そもそも私は一介の猪武者、とうてい山寨のあるじには適さない。どうだろう、財をうとみ義を重んじ、勇名知らぬひとなき晁蓋どのこそ大親分にふさわしいと思うが」
「賛成!」「異存なし!」満場一致の意見によって、梁山泊のあらたな首領は晁天王に決まりました。
林師範はナンバー2の座も固辞します。
「拙者は無学無才、官軍あいてに知恵くらべなど身にあまる。軍師は孫子呉子をそらんじ、兵法にあかるい呉先生につとめてもらわねば」
呉用もさんざ遠慮しますが、林冲は「もう後には引けませんぞ、お願いもうす!」と無理に第二席次につかせました。
以下、公孫勝、林冲と座がさだまります。
朱貴はじめ元からいた頭目たち、「こりゃあ乗っ取りだ!」と心のうちでは歯がみしますが、豪傑ぞろいの新幹部についていった方が得だとお頭を柔らかくして、
「晁あにき、呉あにき、どうかわしらを使ってください」と平伏いたします。
ここに呉用先生の描いたとおり交代劇は完了しました。晁蓋は奪った宝物や自前の財産をすべてはき出して末端の子分にまで配ったので、みな死を賭してはたらこうと結束をかためます。
こうして新生梁山泊は大小十一人の頭領のもと武器、兵馬をととのえ、さらなる飛躍をめざしてゆくのでした。
「いかんぞ、ここの入り江は蓼児洼といって、水路づたいに梁山泊までつながっとる。あすこに転がり込まれると厄介だ。いそげ、こっちも船を出して追え!」
あたり一帯の漁村から舟を徴発してまわり、みなで分乗して湖のさきへと進みます。
と、どこからともなく調子のいい舟唄が聞こえてくるではありませんか。
おいらは一生 いさな取り
稲も植えねば 麻もいらぬ
忠義ひと筋 お国のために
むごい役人 みなぶち殺す
「あっ。阮小五だ!」松明かかげた兵士がさけびます。見れば眼前に小舟をゆうゆうと漕いでゆくひとりの男の影が。
「おおい、悪徳役人!虎のヒゲにさわるのはよしときな!」
「捕まえろ!下手人だぞ!」
しかしどれだけ竿を引っかいても、先ゆく舟に追いつけません。ついに葦原の向こうに見失ってしまいました。
ところが今度は左手から一艘、舟がスーッとやって来て、おんなじようにへさきの男が小唄をうたいます。
おとこ一代 石竭の村
人を殺すは 朝飯まえ
何濤親分の 首はねて
都の天子へ 捧げもの
「阮小二です!阮小二が出ました!」
必死に追っかけてはみるのですが、やはり何処へやら消えてしまいました。
いつしか岸ははるか向こう、蓼児洼の入り組んだ地形の奥深くにまで来てしまいました。兵士たちはすっかり怖気づいています。
「捜査官、いったん引き返しましょう。ここから先は葦が密集してあちこち洲のようになっています。集団では進めませんぞ」
「なら偵察隊を出すまで。おまえ行ってこい!」
ところが一刻ちかく待っても斥候にやった者が戻りません。
「もう一艘出せ!」
やはりこの舟も帰ってきませんでした。兵たちはいよいよ怖くなって、ガタガタふるえています。
「しょうのないやつらだ、俺がいく!」
何捜査官が立ち上がった、まさにそのときでした。
背後から生ぬるい風が吹きつけてきたかと思うと、突如として激しいつむじ風に変じ、ゴウゴウと音を立てて船団をつつみ込みます。公孫勝が得意の道術で突風を起こしているのです。大船小舟は迷子にならぬよう縄でつないであったのですが、そいつもバラバラ。たちまち舟は木の葉のようにきりもみを始めました。
「あっ。火だ!」誰がさけんだか、四方の葦原から同時に炎が起こり、風にあおられ迫ってきます。もはや賊をさがすどころではありません。
「いかん、退却だ。退却ーーッ!」
これまた誰かが勝手におめいていますが、兵たちはわれ先にと小舟を急がせます。しかしどこへ?岸辺は遠く、あるのは紅蓮の水面と奈落のような沼地ばかり。なんとか火を消し葦はら洲に上陸した者は、ぬうっと棍棒片手に出てきた三兄弟にことごとく脳天をくだかれました。
あわれ五百の官兵、おおくは炎と煙にまかれ、あるいは沼に溺れて生命を失ってしまいました。
岸に張られた仮の陣屋に何濤がかつぎこまれたのは、ふた刻もあとのことでした。なんと無惨!両の耳を切りとられています。見せしめだろうことは誰の目にも明らかでした。
わずか五人やそこらのおたずね者に、済州政府が大敗北を喫したのです。
三艘の小舟をあやつって、晁蓋一行はようようと梁山泊に凱旋してきました。すでに朱貴を通じて話しを聞いていた王倫以下の頭領たち、金沙灘のなぎさにうち揃って迎え入れます。ここに黄泥岡の強盗一味は梁山泊の水寨に身をよせることになりました。
あくる日、新入り豪傑たちを歓迎する盛大なうたげがとりでの中心、聚義庁でおこなわれます。晁旦那はここに至る経緯をみなに語ってやりますが、聞かされる王倫のほうは気が気ではありません。
「十万貫の強奪といい、蓼児洼の大殺戮といい、いちいちやる事がでかい連中だ。そうでなくとも托塔晁天王の雷名は知らぬものはいない。ここに置いとけばわしの地位が危ういぞ……」いつもの小心が顔色にあらわれたのを、呉用は見逃しませんでした。
山中の仮宿舎にかえった一行。晁蓋はなかなか上機嫌です。
「こんな下へもおかぬ歓待を受けるとは思わなんだよ。決めた!わしはここに落ち着くぞ」
呉先生はため息ひとつ、
「あんたほどの英雄が見通しのわるい。このままでは我ら、明日にも追ン出されてしまいますぞ」
「えっ。そりゃほんとかね」
「考えてもみなされ。我々を受け入れるつもりがあるなら、今日のうたげで兄弟の盃をかわし、席次を決めようとするはずです。歓迎されていないことなぞ、王首領のあの猜疑心にみちた顔をみれば瞭然」
「さりとてこの水寨以外にわしらの生きられる場所はあるまい」
「ならば、ならばこそ答えはひとつなのです。よいですか、まずは林冲どのを抱きこんでおいて……」
翌日、またまた豪華な宴会を行なったあと、王倫ころ合いを読んで切り出します。
「晁蓋どの、頼っていただいたのは嬉しいが、この梁山泊はいわば小さな水たまりの様なもの。糧食もとぼしければ武具もたりぬ。とうてい貴殿がごとき雲竜のひそむ淵ではございません。路用の銀子をご用意するゆえ、ご一同つれてどこかほかの立派な山寨に身を落ち着けられてはいかがかな」
晁蓋、かなしげな顔をつくって「左様でしたか、ならばお暇するよりほかない」
そそくさと席を辞そうとしましたが、林冲とつとして立ち上がり、大音声に吠えたてます。
「やい王倫、これじゃ俺のときとおんなじじゃないか?晁の旦那は天下の英傑、なんで追い出す必要がある!」
「やかましいぞ、おまえはわしの子分、上下の別を忘れたか!」
「なにを落第書生の分際で。あんたが晁天王を厚遇しないなら、俺もあんたを立てる義理はない!」
とつぜんの造反劇に、聚義庁のなかは騒然といたします。
晁蓋、「いや、これはいけない。わしらのせいで頭領がたの仲に亀裂をいれては」ふたりの間に立つふりして、パッと王倫の二の腕をつかみました。むろん逃げられぬようにするためです。
阮三兄弟に劉唐も「まあまあ皆さん」「落ち着きなされ」などと口では言いながら朱貴や幹部たちを通せんぼする格好で、助太刀できぬようにいたします。
さあこうなっては仕上げを待つばかり。林師範ふところ刀を取り出すや、王倫めがけてグサリとやりました。ああ王倫、みずからの狭量の招いたこととは申せ、危惧した通りの結末とあいなりました。
呉用、場をおさめるべく口を開きますには「みなの衆、こうなったからには林冲どのに新しい親分になってもらうしかない」
林冲は血の滴る王倫の首をぶら下げ、
「それは困る。天下の人にまるで首領になりたくて殺したようにうつってしまう。そもそも私は一介の猪武者、とうてい山寨のあるじには適さない。どうだろう、財をうとみ義を重んじ、勇名知らぬひとなき晁蓋どのこそ大親分にふさわしいと思うが」
「賛成!」「異存なし!」満場一致の意見によって、梁山泊のあらたな首領は晁天王に決まりました。
林師範はナンバー2の座も固辞します。
「拙者は無学無才、官軍あいてに知恵くらべなど身にあまる。軍師は孫子呉子をそらんじ、兵法にあかるい呉先生につとめてもらわねば」
呉用もさんざ遠慮しますが、林冲は「もう後には引けませんぞ、お願いもうす!」と無理に第二席次につかせました。
以下、公孫勝、林冲と座がさだまります。
朱貴はじめ元からいた頭目たち、「こりゃあ乗っ取りだ!」と心のうちでは歯がみしますが、豪傑ぞろいの新幹部についていった方が得だとお頭を柔らかくして、
「晁あにき、呉あにき、どうかわしらを使ってください」と平伏いたします。
ここに呉用先生の描いたとおり交代劇は完了しました。晁蓋は奪った宝物や自前の財産をすべてはき出して末端の子分にまで配ったので、みな死を賭してはたらこうと結束をかためます。
こうして新生梁山泊は大小十一人の頭領のもと武器、兵馬をととのえ、さらなる飛躍をめざしてゆくのでした。
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