92 / 449
人手不足の解消法
しおりを挟む 涼は、散々人の体を弄び、雅哉の倍以上のキスマークをつけて満足したようだ。
ベッドを背にして座り込み、背後から腕を回して俺を抱きこんでスリスリと肩に顔を埋めている。
もちろんシャワーを浴びて服も着た後だ。
「ハル……」
何度も名前を呼んではスリスリ……スリスリ……。
「ハルゥ……」
スリスリ……スリスリ……。
鬱陶しい。
「ハ……ル……」
「なんだよ!」
「ハル……」
名前を呼ぶだけの涼に、がっくりと項垂れてから肩に乗せられている涼の頭をそっと撫でてやった。
そうすると、涼は嬉しそうに肩を震わせた。
「ふふっ。ハル」
「はいはい、涼」
スリスリ……。なでなで……。
「ハル」
「涼」
スリスリ……。なでなで……。
なんだこのやり取り。
「ねぇ、ハル。ハルは、誰のもの?」
「涼」
「ふふっ。ハルは、誰が一番なの?」
「……涼」
「雅哉のことはどう思ってるの?」
「…………」
なんて言えってんだ……。
嫌いだなんて思ってないし、この後に及んでまだ友達に戻れないかと思っている。
「雅哉の事考えたね?」
なんで不機嫌になるんだ。
「そりゃ、名前が出たら考えるって」
「今のなし。もう考えちゃダメ」
なんだそりゃ。
「僕の事だけ考えて」
「……いつも考えてるよ」
いつだって頭の中を涼でいっぱいにされて、涼の事を考えない日なんてない。
「ふふっ。ハル……」
「なんだよ……」
スリスリ……。なでなで……。
「ハルゥ……」
スリスリスリスリ……。
ずっとやり続けそうだ。
「もういい加減にしろって。母さんが帰る前にご飯作るんだろ?」
「そうだね。ハルも手伝ってくれる?」
「手伝ってやるから行くぞ」
ようやく解放されて、キッチンへ行く。
エプロンをつけて、ごく普通の対面キッチンで、二人で手を洗う。
ハンドソープを泡立てていたら、涼が隣に並んで手を重ねてきた。
指と指の間を指先でなぞられる。
俺の指先から手の平を涼の指の腹だけを使って上下に巧みに動かして丹念に洗われる。
最後は恋人繋ぎをするように合わせようとする。
なんか……エロい。
「やめろ」
水を出してさっさと泡を流した。
「ちぇっ」
不満顔の涼なんて無視するに限る。
冷蔵庫を開けて二人で材料を取り出す。
材料を見る限りでは、今日はごく一般的なカレーのようだ。
「玉ねぎ剥いて」
そう言って渡されたのは、頭の部分を切り落とされた玉ねぎ。
それをシンクの上で剥こうとしたら、背後から手が伸びてきて俺を抱き込むようにしながら玉ねぎに触れた。
涼の指が玉ねぎの皮を掴んで、頭を切り落とされた部分から根元に向かってゆっくり丁寧に剥いていく。
玉ねぎを優しく労るように、何度も涼の指が上下に行き来する。
段々と茶色の皮を剥がされて玉ねぎが白くなっていく。
その白くなった玉ねぎに指を這わせた。
なんか……エロい。
「やめろ。涼がやったら俺が手伝う意味がないだろ?」
「ちぇっ」
背後に立っていた涼を肘で小突けば、すぐに離れた。
「ハルは、炒める係だよ」
俺は、鍋の前に立って、涼が入れる切り刻まれたカレーの材料を炒めるだけだった。
全ての材料を入れ終わったらしい涼は、また俺の背後に立って手を伸ばしてきた。
俺の木ベラを持つ手を包むように握られた。
俺がガシガシと炒めていた木ベラを、円を描くようにグルーンッ、グルーンッとやさぁしく回す……。
エロい……。
「だから、やめろって!」
涼がやると全部エロく見える……。
エロいカレーとかどんなだよ。
「ちぇっ」
「なんだよ……そのちぇってやつ……」
材料が炒められれば、水を入れてそのまま煮込む。
蓋を閉めた瞬間にギューッと背後から強く抱きしめられた。
首筋にチュッと口付けられてゾクリとした。
「おい!」
「ダメ? 煮込む時間に色々できちゃうよ?」
「ダメに決まってんだろ!」
何を考えているんだ。
さっき散々俺を弄んだだろうが。
「キッチンでしようって約束したよね?」
「ざっけんな。」
「じゃあ、我慢するから少しだけ」
抗議しようと涼の方へ顔を向ければ、キスで口を塞がれた。
もがいても涼に抱き込まれていると逃げられない。
「んんっ──!ううんっ──はっ、ぷはっ──んんんっ──!」
呼吸、呼吸をさせてくれ!
しばらく続けられたディープキスの後に、酸欠で顔を真っ赤にし呼吸を荒くしていると、うっとりと呟かれた。
「可愛い……」
いつも可愛いなんて言いやがって……。
羞恥心で更に赤くなった顔を逸らす。
「はぁぁ……ハルゥ、愛してるぅぅぅ……」
ギューッと抱きしめてきて苦しいぐらいだ。
どうして恥ずかしくもなく毎回同じことが言えるんだ……。
言われた方は恥ずかしいというのに。
涼の手が胸をサワサワと触ってきて、尻に股間を押し付けてくる。
勃ってやがる……。
「この! 変態!」
「ふふっ。真っ赤な顔でそんな事言うんだから、我慢できなくなりそう」
罵られて喜ぶなんてやっぱり変態だ。
カレーの具が煮えるまで、涼のいたずらと格闘していた。
ベッドを背にして座り込み、背後から腕を回して俺を抱きこんでスリスリと肩に顔を埋めている。
もちろんシャワーを浴びて服も着た後だ。
「ハル……」
何度も名前を呼んではスリスリ……スリスリ……。
「ハルゥ……」
スリスリ……スリスリ……。
鬱陶しい。
「ハ……ル……」
「なんだよ!」
「ハル……」
名前を呼ぶだけの涼に、がっくりと項垂れてから肩に乗せられている涼の頭をそっと撫でてやった。
そうすると、涼は嬉しそうに肩を震わせた。
「ふふっ。ハル」
「はいはい、涼」
スリスリ……。なでなで……。
「ハル」
「涼」
スリスリ……。なでなで……。
なんだこのやり取り。
「ねぇ、ハル。ハルは、誰のもの?」
「涼」
「ふふっ。ハルは、誰が一番なの?」
「……涼」
「雅哉のことはどう思ってるの?」
「…………」
なんて言えってんだ……。
嫌いだなんて思ってないし、この後に及んでまだ友達に戻れないかと思っている。
「雅哉の事考えたね?」
なんで不機嫌になるんだ。
「そりゃ、名前が出たら考えるって」
「今のなし。もう考えちゃダメ」
なんだそりゃ。
「僕の事だけ考えて」
「……いつも考えてるよ」
いつだって頭の中を涼でいっぱいにされて、涼の事を考えない日なんてない。
「ふふっ。ハル……」
「なんだよ……」
スリスリ……。なでなで……。
「ハルゥ……」
スリスリスリスリ……。
ずっとやり続けそうだ。
「もういい加減にしろって。母さんが帰る前にご飯作るんだろ?」
「そうだね。ハルも手伝ってくれる?」
「手伝ってやるから行くぞ」
ようやく解放されて、キッチンへ行く。
エプロンをつけて、ごく普通の対面キッチンで、二人で手を洗う。
ハンドソープを泡立てていたら、涼が隣に並んで手を重ねてきた。
指と指の間を指先でなぞられる。
俺の指先から手の平を涼の指の腹だけを使って上下に巧みに動かして丹念に洗われる。
最後は恋人繋ぎをするように合わせようとする。
なんか……エロい。
「やめろ」
水を出してさっさと泡を流した。
「ちぇっ」
不満顔の涼なんて無視するに限る。
冷蔵庫を開けて二人で材料を取り出す。
材料を見る限りでは、今日はごく一般的なカレーのようだ。
「玉ねぎ剥いて」
そう言って渡されたのは、頭の部分を切り落とされた玉ねぎ。
それをシンクの上で剥こうとしたら、背後から手が伸びてきて俺を抱き込むようにしながら玉ねぎに触れた。
涼の指が玉ねぎの皮を掴んで、頭を切り落とされた部分から根元に向かってゆっくり丁寧に剥いていく。
玉ねぎを優しく労るように、何度も涼の指が上下に行き来する。
段々と茶色の皮を剥がされて玉ねぎが白くなっていく。
その白くなった玉ねぎに指を這わせた。
なんか……エロい。
「やめろ。涼がやったら俺が手伝う意味がないだろ?」
「ちぇっ」
背後に立っていた涼を肘で小突けば、すぐに離れた。
「ハルは、炒める係だよ」
俺は、鍋の前に立って、涼が入れる切り刻まれたカレーの材料を炒めるだけだった。
全ての材料を入れ終わったらしい涼は、また俺の背後に立って手を伸ばしてきた。
俺の木ベラを持つ手を包むように握られた。
俺がガシガシと炒めていた木ベラを、円を描くようにグルーンッ、グルーンッとやさぁしく回す……。
エロい……。
「だから、やめろって!」
涼がやると全部エロく見える……。
エロいカレーとかどんなだよ。
「ちぇっ」
「なんだよ……そのちぇってやつ……」
材料が炒められれば、水を入れてそのまま煮込む。
蓋を閉めた瞬間にギューッと背後から強く抱きしめられた。
首筋にチュッと口付けられてゾクリとした。
「おい!」
「ダメ? 煮込む時間に色々できちゃうよ?」
「ダメに決まってんだろ!」
何を考えているんだ。
さっき散々俺を弄んだだろうが。
「キッチンでしようって約束したよね?」
「ざっけんな。」
「じゃあ、我慢するから少しだけ」
抗議しようと涼の方へ顔を向ければ、キスで口を塞がれた。
もがいても涼に抱き込まれていると逃げられない。
「んんっ──!ううんっ──はっ、ぷはっ──んんんっ──!」
呼吸、呼吸をさせてくれ!
しばらく続けられたディープキスの後に、酸欠で顔を真っ赤にし呼吸を荒くしていると、うっとりと呟かれた。
「可愛い……」
いつも可愛いなんて言いやがって……。
羞恥心で更に赤くなった顔を逸らす。
「はぁぁ……ハルゥ、愛してるぅぅぅ……」
ギューッと抱きしめてきて苦しいぐらいだ。
どうして恥ずかしくもなく毎回同じことが言えるんだ……。
言われた方は恥ずかしいというのに。
涼の手が胸をサワサワと触ってきて、尻に股間を押し付けてくる。
勃ってやがる……。
「この! 変態!」
「ふふっ。真っ赤な顔でそんな事言うんだから、我慢できなくなりそう」
罵られて喜ぶなんてやっぱり変態だ。
カレーの具が煮えるまで、涼のいたずらと格闘していた。
14
お気に入りに追加
1,843
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。
今年で33歳の社畜でございます
俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました
しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう
汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。
すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。
そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる