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第十話 異世界でなりたい職業第一位!
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さて。どうやってモルス子爵をぶちのめすか、妙案を考えていた俺こと上山賢治だが、結局浮かばないので棚上げした。
しょうがないじゃん。モルス子爵は結構な影響力を持っているらしい。今すぐどうにかするのはちょっと厳しいのだ。
そこで俺は地味な事だが、鍛冶屋『アルテミス』と本格的に手を組んだ。
材料に困っていたおっぱいさんにこれからも硬貨を提供する代わりに、パン屋同様俺を便宜上のオーナーとしてもらったのだ。
これは収入源を増やすだけではなく、他の鍛冶師、ひいては子爵の力を少しでも削げれば、と考えての事である。最も、腕が良いとは言えおっぱいさんは一人。大した効果はないだろうが、しないよりはましだろう。
一応、ターゲットは高級武具に限定してある。此方ならば市場全体での流通量が少ないのでおっぱいさん一人でも製造が追いつくし、腕の良さでシェアを奪いやすい。利益率も高いしな。
「加えておっぱいさん自身も組合に所属する知己の友人に働きかけて、内から崩そうとしているそうだし。これが上手く言って子爵の動きが鈍ってくれれば良いんだが……ところでところで」
「……?」
「俺の膝の上で何をしているのかね。君は」
可愛く小首を傾げて見上げるんじゃない。子猫みたいにじゃれても無駄だ、ククナ。
「駄目?」
「いや正直駄目では無いしむしろ得だと思うんですけどね。でもそうも身体を擦り付けられるとですね、俺の理性へのダメージが爆撃受けたみたいにガリガリ削られていくんですわ」
って言ってる傍から寝ようとするな。少しはこっちの話を聞け、仮にも俺はお前の主人なんだぞ!
「……そんな威厳、ない」
「心を読まれたっ!? どうせ読むならこっちの辛さも察して退いてくださいよやだー!」
先日のベッド潜伏事件からほんと、何なんでしょうねこの子は。
尚、ベッドへの潜伏はあれからも毎日続いている。だけではなく、今のように自室で寛ぎ、脳内作戦会議を開いている時にも無遠慮にやって来ては猫のように自由に振舞うのだ。いや、猫なんだけど。
「……猫なんだよね?」
「? 今更? 私は猫の獣人である母さんと人間の父さんの子。所謂ハーフ」
「あぁ、そうなんだぁ。あれ、でもスピカちゃんは獣人じゃないよな?」
「それは、私とお姉ちゃんが異母姉妹だからです」
答えは、緩やかに開いた扉から。
「もうっ、やっぱり此処に居た。ご主人様に迷惑掛けちゃ駄目だって言ったでしょ、お姉ちゃん!」
ぷりぷり頬を膨らませて怒るスピカちゃん。
しかし怒られた当人はまるで気にする素振りもなく、
「別に迷惑じゃない。でしょ?」
「迷惑か迷惑じゃないかで言えば迷惑な気もするが、こんな可愛い子がくっ付いてくるのは得でもあるので、差し引きゼロ……いや、若干プラスだなっ」
「ほら」
「ほらじゃないのっ! そもそも男女がそんなにくっ付くなんてよく無いんだよ、お姉ちゃん!」
ぐいーと引っ張るスピカちゃんだが、ククナは此方にしがみ付き必死の抵抗。
痛た、何でそんなに抵抗するんだ。っていうか痛い、二人共力が強すぎる……!
「ストップ、ストォォォォップ! 俺を引き摺るんじゃない、あっ、振り回すなぁ! 自慢じゃないが俺はこの中で一番貧弱なんだぞう!」
「わわわっ! 申し訳ありませんご主人様!」
非情なジャイアントスイングが終わりを告げる。
き、気を付けてくれよ。ただでさえスピカちゃんは豪腕なんだからさぁ。
「おかしいな、ただの人間のはずなのにこの力。まさか、実はゴリラとのハーフとか言わないよな……?」
「幾らご主人様でも酷いですっ。私のお母さんは普通の人間ですよぅ。力が強いのは生まれ持ってのものですっ」
「生まれた時からハイパワーだったのか。これも高名な聖騎士らしい父親の遺伝かね……?」
聖騎士、バルフリート・ランゲルンだったか。俺は良く知らないが、あの時の聴衆の反応からして相当な有名人なんだろう。
「そうだ、気になってたんだ。ここ数日のごたごたですっかり忘れてたけど」
「? 何でしょうか、ご主人様?」
「いやさ。二人の父親は有名な聖騎士なんだろう? そんな人の娘である二人がさ、どうして二級奴隷になんてなっちゃったのよ」
言った瞬間、スピカちゃんが俯いたのが分かった。
まぁ、あまり良い話ではないだろうね。とはいえ俺は一応二人の主人。そこら辺の事情を把握しておかないと、後々それが原因で面倒な事態に……なんてのも充分有り得る。
決して好奇心から聞いているだけではないのだ。本当だよ?
「その……なんて言ったら良いんでしょうか。私達のお父さんは、世間一般との認識とは違って、その……」
言い淀むスピカちゃんに代わり、ククナが口を開く。
「屑」
「シンプルな答えをありがとう。いやでも屑って、どれくらい?」
「毎日ギャンブル。一年と経たずに『飽きた』って理由で母さんを捨てた。私とスピカの母さんが死んだ後、私達を引き取って、『賭けの資金にするから』って二級奴隷として売った」
わお、清々しい程のド屑。
「お、お姉ちゃん、言い過ぎだよ! 勘違いしないで下さいご主人様、あんなお父さんにも良い所はあったんですよ?」
「あんなて。ちなみにどんな所?」
「えっと……。暴力は振るいませんでした!」
胸を張るな胸を。それは良い所じゃなくて当たり前の事だ。
「大変だったんやなぁ。二人共……」
「ああっ、ご主人様の目が急に優しく!?」
そりゃそうなるて。そんな苦労ばかりの人生を歩んで来たあげく、あんな子豚に買われようとしていたのだから。
「二人共、もっとわがまま言ってええんやで。俺は二人の味方や」
「ああっ、ご主人様の目が更に優しく! まるで牧師さんみたいです!」
「じゃあもっと寝る。ダラ~……」
「君はもう少しやる気を出そうね!」
いかんいかん。少し頭がおかしくなっていたみたいだ。
しかし成る程。そういう事情があったとなると、二人の父親、バルフリート・ランゲルンとは会わないほうが良さそうだな。
何処に居るかも知らないが、出会った途端に金の無心をされそうだ。俺の力の事を知られれば更に不味い。
と、考えていた俺は気付いた。何時の間にやら、また膝の上に戻って来ていたククナが、その黒真珠のような瞳で此方をじっと見詰めている。
「どしたの。俺ってそんなに見蕩れるほどイケメン?」
「普通。……一つ、私からも質問」
容赦ないなぁおい。少しは主を立ててくれても良いんじゃないですかね。
しかし質問ですか。何でしょな、と首を傾げて聞き返せば、ククナは珍しく言い淀んだ後、
「……なんて呼べば良い?」
「へ? それって俺を、って事?」
そう、と短く頷く。
せっかく身構えてたのにそんな事かい。確かに呼び方って重要だけどさ。
「好きに呼べば良いんじゃねぇの? スピカちゃんみたいにご主人様でも良いし、なんなら賢治って呼び捨てでも構わんぞ」
どうせ主としての威厳なぞ無いのだ。此処は器の広さをアピールしよう。
俺の言葉に、ククナは数秒考えて。
「……旦那」
「えぇ……。多分『旦那様』から来てるんだろうけどさ、それだけだとまるでチンピラの舎弟みたいだな。もしくは悪巧みしてる商人」
「様って感じじゃない。それに好きに呼んで良いって言った」
だとしても斜め上に行き過ぎじゃないですかね、俺結婚してないし。別に良いけどさ。
「失礼だよお姉ちゃん!」とわたわた騒いでいるスピカちゃんを尻目に、壁の時計に目を向ける。
短針は8を指していた。そろそろ良い時間だろう。
「あーあー分かった旦那で良いよ。それじゃあ呼び方も決まった所で退いてくれ、ついでに出かける準備もな」
「……? 何処か行く?」
「おう。異世界に来て早や二ヵ月半。遂にやってきましたこの時がっ」
異世界? と二人が疑問符を浮かべるが関係ない。
今の俺はテンション急上昇中なのだ。そう、異世界に来たからには経験しておくべきこのイベントっ。
「向かうは冒険者ギルド! 冒険者に俺はなるっ!」
麦わら被った人っぽく言いながら、異世界生活は過ぎていく。
しょうがないじゃん。モルス子爵は結構な影響力を持っているらしい。今すぐどうにかするのはちょっと厳しいのだ。
そこで俺は地味な事だが、鍛冶屋『アルテミス』と本格的に手を組んだ。
材料に困っていたおっぱいさんにこれからも硬貨を提供する代わりに、パン屋同様俺を便宜上のオーナーとしてもらったのだ。
これは収入源を増やすだけではなく、他の鍛冶師、ひいては子爵の力を少しでも削げれば、と考えての事である。最も、腕が良いとは言えおっぱいさんは一人。大した効果はないだろうが、しないよりはましだろう。
一応、ターゲットは高級武具に限定してある。此方ならば市場全体での流通量が少ないのでおっぱいさん一人でも製造が追いつくし、腕の良さでシェアを奪いやすい。利益率も高いしな。
「加えておっぱいさん自身も組合に所属する知己の友人に働きかけて、内から崩そうとしているそうだし。これが上手く言って子爵の動きが鈍ってくれれば良いんだが……ところでところで」
「……?」
「俺の膝の上で何をしているのかね。君は」
可愛く小首を傾げて見上げるんじゃない。子猫みたいにじゃれても無駄だ、ククナ。
「駄目?」
「いや正直駄目では無いしむしろ得だと思うんですけどね。でもそうも身体を擦り付けられるとですね、俺の理性へのダメージが爆撃受けたみたいにガリガリ削られていくんですわ」
って言ってる傍から寝ようとするな。少しはこっちの話を聞け、仮にも俺はお前の主人なんだぞ!
「……そんな威厳、ない」
「心を読まれたっ!? どうせ読むならこっちの辛さも察して退いてくださいよやだー!」
先日のベッド潜伏事件からほんと、何なんでしょうねこの子は。
尚、ベッドへの潜伏はあれからも毎日続いている。だけではなく、今のように自室で寛ぎ、脳内作戦会議を開いている時にも無遠慮にやって来ては猫のように自由に振舞うのだ。いや、猫なんだけど。
「……猫なんだよね?」
「? 今更? 私は猫の獣人である母さんと人間の父さんの子。所謂ハーフ」
「あぁ、そうなんだぁ。あれ、でもスピカちゃんは獣人じゃないよな?」
「それは、私とお姉ちゃんが異母姉妹だからです」
答えは、緩やかに開いた扉から。
「もうっ、やっぱり此処に居た。ご主人様に迷惑掛けちゃ駄目だって言ったでしょ、お姉ちゃん!」
ぷりぷり頬を膨らませて怒るスピカちゃん。
しかし怒られた当人はまるで気にする素振りもなく、
「別に迷惑じゃない。でしょ?」
「迷惑か迷惑じゃないかで言えば迷惑な気もするが、こんな可愛い子がくっ付いてくるのは得でもあるので、差し引きゼロ……いや、若干プラスだなっ」
「ほら」
「ほらじゃないのっ! そもそも男女がそんなにくっ付くなんてよく無いんだよ、お姉ちゃん!」
ぐいーと引っ張るスピカちゃんだが、ククナは此方にしがみ付き必死の抵抗。
痛た、何でそんなに抵抗するんだ。っていうか痛い、二人共力が強すぎる……!
「ストップ、ストォォォォップ! 俺を引き摺るんじゃない、あっ、振り回すなぁ! 自慢じゃないが俺はこの中で一番貧弱なんだぞう!」
「わわわっ! 申し訳ありませんご主人様!」
非情なジャイアントスイングが終わりを告げる。
き、気を付けてくれよ。ただでさえスピカちゃんは豪腕なんだからさぁ。
「おかしいな、ただの人間のはずなのにこの力。まさか、実はゴリラとのハーフとか言わないよな……?」
「幾らご主人様でも酷いですっ。私のお母さんは普通の人間ですよぅ。力が強いのは生まれ持ってのものですっ」
「生まれた時からハイパワーだったのか。これも高名な聖騎士らしい父親の遺伝かね……?」
聖騎士、バルフリート・ランゲルンだったか。俺は良く知らないが、あの時の聴衆の反応からして相当な有名人なんだろう。
「そうだ、気になってたんだ。ここ数日のごたごたですっかり忘れてたけど」
「? 何でしょうか、ご主人様?」
「いやさ。二人の父親は有名な聖騎士なんだろう? そんな人の娘である二人がさ、どうして二級奴隷になんてなっちゃったのよ」
言った瞬間、スピカちゃんが俯いたのが分かった。
まぁ、あまり良い話ではないだろうね。とはいえ俺は一応二人の主人。そこら辺の事情を把握しておかないと、後々それが原因で面倒な事態に……なんてのも充分有り得る。
決して好奇心から聞いているだけではないのだ。本当だよ?
「その……なんて言ったら良いんでしょうか。私達のお父さんは、世間一般との認識とは違って、その……」
言い淀むスピカちゃんに代わり、ククナが口を開く。
「屑」
「シンプルな答えをありがとう。いやでも屑って、どれくらい?」
「毎日ギャンブル。一年と経たずに『飽きた』って理由で母さんを捨てた。私とスピカの母さんが死んだ後、私達を引き取って、『賭けの資金にするから』って二級奴隷として売った」
わお、清々しい程のド屑。
「お、お姉ちゃん、言い過ぎだよ! 勘違いしないで下さいご主人様、あんなお父さんにも良い所はあったんですよ?」
「あんなて。ちなみにどんな所?」
「えっと……。暴力は振るいませんでした!」
胸を張るな胸を。それは良い所じゃなくて当たり前の事だ。
「大変だったんやなぁ。二人共……」
「ああっ、ご主人様の目が急に優しく!?」
そりゃそうなるて。そんな苦労ばかりの人生を歩んで来たあげく、あんな子豚に買われようとしていたのだから。
「二人共、もっとわがまま言ってええんやで。俺は二人の味方や」
「ああっ、ご主人様の目が更に優しく! まるで牧師さんみたいです!」
「じゃあもっと寝る。ダラ~……」
「君はもう少しやる気を出そうね!」
いかんいかん。少し頭がおかしくなっていたみたいだ。
しかし成る程。そういう事情があったとなると、二人の父親、バルフリート・ランゲルンとは会わないほうが良さそうだな。
何処に居るかも知らないが、出会った途端に金の無心をされそうだ。俺の力の事を知られれば更に不味い。
と、考えていた俺は気付いた。何時の間にやら、また膝の上に戻って来ていたククナが、その黒真珠のような瞳で此方をじっと見詰めている。
「どしたの。俺ってそんなに見蕩れるほどイケメン?」
「普通。……一つ、私からも質問」
容赦ないなぁおい。少しは主を立ててくれても良いんじゃないですかね。
しかし質問ですか。何でしょな、と首を傾げて聞き返せば、ククナは珍しく言い淀んだ後、
「……なんて呼べば良い?」
「へ? それって俺を、って事?」
そう、と短く頷く。
せっかく身構えてたのにそんな事かい。確かに呼び方って重要だけどさ。
「好きに呼べば良いんじゃねぇの? スピカちゃんみたいにご主人様でも良いし、なんなら賢治って呼び捨てでも構わんぞ」
どうせ主としての威厳なぞ無いのだ。此処は器の広さをアピールしよう。
俺の言葉に、ククナは数秒考えて。
「……旦那」
「えぇ……。多分『旦那様』から来てるんだろうけどさ、それだけだとまるでチンピラの舎弟みたいだな。もしくは悪巧みしてる商人」
「様って感じじゃない。それに好きに呼んで良いって言った」
だとしても斜め上に行き過ぎじゃないですかね、俺結婚してないし。別に良いけどさ。
「失礼だよお姉ちゃん!」とわたわた騒いでいるスピカちゃんを尻目に、壁の時計に目を向ける。
短針は8を指していた。そろそろ良い時間だろう。
「あーあー分かった旦那で良いよ。それじゃあ呼び方も決まった所で退いてくれ、ついでに出かける準備もな」
「……? 何処か行く?」
「おう。異世界に来て早や二ヵ月半。遂にやってきましたこの時がっ」
異世界? と二人が疑問符を浮かべるが関係ない。
今の俺はテンション急上昇中なのだ。そう、異世界に来たからには経験しておくべきこのイベントっ。
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