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白き最強との再会
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ヘクター達と一緒の家屋に泊まることになり、俺にあてがわれた部屋に荷物を置く。
と言ってもほとんどの荷物はバイクに積んだままなので、身の回りの品だけが入ったリュックだけを持ち込んでいる。
普段から掃除がされているようで、汚れた空気を感じさせない4畳ほどの広さの部屋には寝台だけというシンプルさだ。
すぐに夕食だと言われていたので着替えだけをしてリビングへと行く。
そこにはヘクターがすでにテーブルについており、食器の準備が済んでいた。
食事を作るのはパーラのようで、何が出てくるのか少し楽しみだ。
テーブルでしばしヘクターと話をして待つ。
ヘクター達は元々この辺りの出身ではなく、行商人だった両親に連れられてペルケティアに来たのだそうだ。
ヘクター自身は両親の勧めでペルケティアの商業ギルドで傭兵登録をして働いていたのだが、ある日両親とパーラが流行り病にかかるとあっというまに両親がなくなり、助かったパーラも声を失うという悲劇に襲われた。
両親の遺志を継いで一度は行商人となったのだが、パーラを一人残して長い旅に出ることが耐えきれず、旅程の組みやすい定期便型の行商を始めた。
競争相手の少ないこのやり方からどんどん取引は増えていき、今では多くの商店から信頼を寄せられる商人として重宝されている。
この若さで成功しているヘクターには当然のことながら嫉妬を受ける相手に事欠かない。
たった一度のミスですべてを奪われる、そんな世界で生きているのだ。
「だから今回みたいな事故で信頼を失うのはまずい。いざとなったらパーラだけでも逃がそうと思っていた所にアンディ、君が来てくれた。本当に感謝しているよ」
改めて礼を言われて何か言い返そうと思ったが、丁度タイミングを計っていたかのように料理が運ばれてきた。
メニューは具だくさんのスープに、硬いパンがバスケットいっぱいに詰められている。
始まった食事は終始和やかな雰囲気だった。
パーラは喋れないので俺とヘクターが喋っていたのだが、それを聞くパーラも頷きで相槌を返したり、笑顔も多く浮かべていた。
「盗賊の塒に人質として潜り込んで制圧したのか。痛快じゃないか、はっはっはっはっは」
王都に来る途中にあった盗賊団捕縛の話をすると2人とも大受けで、パーラも声を出せないがずっと笑っていた。
久々に囲んだ笑顔のある食卓というのはいいもんだ。
王都のホテルにいた時は豪華な食堂で厳かな食事って感じで旨い事は旨いが楽しくはなかったからな。
やっぱり小市民の俺にはこういうので十分なんですよ。
笑いの絶えない席は夜遅くまで続いた。
翌日は朝から村の広場で開かれた市を見て回っている。
昨日の馬車で運ばれた生活必需品に、村人の用意した食料や布地に民芸品じみた細工物と、非常に多岐にわたった物が並べられている。
それらを見ているだけで面白く、ずっと広場を歩き回っているが飽きることは無い。
その中で一際俺の目を引いたものがあった。
一人の老婆が広げている筵の上に野菜が並んでいるのだが、その隅におまけ程度にしかスペースを割かれていない物があった。
「お婆さん、この隅にあるのって売り物ですか?」
動揺を表に出さないように注意しながら老婆に声をかけた。
「あぁ、それかい。もちろん売り物だけどねぇ、不作でもなきゃそんなの買う人なんかいないよ。あんた、欲しいのかい?ならその袋で大銅貨1枚ってところだね」
20キロくらいは入ってるだろう袋が大銅貨1枚、日本円で1000円ほどと考えると破格も過ぎるのではないか。
感動のあまりその場にあった分を全部買い占める。
全部で5袋あったので大銅貨5枚の出費だが、それ以上の価値のあるいい買い物だったと言えるだろう。
なにせ俺は今日、ついに念願の米を手に入れたのだから。
しかしなぜここまで安いのかわからず、それについて老婆に聞いてみた。
この米だが、こっちの世界では名前の付いていない植物で、麦のような穂が成るため食用になるのではないかと思われたが、パンにするには粘性が強くて向かず、唯一お粥にすることで食べられるのだが、やはり麦のパンの方が圧倒的に支持されているため、よっぽどの凶作ではない限りあまり口にはしないそうだ。
今回持ってきたのも老婆の住んでいる集落で刈っておいた物を、麦の脱穀のついでに米も脱穀したため、ここへ来る馬車の荷台の空きもあってついでにもってきたのだそうだ。
人の口には合わないが、家畜の餌としては安さもあって売れることがあるらしく、それを当て込んで持ってきたとのこと。
この米だがどこで作られているのかというと、そもそも作ってはいないのだそうだ。
この村からなら北西の方に広がる湿地帯に自生しているのを採ってくるらしい。
と言っても毎年あるわけではなく、雨や嵐が多い年にまとまった数が見つかるとのこと。
どうやら湿地帯に洪水などでどこからか種もみが流されてきたのが自然に根付いて出来るようだ。
日本人として米の本来のおいしさが知られていないのがどうにも許せない。
なので、今から米の正しい調理法で旨さをもっと広めたい。
そう思ってとにかく急いでヘクター達の家に戻って調理を開始する。
なお、その際に買った米の入った袋を5つ、およそ100キロの荷物を強化魔術で一気に運んだため、多くの人に驚かれてしまったのはちょっと恥ずかしかった。
早速パーラに断って調理場を貸してもらう。
かまどに火をつけて鍋を使って米を炊く。
釜があるといいのだが、贅沢は言えないのでそこは妥協するしかない。
俺が何を作るのか興味があるようで、パーラが俺の隣から離れない。
米の調理だとわかるとさらに興味が沸いたらしく、心なしか目が輝いているように思える。
火の勢いが安定してきたところで、準備の間に浸水しておいた米を炊いていく。
こういうかまどで普通の鍋を使って米を炊くのは日本にいたころは何度かやったことがある。
落ち着いて火の具合を見ながら炊いていくと、3・40分ほどで炊き上がる。
蓋を開けると立ち上る懐かしい炊き立ての米の香りに、つい胸いっぱいに吸い込んで咽てしまう。
くぅーこれですよこれ。
俺の真似をして匂いを吸い込んだパーラは咽ることは無かったが、食欲を刺激されたようで、早速お玉で救って食べようとする。
「パーラ、待て!」
制止されたのが納得いかないようで、不機嫌そうな顔で振り向くパーラに説明をしていく。
俺はこれからこの米でおにぎりを握るつもりだ。
パーラにはまずそれを食べてもらいたかった。
とはいえ、味見はしておきたいので、匙を使って少量を取る。
パーラにも匙で救った分を皿にのせて渡す。
食べてみると少し芯が残っている気がするが、香り・味・粘りとどれも日本で食べていた物に近い。
パーラもその味に驚いて目を見開いているが、咀嚼の速度はそのままなのを見ると受け入れられているようだ。
早速炊き上がった米でおにぎりを握っていく。
途中から俺の隣で見ていたパーラが手伝ってくれたが、初めて握るとは思えない手際で次々と出来上がっていく。
おにぎりというのは強く握ってはいけない。
掌で包むように持ち、指先を緩やかに動かして形を整えると上手くできる。
パーラに作り方のレクチャーをすると、乾いたスポンジのようにコツを吸収していき、すぐにその手並みは達人の域に達しているのではないかと思わせるほどになっていた。
ええぃ、ヘクターの妹は天才か。
瞬く間におにぎりが出来上がり、傍にあった大きい笊に山のように積んで、パーラと一緒に村の広場へと向かう。
ちょうど昼前だったようで、広場の隅では調理中の村の奥さん方の姿があり、そこに俺達のおにぎりが殴り込む。
一応俺達が作った物を売っていいのか聞いてみたが、特に問題は無いそうだ。
「ただのよそ者ならあまりいい気はしないけどね、あんたはパーラちゃん達を助けてくれたからね。おまけにうちの子が昨日珍しい乗り物に乗ったって大喜びさ。断るなんざありえないよ」
奥さん連中のリーダー格と思われる女性にそういわれて、心置きなくおにぎりの販売ができる。
早速おにぎり一つ銅貨1枚で売りに出す。
得体のしれない食べ物というのは敬遠されがちだが、こっちの世界の住人というのは珍しいもの好きなのか、次々と捌けていく。
まあ一つ銅貨1枚という安さで、試しやすいというのもあるのだろうけど。
真っ白な丸い食い物という珍しいものを持った人間が広場に溢れるようにいると、自然と口コミ効果で売り上げも加速していくもので、売り始めから30分ほどで用意していた物が全部無くなった。
「んまいっ!なんだこれ!?」
「こらうまいっこらうまいっ!」
「パンより腹にたまるな、こりゃいい」
行商人から村人まで、広場は今米フィーバーに包まれ、老若男女、猫も杓子もおにぎりに夢中だ。
いずれ米は世界を蝕んでいくだろう。
パンがあれば必ずご飯も生まれる…、たとえおにぎりが飽きられたとしても第二第三の米料理が―」
「あんた何言ってんだい?大丈夫かねぇ、疲れが溜まってたりしないかい?」
おっとどうやら心の声が漏れていたようだ。
村の奥さん方に心配されてしまったか。
あぁ、パーラが気味悪がって俺から離れていたみたいだ。
大丈夫だよ、俺はおかしくなってないよー。
そういう意味を込めて手招きをすると、警戒している猫の様にソロリと近付き、さっきと同じ距離にまで復帰した。
なんか小動物的な反応が可愛く感じて、意味も無くパーラの頭を撫でてしまった。
無意識でやってしまってから気付き、嫌な気分にさせたかと思いパーラの顔を覗き込むと、特に嫌がっているわけではなく首を傾げているだけだった。
よかった。俺は少女の頭を無許可で撫でる不審人物として吊るし上げられることは無いようだ。
パーラまじ天使。
その手に持つおにぎりが輝いて見えますよ。
予想以上に反響が大きく、もっとないのかと詰め寄られて、さっき米を買った場所に行くと、既に老婆の姿は無く、補充が出来ないからにはこれで今日は店仕舞と行きたかったが、噂を聞き付けたまだ食べていなかった人たちまでも加わり、ちょっとした暴動騒ぎになりかけていたため、どうしようかと思ったところで閃いた。
売ってないのなら採ってくればいいじゃない。
そうと決まればその場に集まっている人達を引き連れて広場へ行き、稲の特徴を伝えて採取に向かわせた。
背負子や手牽き車などまで持ち出し、大量入手を目論んでいるのが窺える。
もう一回あれを食べれると鼻息荒くする村人と、その意気込む姿に期待を募らせた人たちが一斉に散らばっていった。
湿地帯かそれに近い場所を重点的に探させることにして、俺は村に残って炊飯施設の設営に取り掛かる。
特に変わった物を作るつもりはないが、とりあえず竈の口を6個は欲しいのでどこか都合のいい場所を見繕ってもらい、広場に常設されていた調理場に併設する形で土魔術で一気に作っていく。
俺が地面に手をついただけで次々と出来上がっていく竈に、目を輝かせているのは子供たちだけで、大人の村人はほぼ全員が呆気に取られて口を閉じることを忘れたように見ていた。
子供たちの反応が嬉しくてついつい張り切ってしまい、屋根とテーブルを追加で地面から生やしたところで放心状態から復活した大人たちに感謝されながら説教されるというなんだかよくわからない状況になってしまった。
どうもこんなに大掛かりになるとは思っていなかったららしく、広場横に憩いの場程度だと思い込んでいただけに、予想外の規模に動揺しているみたいだ。
一応村の新しい集会所兼食堂設備として使うということで納得してもらった。
次に取り掛かるのは村の女性たちへの料理指南だ。
今のところ米の調理法を一番理解しているのは俺なので、女性陣を集めて教えていくことにした。
米の現物は自分用にと分けておいた分があるので、それを使って炊き方を教え込んでいく。
未知の調理法に最初は理解するのに精一杯だったが、さすがは日々料理をしていただけあって、すぐにやり方を覚え、あとは実演だけという段階までこれた。
鍋や薪の準備に動いていき、夕方には稲を探しに行った人たちが戻ってきた。
どうやら稲の調達に成功したようで、満面の笑顔で次々と収穫物が広場に運び込んでいく。
最終的には山のように積みあがった稲だが、このまますぐに食べることは出来ない。
米というのはとにかく乾燥に時間をかけた方が旨くなるもので、現代日本では収穫したその場で脱穀したものをすぐに運び出して乾燥機に掛けるため圧倒的に早く出来るのだが、そんな便利な機械が無いこの世界では天日干しでやるしかなく、しかも天候にも気を使うため手間はずっと多いだろう。
何人か村の男に手伝ってもらい村の中でも陽が当たり風通しのいい場所に三角に組んだ木の棒を等間隔に立てていき、立った組み木の間に数本の横木を渡していくと稲木の出来上がりだ。
横木の高さは大体3メートルほどで、ここに藁で纏めた稲を逆さに跨がせていき、じっくりと乾燥を待つ。
1週間もすればいい感じになるだろうが、その間の雨が怖いため、その対策として稲木を覆うぐらいに布を繋ぎ合わせて湯煎で溶かした蝋を薄く塗った物を被せることで防ぐ。
まあこの季節、この地方で雨は滅多に振らないとのことなので、あくまでも備えとしてのものだ。
この稲はまだ食えないということを説明すると共に、俺の手持ちの米を供出することを話すと、落胆からの狂喜という一種のお祭り騒ぎに村中が沸いてしまった。
早速覚えた炊飯のやり方で女性たちが次々とコメを炊き上げ、それを受け取った別の女性たちが次々とおにぎりを握っていく。
その中にパーラが混ざっていたのだが、楽しそうだったのでそのまま好きにさせた。
今回は採ってきた人たちと手伝ってくれた人には無償で振る舞うことにしているが、そうでない人からはちゃんと銅貨1枚を頂いている。
これはあくまでも昼間にお金を払った人への不公平感を和らげるためと、広場の一角を占有してしまったことのお詫びとして村へと納められる。
出来上がっていく端から次々と消費されていくため、途中からおにぎりを握る人の数の方が多くなってしまった。
見かねて俺も握るのを手伝うが、それでもまだ待たせてしまう人の多いこと。
しかし食べる人みんなが笑顔になってるのを見ると不思議と充足感に包まれて疲れが飛んでしまう。
無心で握っているとどうやらみんな満足したようで、いつの間にかできていた広場の中央の篝火に照らされて宴会が開かれていた。
「随分と騒ぎが大きくなっているじゃないか」
横合いから突然声を掛けられて、振り向くとヘクターが立っていた。
「おや、どうかしましたか?ああ、ヘクターさんも食べに来たんですか?なら今―」
「いやいや、俺はただこっちに様子を見に来ただけだよ。それにパーラも手伝ったって聞いてね。兄としては一言褒めてやるべきだろう?」
そう言って目でパーラを探すが、今彼女は村の女性達と調理場で酒の肴を作るのを手伝っているので、ここにはいない。
「あ、そうだ。ヘクターさんは夕食はまだでしょう?米を使った面白い料理があるんですけど、どうです?」
恐らくまだ夕食をとっていないだろうヘクターには俺の言葉は甘美なものに聞こえるだろう。
なにせ今村中で騒ぎの元となっている米を使ったものだ。
興味はあるに違いない。
「へえ?アンディがそう言うってことは期待してもいいのかな?ぜひ食べてみたいね」
案の定惹かれるものがあったようで、悩むことなく食い付いて来た。
早速ヘクターを連れて調理場へと行き、竈となるべく平たい鍋を借りて、調理に取り掛かった。
俺がまた何かをやると気付いたその場にいた全員が俺の周りに輪となって集まりだした。
その中の一人だったパーラがヘクターと何か話をして頭を撫でられていたところから、兄からのお褒めの言葉をもらってうれしかったのだろう。
満面の笑みで撫でられるに任せている。
熱した鍋に少量の獣脂を入れて、馴染ませると卵を炒める。
ここからはとにかく時間との勝負だ。
卵がやや半熟加減になった所でまだ温かい米を投入する。
木製お玉でかき混ぜながら途中で野菜や肉も入れていく。
鍋を振るう調理場の中では、辺りに漂い始めた香ばしい匂いに期待が高まっているようで、見学している人達がソワソワし始めている。
調味料として塩と山椒っぽい実を砕いたものをサッと絡めるように炒めて出来上がったのはご飯ものの定番料理、炒飯だった。
用意してもらった皿に盛り付けて、木匙を添えてヘクターの前にと差し出す。
「完成です。アンディ特製、炒飯です。おあがりよ」
皿を受け取ったヘクターが立ち上る炒飯の香りを一息吸い、早速一掬い口へと運ぶ。
一瞬動きが止まり、口の中に全神経が集中したかの様に空中の一点を見つめ、すぐに炒飯をかき込み始めた。
ガツガツと一心不乱に食らいつくヘクターの動きに見ていた人達の喉が鳴る
「ぷふぅー。…んまかったー。チャーハンと言ったか…。これはすごい料理だぞ、アンディ。ほら、パーラも食べ―あぁ、全部食べてしまったんだったか」
兄に手渡されて喜んだパーラだったが、空の皿に気付き一瞬にしてガッカリした顔になってしまい、罪悪感を覚えた俺は急いで新しく作り、パーラの前に差し出す。
目の前の皿と俺の顔を交互に見て、食べていいの?と訴えかけてくる目に頷いてやると、満面の笑みで皿に飛び付くようにして食べ始めた。
なんとなくヘクターと似たような動きはやはり兄妹だからだろうか。
それを目撃していた他の人たちにも作ってやらないと不公平だと思い、次々と炒めていく。
当初は炊事場だけの秘密のお振る舞いにしたかったのだが、どこから漏れたのか酒を飲んでいた者たちも詰めかけてきて俺は竈の前に釘付けとなり延々と鍋を振るわされた。
途中から作り方を学んだ人が加わり負担は減ったが、それでも需要の方が多いため、暫くは炒飯師として作り続けざるを得なかった。
と言ってもほとんどの荷物はバイクに積んだままなので、身の回りの品だけが入ったリュックだけを持ち込んでいる。
普段から掃除がされているようで、汚れた空気を感じさせない4畳ほどの広さの部屋には寝台だけというシンプルさだ。
すぐに夕食だと言われていたので着替えだけをしてリビングへと行く。
そこにはヘクターがすでにテーブルについており、食器の準備が済んでいた。
食事を作るのはパーラのようで、何が出てくるのか少し楽しみだ。
テーブルでしばしヘクターと話をして待つ。
ヘクター達は元々この辺りの出身ではなく、行商人だった両親に連れられてペルケティアに来たのだそうだ。
ヘクター自身は両親の勧めでペルケティアの商業ギルドで傭兵登録をして働いていたのだが、ある日両親とパーラが流行り病にかかるとあっというまに両親がなくなり、助かったパーラも声を失うという悲劇に襲われた。
両親の遺志を継いで一度は行商人となったのだが、パーラを一人残して長い旅に出ることが耐えきれず、旅程の組みやすい定期便型の行商を始めた。
競争相手の少ないこのやり方からどんどん取引は増えていき、今では多くの商店から信頼を寄せられる商人として重宝されている。
この若さで成功しているヘクターには当然のことながら嫉妬を受ける相手に事欠かない。
たった一度のミスですべてを奪われる、そんな世界で生きているのだ。
「だから今回みたいな事故で信頼を失うのはまずい。いざとなったらパーラだけでも逃がそうと思っていた所にアンディ、君が来てくれた。本当に感謝しているよ」
改めて礼を言われて何か言い返そうと思ったが、丁度タイミングを計っていたかのように料理が運ばれてきた。
メニューは具だくさんのスープに、硬いパンがバスケットいっぱいに詰められている。
始まった食事は終始和やかな雰囲気だった。
パーラは喋れないので俺とヘクターが喋っていたのだが、それを聞くパーラも頷きで相槌を返したり、笑顔も多く浮かべていた。
「盗賊の塒に人質として潜り込んで制圧したのか。痛快じゃないか、はっはっはっはっは」
王都に来る途中にあった盗賊団捕縛の話をすると2人とも大受けで、パーラも声を出せないがずっと笑っていた。
久々に囲んだ笑顔のある食卓というのはいいもんだ。
王都のホテルにいた時は豪華な食堂で厳かな食事って感じで旨い事は旨いが楽しくはなかったからな。
やっぱり小市民の俺にはこういうので十分なんですよ。
笑いの絶えない席は夜遅くまで続いた。
翌日は朝から村の広場で開かれた市を見て回っている。
昨日の馬車で運ばれた生活必需品に、村人の用意した食料や布地に民芸品じみた細工物と、非常に多岐にわたった物が並べられている。
それらを見ているだけで面白く、ずっと広場を歩き回っているが飽きることは無い。
その中で一際俺の目を引いたものがあった。
一人の老婆が広げている筵の上に野菜が並んでいるのだが、その隅におまけ程度にしかスペースを割かれていない物があった。
「お婆さん、この隅にあるのって売り物ですか?」
動揺を表に出さないように注意しながら老婆に声をかけた。
「あぁ、それかい。もちろん売り物だけどねぇ、不作でもなきゃそんなの買う人なんかいないよ。あんた、欲しいのかい?ならその袋で大銅貨1枚ってところだね」
20キロくらいは入ってるだろう袋が大銅貨1枚、日本円で1000円ほどと考えると破格も過ぎるのではないか。
感動のあまりその場にあった分を全部買い占める。
全部で5袋あったので大銅貨5枚の出費だが、それ以上の価値のあるいい買い物だったと言えるだろう。
なにせ俺は今日、ついに念願の米を手に入れたのだから。
しかしなぜここまで安いのかわからず、それについて老婆に聞いてみた。
この米だが、こっちの世界では名前の付いていない植物で、麦のような穂が成るため食用になるのではないかと思われたが、パンにするには粘性が強くて向かず、唯一お粥にすることで食べられるのだが、やはり麦のパンの方が圧倒的に支持されているため、よっぽどの凶作ではない限りあまり口にはしないそうだ。
今回持ってきたのも老婆の住んでいる集落で刈っておいた物を、麦の脱穀のついでに米も脱穀したため、ここへ来る馬車の荷台の空きもあってついでにもってきたのだそうだ。
人の口には合わないが、家畜の餌としては安さもあって売れることがあるらしく、それを当て込んで持ってきたとのこと。
この米だがどこで作られているのかというと、そもそも作ってはいないのだそうだ。
この村からなら北西の方に広がる湿地帯に自生しているのを採ってくるらしい。
と言っても毎年あるわけではなく、雨や嵐が多い年にまとまった数が見つかるとのこと。
どうやら湿地帯に洪水などでどこからか種もみが流されてきたのが自然に根付いて出来るようだ。
日本人として米の本来のおいしさが知られていないのがどうにも許せない。
なので、今から米の正しい調理法で旨さをもっと広めたい。
そう思ってとにかく急いでヘクター達の家に戻って調理を開始する。
なお、その際に買った米の入った袋を5つ、およそ100キロの荷物を強化魔術で一気に運んだため、多くの人に驚かれてしまったのはちょっと恥ずかしかった。
早速パーラに断って調理場を貸してもらう。
かまどに火をつけて鍋を使って米を炊く。
釜があるといいのだが、贅沢は言えないのでそこは妥協するしかない。
俺が何を作るのか興味があるようで、パーラが俺の隣から離れない。
米の調理だとわかるとさらに興味が沸いたらしく、心なしか目が輝いているように思える。
火の勢いが安定してきたところで、準備の間に浸水しておいた米を炊いていく。
こういうかまどで普通の鍋を使って米を炊くのは日本にいたころは何度かやったことがある。
落ち着いて火の具合を見ながら炊いていくと、3・40分ほどで炊き上がる。
蓋を開けると立ち上る懐かしい炊き立ての米の香りに、つい胸いっぱいに吸い込んで咽てしまう。
くぅーこれですよこれ。
俺の真似をして匂いを吸い込んだパーラは咽ることは無かったが、食欲を刺激されたようで、早速お玉で救って食べようとする。
「パーラ、待て!」
制止されたのが納得いかないようで、不機嫌そうな顔で振り向くパーラに説明をしていく。
俺はこれからこの米でおにぎりを握るつもりだ。
パーラにはまずそれを食べてもらいたかった。
とはいえ、味見はしておきたいので、匙を使って少量を取る。
パーラにも匙で救った分を皿にのせて渡す。
食べてみると少し芯が残っている気がするが、香り・味・粘りとどれも日本で食べていた物に近い。
パーラもその味に驚いて目を見開いているが、咀嚼の速度はそのままなのを見ると受け入れられているようだ。
早速炊き上がった米でおにぎりを握っていく。
途中から俺の隣で見ていたパーラが手伝ってくれたが、初めて握るとは思えない手際で次々と出来上がっていく。
おにぎりというのは強く握ってはいけない。
掌で包むように持ち、指先を緩やかに動かして形を整えると上手くできる。
パーラに作り方のレクチャーをすると、乾いたスポンジのようにコツを吸収していき、すぐにその手並みは達人の域に達しているのではないかと思わせるほどになっていた。
ええぃ、ヘクターの妹は天才か。
瞬く間におにぎりが出来上がり、傍にあった大きい笊に山のように積んで、パーラと一緒に村の広場へと向かう。
ちょうど昼前だったようで、広場の隅では調理中の村の奥さん方の姿があり、そこに俺達のおにぎりが殴り込む。
一応俺達が作った物を売っていいのか聞いてみたが、特に問題は無いそうだ。
「ただのよそ者ならあまりいい気はしないけどね、あんたはパーラちゃん達を助けてくれたからね。おまけにうちの子が昨日珍しい乗り物に乗ったって大喜びさ。断るなんざありえないよ」
奥さん連中のリーダー格と思われる女性にそういわれて、心置きなくおにぎりの販売ができる。
早速おにぎり一つ銅貨1枚で売りに出す。
得体のしれない食べ物というのは敬遠されがちだが、こっちの世界の住人というのは珍しいもの好きなのか、次々と捌けていく。
まあ一つ銅貨1枚という安さで、試しやすいというのもあるのだろうけど。
真っ白な丸い食い物という珍しいものを持った人間が広場に溢れるようにいると、自然と口コミ効果で売り上げも加速していくもので、売り始めから30分ほどで用意していた物が全部無くなった。
「んまいっ!なんだこれ!?」
「こらうまいっこらうまいっ!」
「パンより腹にたまるな、こりゃいい」
行商人から村人まで、広場は今米フィーバーに包まれ、老若男女、猫も杓子もおにぎりに夢中だ。
いずれ米は世界を蝕んでいくだろう。
パンがあれば必ずご飯も生まれる…、たとえおにぎりが飽きられたとしても第二第三の米料理が―」
「あんた何言ってんだい?大丈夫かねぇ、疲れが溜まってたりしないかい?」
おっとどうやら心の声が漏れていたようだ。
村の奥さん方に心配されてしまったか。
あぁ、パーラが気味悪がって俺から離れていたみたいだ。
大丈夫だよ、俺はおかしくなってないよー。
そういう意味を込めて手招きをすると、警戒している猫の様にソロリと近付き、さっきと同じ距離にまで復帰した。
なんか小動物的な反応が可愛く感じて、意味も無くパーラの頭を撫でてしまった。
無意識でやってしまってから気付き、嫌な気分にさせたかと思いパーラの顔を覗き込むと、特に嫌がっているわけではなく首を傾げているだけだった。
よかった。俺は少女の頭を無許可で撫でる不審人物として吊るし上げられることは無いようだ。
パーラまじ天使。
その手に持つおにぎりが輝いて見えますよ。
予想以上に反響が大きく、もっとないのかと詰め寄られて、さっき米を買った場所に行くと、既に老婆の姿は無く、補充が出来ないからにはこれで今日は店仕舞と行きたかったが、噂を聞き付けたまだ食べていなかった人たちまでも加わり、ちょっとした暴動騒ぎになりかけていたため、どうしようかと思ったところで閃いた。
売ってないのなら採ってくればいいじゃない。
そうと決まればその場に集まっている人達を引き連れて広場へ行き、稲の特徴を伝えて採取に向かわせた。
背負子や手牽き車などまで持ち出し、大量入手を目論んでいるのが窺える。
もう一回あれを食べれると鼻息荒くする村人と、その意気込む姿に期待を募らせた人たちが一斉に散らばっていった。
湿地帯かそれに近い場所を重点的に探させることにして、俺は村に残って炊飯施設の設営に取り掛かる。
特に変わった物を作るつもりはないが、とりあえず竈の口を6個は欲しいのでどこか都合のいい場所を見繕ってもらい、広場に常設されていた調理場に併設する形で土魔術で一気に作っていく。
俺が地面に手をついただけで次々と出来上がっていく竈に、目を輝かせているのは子供たちだけで、大人の村人はほぼ全員が呆気に取られて口を閉じることを忘れたように見ていた。
子供たちの反応が嬉しくてついつい張り切ってしまい、屋根とテーブルを追加で地面から生やしたところで放心状態から復活した大人たちに感謝されながら説教されるというなんだかよくわからない状況になってしまった。
どうもこんなに大掛かりになるとは思っていなかったららしく、広場横に憩いの場程度だと思い込んでいただけに、予想外の規模に動揺しているみたいだ。
一応村の新しい集会所兼食堂設備として使うということで納得してもらった。
次に取り掛かるのは村の女性たちへの料理指南だ。
今のところ米の調理法を一番理解しているのは俺なので、女性陣を集めて教えていくことにした。
米の現物は自分用にと分けておいた分があるので、それを使って炊き方を教え込んでいく。
未知の調理法に最初は理解するのに精一杯だったが、さすがは日々料理をしていただけあって、すぐにやり方を覚え、あとは実演だけという段階までこれた。
鍋や薪の準備に動いていき、夕方には稲を探しに行った人たちが戻ってきた。
どうやら稲の調達に成功したようで、満面の笑顔で次々と収穫物が広場に運び込んでいく。
最終的には山のように積みあがった稲だが、このまますぐに食べることは出来ない。
米というのはとにかく乾燥に時間をかけた方が旨くなるもので、現代日本では収穫したその場で脱穀したものをすぐに運び出して乾燥機に掛けるため圧倒的に早く出来るのだが、そんな便利な機械が無いこの世界では天日干しでやるしかなく、しかも天候にも気を使うため手間はずっと多いだろう。
何人か村の男に手伝ってもらい村の中でも陽が当たり風通しのいい場所に三角に組んだ木の棒を等間隔に立てていき、立った組み木の間に数本の横木を渡していくと稲木の出来上がりだ。
横木の高さは大体3メートルほどで、ここに藁で纏めた稲を逆さに跨がせていき、じっくりと乾燥を待つ。
1週間もすればいい感じになるだろうが、その間の雨が怖いため、その対策として稲木を覆うぐらいに布を繋ぎ合わせて湯煎で溶かした蝋を薄く塗った物を被せることで防ぐ。
まあこの季節、この地方で雨は滅多に振らないとのことなので、あくまでも備えとしてのものだ。
この稲はまだ食えないということを説明すると共に、俺の手持ちの米を供出することを話すと、落胆からの狂喜という一種のお祭り騒ぎに村中が沸いてしまった。
早速覚えた炊飯のやり方で女性たちが次々とコメを炊き上げ、それを受け取った別の女性たちが次々とおにぎりを握っていく。
その中にパーラが混ざっていたのだが、楽しそうだったのでそのまま好きにさせた。
今回は採ってきた人たちと手伝ってくれた人には無償で振る舞うことにしているが、そうでない人からはちゃんと銅貨1枚を頂いている。
これはあくまでも昼間にお金を払った人への不公平感を和らげるためと、広場の一角を占有してしまったことのお詫びとして村へと納められる。
出来上がっていく端から次々と消費されていくため、途中からおにぎりを握る人の数の方が多くなってしまった。
見かねて俺も握るのを手伝うが、それでもまだ待たせてしまう人の多いこと。
しかし食べる人みんなが笑顔になってるのを見ると不思議と充足感に包まれて疲れが飛んでしまう。
無心で握っているとどうやらみんな満足したようで、いつの間にかできていた広場の中央の篝火に照らされて宴会が開かれていた。
「随分と騒ぎが大きくなっているじゃないか」
横合いから突然声を掛けられて、振り向くとヘクターが立っていた。
「おや、どうかしましたか?ああ、ヘクターさんも食べに来たんですか?なら今―」
「いやいや、俺はただこっちに様子を見に来ただけだよ。それにパーラも手伝ったって聞いてね。兄としては一言褒めてやるべきだろう?」
そう言って目でパーラを探すが、今彼女は村の女性達と調理場で酒の肴を作るのを手伝っているので、ここにはいない。
「あ、そうだ。ヘクターさんは夕食はまだでしょう?米を使った面白い料理があるんですけど、どうです?」
恐らくまだ夕食をとっていないだろうヘクターには俺の言葉は甘美なものに聞こえるだろう。
なにせ今村中で騒ぎの元となっている米を使ったものだ。
興味はあるに違いない。
「へえ?アンディがそう言うってことは期待してもいいのかな?ぜひ食べてみたいね」
案の定惹かれるものがあったようで、悩むことなく食い付いて来た。
早速ヘクターを連れて調理場へと行き、竈となるべく平たい鍋を借りて、調理に取り掛かった。
俺がまた何かをやると気付いたその場にいた全員が俺の周りに輪となって集まりだした。
その中の一人だったパーラがヘクターと何か話をして頭を撫でられていたところから、兄からのお褒めの言葉をもらってうれしかったのだろう。
満面の笑みで撫でられるに任せている。
熱した鍋に少量の獣脂を入れて、馴染ませると卵を炒める。
ここからはとにかく時間との勝負だ。
卵がやや半熟加減になった所でまだ温かい米を投入する。
木製お玉でかき混ぜながら途中で野菜や肉も入れていく。
鍋を振るう調理場の中では、辺りに漂い始めた香ばしい匂いに期待が高まっているようで、見学している人達がソワソワし始めている。
調味料として塩と山椒っぽい実を砕いたものをサッと絡めるように炒めて出来上がったのはご飯ものの定番料理、炒飯だった。
用意してもらった皿に盛り付けて、木匙を添えてヘクターの前にと差し出す。
「完成です。アンディ特製、炒飯です。おあがりよ」
皿を受け取ったヘクターが立ち上る炒飯の香りを一息吸い、早速一掬い口へと運ぶ。
一瞬動きが止まり、口の中に全神経が集中したかの様に空中の一点を見つめ、すぐに炒飯をかき込み始めた。
ガツガツと一心不乱に食らいつくヘクターの動きに見ていた人達の喉が鳴る
「ぷふぅー。…んまかったー。チャーハンと言ったか…。これはすごい料理だぞ、アンディ。ほら、パーラも食べ―あぁ、全部食べてしまったんだったか」
兄に手渡されて喜んだパーラだったが、空の皿に気付き一瞬にしてガッカリした顔になってしまい、罪悪感を覚えた俺は急いで新しく作り、パーラの前に差し出す。
目の前の皿と俺の顔を交互に見て、食べていいの?と訴えかけてくる目に頷いてやると、満面の笑みで皿に飛び付くようにして食べ始めた。
なんとなくヘクターと似たような動きはやはり兄妹だからだろうか。
それを目撃していた他の人たちにも作ってやらないと不公平だと思い、次々と炒めていく。
当初は炊事場だけの秘密のお振る舞いにしたかったのだが、どこから漏れたのか酒を飲んでいた者たちも詰めかけてきて俺は竈の前に釘付けとなり延々と鍋を振るわされた。
途中から作り方を学んだ人が加わり負担は減ったが、それでも需要の方が多いため、暫くは炒飯師として作り続けざるを得なかった。
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