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異世界一夜城
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墨俣一夜城というのがある。
戦国時代、織田信長の配下だった木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)が、雨と夜に紛れて加工済みの木材を上流から下流に流し、それらを回収して組み立て、中洲にたった一夜で城を築いたとされる逸話だ。
今でいう、プレハブ工法の走りのようなものを大昔に行った秀吉は、やはり天下を取るだけの何かを持っていたと言わざるを得ない。
ただし、この一夜城に関しては後の時代の創作であると言われており、実際はもっと時間がかかったと言う専門家も多い。
俺としては、一夜で建てたという説の方がロマンがあって好きだがね。
さて、何故俺がこの一夜城の話をしているかと言うと、例の遺跡迷宮のある山に一夜城の要領で拠点を作るつもりだからだ。
現在、遺跡へ向かう人間が困っているのは、大量の物資を担いでの登山だ。
冒険者達が山を登るのは、そこに山があるからではなく、遺跡を目指しているからで、山を登って頂上付近に来てようやく仕事がスタートとなるのだ。
探索に臨むための前準備がハードすぎるため、まずはそこをどうにかしようと山の中腹に物資の集積所が計画されているほど、まず中継地点の設置が望まれているそうだ。
ほとんどの人間が、遺跡へと潜っては物資が尽きると外へ出て、麓まで戻って補給をしてまた遺跡へと向かうということを繰り返しているせいで、あまり効率的な探索が出来ていない。
聞くところによると、遺跡で亡くなるよりも、こうした補給で山を下りたり上ったりする途中で亡くなったり行方不明になる人の方が多いそうで、それゆえに中腹の集積所設置が切に願われている。
人数に余裕のあるパーティなんかは、探索と登山で人数を分けて攻略に臨んでいるそうだが、それはごく少ないケースだ。
必然的に、大所帯のパーティばかりが迷宮攻略の最前線にいるわけだが、それでも色んな要因で山を下りることはあるため、やはり手近な場所に補給先が欲しいという要望は尽きない。
しかし標高の高い山にそういった場所を作るというのは大変な労力が必要で、アシャドル王国も冒険者・商人の各ギルドも、まだまだ計画として素案があるという段階で止まっている。
あまり標高の低いところに拠点を作っても意味は無いので、やはりそれなりに高い標高、できれば麓と遺跡の中間より上に作りたいとのこと。
ネックとなっているのはやはり資材を運ぶことで、人が一晩寝泊まりして、かつ物資もそれなりの量をストックできる建物となると、大量の建材が必要になるもので、それを人間が背負って運ぶのみとなれば、かかる時間と手間もまた膨大なものになるだろう。
遺跡の探索者を大勢送り込みたい国としては、どうにかして遺跡へと続くルートに、中継地となる拠点を作りたいと思っているわけだが、ここで先に述べた問題の多くを解決できる人間がいた。
何を隠そう、この俺である。
正確には、飛空艇という輸送手段を持っている俺達だ。
多くの荷物を運ぶことが出来、しかも空を飛べるとなれば、先に言った問題のほとんどが解決される。
そう遠くない内にアシャドル王国とギルドが中継拠点の建設に乗り出すのを考えると、先に山小屋を作ってしまい、そこを頼って山に入る冒険者達を相手に商売をするのはいい稼ぎになるはず。
と言っても、俺は大工ではないので、本格的な山小屋を一から作るのは流石に無理だ。
基礎作りは経験もあるが、あれは家を建てた内に入らないだろう。
それに、素人が適当に作った小屋では、天候の安定しない山においての居住性に些か不安もある。
土魔術で小屋を建てるのも考えたが、頂上付近は土よりも岩が多く、おまけに雪に覆われているため、いい場所もあまり見つかりにくいだろう。
そこで一夜城の話が効いてくるわけだ。
平地で先に木材を加工し、飛空艇で運んだ先で組み立てることであら不思議。
なんということでしょう。
ある時突然、険しい山の中に一休みするのに丁度いい隠れ家が現れるではありませんか。
更には、日当たりのいい南に面した場所には、余った木材でこしらえたウッドデッキが。
疲れた体を休めるためにという、匠の気配りが感じられます。
利用する人は喜んでくれるでしょうか。
まぁ実際は言うほど簡単ではないだろうが、そこそこでかい小屋を作るにしてはそう時間はかからないと踏んでいた。
先に基礎を作るべく、現地へ飛空艇で乗り付け、建設予定地を見繕っていると、丁度よさそう場所が見つかった。
周りがひらけていて見晴らしがいい代わりに、吹雪にでもなったらホワイトアウトで遭難者が続出しそうな風景の中に、ポツンと石舞台のように隆起している岩場があった。
風除けには使えないが、足元の岩自体は頑丈そのものなので、建物の基礎にするにはうってつけだ。
そこに飛空艇から資材を降ろし、土魔術で強引に岩を加工しながら床と壁を固定していき、凡そ十日ほどかけてそこそこでかい小屋が出来上がった。
パッと見は平屋だが、屋根裏のような形で天井の低い二階スペースもあるので、延べ床面積はかなり広くなっている。
あとは風の入ってくる隙間を塞いだら、そのまま住めそうなぐらいに出来はいい。
ちなみに、扉は上に開くシャッターのような造りを採用した。
外開きだと雪が積もると開けられないからとやったが、作ってから内開きにすれば解決する問題だと気付いたのは内緒だ。
俺が目指していたのは、吹雪や登山などの途中で立ち寄り、ちょっとした食事を提供したり天候が回復するまで休める場所なので、テーブルや椅子、照明器具などを運び込み、内装を整えたら山小屋は完成となる。
「うん、いいじゃないか。ちゃんと山小屋っぽい」
「そーだね…」
中に入って山小屋然としたその出来に、満足している俺の隣では、死んだ魚のような目をしたパーラが、生気のない声で返事をする。
遺跡のある山へ向かうまでは気力十分という様子だったが、山小屋を作りだしてからテンションはだだ下がりしていき、もう今ではアンデッドと見紛うほどに覇気がなくなっていた。
「どうした、パーラ。元気ないな。疲れたか?」
折角俺達の努力の結晶が完成したというのに、一体どうしてこんなになっているのだろうか。
まさか今更高山病でもあるまいに。
この世界にも高山病というのは存在するのだが、俺もパーラも身体強化で肺や血流などを強化し、それなりの時間をかけて高山に適応済みだ。
「疲れてはいるよ。けどさ、一つ聞いていい?」
「おう、なんだ」
「なんで山小屋なの?迷宮攻略は?夢と浪漫の一攫千金はどうしたのさ?」
そういえば、ここに来る途中にそんなことを言った記憶があるな。
パーラを煽る為の文句程度だったが、以外と響いていたようだ。
「だからさっき言ったろうが。迷宮攻略は他の連中に任せて、俺達は支援に回るんだよ。その方が安全に稼げるって」
「そりゃそうかもしれないけど…、私達の迷宮攻略が始まると思ってたんだよ?普通冒険者って迷宮に潜るじゃん!?」
何かが発火でもしたのか、急に大声になるパーラ。
どうやら迷宮に潜らないことに、よっぽど納得がいかないようだ。
「私ら冒険者だよ!?迷宮に行こうよ!他のパーティの人達はガンガン迷宮に挑んでるのに!」
「余所は余所!うちはうち!迷宮には潜らない!もう決まってました!」
「んもーっ!」
伝家の宝刀、オカンの言葉でパーラが牛のような唸り声を上げ、頬を膨らませて乱暴に椅子に座りこんだ。
これを言うともうどうやっても覆らないと分かっているがために、パーラも納得はいかないが諦めるしかないと、こういう態度をとる。
せめてもの抵抗で頬を膨らませるのもいつものことだ。
実は今回、事前に一通りの説明をパーラにはしていたのだが、どうもパーラは俺達自身が遺跡に乗り込んで攻略をしていくと思っていたらしく、山小屋を作るのもその事前準備程度に認識していたようだった。
確かに迷宮自体に興味はあるが、命の危険を冒すことなく、困っている人達のために裏方を務めることで儲けも見込めるのだ。
『命を大事に』がモットーの俺達には、こういうのがいいんだよ。
しかしパーラの気持ちもわかる。
この世界の人間にとって、迷宮というのは恐怖の対象であると同時に、一攫千金を狙える宝の山でもあるのだ。
古代文明の遺跡が元となった迷宮か、伝説に謳われる魔導士や魔物が棲み処としていた場所が迷宮化したものなど、様々な種類はあれど、どれも最初に踏破した人間には賞賛と莫大な財が約束されている。
正しく浪漫の塊と言っていいそれが目の前にあるというのに、挑まないのは冒険者としてどうかと思うだろう。
俺だってそう思う。
だがそこで安易に迷宮に挑むのはどうなのか?
冒険者は迷宮に挑むものと誰が決めたというのだ。
ここで敢えて山小屋を作って、ノコノコとやってくる冒険者相手に稼ぐというやり方を選ぶ。
俺はそういう人間だ。
勿論、善意でやるわけではないので、場所代込みの割高料金となるが、命には代えられないだろう。
パーラのいじけるような態度はその内直るとして、とにかく今は山小屋の稼働に向けて準備を進めるとしよう。
そんなわけで今日までここで過ごしてみたが、登山でも下山でも誰もやってこなかったことを考えると、ここは迷宮へ向かうルートからは外れていると見ていい。
そこで、ここに来てもらうために案内の立て札を用意した。
万年雪と言っていいこの辺では、地面に突き刺すのではなく、三脚のように組んだ長い棒から板をつるす形がいい。
それを何個か雪原に置き、小屋までの誘導を試みる。
一応、食事可の旨も書いておいたので、是非気軽に来て欲しいものだ。
「あ、おかえりアンディ。ねぇ、この鉄の箱みたいなの何?なんかの入れ物?」
立札の設置から帰ってくると、部屋の隅でパーラが何かを弄っていた。
一度胸の内を吐き出したからか、今はもうスッキリとした顔だ。
本人も我が儘を言ったと理解しているようで、こちらの機嫌を伺うような態度には可愛げを感じる。
女の我が儘はアクセサリーとはよく言ったものだ。
「それか。ストーブだよ」
「すとーぶ?」
「ちっちゃい暖炉みたいなもんだ。その中で火を焚いて室内を温める。…せっかくだし、ちょっと点けてみるか」
パーラが見ていたのは、小屋で使う予定のストーブだ。
暖炉が一般的なこの世界で、恐らくストーブを用意したのは俺が初めてなのではないだろうか。
わざわざ鍛冶屋に依頼して作ってもらったそれは、所謂薪ストーブと呼ばれるもので、煙突の設置こそ必要だが、ある程度置き場所の融通がきくため、こういう小屋に設置するには向いている。
パーラも興味を持っているようなので、早速煙突を繋げて火を点けてみる。
おがくずと油を纏めてこねた自作の着火剤を置き、そこに建築の際に出た端材を置く。
そして更にその周りに灰色の物体を置く。
「あ、それ苔炭じゃん。使っちゃうの?」
拳大のそれを見て、パーラがその正体を当てる。
「ああ。木材の余りもあるけど、ちょっと使ってみたくてな」
チャスリウスでは薪代わりに暖を取るのに使われているこの苔炭だが、これまで使う機会が無かったので、折角の高所での初ストーブなので試してみることにした。
流石にいきなり苔炭だけで使うのは怖いので木切れも併用したが、果たしてどうなるものか。
雷魔術で火花を出し、着火剤に火が付くとパチパチという音を立てて順調に火が育っていく。
「おお…なんかすごい燃えてない?」
「ああ。思ったよりも勢いがあるな。これは苔炭がすごいのか?」
「そうなんじゃない?なんか聞いたことない音してるよ」
思ったよりも火の勢いが凄く、ストーブが爆発するんじゃないかと思ってしまうほどだ。
最初こそ普通に木が燃える音だったが、途中からシューというバーナーのような音が聞こえているのは、苔炭が燃える際に出ている独特の音なのだろう。
酸素が薄い山では焚火も勢いが弱まると思っていたのだが、苔炭の効果なのか俺が勘違いしていたのか、十分な火力を見せていることから、平地と同じ感覚で火を使っても良さそうだ
ストーブに火を入れてから、すぐに室内は気温が上がり始め、まだ隙間風を完全にふさいでいない状態にもかかわらず、吐く息が白かった室内はもう普通の服でも過ごせそうなぐらいになっている。
体感としては、マイナス一桁台からプラスのギリギリ二桁台ぐらいには暖かい。
この感じだと、苔炭はストーブで使うのにも優れた燃料だと言える。
流石、高所で長年使われてきただけはある。
今手元にはそう量はないが、近い内にチャスリウスに出向いて買い込んでくるのも検討したい。
苔炭は燃えると青白い煙を出すため、直火での調理にはなんとなく使いたくはないが、ストーブなら上に鍋なんかを乗せておけるのがいい。
ストーブに空いている空気の取り入れ用の小窓から洩れる火の灯りを、パーラと揃ってしばし眺める。
なんでこう、焚火とかストーブの火って見ちゃうんだろうな。
「そう言えば料理なんかも出すって話だけど、どんなの?」
どれくらい魅入っていたかは分からないが、何気ないパーラの一言で意識は現実に戻される。
「あんまり凝ったのは無理だな。こんなとこじゃろくな食材は手に入らんし、飛空艇で輸送してくるにも限度はある。スープにパンに、なんか適当に一品点けたセット一つでいけるだろ」
基本的に、ここに来るに人間は限られており、純粋に食を楽しむために利用することはないので、食品のロスなどを考えると、料理の種類を多く用意するのは効率的ではない。
休憩所として簡単な食事と寝泊まり、携行食や武具の補修資材の販売などをメインにするつもりだ。
食材にしろ資材にしろ、俺達は飛空艇の輸送力で潤沢に用意することが出来るため、この山小屋を補給拠点として利用する人間からの儲けは十分見込める。
小屋を建てる際に集めた建材に家具、ほぼオーダーメイドのストーブと、初期投資はかなりのものになるが、それも客が来れば取り戻せるだろう。
明日までに小屋のチェックをすべて終え、早いとこ山小屋として稼働させたいところだ。
「今日も暇だねぇ。…はぁ、お茶がうまい」
そう言って、すっかり定位置となったストーブの前でホットの麦茶をすすり、パーラが昨日と全く同じことをつぶやく。
俺は店の奥に設けたカウンター席に座り、誰一人訪れることなくガラガラのテーブルを眺めては零れる溜め息を堪えられないでいる。
ここに山小屋を構えてから10日が経ったが、未だ来訪者は無し。
ずっと天候がいいのでざっと周囲を噴射装置で飛び回ってみたが、足跡などの痕跡が見当たらないことから、そもそもここ何日かは登山者自体がいないようだ。
もう少しすれば、迷宮から出た人間が下山してこの山小屋に立ち寄ることもあるかもしれないが、それがいつになるのかは分からないので、こうして暇を持て余しているわけだった。
あまりにも暇なので、昼食にはちょっと凝ったものを作ろうかと厨房に向かい、下拵えをしていると、天候が荒れ始めたことがパーラによって伝えられた。
かなり強い吹雪のようで、下手に外へ出たらホワイトアウトで遭難しかねないため、パーラには小屋にいるように厳命しておく。
暫く経つと、外からは風が唸り声をあげ始め、吹雪がより一層激しさを増したのが分かる。
こんな天気だとここまで来る人間はまずいないので、もう店じまいにしてやろうかと思っていると、扉が激しく揺れた。
それは雪が当たっているという感じではなく、間違いなく意思を持った何者かによるものだ。
「アンディ、あれお客さんだよね?」
「かもな。外は凄い吹雪なのに、よく来たもんだ」
「吹雪だからじゃない?外歩いてて急に吹雪いて逃げてきたとか」
「それもあるか。まぁなんにせよ、初めての客だ。丁重にもてなそうぜ」
「任せて。接客はそこそこ得意なんだから」
俺達には飲食店をやっていた経験があるので、接客に関しては問題はないと思うが、なにせ相当ブランクはあるし、この小屋が出来てから初めての客だ。
多少の緊張を覚えるのも仕方ない。
厨房の竈に火を点け、パンの生地をいつでも焼けるようにスタンバイしておく。
「ねぇアンディ、もしかしたら外の人、扉の開け方分からないんじゃないの?」
カウンターから顔を覗かせたパーラに言われたが、そんなはずはないだろう。
確かにシャッターのように上に開くタイプの扉は珍しいだが、ちゃんと上に開くという旨はすぐ傍の壁に書いてある。
その通りにすれば開くのだ。
開け方に迷うわけが―
―誰か!中に誰かいるんだろ!ここを開けてくれ!俺達も避難してきたんだ!
―お願い!開けて!
あれれー?おかしいぞー?
シャッタータイプのはそんなに分かり辛いのか?
取っ手もちゃんとあるし、上に持ち上げればいいだけの話だろうに。
そう思っていると、呆れた目を俺に向けながらパーラは扉の方へと向かう。
扉をシャッタータイプにした際、パーラには苦言を貰っていたが、今の目は『そら見たことか』と、俺を責めているものだ。
正直、その視線に立ち向かうことが出来ない俺は、パン生地の様子を見るためにストーブに向かうしかできなかった。
今回は変なこだわりを持ってしまった俺が悪い。
「はいはーい。ちゃんと聴こえてるよー」
応対に出たパーラが開けた扉から室内に吹き込む風に、外の吹雪の凄さを改めて思い知る。
これは暖かいスープも出したほうがいいな。
作りかけだが、まだ俺達以外が口にしたことが無い傑作を、ストーブの上に載せて温める。
標高の高い場所では沸点が下がって調理法も工夫しなくてはならないが、そこはここ何日かの試行錯誤で克服済みだ。
良くも悪くも、同じ食材でも平地とはまた違う味わいになったのはおもしろく、いい経験になった。
「アンディー、お客さんだよー」
おっと、パーラにも呼ばれたことだし、まずは客に顔を見せるとしよう。
なにせ初の客だ。
愛想よくして、この場所の口コミを期待したい。
「パンと、こちらは野菜を丸ごと使ったスープです。どうぞ、召し上がってください」
やってきた客達をテーブルに着かせ、目の前に鍋ごとのスープと籠に入れたままのパンの山を置く。
少し大雑把だが、この世界でもよくあるスタイルなので、横着にもこれがここのやり方になる。
俺がそう言い終わると、ライオ達はよっぽど空腹だったのか、目の前の料理をがっつき始める。
5人ともが腹を空かせているというのがよく分かる食いっぷりに、食料が足りなくなって下山する途中だったと推測する。
ここにやってきた6人は、やはり迷宮攻略に臨んでいたパーティだそうだ。
リーダーはライオという若い男で、オオカミ系統の獣人。
ミッチとラッチの兄弟は、熊系の獣人でかなり体格がいい。
女性は三人いて、普人種のラスとアイーダにハーフリングのムーランだ。
ラスが気の強そうな感じのお嬢様風で、アイーダは少し冷めた感じのする怖い女と言った感じだ。
ムーランは今この場にはいないが、小柄な体格でハーフリングの特徴から外れていない。
そのムーランだが、彼女は今、凍傷の治療でライオ達とは席を別にしている。
小屋に入ってきた時、すぐに俺は気付いたのだが、ムーランの手には軽い凍傷の症状が見られたため、治療が必要だと判断した。
少し見えたムーランの手は、顔と比べて明らかに白く、またハーフリングということで体格も小さいため、凍傷になる確率はライオ達と比べて高いはずだ。
あくまでも俺の見立てであって、確実にそうだと断言はできなかったが、それでも万が一を考えて少し脅しをかけ、今はストーブの前でお湯を張ったタライに手足を浸けさせている。
「いちちち…なんかチクチクする」
凍傷なりかけには低出力ビームサーベルで沸かしたお湯が効くと昔から言われているが、こんな場所ではまず手に入らないため、俺が雷魔術で沸かしたものを用意した。
どうやら手の感覚も鈍かったムーランだが、お湯に触れて感覚が戻ると途端に痛みも訴えだした。
やはり凍傷の初期症状だったようで、痛みが戻り出したのならひとまず安心だ。
このまま暫くお湯に浸からせ、皮膚がしっかり赤みを取り戻したら処置を終えるとしよう。
「我慢してください。痛みは手の感覚が生きてる証拠ですよ」
「そうだよ。下手すれば手足が腐ってたんだし、今は我慢しよ?はい、あーん」
「あー…んむ。…うんまい!」
ムーランもライオ達と同様に、激しい空腹をその腹の音で主張したため、手が使えないムーランに代わり、パーラが介助して食事をさせている。
黄級の冒険者で、年齢としてはパーラよりも年上のムーランだが、こうして見るとパーラが妹の世話をしているように見えるのは、ハーフリングの性ともいえる。
「まさかこんなところでこんな美味いのが食えるとは、思いもしなかった。あんた、いい腕してるな」
食事を終え、食後の温かい麦茶を飲んでいたライオからお褒めの言葉を貰った。
「お気に召したようで何よりです」
元々ここにある食材だと、量と出来上がる速さだけが売りの簡単な鍋物しか作れないのだが、急だったので少し煮込み時間が足りない不満足な出来でも、ライオ達にはご馳走だったようだ。
「お気に召すも何も、とんでもなく美味しい料理だったわよ。ね、アイーダ」
「ええ。ライオ達は舌がバカだから気付いてないけど、スープには何かこう、複雑で深い味わいがあったわ」
「舌のことを言うならお前は俺らとそう変わんねーだろ。しかし、アイーダの言う事も分かるぞ」
アイーダの言葉にラッチが不機嫌そうに返すが、すぐに料理の味を思い出して顔が緩んでいた。
「味の深みというのであれば、うちは料理に昆布で取った出汁を使っていますから、そのせいでしょう。アシャドルじゃまだ出回ってないものですから、変わった味わいを楽しめたと思いますよ」
この山小屋で出す料理には、昆布で取った出汁をふんだんに使っていくつもりだ。
なにせ、アイリーンのところを離れる際、貰えるだけの昆布を頂いたもんだから、アホみたいな量が貨物室にあるのだ。
雑に使っても何カ月と持ちそうなので、ドンドン使っていきたい。
「しかしこの小屋はいつからあるんだ?俺達が遺跡に行った時には見なかったんだが」
まだ料理の話をするラス達をよそに、ライオがそう尋ねてきた。
「ここに小屋を作りはじめたのは二十日ほど前ですかね。完成したのが十日前なので、営業もその時からになります」
「十日前なら、その時は俺達も迷宮の中だな。知らなくても当然か。だがそれにしたって、よくここまで建材を運んでこれたな?平地と違って、人力でしか荷物は運べなかったろうに。しかも十日で建てたってのもすごいぞ」
「そこはちょっとした裏技がありまして。細かいことは勘弁してください」
別に飛空艇のことを隠す必要はないのだが、無暗に言いふらすことも無い。
あれば人はそれを利用したくなるもので、必要のない時にまで飛空艇を当てにされたくないという思いもあっての考えだ。
なお、飛空艇は現在、小屋の裏手に停めてあるが、船体に砂利を模した柄の布を張り、今頃は雪も被って周囲と同化しているはずなので、パっと見では分からないようになっている。
主に飛空艇は在庫を置く倉庫と、俺達が寝起きする場所として使い、カモフラージュの布を取り払うのは、買い出しの時ぐらいとした。
「ふーん、まぁいいさ。あぁ、そうだ。さっき言ってたが、雑貨とかも扱ってるって?」
「ええ、普通に街で手に入るものならある程度は揃えてますよ」
「食料とか薬も?」
「携行食でよければかなりの量がありますね。新鮮な物となればかなり量は限られますから、その分高価になります。薬に関しては、量は期待しないでください。その代わり、ちゃんと薬師から買ってますから、種類はありますよ」
「…すまんが見せてもらっていいか?」
「ええ、勿論。パーラ、ライオさんを案内してさし上げろ」
今いる場所は料理を楽しむ場所だが、こことは別に、雑貨や食料なんかを売っているちょっとした売店のようなスペースがある。
所謂PXのようなものだ。
「はーい。じゃあこちらへどうぞ」
急に真剣な顔をしだしたライオの案内をパーラに任せ、俺はテーブルの上を片付けていく。
麦茶以外はもう誰も手を付けていないようだし、いつまでも置いておくのはまずいだろう。
「ねぇお兄さん、このパンだけど、普通のじゃないわよね?どう作ってるの?」
パンの入った籠を持ち上げると、そのタイミングを待っていたようにラスが声を掛けてきた。
どうやら自分がこれまで普通に食べてきたパンとの違いが気になったようだ。
「これはナンと言いまして、二種類の異なる小麦粉に、バター…こっちだと乳脂ですかね。それと塩を混ぜてこねて焼いた物です」
小麦粉をこねて焼くパンとしては、チャパティやトルティーヤにナン位しか俺は作れないので、竈でも楽に作れるものとして今回はナンをチョイスした。
寝かせた時間を長くとったのがよかったのか、思ったよりモッチリとしたいい出来となったのには満足している。
意外とナンはカレー以外の料理にも合うので、スープのお供としても優秀だと俺は思っているし、ライオ達の反応を見ると、それはこっちの世界の人間の舌でも間違いではないと確信した。
今後、ナンを提供するか、それともトルティーヤにするかは未定だが、材料の消費具合によって変わることになるだろう。
「へぇ、バターなんて貴重な物、よく持ってきたわね」
「そっちに関してはちょっと伝手がありまして。こっちだと山羊の乳から作ったりするみたいですが、うちのはチャスリウスから買い付けた上物ですよ」
「え!うそっ、わざわざチャスリウスから取り寄せたの!?…ちょっと、ここもしかしたら当たりなんじゃない?」
「そうね。けど、こんな山の上にある時点で、当たりって言っていいのかしら…」
驚きに声を上げたアイーダが、ラスとヒソヒソ話し始める。
何やら誉めているのか貶しているのか分からないが、アホの子を見る目が俺に向けられているのは分かる。
大方、いい店を見つけたもののアクセスがエグいと憂いているのだろう。
まぁこればかりは金儲けよりも、趣味としての料理を売りにしているようなものなので、受け入れて欲しい。
しばらくすると、悩ましい顔をしてライオが戻ってきた。
「店主、すまないが先に食事の勘定を頼めるか?」
「わかりました。煮込みが小鍋で一つ、ナンは…17枚ですから、しめて銀貨5枚と銅貨9枚ですね」
ナンが意外と食われているが、これは彼らが空腹だった分を差し引いても多い。
よっぽど気に入ってくれたのかもしれない。
「銀貨5枚!?おいおい、いくらなんでもその金額は…」
「ああ…」
提示額に最初に食いついてきたのはミッチで、その顔は驚愕に染まっている。
ミッチに同意するようにしてラッチも険しい顔で頷いている。
なるほど、提示額は彼らにとって予想外な物ではあるようだ。
確かに普通ならかなりの高額だが、こればかりは譲れない。
俺達に優れた輸送手段があるとはいえ、場所が場所なので割高に設定するのは商売の基本だし、何より意外と食材もいいのを使っているのだ。
正直、原価としては大銅貨数枚なのだが、俺としてはこの場所で安心して温かい料理を食べるということの価値は、銀貨に匹敵すると思っている。
ふっかけて悪いが、これも仕事なんでな。
貰えるものは貰う。
そう思ったのだが…―
『安すぎる(わ)』
「え」
ライオ達が口を揃えて言うのは、値段が高いことに対しての文句ではなく、安いことに対する驚きだった。
…もしかして俺、またやっちゃいましたかね?
戦国時代、織田信長の配下だった木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)が、雨と夜に紛れて加工済みの木材を上流から下流に流し、それらを回収して組み立て、中洲にたった一夜で城を築いたとされる逸話だ。
今でいう、プレハブ工法の走りのようなものを大昔に行った秀吉は、やはり天下を取るだけの何かを持っていたと言わざるを得ない。
ただし、この一夜城に関しては後の時代の創作であると言われており、実際はもっと時間がかかったと言う専門家も多い。
俺としては、一夜で建てたという説の方がロマンがあって好きだがね。
さて、何故俺がこの一夜城の話をしているかと言うと、例の遺跡迷宮のある山に一夜城の要領で拠点を作るつもりだからだ。
現在、遺跡へ向かう人間が困っているのは、大量の物資を担いでの登山だ。
冒険者達が山を登るのは、そこに山があるからではなく、遺跡を目指しているからで、山を登って頂上付近に来てようやく仕事がスタートとなるのだ。
探索に臨むための前準備がハードすぎるため、まずはそこをどうにかしようと山の中腹に物資の集積所が計画されているほど、まず中継地点の設置が望まれているそうだ。
ほとんどの人間が、遺跡へと潜っては物資が尽きると外へ出て、麓まで戻って補給をしてまた遺跡へと向かうということを繰り返しているせいで、あまり効率的な探索が出来ていない。
聞くところによると、遺跡で亡くなるよりも、こうした補給で山を下りたり上ったりする途中で亡くなったり行方不明になる人の方が多いそうで、それゆえに中腹の集積所設置が切に願われている。
人数に余裕のあるパーティなんかは、探索と登山で人数を分けて攻略に臨んでいるそうだが、それはごく少ないケースだ。
必然的に、大所帯のパーティばかりが迷宮攻略の最前線にいるわけだが、それでも色んな要因で山を下りることはあるため、やはり手近な場所に補給先が欲しいという要望は尽きない。
しかし標高の高い山にそういった場所を作るというのは大変な労力が必要で、アシャドル王国も冒険者・商人の各ギルドも、まだまだ計画として素案があるという段階で止まっている。
あまり標高の低いところに拠点を作っても意味は無いので、やはりそれなりに高い標高、できれば麓と遺跡の中間より上に作りたいとのこと。
ネックとなっているのはやはり資材を運ぶことで、人が一晩寝泊まりして、かつ物資もそれなりの量をストックできる建物となると、大量の建材が必要になるもので、それを人間が背負って運ぶのみとなれば、かかる時間と手間もまた膨大なものになるだろう。
遺跡の探索者を大勢送り込みたい国としては、どうにかして遺跡へと続くルートに、中継地となる拠点を作りたいと思っているわけだが、ここで先に述べた問題の多くを解決できる人間がいた。
何を隠そう、この俺である。
正確には、飛空艇という輸送手段を持っている俺達だ。
多くの荷物を運ぶことが出来、しかも空を飛べるとなれば、先に言った問題のほとんどが解決される。
そう遠くない内にアシャドル王国とギルドが中継拠点の建設に乗り出すのを考えると、先に山小屋を作ってしまい、そこを頼って山に入る冒険者達を相手に商売をするのはいい稼ぎになるはず。
と言っても、俺は大工ではないので、本格的な山小屋を一から作るのは流石に無理だ。
基礎作りは経験もあるが、あれは家を建てた内に入らないだろう。
それに、素人が適当に作った小屋では、天候の安定しない山においての居住性に些か不安もある。
土魔術で小屋を建てるのも考えたが、頂上付近は土よりも岩が多く、おまけに雪に覆われているため、いい場所もあまり見つかりにくいだろう。
そこで一夜城の話が効いてくるわけだ。
平地で先に木材を加工し、飛空艇で運んだ先で組み立てることであら不思議。
なんということでしょう。
ある時突然、険しい山の中に一休みするのに丁度いい隠れ家が現れるではありませんか。
更には、日当たりのいい南に面した場所には、余った木材でこしらえたウッドデッキが。
疲れた体を休めるためにという、匠の気配りが感じられます。
利用する人は喜んでくれるでしょうか。
まぁ実際は言うほど簡単ではないだろうが、そこそこでかい小屋を作るにしてはそう時間はかからないと踏んでいた。
先に基礎を作るべく、現地へ飛空艇で乗り付け、建設予定地を見繕っていると、丁度よさそう場所が見つかった。
周りがひらけていて見晴らしがいい代わりに、吹雪にでもなったらホワイトアウトで遭難者が続出しそうな風景の中に、ポツンと石舞台のように隆起している岩場があった。
風除けには使えないが、足元の岩自体は頑丈そのものなので、建物の基礎にするにはうってつけだ。
そこに飛空艇から資材を降ろし、土魔術で強引に岩を加工しながら床と壁を固定していき、凡そ十日ほどかけてそこそこでかい小屋が出来上がった。
パッと見は平屋だが、屋根裏のような形で天井の低い二階スペースもあるので、延べ床面積はかなり広くなっている。
あとは風の入ってくる隙間を塞いだら、そのまま住めそうなぐらいに出来はいい。
ちなみに、扉は上に開くシャッターのような造りを採用した。
外開きだと雪が積もると開けられないからとやったが、作ってから内開きにすれば解決する問題だと気付いたのは内緒だ。
俺が目指していたのは、吹雪や登山などの途中で立ち寄り、ちょっとした食事を提供したり天候が回復するまで休める場所なので、テーブルや椅子、照明器具などを運び込み、内装を整えたら山小屋は完成となる。
「うん、いいじゃないか。ちゃんと山小屋っぽい」
「そーだね…」
中に入って山小屋然としたその出来に、満足している俺の隣では、死んだ魚のような目をしたパーラが、生気のない声で返事をする。
遺跡のある山へ向かうまでは気力十分という様子だったが、山小屋を作りだしてからテンションはだだ下がりしていき、もう今ではアンデッドと見紛うほどに覇気がなくなっていた。
「どうした、パーラ。元気ないな。疲れたか?」
折角俺達の努力の結晶が完成したというのに、一体どうしてこんなになっているのだろうか。
まさか今更高山病でもあるまいに。
この世界にも高山病というのは存在するのだが、俺もパーラも身体強化で肺や血流などを強化し、それなりの時間をかけて高山に適応済みだ。
「疲れてはいるよ。けどさ、一つ聞いていい?」
「おう、なんだ」
「なんで山小屋なの?迷宮攻略は?夢と浪漫の一攫千金はどうしたのさ?」
そういえば、ここに来る途中にそんなことを言った記憶があるな。
パーラを煽る為の文句程度だったが、以外と響いていたようだ。
「だからさっき言ったろうが。迷宮攻略は他の連中に任せて、俺達は支援に回るんだよ。その方が安全に稼げるって」
「そりゃそうかもしれないけど…、私達の迷宮攻略が始まると思ってたんだよ?普通冒険者って迷宮に潜るじゃん!?」
何かが発火でもしたのか、急に大声になるパーラ。
どうやら迷宮に潜らないことに、よっぽど納得がいかないようだ。
「私ら冒険者だよ!?迷宮に行こうよ!他のパーティの人達はガンガン迷宮に挑んでるのに!」
「余所は余所!うちはうち!迷宮には潜らない!もう決まってました!」
「んもーっ!」
伝家の宝刀、オカンの言葉でパーラが牛のような唸り声を上げ、頬を膨らませて乱暴に椅子に座りこんだ。
これを言うともうどうやっても覆らないと分かっているがために、パーラも納得はいかないが諦めるしかないと、こういう態度をとる。
せめてもの抵抗で頬を膨らませるのもいつものことだ。
実は今回、事前に一通りの説明をパーラにはしていたのだが、どうもパーラは俺達自身が遺跡に乗り込んで攻略をしていくと思っていたらしく、山小屋を作るのもその事前準備程度に認識していたようだった。
確かに迷宮自体に興味はあるが、命の危険を冒すことなく、困っている人達のために裏方を務めることで儲けも見込めるのだ。
『命を大事に』がモットーの俺達には、こういうのがいいんだよ。
しかしパーラの気持ちもわかる。
この世界の人間にとって、迷宮というのは恐怖の対象であると同時に、一攫千金を狙える宝の山でもあるのだ。
古代文明の遺跡が元となった迷宮か、伝説に謳われる魔導士や魔物が棲み処としていた場所が迷宮化したものなど、様々な種類はあれど、どれも最初に踏破した人間には賞賛と莫大な財が約束されている。
正しく浪漫の塊と言っていいそれが目の前にあるというのに、挑まないのは冒険者としてどうかと思うだろう。
俺だってそう思う。
だがそこで安易に迷宮に挑むのはどうなのか?
冒険者は迷宮に挑むものと誰が決めたというのだ。
ここで敢えて山小屋を作って、ノコノコとやってくる冒険者相手に稼ぐというやり方を選ぶ。
俺はそういう人間だ。
勿論、善意でやるわけではないので、場所代込みの割高料金となるが、命には代えられないだろう。
パーラのいじけるような態度はその内直るとして、とにかく今は山小屋の稼働に向けて準備を進めるとしよう。
そんなわけで今日までここで過ごしてみたが、登山でも下山でも誰もやってこなかったことを考えると、ここは迷宮へ向かうルートからは外れていると見ていい。
そこで、ここに来てもらうために案内の立て札を用意した。
万年雪と言っていいこの辺では、地面に突き刺すのではなく、三脚のように組んだ長い棒から板をつるす形がいい。
それを何個か雪原に置き、小屋までの誘導を試みる。
一応、食事可の旨も書いておいたので、是非気軽に来て欲しいものだ。
「あ、おかえりアンディ。ねぇ、この鉄の箱みたいなの何?なんかの入れ物?」
立札の設置から帰ってくると、部屋の隅でパーラが何かを弄っていた。
一度胸の内を吐き出したからか、今はもうスッキリとした顔だ。
本人も我が儘を言ったと理解しているようで、こちらの機嫌を伺うような態度には可愛げを感じる。
女の我が儘はアクセサリーとはよく言ったものだ。
「それか。ストーブだよ」
「すとーぶ?」
「ちっちゃい暖炉みたいなもんだ。その中で火を焚いて室内を温める。…せっかくだし、ちょっと点けてみるか」
パーラが見ていたのは、小屋で使う予定のストーブだ。
暖炉が一般的なこの世界で、恐らくストーブを用意したのは俺が初めてなのではないだろうか。
わざわざ鍛冶屋に依頼して作ってもらったそれは、所謂薪ストーブと呼ばれるもので、煙突の設置こそ必要だが、ある程度置き場所の融通がきくため、こういう小屋に設置するには向いている。
パーラも興味を持っているようなので、早速煙突を繋げて火を点けてみる。
おがくずと油を纏めてこねた自作の着火剤を置き、そこに建築の際に出た端材を置く。
そして更にその周りに灰色の物体を置く。
「あ、それ苔炭じゃん。使っちゃうの?」
拳大のそれを見て、パーラがその正体を当てる。
「ああ。木材の余りもあるけど、ちょっと使ってみたくてな」
チャスリウスでは薪代わりに暖を取るのに使われているこの苔炭だが、これまで使う機会が無かったので、折角の高所での初ストーブなので試してみることにした。
流石にいきなり苔炭だけで使うのは怖いので木切れも併用したが、果たしてどうなるものか。
雷魔術で火花を出し、着火剤に火が付くとパチパチという音を立てて順調に火が育っていく。
「おお…なんかすごい燃えてない?」
「ああ。思ったよりも勢いがあるな。これは苔炭がすごいのか?」
「そうなんじゃない?なんか聞いたことない音してるよ」
思ったよりも火の勢いが凄く、ストーブが爆発するんじゃないかと思ってしまうほどだ。
最初こそ普通に木が燃える音だったが、途中からシューというバーナーのような音が聞こえているのは、苔炭が燃える際に出ている独特の音なのだろう。
酸素が薄い山では焚火も勢いが弱まると思っていたのだが、苔炭の効果なのか俺が勘違いしていたのか、十分な火力を見せていることから、平地と同じ感覚で火を使っても良さそうだ
ストーブに火を入れてから、すぐに室内は気温が上がり始め、まだ隙間風を完全にふさいでいない状態にもかかわらず、吐く息が白かった室内はもう普通の服でも過ごせそうなぐらいになっている。
体感としては、マイナス一桁台からプラスのギリギリ二桁台ぐらいには暖かい。
この感じだと、苔炭はストーブで使うのにも優れた燃料だと言える。
流石、高所で長年使われてきただけはある。
今手元にはそう量はないが、近い内にチャスリウスに出向いて買い込んでくるのも検討したい。
苔炭は燃えると青白い煙を出すため、直火での調理にはなんとなく使いたくはないが、ストーブなら上に鍋なんかを乗せておけるのがいい。
ストーブに空いている空気の取り入れ用の小窓から洩れる火の灯りを、パーラと揃ってしばし眺める。
なんでこう、焚火とかストーブの火って見ちゃうんだろうな。
「そう言えば料理なんかも出すって話だけど、どんなの?」
どれくらい魅入っていたかは分からないが、何気ないパーラの一言で意識は現実に戻される。
「あんまり凝ったのは無理だな。こんなとこじゃろくな食材は手に入らんし、飛空艇で輸送してくるにも限度はある。スープにパンに、なんか適当に一品点けたセット一つでいけるだろ」
基本的に、ここに来るに人間は限られており、純粋に食を楽しむために利用することはないので、食品のロスなどを考えると、料理の種類を多く用意するのは効率的ではない。
休憩所として簡単な食事と寝泊まり、携行食や武具の補修資材の販売などをメインにするつもりだ。
食材にしろ資材にしろ、俺達は飛空艇の輸送力で潤沢に用意することが出来るため、この山小屋を補給拠点として利用する人間からの儲けは十分見込める。
小屋を建てる際に集めた建材に家具、ほぼオーダーメイドのストーブと、初期投資はかなりのものになるが、それも客が来れば取り戻せるだろう。
明日までに小屋のチェックをすべて終え、早いとこ山小屋として稼働させたいところだ。
「今日も暇だねぇ。…はぁ、お茶がうまい」
そう言って、すっかり定位置となったストーブの前でホットの麦茶をすすり、パーラが昨日と全く同じことをつぶやく。
俺は店の奥に設けたカウンター席に座り、誰一人訪れることなくガラガラのテーブルを眺めては零れる溜め息を堪えられないでいる。
ここに山小屋を構えてから10日が経ったが、未だ来訪者は無し。
ずっと天候がいいのでざっと周囲を噴射装置で飛び回ってみたが、足跡などの痕跡が見当たらないことから、そもそもここ何日かは登山者自体がいないようだ。
もう少しすれば、迷宮から出た人間が下山してこの山小屋に立ち寄ることもあるかもしれないが、それがいつになるのかは分からないので、こうして暇を持て余しているわけだった。
あまりにも暇なので、昼食にはちょっと凝ったものを作ろうかと厨房に向かい、下拵えをしていると、天候が荒れ始めたことがパーラによって伝えられた。
かなり強い吹雪のようで、下手に外へ出たらホワイトアウトで遭難しかねないため、パーラには小屋にいるように厳命しておく。
暫く経つと、外からは風が唸り声をあげ始め、吹雪がより一層激しさを増したのが分かる。
こんな天気だとここまで来る人間はまずいないので、もう店じまいにしてやろうかと思っていると、扉が激しく揺れた。
それは雪が当たっているという感じではなく、間違いなく意思を持った何者かによるものだ。
「アンディ、あれお客さんだよね?」
「かもな。外は凄い吹雪なのに、よく来たもんだ」
「吹雪だからじゃない?外歩いてて急に吹雪いて逃げてきたとか」
「それもあるか。まぁなんにせよ、初めての客だ。丁重にもてなそうぜ」
「任せて。接客はそこそこ得意なんだから」
俺達には飲食店をやっていた経験があるので、接客に関しては問題はないと思うが、なにせ相当ブランクはあるし、この小屋が出来てから初めての客だ。
多少の緊張を覚えるのも仕方ない。
厨房の竈に火を点け、パンの生地をいつでも焼けるようにスタンバイしておく。
「ねぇアンディ、もしかしたら外の人、扉の開け方分からないんじゃないの?」
カウンターから顔を覗かせたパーラに言われたが、そんなはずはないだろう。
確かにシャッターのように上に開くタイプの扉は珍しいだが、ちゃんと上に開くという旨はすぐ傍の壁に書いてある。
その通りにすれば開くのだ。
開け方に迷うわけが―
―誰か!中に誰かいるんだろ!ここを開けてくれ!俺達も避難してきたんだ!
―お願い!開けて!
あれれー?おかしいぞー?
シャッタータイプのはそんなに分かり辛いのか?
取っ手もちゃんとあるし、上に持ち上げればいいだけの話だろうに。
そう思っていると、呆れた目を俺に向けながらパーラは扉の方へと向かう。
扉をシャッタータイプにした際、パーラには苦言を貰っていたが、今の目は『そら見たことか』と、俺を責めているものだ。
正直、その視線に立ち向かうことが出来ない俺は、パン生地の様子を見るためにストーブに向かうしかできなかった。
今回は変なこだわりを持ってしまった俺が悪い。
「はいはーい。ちゃんと聴こえてるよー」
応対に出たパーラが開けた扉から室内に吹き込む風に、外の吹雪の凄さを改めて思い知る。
これは暖かいスープも出したほうがいいな。
作りかけだが、まだ俺達以外が口にしたことが無い傑作を、ストーブの上に載せて温める。
標高の高い場所では沸点が下がって調理法も工夫しなくてはならないが、そこはここ何日かの試行錯誤で克服済みだ。
良くも悪くも、同じ食材でも平地とはまた違う味わいになったのはおもしろく、いい経験になった。
「アンディー、お客さんだよー」
おっと、パーラにも呼ばれたことだし、まずは客に顔を見せるとしよう。
なにせ初の客だ。
愛想よくして、この場所の口コミを期待したい。
「パンと、こちらは野菜を丸ごと使ったスープです。どうぞ、召し上がってください」
やってきた客達をテーブルに着かせ、目の前に鍋ごとのスープと籠に入れたままのパンの山を置く。
少し大雑把だが、この世界でもよくあるスタイルなので、横着にもこれがここのやり方になる。
俺がそう言い終わると、ライオ達はよっぽど空腹だったのか、目の前の料理をがっつき始める。
5人ともが腹を空かせているというのがよく分かる食いっぷりに、食料が足りなくなって下山する途中だったと推測する。
ここにやってきた6人は、やはり迷宮攻略に臨んでいたパーティだそうだ。
リーダーはライオという若い男で、オオカミ系統の獣人。
ミッチとラッチの兄弟は、熊系の獣人でかなり体格がいい。
女性は三人いて、普人種のラスとアイーダにハーフリングのムーランだ。
ラスが気の強そうな感じのお嬢様風で、アイーダは少し冷めた感じのする怖い女と言った感じだ。
ムーランは今この場にはいないが、小柄な体格でハーフリングの特徴から外れていない。
そのムーランだが、彼女は今、凍傷の治療でライオ達とは席を別にしている。
小屋に入ってきた時、すぐに俺は気付いたのだが、ムーランの手には軽い凍傷の症状が見られたため、治療が必要だと判断した。
少し見えたムーランの手は、顔と比べて明らかに白く、またハーフリングということで体格も小さいため、凍傷になる確率はライオ達と比べて高いはずだ。
あくまでも俺の見立てであって、確実にそうだと断言はできなかったが、それでも万が一を考えて少し脅しをかけ、今はストーブの前でお湯を張ったタライに手足を浸けさせている。
「いちちち…なんかチクチクする」
凍傷なりかけには低出力ビームサーベルで沸かしたお湯が効くと昔から言われているが、こんな場所ではまず手に入らないため、俺が雷魔術で沸かしたものを用意した。
どうやら手の感覚も鈍かったムーランだが、お湯に触れて感覚が戻ると途端に痛みも訴えだした。
やはり凍傷の初期症状だったようで、痛みが戻り出したのならひとまず安心だ。
このまま暫くお湯に浸からせ、皮膚がしっかり赤みを取り戻したら処置を終えるとしよう。
「我慢してください。痛みは手の感覚が生きてる証拠ですよ」
「そうだよ。下手すれば手足が腐ってたんだし、今は我慢しよ?はい、あーん」
「あー…んむ。…うんまい!」
ムーランもライオ達と同様に、激しい空腹をその腹の音で主張したため、手が使えないムーランに代わり、パーラが介助して食事をさせている。
黄級の冒険者で、年齢としてはパーラよりも年上のムーランだが、こうして見るとパーラが妹の世話をしているように見えるのは、ハーフリングの性ともいえる。
「まさかこんなところでこんな美味いのが食えるとは、思いもしなかった。あんた、いい腕してるな」
食事を終え、食後の温かい麦茶を飲んでいたライオからお褒めの言葉を貰った。
「お気に召したようで何よりです」
元々ここにある食材だと、量と出来上がる速さだけが売りの簡単な鍋物しか作れないのだが、急だったので少し煮込み時間が足りない不満足な出来でも、ライオ達にはご馳走だったようだ。
「お気に召すも何も、とんでもなく美味しい料理だったわよ。ね、アイーダ」
「ええ。ライオ達は舌がバカだから気付いてないけど、スープには何かこう、複雑で深い味わいがあったわ」
「舌のことを言うならお前は俺らとそう変わんねーだろ。しかし、アイーダの言う事も分かるぞ」
アイーダの言葉にラッチが不機嫌そうに返すが、すぐに料理の味を思い出して顔が緩んでいた。
「味の深みというのであれば、うちは料理に昆布で取った出汁を使っていますから、そのせいでしょう。アシャドルじゃまだ出回ってないものですから、変わった味わいを楽しめたと思いますよ」
この山小屋で出す料理には、昆布で取った出汁をふんだんに使っていくつもりだ。
なにせ、アイリーンのところを離れる際、貰えるだけの昆布を頂いたもんだから、アホみたいな量が貨物室にあるのだ。
雑に使っても何カ月と持ちそうなので、ドンドン使っていきたい。
「しかしこの小屋はいつからあるんだ?俺達が遺跡に行った時には見なかったんだが」
まだ料理の話をするラス達をよそに、ライオがそう尋ねてきた。
「ここに小屋を作りはじめたのは二十日ほど前ですかね。完成したのが十日前なので、営業もその時からになります」
「十日前なら、その時は俺達も迷宮の中だな。知らなくても当然か。だがそれにしたって、よくここまで建材を運んでこれたな?平地と違って、人力でしか荷物は運べなかったろうに。しかも十日で建てたってのもすごいぞ」
「そこはちょっとした裏技がありまして。細かいことは勘弁してください」
別に飛空艇のことを隠す必要はないのだが、無暗に言いふらすことも無い。
あれば人はそれを利用したくなるもので、必要のない時にまで飛空艇を当てにされたくないという思いもあっての考えだ。
なお、飛空艇は現在、小屋の裏手に停めてあるが、船体に砂利を模した柄の布を張り、今頃は雪も被って周囲と同化しているはずなので、パっと見では分からないようになっている。
主に飛空艇は在庫を置く倉庫と、俺達が寝起きする場所として使い、カモフラージュの布を取り払うのは、買い出しの時ぐらいとした。
「ふーん、まぁいいさ。あぁ、そうだ。さっき言ってたが、雑貨とかも扱ってるって?」
「ええ、普通に街で手に入るものならある程度は揃えてますよ」
「食料とか薬も?」
「携行食でよければかなりの量がありますね。新鮮な物となればかなり量は限られますから、その分高価になります。薬に関しては、量は期待しないでください。その代わり、ちゃんと薬師から買ってますから、種類はありますよ」
「…すまんが見せてもらっていいか?」
「ええ、勿論。パーラ、ライオさんを案内してさし上げろ」
今いる場所は料理を楽しむ場所だが、こことは別に、雑貨や食料なんかを売っているちょっとした売店のようなスペースがある。
所謂PXのようなものだ。
「はーい。じゃあこちらへどうぞ」
急に真剣な顔をしだしたライオの案内をパーラに任せ、俺はテーブルの上を片付けていく。
麦茶以外はもう誰も手を付けていないようだし、いつまでも置いておくのはまずいだろう。
「ねぇお兄さん、このパンだけど、普通のじゃないわよね?どう作ってるの?」
パンの入った籠を持ち上げると、そのタイミングを待っていたようにラスが声を掛けてきた。
どうやら自分がこれまで普通に食べてきたパンとの違いが気になったようだ。
「これはナンと言いまして、二種類の異なる小麦粉に、バター…こっちだと乳脂ですかね。それと塩を混ぜてこねて焼いた物です」
小麦粉をこねて焼くパンとしては、チャパティやトルティーヤにナン位しか俺は作れないので、竈でも楽に作れるものとして今回はナンをチョイスした。
寝かせた時間を長くとったのがよかったのか、思ったよりモッチリとしたいい出来となったのには満足している。
意外とナンはカレー以外の料理にも合うので、スープのお供としても優秀だと俺は思っているし、ライオ達の反応を見ると、それはこっちの世界の人間の舌でも間違いではないと確信した。
今後、ナンを提供するか、それともトルティーヤにするかは未定だが、材料の消費具合によって変わることになるだろう。
「へぇ、バターなんて貴重な物、よく持ってきたわね」
「そっちに関してはちょっと伝手がありまして。こっちだと山羊の乳から作ったりするみたいですが、うちのはチャスリウスから買い付けた上物ですよ」
「え!うそっ、わざわざチャスリウスから取り寄せたの!?…ちょっと、ここもしかしたら当たりなんじゃない?」
「そうね。けど、こんな山の上にある時点で、当たりって言っていいのかしら…」
驚きに声を上げたアイーダが、ラスとヒソヒソ話し始める。
何やら誉めているのか貶しているのか分からないが、アホの子を見る目が俺に向けられているのは分かる。
大方、いい店を見つけたもののアクセスがエグいと憂いているのだろう。
まぁこればかりは金儲けよりも、趣味としての料理を売りにしているようなものなので、受け入れて欲しい。
しばらくすると、悩ましい顔をしてライオが戻ってきた。
「店主、すまないが先に食事の勘定を頼めるか?」
「わかりました。煮込みが小鍋で一つ、ナンは…17枚ですから、しめて銀貨5枚と銅貨9枚ですね」
ナンが意外と食われているが、これは彼らが空腹だった分を差し引いても多い。
よっぽど気に入ってくれたのかもしれない。
「銀貨5枚!?おいおい、いくらなんでもその金額は…」
「ああ…」
提示額に最初に食いついてきたのはミッチで、その顔は驚愕に染まっている。
ミッチに同意するようにしてラッチも険しい顔で頷いている。
なるほど、提示額は彼らにとって予想外な物ではあるようだ。
確かに普通ならかなりの高額だが、こればかりは譲れない。
俺達に優れた輸送手段があるとはいえ、場所が場所なので割高に設定するのは商売の基本だし、何より意外と食材もいいのを使っているのだ。
正直、原価としては大銅貨数枚なのだが、俺としてはこの場所で安心して温かい料理を食べるということの価値は、銀貨に匹敵すると思っている。
ふっかけて悪いが、これも仕事なんでな。
貰えるものは貰う。
そう思ったのだが…―
『安すぎる(わ)』
「え」
ライオ達が口を揃えて言うのは、値段が高いことに対しての文句ではなく、安いことに対する驚きだった。
…もしかして俺、またやっちゃいましたかね?
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