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第12回 呉先生、策をろうして金銀十万貫をうばうこと
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かたや赤髪鬼、とうぜん腕に覚えはあります。かたや雷横、たいへんな力自慢で“挿翅虎(羽根の生えたトラ)“のあだ名を持ちます。両者すぐにも相手に飛びかかりたいのですが、あいだに陣取った分銅つかいの醸す妖しい覇気に気圧されたか、どうも攻めに転じられません。
「わたしはここで寺子屋をやっとる者だ。なんの騒ぎか知らんが、わけを聞こうじゃないか」
みょうなことにこの男、話しの出し入れ、かけ引きがやけに上手。いつしかふたりは丸め込まれて、自然と喧嘩はおさまってしまいました。それもそのはず、彼こそ近隣いちばんの知恵者と名高い、“智多星”の呉用、あざなを学究という先生だったのです。
「晁旦那ならわたしの親友、送っていこう」
劉唐といっしょに名主屋敷へむかった呉用でしたが、さすがに頭の回転のはやいひと、
「おかしいぞ、晁蓋とはおさな友達だが、こんなけったいな甥っこなんて見たこともない。どうやらウラに何かあるな」
と思い、屋敷につくなり挨拶もそうそう切り出します。
「水くさいな晁の兄貴、隠しごとは無しにしましょう!親戚でもない者をかくまって何をなさる?」
「ちょうど良かった、あんたに相談しようと思っていたんだ。劉さんこの先生は味方だ、もうけ口の話しをしておくれよ」
劉唐、「へい。おふたかた、六月十五日が何の日かごぞんじで?」
「さて、なんかあったかな」
「この国の宰相、蔡京さんの誕生日でさ」
「なんだ、面白くもない」
「ところがそうでもねえ。北京の知事梁中書は蔡宰相のむすめ婿。毎年誕生日祝いを送っていなさるが、今年もその時期がやってきたのさ。うわさによれば金銀財宝あわせて十万貫だと」
「よめた!そいつを道中で奪おうというんだな」
「そのとおり!誕生祝いなんて言ってるがようは賄賂、だいたい十万貫もの金品はみな人民から搾りとったもんだ。返してもらって何がわるい。どうです晁旦那、もしのってもらえるならこの赤髪鬼、死にものぐるいでお手伝いしますぜ」
「そりゃ実現できたら痛快だろうが、どうだね呉先生、やれそうかね」
「やれますとも。ただしこの計画は人数がかんじん。少なければ出来ないし、多ければ足がつく。信用のおけるもの七、八人だけで実行すれば、かならず成功します」
つぎの日から呉用先生による人選がはじまりました。強奪したお宝を途中までは荷車でひいてくとして、やはりさいごは舟で一気に運びたいもの。そこで隣り村で漁師をしている阮小二、小五、小七の三兄弟がスカウトされました。三人とも義侠心にあふれ、小舟のあつかいに巧みです。
ここに街道すじに詳しい白勝という博打うちを加えて総勢七人、晁蓋の屋敷で頭つきあわせてヒソヒソ相談していると、
「たのもう!」外から大声がひびきます。
「なんだって、ザンバラ髪のへんな道士が門前でねばってる?そりゃお布施が欲しいんだろ、多めに渡してさっさと帰ってもらえ」
ところが道士は「はした金はいらん、名主にあわせろ」と勝手になかへあがり込もうとします。下男たちが押しとどめますが、みな不思議な体術で投げころがされてしまいました。みれば八尺ゆたかな大男、ただびとならぬ風貌です。
「やあ、あなたが名主の晁さんですか。わたくし北の生まれで姓は公孫、なまえは勝。お山にのぼって修行したおかげで、いくらか道術が使えます。どうかひとつ、ごひいきに」
「すると“入雲竜の一清道人”とひとがいうのは貴殿のことでしたか」呉先生は彼のことを知っていたようです。
「本日おじゃましたのは他でもない、ちと面白い話しを持ってきたのです」
「それは北京からの誕生祝いよりも面白いですかな?」
「あっ、なんでもうご存知で」
「ちょうどいま皆でそいつを奪う算段をつけていたところです」
「ぜひおやんなさい、昔から言うでしょう“取るとき取らねば後悔ばかり”と」
晁蓋よろこんで「よし、なら公孫どのにも入ってもらおう。じつは昨晩、北斗七星が落っこちてくる夢を見たんだ。これはわが家に豪傑七人をむかえるお告げ。この計画成功まちがいなしとみた!」
かくして八名、お札を焼いて一味神水し、協力して財宝をよこどりすることを誓いました。
「できません!」
いっぽうこちらは北京大名府、楊志はあのあとぶじ隊長の仲間入り。まめまめしく働き重用されておりましたが、こたびの命令には承服しかねる様子です。
「なぜできぬ?義父うえへの誕生祝い、そなたに護送させれば安心とおもったが」梁中書は不満げです。
「しからば申しあげます。ここ大名府より開封府までの道のりには、二竜山、桃花山あり、また野雲渡、赤松林あり、すくなく見つもっても難所が八、九ヶ所ございます。盗賊どもは網を張って待ちかまえ、荷をはこぶ我々にはどこで襲いくるか見当もつきませぬ。これでは取ってくれというようなもの。じっさい去年は贈り物をだいぶ奪われたとか。お役目受けかねます」
「まてまて、昨年の失敗は兵士がすくなく護衛隊長が未熟だっただけのこと。それゆえ武勇またとないそなたを指名するのだ。どうじゃ、ぶじ送れたなら出世させてやろう」
出世ときいて、ながらくの不遇に耐えた彼の功名心はうずきました。自分を受け入れなかったみやこへの意識もあったでしょう。ついに楊志は折れ、二十人のお供とお目付けの執事とともにはるばる東京めざして旅立ったのです。
おりしも季節は真夏、太陽がカッカと照りつけます。本来ならば暑さをさけて夜に移動するべきところ、
「闇にまぎれて賊がおそってくるに違いない」
用心ぶかい楊志の気性もあって一行は炎天下のなかを進みます。
何日が経ったでしょう、どうにかしてようやく黄泥岡の峠まで財宝を運んでまいりました。
「もうダメだ!もう一歩も動けない!」おともの兵隊たちはのどもカラカラ、ついに松の木かげにへたばってしまいました。
「とまるな!座りこむな!ここいらにゃ一軒の民家もないんだぞ」楊隊長は気が気じゃありません。
ちょうどそこへ、道のこっちと向こうから、それぞれナツメ売りの一団ととぶろく売りのおじさんがやって来るではないですか。
どぶろく売りはたいへんご機嫌、天秤棒しょってこんな歌をうたいます。
赤い日めらめら 燃えるよう
田んぼの稲わら 焼けこげた
百姓はらわた 煮えくりかえし
だんさん二階で どこ吹くかぜ
兵士たちは渇きに耐えかね、お金を出しあってどぶろくを買おうとあつまりました。
「ダメだダメだ!もし万が一、酒のなかにしびれ薬でも入っていたらどうする。俺たちはお陀仏だぞ」楊志は鞭をふるって阻止します。
「勘弁してください隊長、みんな重い荷物をになってへとへと、ここで水分補給せんと倒れてしまいます」
「いいや、安全がなにより優先だ」
楊志は譲りません。こんどは執事までがお供に助けぶねを出し、こんこんと諭してきます。
「楊隊長、わしはこれまで何千何万という軍人、軍属を見てきたが、あんたもずいぶん強情なひとだ。兵隊たちを脅しつけてばかりじゃ、何ごとだって前にはいかん。まあいいから年寄りのいうことを聞きなさい」
「ここは黄泥岡、たださえ盗っ人銀座と呼ばれる場所だ。休憩するのも嫌なのに、酒をくらうヒマなんてあっちゃいけません。執事さんがお若いころとは治安が違う。もう天下泰平じゃないんですよ」
口論をつづけていると「なんだ?なんだ?」騒ぎをききつけナツメ売りの一行が近づいて来ました。
「おう、どぶろくじゃねえか。なにあんたがた呑まない?じゃあわしらがひと樽買おう」
「へい五貫!」
じつにいい呑みっぷり、七人のナツメ商人たちはまたたく間に樽を空にしてしまいました。
「片方だけ重いのもしんどいだろ、もすこしもらうよ」
「あっ、困るよだんな!」
まだ呑み足りないのか、数人のものが勝手に樽をあけ、お椀ですくってから逃げていきます。酒売り、かろうじてひと椀だけひったくりいくばくか戻しましたが、樽の中身はちょっぴり減ってしまいました。
楊志「あっちの樽はぜんぶナツメ売りの腹のなか。こっちの樽も何杯かすくって口もつけてる。これは毒薬入りではないな」と判断して「おおい、買ってもいいぞ」
楊志たち一行、執事も兵士たちもよろこんで金を払い、かわるがわるお椀ですくって飲み干しました。
さて暑気払いもできたこと、そろそろ峠をくだろうか、と腰をあげたそのとき。ナツメ売りもどぶろく酒屋も、ニヤニヤしながら一斉にこっちを指さし、
「ほら、たおれる!たおれる!」
あっ!と思ったのもつかの間。二十人の兵士たち、足は羽のよう、頭は漬け物石のよう、とても立っていられません。みなみな顔を見合わせてぐにゃりぐにゃりと地に倒れました。
八人の男ども、大八車をかたむけて中身のナツメをのこらず捨てるや、松の下の荷物をどんどん積み込みます。誕生祝いをすっかり満載しおえると、
「こいつはどうも、おやかましゅう!」
ゴロゴロと荷車押したて、風のように去っていきました。
「わたしはここで寺子屋をやっとる者だ。なんの騒ぎか知らんが、わけを聞こうじゃないか」
みょうなことにこの男、話しの出し入れ、かけ引きがやけに上手。いつしかふたりは丸め込まれて、自然と喧嘩はおさまってしまいました。それもそのはず、彼こそ近隣いちばんの知恵者と名高い、“智多星”の呉用、あざなを学究という先生だったのです。
「晁旦那ならわたしの親友、送っていこう」
劉唐といっしょに名主屋敷へむかった呉用でしたが、さすがに頭の回転のはやいひと、
「おかしいぞ、晁蓋とはおさな友達だが、こんなけったいな甥っこなんて見たこともない。どうやらウラに何かあるな」
と思い、屋敷につくなり挨拶もそうそう切り出します。
「水くさいな晁の兄貴、隠しごとは無しにしましょう!親戚でもない者をかくまって何をなさる?」
「ちょうど良かった、あんたに相談しようと思っていたんだ。劉さんこの先生は味方だ、もうけ口の話しをしておくれよ」
劉唐、「へい。おふたかた、六月十五日が何の日かごぞんじで?」
「さて、なんかあったかな」
「この国の宰相、蔡京さんの誕生日でさ」
「なんだ、面白くもない」
「ところがそうでもねえ。北京の知事梁中書は蔡宰相のむすめ婿。毎年誕生日祝いを送っていなさるが、今年もその時期がやってきたのさ。うわさによれば金銀財宝あわせて十万貫だと」
「よめた!そいつを道中で奪おうというんだな」
「そのとおり!誕生祝いなんて言ってるがようは賄賂、だいたい十万貫もの金品はみな人民から搾りとったもんだ。返してもらって何がわるい。どうです晁旦那、もしのってもらえるならこの赤髪鬼、死にものぐるいでお手伝いしますぜ」
「そりゃ実現できたら痛快だろうが、どうだね呉先生、やれそうかね」
「やれますとも。ただしこの計画は人数がかんじん。少なければ出来ないし、多ければ足がつく。信用のおけるもの七、八人だけで実行すれば、かならず成功します」
つぎの日から呉用先生による人選がはじまりました。強奪したお宝を途中までは荷車でひいてくとして、やはりさいごは舟で一気に運びたいもの。そこで隣り村で漁師をしている阮小二、小五、小七の三兄弟がスカウトされました。三人とも義侠心にあふれ、小舟のあつかいに巧みです。
ここに街道すじに詳しい白勝という博打うちを加えて総勢七人、晁蓋の屋敷で頭つきあわせてヒソヒソ相談していると、
「たのもう!」外から大声がひびきます。
「なんだって、ザンバラ髪のへんな道士が門前でねばってる?そりゃお布施が欲しいんだろ、多めに渡してさっさと帰ってもらえ」
ところが道士は「はした金はいらん、名主にあわせろ」と勝手になかへあがり込もうとします。下男たちが押しとどめますが、みな不思議な体術で投げころがされてしまいました。みれば八尺ゆたかな大男、ただびとならぬ風貌です。
「やあ、あなたが名主の晁さんですか。わたくし北の生まれで姓は公孫、なまえは勝。お山にのぼって修行したおかげで、いくらか道術が使えます。どうかひとつ、ごひいきに」
「すると“入雲竜の一清道人”とひとがいうのは貴殿のことでしたか」呉先生は彼のことを知っていたようです。
「本日おじゃましたのは他でもない、ちと面白い話しを持ってきたのです」
「それは北京からの誕生祝いよりも面白いですかな?」
「あっ、なんでもうご存知で」
「ちょうどいま皆でそいつを奪う算段をつけていたところです」
「ぜひおやんなさい、昔から言うでしょう“取るとき取らねば後悔ばかり”と」
晁蓋よろこんで「よし、なら公孫どのにも入ってもらおう。じつは昨晩、北斗七星が落っこちてくる夢を見たんだ。これはわが家に豪傑七人をむかえるお告げ。この計画成功まちがいなしとみた!」
かくして八名、お札を焼いて一味神水し、協力して財宝をよこどりすることを誓いました。
「できません!」
いっぽうこちらは北京大名府、楊志はあのあとぶじ隊長の仲間入り。まめまめしく働き重用されておりましたが、こたびの命令には承服しかねる様子です。
「なぜできぬ?義父うえへの誕生祝い、そなたに護送させれば安心とおもったが」梁中書は不満げです。
「しからば申しあげます。ここ大名府より開封府までの道のりには、二竜山、桃花山あり、また野雲渡、赤松林あり、すくなく見つもっても難所が八、九ヶ所ございます。盗賊どもは網を張って待ちかまえ、荷をはこぶ我々にはどこで襲いくるか見当もつきませぬ。これでは取ってくれというようなもの。じっさい去年は贈り物をだいぶ奪われたとか。お役目受けかねます」
「まてまて、昨年の失敗は兵士がすくなく護衛隊長が未熟だっただけのこと。それゆえ武勇またとないそなたを指名するのだ。どうじゃ、ぶじ送れたなら出世させてやろう」
出世ときいて、ながらくの不遇に耐えた彼の功名心はうずきました。自分を受け入れなかったみやこへの意識もあったでしょう。ついに楊志は折れ、二十人のお供とお目付けの執事とともにはるばる東京めざして旅立ったのです。
おりしも季節は真夏、太陽がカッカと照りつけます。本来ならば暑さをさけて夜に移動するべきところ、
「闇にまぎれて賊がおそってくるに違いない」
用心ぶかい楊志の気性もあって一行は炎天下のなかを進みます。
何日が経ったでしょう、どうにかしてようやく黄泥岡の峠まで財宝を運んでまいりました。
「もうダメだ!もう一歩も動けない!」おともの兵隊たちはのどもカラカラ、ついに松の木かげにへたばってしまいました。
「とまるな!座りこむな!ここいらにゃ一軒の民家もないんだぞ」楊隊長は気が気じゃありません。
ちょうどそこへ、道のこっちと向こうから、それぞれナツメ売りの一団ととぶろく売りのおじさんがやって来るではないですか。
どぶろく売りはたいへんご機嫌、天秤棒しょってこんな歌をうたいます。
赤い日めらめら 燃えるよう
田んぼの稲わら 焼けこげた
百姓はらわた 煮えくりかえし
だんさん二階で どこ吹くかぜ
兵士たちは渇きに耐えかね、お金を出しあってどぶろくを買おうとあつまりました。
「ダメだダメだ!もし万が一、酒のなかにしびれ薬でも入っていたらどうする。俺たちはお陀仏だぞ」楊志は鞭をふるって阻止します。
「勘弁してください隊長、みんな重い荷物をになってへとへと、ここで水分補給せんと倒れてしまいます」
「いいや、安全がなにより優先だ」
楊志は譲りません。こんどは執事までがお供に助けぶねを出し、こんこんと諭してきます。
「楊隊長、わしはこれまで何千何万という軍人、軍属を見てきたが、あんたもずいぶん強情なひとだ。兵隊たちを脅しつけてばかりじゃ、何ごとだって前にはいかん。まあいいから年寄りのいうことを聞きなさい」
「ここは黄泥岡、たださえ盗っ人銀座と呼ばれる場所だ。休憩するのも嫌なのに、酒をくらうヒマなんてあっちゃいけません。執事さんがお若いころとは治安が違う。もう天下泰平じゃないんですよ」
口論をつづけていると「なんだ?なんだ?」騒ぎをききつけナツメ売りの一行が近づいて来ました。
「おう、どぶろくじゃねえか。なにあんたがた呑まない?じゃあわしらがひと樽買おう」
「へい五貫!」
じつにいい呑みっぷり、七人のナツメ商人たちはまたたく間に樽を空にしてしまいました。
「片方だけ重いのもしんどいだろ、もすこしもらうよ」
「あっ、困るよだんな!」
まだ呑み足りないのか、数人のものが勝手に樽をあけ、お椀ですくってから逃げていきます。酒売り、かろうじてひと椀だけひったくりいくばくか戻しましたが、樽の中身はちょっぴり減ってしまいました。
楊志「あっちの樽はぜんぶナツメ売りの腹のなか。こっちの樽も何杯かすくって口もつけてる。これは毒薬入りではないな」と判断して「おおい、買ってもいいぞ」
楊志たち一行、執事も兵士たちもよろこんで金を払い、かわるがわるお椀ですくって飲み干しました。
さて暑気払いもできたこと、そろそろ峠をくだろうか、と腰をあげたそのとき。ナツメ売りもどぶろく酒屋も、ニヤニヤしながら一斉にこっちを指さし、
「ほら、たおれる!たおれる!」
あっ!と思ったのもつかの間。二十人の兵士たち、足は羽のよう、頭は漬け物石のよう、とても立っていられません。みなみな顔を見合わせてぐにゃりぐにゃりと地に倒れました。
八人の男ども、大八車をかたむけて中身のナツメをのこらず捨てるや、松の下の荷物をどんどん積み込みます。誕生祝いをすっかり満載しおえると、
「こいつはどうも、おやかましゅう!」
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