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花、見ずにはいられない
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花見をしに行こう。
パーラにそう告げた四日後、俺達は飛空艇で空の人となっていた。
今回花見に参加したのは俺とパーラ、ローキスとミルタとマースの五人だ。
完全に予想通りの人員ではあるが、何も三人だけを誘ったというわけではない。
ルドラマ達伯爵家一行も誘ってみたが、ルドラマは領主なのでホイホイと領地を離れるわけにはいかず、マクシムは今現在、伯爵の名代として領内を飛び回っていてヘスニルにはいなかったし、セレンは伯爵夫人としての仕事があるため、一家そろって不参加となる。
考えてみれば、冬の間に十分休んだのだから春になったら仕事に精を出すというのは当然の話で、いきなり春先に旅行に行くなど、この世界ではまずないことなのだ。
他にも声をかけてみたが大体答えは同じようなもので、仕事の予定があったり既にヘスニルを旅立ったという人もいた。
そんなわけで、結局いつもの変わり映えしない面子が参加者として集まる結果となった。
マースもこの時期は実家が忙しくなるのだが、今は人も雇っているので二・三日抜けても十分に宿は回るため、今回の誘いにホイホイと乗っかってきたというわけだ。
ローキス達も店の営業はあるが、数日休んでも問題ない程度には稼いでいるので、マースと共に二人も参加した。
俺達は飛空艇に乗って空からマクイルーパへと密入国を果たし、現在は桜の咲く丘を目指して移動中だ。
飛空艇に乗るのが初めての面々は出発時、遠ざかる地面と近付く雲に興奮状態だったが、すぐにマース達は流れる景色に夢中となり、今は三人揃って窓に噛り付いている。
空を飛ぶだけでもレアな体験だが、それ以上に空から見通せる地平というものに魅了されたマース達は、一言も発することなく、もうずっと窓の外ばかりを眺めていた。
景色を見るだけなら操縦室にいる必要はないのだが、飛空艇の窓は基本的に小さい丸窓であるため、操縦室の全周囲モニターと視界を補助する大窓が一番開放感を楽しめていいとパーラは語る。
まぁ操縦の邪魔にならない程度に大人しいのはありがたい。
以前の御使い終焉の地を探しながらの移動と違い、目的地がはっきりと分かっているおかげで最短距離を飛び続けられる。
さらに、今回は高所恐怖症の人間が同乗していないため、高度と速度を出しても問題ないのだ。
それでも一日では辿り着ける距離ではないため、日が落ちたのに合わせて飛空艇を降ろし、一晩明かすことになった。
空を飛ぶという機能はこの世界のどの移動手段と比べても破格のものではあるが、俺としてはむしろ、この飛空艇の居住性こそが無二のものではないかと思っている。
厨房に風呂、トイレまである飛空艇にマース達は驚いていたが、俺達と旅をするということはこういうことなのだと今の内に覚えておいたほうがいいだろう。
何はともあれ、温かい風呂と温かい食事を楽しみ、リビングスペースでお茶を飲みながら過ごしていると、俺とパーラを除く三人を代表してミルタが今の気持ちを口にした。
「ふぅ…。なんていうか、とても旅をしているとは思えないぐらい快適だね」
「そうだね。お風呂もあるし、食事もおいしい。用を足すのに周りを気にしないで済む。おまけに昼みたいに明るくて暖かい部屋だもんね。前に僕達が経験した旅とは一体なんだったのか」
遠い目をしてしみじみ言うローキスは、かつて生まれ育った村から長い旅路でヘスニルにやってきた時のことを思い出しているのだろう。
「そういやお前ら二人はヘスニルに避難してきた口だっけ。まぁ普通は徒歩の旅だとここまで快適とはならないもんだよ。マースはヘスニルから出たことあるのか?」
「私?うーん…いつだったか家族で近くの村にいる親戚に会いに行ったぐらいかな。その時は歩きだったけど、移動も一日かかってないよ」
ヘスニルのようなそこそこ大きい街で暮らしていれば、マースのようにほとんど街から出ないケースは少なくない。
大抵の物や情報、人なんかは勝手に集まってくるし、領主が居を構えていれば治安も悪いはずもなく、わざわざ魔物や賊などと遭遇する可能性のある旅をしようとは思わないものだ。
「そういえばさ、飛空艇ってアンディ達以外で持ってる人いるの?少なくとも私はこれ以外を見たことないんだけど」
「あ、私ちょっと聞いたことあるよ。ソーマルガの皇都の周りで結構な数が飛んでるらしいよ?飛竜よりもよく見かけるって」
ミルタの挙げた疑問の声に応えたのはマースだが、仕事柄宿泊客からの噂話を耳にすることが多いため、飛空艇に関する他国からの情報も知っているらしい。
もっとも、情報の精度には些か疑問があるようだが。
「それでね、その飛空艇が大量に保管されてる場所があるんだけど、そこに近付くとおかしな光を浴びせられて、緑色の泡になって溶けて死んじゃうんだって!」
「何それコワっ!」
「アンディ、これヤバくない?もう今後ソーマルガに行くのはやめよ?」
マースの語り口が妙に上手いせいで、ミルタとパーラが鵜呑みにして震えあがり、おまけにパーラなんかはソーマルガに行くこと自体を恐れだす始末。
こんなにあっさり噂話を信じ込むなんて、俺はこいつらが詐欺にあわないか心配になる。
「噂話をそのまま信じるなバカ。マースの言ってる光ってのは飛空艇同士が連絡を取り合うために使ってる発光信号だろ。それに光を浴びて緑色の泡になるなんてどんな凶悪な魔術なんだよ。大方暗い時に飛空艇を見た奴が適当に話しただけだろ。マースも変に煽った話し方すんな」
「てへ、ごめん。いやー私も後半のは無いなって分かってるんだけど、パーラ達がこうも怖がってくれるからついね」
気持ちはわからんでもない。
先程までブルっていた二人が今は胸を撫で下ろしている姿は、実に脅かしがいがある
というか、パーラは冒険者なんだから、人の話だけでそこまでビビッてちゃいかんだろ。
オチが着いたところで、そろそろ眠ろうかとなった時、問題が起きた。
それはマース達の寝床だ。
飛空艇にある個室は俺とパーラが使っているのと、物置代わりに使っているのを合わせて三部屋しかなく、ローキスは俺と一緒に寝ればいいが、マース達はパーラの部屋で寝るには少し狭い。
今から物置を片付けるには時間が遅いし、どうしたものかと思っていると、パーラがリビングを片付けてそこに三人で寝ると言い出した。
確かにリビングを使うなら広さ的には十分だし、空調が利いている飛空艇内なら風邪を引く心配もないので問題ないだろう。
わざわざ自分の部屋と物置から寝具を引っ張って来ると、テキパキと寝床を作ってしまったパーラ達だったが、何故か寝ずにおしゃべりを始める。
修学旅行気分だな。
「おーい、あんまり夜更かしすんなよ。明日も朝から飛ぶんだからな」
『はーい』
返事だけはするが、おしゃべりをやめることはしないパーラ達。
まぁ寝坊しても飛空艇ごと移動するので構わないが、なるべく朝食は一緒に取りたいので、夜更かしもほどほどにして欲しいものだ。
「アンディ、僕達はもう寝ようよ。正直、今日ははしゃぎすぎて疲れたよ」
「そうだな。最悪、俺達が起きればあいつらが寝坊してもいいし」
「うん。…あぁそうだ、明日の朝食は僕が作るね。アンディは飛空艇の操縦があるんだから、それぐらいはさせてよ」
「そいつは助かる」
今日の昼と夜は俺が作ったが、明日の朝はローキスに任せられるのなら随分と楽ができそうだ。
未だにキャッキャと騒ぐパーラ達を放っておいて、俺とローキスは部屋に行くと眠りについた。
明けて翌日、案の定寝坊したパーラ達を寝かせたままにして、飛空艇は飛び続け、昼を少し過ぎた頃には遠くで桜色に染まる丘が見える位置にやってきた。
「もしかしてあれ?確かに薄紅色って言われればそうだけど、もっと明るい感じの色だね」
遠目に映る桜を見て最初に口を開いたのはローキスだったが、パーラ達は桜を見て言葉を失っているような感じだ。
この世界でピンク色と言うのはあまりないもので、いくつかの果物に近い色があるぐらいだ。
そういえば、日本で初めて桜を見た外国人には、透明感のあるピンク色と言うのは実に鮮やかに見えるとなんかで聞いたことがある。
ローキス達もそんな感じなのかもしれない。
加えて、女というのはとにかくピンク色が好きな物で、ピンク色ならウ〇コであってもとりあえずカワイイと言う生き物である。
この桜を見てうっとりとした顔をしている女性陣を見るに、世界が違ってもそこは変わらないようだ。
飛空艇を丘の傍に降ろし、花見のために揃えた道具と食料などを分担して背負うと、頂上を目指してちょっとした登山となる。
さほど高さのある丘ではないので頂上まではあっという間だが、到着してすぐに花見開始とはならない。
今回の花見では一応全員分の弁当を用意してきたが、メインはバーベキューを考えていたため、まずはその準備からだ。
と言っても、食材の下拵えはローキスにも手伝ってもらって飛空艇で済ませてきたので、あとは焼くだけだ。
食材や道具を入れてきた木箱をテーブルや椅子代わりにし、少し離れた場所に火を熾す。
周りに落ちている石を集めて簡易の囲炉裏を作り、そこに網を乗せればあっという間にバーベキューグリルっぽいものの完成だ。
後は食材を火にかけていくだけなのだが、その前にやることがあった。
ここには同郷の人間が眠る墓があり、花見の場所を借りるということもあって、礼儀として墓参りだけはやっておかなくてはならない。
準備に動き回るパーラ達に一言断り、俺はあの日本風の墓石のある場所へと足を向けた。
少し歩いた先に現れた長方形の墓石と桜の組み合わせは、相変わらず異世界とは思えないもので、ここだけ日本だと言っても過言ではない。
一年ほど経ってそれなりに汚れも目立つ墓石を洗い、周りを少しだけ掃除したら線香を供えて手を合わせる。
この線香は本来冒険者が時間を図るのに使うやつであるため、日本の物よりも煙もかなり薄い上に匂いも大分違うものなのだが、他に代用できるものが無いので仕方ない。
線香は故人に捧げる食べ物という意味があるのだが、果たしてこの線香にそれを期待できるのか疑問ではある。
気持ちだけでも届いてくれるといいのだが。
一息つき、周りを見るとどうしても俺にはあるとが頭に浮かんできてしまう。
この墓石にしても桜の木にしても、長年の時間経過を思わせるくたびれ方はしているが、朽ち果てる気配のない、まだまだこの先も残っていくであろうと思わせるだけの頑強さを感じた。
御使いの伝承に確実な時間軸を特定させるものはまず無いが、それでも彼らがこの地に降り立ったのは百年や二百年前などという近代のことではない。
少なくとも千年単位で昔のことだ。
それこそ、今時々見つかる古代文明などよりもよっぽど古い時代に生きていた可能性もある。
そんな大昔に亡くなった人間が残した桜が、今もこうして立派に花を咲かせているということに驚愕するとともに、何故という疑問もまた覚えてしまう。
桜の木の寿命は、日本でよく見られるソメイヨシノでも五・六十年ぐらいだったと記憶している。
それ以外なら何百年単位で生きる種類もあるだろうが、それでも御使いの生きた時代から今日まで残っていることを考えると、ただ長生きな桜として話を終わらせるのはどうなのか。
それでも、この世界では魔術が存在しているし、もしかしたら品種改良の中で魔術を組み込んで、とんでもなく長命な桜として生み出されたということも考えられなくはない。
それ以外にも、植物に関して誰よりも優れた技と知識を有すると噂される妖精族ならあるいはとも思わせる。
妖精の伝承というのはどこまでも遡れるため、御使いの一人である『菅井久志』が生きた時代にも妖精は当然いたはずだ。
今と違い、人と妖精がもっと近かった時代であれば彼らの力を借りて特別な桜を作り出したのだとすれば、現存する桜が妙に長命なことの説明は一応つくことはつく。
だがこの桜も長い年月を経てその数を減じたことから、流石に無限に生き続けるわけでも病気にかからない無敵の植物でもないのは、生きるということはどこまでも自然の摂理に沿っているという証拠だろう。
もっとも、この桜に関しては俺のよく知るものよりも花は小ぶりだし、色も少し濃いように感じるので、この世界にある原種からの発展と思えば、かなり日本の物に近付ける努力はしたのだろう。
墓石の方は素材やらなんやらは門外漢なので、どうして今まで形を保っていたのかは分からないが、不思議に満ちたこの広い世界には、摩耗への耐久力が千年単位で図られるほどに強固な石材があることを否定できない。
まだまだ俺の知らない未知の物、あるいは古代に失われた素材で作られた遺物などはいくらでも存在しているはずだ。
こうして色々と考えてみると、改めてやはり世界は広いと思い知らされるとともに、未知への好奇心もまた刺激されてくる。
とはいえ、俺に研究者としての素養と機会があれば別だが、分からないままのものはそういうものだとして、ただあるがままに受け入れた方がよさそうだ。
墓参りを終えて皆の所に戻ると、既にバーベキューは始まっていた。
というか、墓を掃除している途中から肉の焼ける香ばしい匂いはしていたので、当然の光景ではある。
「あ、お帰りアンディ。先に始めちゃってたけどいいよね?」
そう言って出迎えたのは網の前で肉を焼いていたマースだった。
パーラとミルタはその網を挟んだ対面で、焼き上がりを待ち侘びて涎を垂らしている。
この二人は一体どうしてここまで食い意地の張ったキャラになったのか。
「ああ、一向にかまわん。むしろ、先に食っててもよかったんだぞ」
「流石にそれはね。二人共、アンディが来たから乾杯しよ?ほらほら、いつまでも肉の匂いを嗅がない!」
「ニャー」
「ウォーン」
まるで犬猫を追い払うようにシッシッと手を振って追い払うマースに、本当に犬猫のような声を上げて一度距離を取って恨みがましい目を向けるパーラとミルタ。
「ちぇ、匂いぐらいいいじゃん」
「いやでもさミルタ、逆に考えると乾杯したらこれ食べていいってことじゃない?」
「あ、そっか。じゃあ早く乾杯しよ!ほらほら、ローキスもこっち来て」
それまでテーブルの上に食器を並べていたローキスを呼び寄せるミルタだが、ちゃんと働いていたローキスに対して、網の前に陣取っていただけのお前らは一体何なのかと小一時間説教したいところだ。
果実水が入ったカップを手に持った面々がグリルを囲むようにして集まると、どいうわけか視線が一旦俺に集まる。
「…なんだよ?」
「いや、乾杯の前にアンディからなんかあるのかなーって」
ローキスの言葉に他の三人も頷き、何かを期待するような目を向けてきた。
これは多分、開催の挨拶的なものを言えとかなんだろうが、生憎大した催しでもない身内だけの席であるこの花見の席にそんなものは必要ない。
「無いよ、んなもん。どうせここにいるのはいつもの面々だし、今更挨拶とかいらんだろ。ってことで、飲んで食って楽しもーはい乾杯」
「えー雑ー」
『かんぱーい!』
サクッと乾杯の音頭をとった俺に不満の声を上げたのはローキスだけで、女三人組は声高に乾杯を叫ぶとカップの中身を飲み干し、パーラとミルタが早速と網の上で焼けた肉へとフォークを伸ばしていった。
「…んーまい!流石ザラスバードの肉!」
「ハグン、ぐあっ…へぇー、これがザラスバードなんだ。私初めて食べるけどおいしいね!マースちゃんは?」
「私は前にアンディがウチの宿屋に分けてくれたのを食べたことあるよ。切れ端がちょっと入っただけのスープだったけど、すっごくおいしかったよ」
今回の花見で食べようと提供したザラスバードの肉は好評のようで、初めて食べるミルタはもちろん、パーラもまるで初めてのような感動を仕草で示していた。
マースが以前食べたことがあると言っているのは、恐らく俺が初めて倒した巨大なザラスバードの手羽のことだと思う。
あの時はザラスバードの体でも一番うまいとされる部位を持ち込み料代わりに宿へと提供したわけだが、俺に出した分の余りをマースが食べたとかなんだろう。
あれと比べると今焼かれた肉は普通のモモ肉なのだが、そもそもザラスバードの肉はどこも抜群にうまいので、目の前にいる食いしん坊共を満足させることはできるはずだ。
「確かにこの肉は美味しいね。アンディ、これフライドチキンにしたらどうかな?それなりの量が手に入るなら僕達の店でも出してみようと思うけど」
「やめとけやめとけ。フライドチキンにしても美味いだろうが、安定した量は手に入らんよ。ザラスバード自体狩るのが面倒なヤツでな、冒険者を雇って手に入れようとすれば依頼料が結構かかるだろうよ。店で出そうとしたらかなり高い値段をつけなきゃやってられねーぞ」
「そっかぁ。これだけ美味しいならと思ったけど、手に入りにくいならダメだね」
手に持つ肉を一度ジッと見つめてから口に放り込んだローキスは、店で出すことはあきらめても今ある分を味わうことにしたらしい。
友人としての立場から、ザラスバードをローキスの店に卸すという選択肢もないことはないのだが、残念ながらそれはできない。
ザラスバードがヘスニル周辺に姿を見せるのは夏から秋口のごく短い期間だけ。
しかも個体としての強さがかなりの物であるのにもかかわらず、あまり人間に害を及ぼさないということから、ギルドで討伐依頼が出されることもめったにないため、積極的に狩りに行こうという気にはならないのだ。
肉を求めてというのなら話は別だが、正直なところ、自分達で消費するならともかく、料理として店で売りに出すと、やはり希少性とその味わいから値付けがどうしても上がってしまう。
低から中価格の料理が多いローキスの店では、メニューに出したところで売れることはほとんどないだろう。
それよりは、安価で手に入る鳥肉を使ったフライドチキンを売ったほうが数は出るし、原価率の点からも売り上げはいいはずだ。
そんなわけで、不特定多数の客に売れるかどうかわからない料理として出すよりは、こうして身内で消費したほうがいいため、ジャンジャン食べてしまってほしい。
「それにしてもこの桜って本当綺麗。ヘスニルから出たことなかった私が言うのもなんだけど、世界ってほんと色んなものがあるわね」
「そうだね。僕も村にいた頃は色んな花を見たけど、こんなに木全体が花で染まってるのは初めてだよ」
「あぁ、ローキスがいたのってビカード村だっけ。確かあそこは花も名産品だよね?」
「うん。僕の家は普通の農家だけど、近所には贈答用の花を作ってる家もあったから」
マースとローキスはレジャーシートに座り込み、桜の感想を互いに言い合っていた。
この二人以外の三人、俺とパーラとミルタは花見の片づけをしている。
バーベキューの焼き手や食器の準備などで動いていたマースとローキスは当然ながら片付けは免除、碌に動いていなかった俺達が最後は全部綺麗にして去るというわけだ。
「アンディ―、ゴミ集め終わったよ」
「お、そうか。じゃ穴掘るからそこにぶち込んじまえ」
「了ー解。ミルタ、そっちのをお願い」
「はいはーい」
食器を洗うのは俺の水魔術を使い、ゴミを集めるのはパーラの風魔術とミルタの手作業で行われた。
現代日本のキャンプと違い、使い捨ての紙コップや紙皿などが存在しないこの世界では、ゴミといっても食材のクズや薪を燃やして出た灰と燃え残りぐらいなものだ。
こういうものは土魔術で掘った穴に埋めてしまえば自然に還るので、環境に優しいどころか、始まりから終わりまで自然の一部で完結する大変エコな花見となった。
「三人ともお疲れ。…静かにね」
片付けを終えてマース達の所へと向かった俺達は、声を潜めるローキスの労いの言葉と共にかけられたそんな注意の言葉に一瞬首を傾げたが、その理由はすぐに分かった。
レジャーシートの隅っこの方でマースが俺達に背を向ける形で横になっており、規則正しく動いている肩の様子から完全に眠っているようだ。
起こさないようにそっとローキスの周りに座り込んだ俺達は、自然と話す声も抑えたものとなる。
「少し前に眠ったんだ。待ってるだけで暇だったからね」
「そうか。こっちは片付けも終わったからいつでも出発はできるが……今起こすのはちっとかわいそうだよな?」
「うん。なんだかんだでマースは旅に慣れてないからね。気持ちで疲れたところもあるんだと思う」
飛空艇に乗っての移動とはいえ、旅慣れていないマースに全くストレスがないわけもなく、加えて昨夜に夜更かししたのも今頃効いてきたのかもしれない。
時間的にはまだ昼を少し回ったぐらいなので、下手に起こすより自然に起きるのを待っても構わんだろう。
「仕方ない。じゃあ俺達はマースが起きるまで何か暇潰しでも……あれ、パーラとミルタは?」
ふと気付くと、一瞬前まで傍にいたはずのパーラ達が消えていた。
「アンディ、あそこあそこ」
「あん?」
チョイチョイとローキスの指さす先を見てみると、眠っているマースへ寄り添うようにして寝転がるパーラとミルタの姿がある。
三人横になって川の字となったそれは、どうも完全に寝る態勢へ移っているように思えた。
「いつの間に」
「僕もアンディに言われて初めて見つけたぐらいだからね。まぁでも気持ちはわかるかな。気持ちよさそうに寝てる人を見たらこっちも眠くなっちゃうよ」
「確かにな」
こうして話している俺達の声に反応を示さないところを見ると、どうやら二人もマースと同じように眠りに入っているようだ。
考えてみれば、夜更かししたのは三人とも同じはずなので、現在の眠気の程度もまた同じはずなので、こうなるのはある意味当然なのかもしれない。
昨夜バッチリ睡眠をとった俺とローキスは眠気に襲われることはなく、結局パーラ達が起きるまで男二人で桜を見ながら他愛ない話をし続けた。
「そりゃあお前が悪い。ミルタだってもう年頃なんだし、着飾ってもいいだろ」
「えーそうかな…。でもさ、いくらなんでもお腹が出てる服なんて、風邪ひいちゃうよ」
「そういうのが可愛いと思ってるんだよ。だからお前に小言を言われてカチンと来たんだって」
話の内容は主に最近のローキス達の暮らしようについてのものになったが、その中でも未だにミルタへ保護者のように接するローキスが、薄着になってきた近頃のミルタのことを心配して相談されたのには何とも言えない思いがあった。
あくまでも俺の想像だが、きっとミルタはローキスに可愛く着飾った自分を見てほしかったんじゃないだろうか。
二人は兄妹のように育ってきたと知ってはいるが、この世界的には大人の男女として見てもいい年ごろだ。
ミルタもローキスに好意を寄せているのは普段の振る舞いからなんとなく分かっていたのだが、ローキスが鈍感でいるせいでやきもきして、薄着でアピールするという手を使ったのかもしれない。
そしてこれもまた俺の推測だが、この案を出したのはマースかセレン辺りではないかと読んでいる。
マースには以前パーラの服装をガラっと変えたという前科があるし、セレンはミルタを可愛がっているようだから、相談を受けたら策の一つでも授けるぐらいはするだろう。
残念ながらこの件に関して俺がどうこうできることも無いので、周りの後押しを受けてミルタがいつかローキスを押し倒すという未来を予想しつつ、温かく見守るだけだ。
そんな風に時間を過ごしていると、背後からモソモソと動く気配を感じた。
振り向いてみると、上半身を起こしてボーっとしているマースの姿を見つけたが、パーラとミルタはまだ眠ったままだ。
しばし中空を眺めていたマースの意識がハッキリしたところで、あくびをしながらキョロキョロと見渡した目が俺達を捉える。
「……っぁふ、あーごめん、寝てたわ。あれ、なんでこの二人も寝てんの?」
「起きたか。別に誰の迷惑にもなってねーから気にすんな。その二人はお前が寝てるのに誘われて、ってところだ」
「あぁなるほど。まぁ私達三人は昨日遅かったからね」
パーラとミルタを起こさないよう、静かに立ち上がると俺達の方へとマースが近付いてくる。
だが遠くを見てその足が止まった。
眩しそうでいながら目を逸らせない何かを見つけたのか、その視線を辿って見ると、マースが立ち止まった原因を俺達も見た。
いつの間にか空は微かに赤みを帯びており、薄い赤光が桜の花を照らすと、まるで桜の木が空と一体になって溶けだしたような幻想的な絵となっているのだ。
これは確かに見入ってしまう。
俺とローキスとマースの三人は、引き寄せられるようにして顔を同じ方向へと向けたまま暫く動くことが出来なかった。
それから少し経ち、パーラとミルタも起きてきたところで撤収となり、飛空艇へと戻った俺達だったが、辺りはもうすっかり夕暮れといった中、これから飛んでもすぐに夜となってしまうため、結局桜の咲く丘の麓に飛空艇を置いたまま、一晩過ごすことにした。
明日の朝いちばんに飛び立ち、明後日の昼過ぎにはヘスニルに到着するという予定を立ててこの日を終えた。
余談ではあるが、翌日早朝に桜の花越しから見た朝日はとても絵になる、それはそれは素晴らしいものであった。
パーラにそう告げた四日後、俺達は飛空艇で空の人となっていた。
今回花見に参加したのは俺とパーラ、ローキスとミルタとマースの五人だ。
完全に予想通りの人員ではあるが、何も三人だけを誘ったというわけではない。
ルドラマ達伯爵家一行も誘ってみたが、ルドラマは領主なのでホイホイと領地を離れるわけにはいかず、マクシムは今現在、伯爵の名代として領内を飛び回っていてヘスニルにはいなかったし、セレンは伯爵夫人としての仕事があるため、一家そろって不参加となる。
考えてみれば、冬の間に十分休んだのだから春になったら仕事に精を出すというのは当然の話で、いきなり春先に旅行に行くなど、この世界ではまずないことなのだ。
他にも声をかけてみたが大体答えは同じようなもので、仕事の予定があったり既にヘスニルを旅立ったという人もいた。
そんなわけで、結局いつもの変わり映えしない面子が参加者として集まる結果となった。
マースもこの時期は実家が忙しくなるのだが、今は人も雇っているので二・三日抜けても十分に宿は回るため、今回の誘いにホイホイと乗っかってきたというわけだ。
ローキス達も店の営業はあるが、数日休んでも問題ない程度には稼いでいるので、マースと共に二人も参加した。
俺達は飛空艇に乗って空からマクイルーパへと密入国を果たし、現在は桜の咲く丘を目指して移動中だ。
飛空艇に乗るのが初めての面々は出発時、遠ざかる地面と近付く雲に興奮状態だったが、すぐにマース達は流れる景色に夢中となり、今は三人揃って窓に噛り付いている。
空を飛ぶだけでもレアな体験だが、それ以上に空から見通せる地平というものに魅了されたマース達は、一言も発することなく、もうずっと窓の外ばかりを眺めていた。
景色を見るだけなら操縦室にいる必要はないのだが、飛空艇の窓は基本的に小さい丸窓であるため、操縦室の全周囲モニターと視界を補助する大窓が一番開放感を楽しめていいとパーラは語る。
まぁ操縦の邪魔にならない程度に大人しいのはありがたい。
以前の御使い終焉の地を探しながらの移動と違い、目的地がはっきりと分かっているおかげで最短距離を飛び続けられる。
さらに、今回は高所恐怖症の人間が同乗していないため、高度と速度を出しても問題ないのだ。
それでも一日では辿り着ける距離ではないため、日が落ちたのに合わせて飛空艇を降ろし、一晩明かすことになった。
空を飛ぶという機能はこの世界のどの移動手段と比べても破格のものではあるが、俺としてはむしろ、この飛空艇の居住性こそが無二のものではないかと思っている。
厨房に風呂、トイレまである飛空艇にマース達は驚いていたが、俺達と旅をするということはこういうことなのだと今の内に覚えておいたほうがいいだろう。
何はともあれ、温かい風呂と温かい食事を楽しみ、リビングスペースでお茶を飲みながら過ごしていると、俺とパーラを除く三人を代表してミルタが今の気持ちを口にした。
「ふぅ…。なんていうか、とても旅をしているとは思えないぐらい快適だね」
「そうだね。お風呂もあるし、食事もおいしい。用を足すのに周りを気にしないで済む。おまけに昼みたいに明るくて暖かい部屋だもんね。前に僕達が経験した旅とは一体なんだったのか」
遠い目をしてしみじみ言うローキスは、かつて生まれ育った村から長い旅路でヘスニルにやってきた時のことを思い出しているのだろう。
「そういやお前ら二人はヘスニルに避難してきた口だっけ。まぁ普通は徒歩の旅だとここまで快適とはならないもんだよ。マースはヘスニルから出たことあるのか?」
「私?うーん…いつだったか家族で近くの村にいる親戚に会いに行ったぐらいかな。その時は歩きだったけど、移動も一日かかってないよ」
ヘスニルのようなそこそこ大きい街で暮らしていれば、マースのようにほとんど街から出ないケースは少なくない。
大抵の物や情報、人なんかは勝手に集まってくるし、領主が居を構えていれば治安も悪いはずもなく、わざわざ魔物や賊などと遭遇する可能性のある旅をしようとは思わないものだ。
「そういえばさ、飛空艇ってアンディ達以外で持ってる人いるの?少なくとも私はこれ以外を見たことないんだけど」
「あ、私ちょっと聞いたことあるよ。ソーマルガの皇都の周りで結構な数が飛んでるらしいよ?飛竜よりもよく見かけるって」
ミルタの挙げた疑問の声に応えたのはマースだが、仕事柄宿泊客からの噂話を耳にすることが多いため、飛空艇に関する他国からの情報も知っているらしい。
もっとも、情報の精度には些か疑問があるようだが。
「それでね、その飛空艇が大量に保管されてる場所があるんだけど、そこに近付くとおかしな光を浴びせられて、緑色の泡になって溶けて死んじゃうんだって!」
「何それコワっ!」
「アンディ、これヤバくない?もう今後ソーマルガに行くのはやめよ?」
マースの語り口が妙に上手いせいで、ミルタとパーラが鵜呑みにして震えあがり、おまけにパーラなんかはソーマルガに行くこと自体を恐れだす始末。
こんなにあっさり噂話を信じ込むなんて、俺はこいつらが詐欺にあわないか心配になる。
「噂話をそのまま信じるなバカ。マースの言ってる光ってのは飛空艇同士が連絡を取り合うために使ってる発光信号だろ。それに光を浴びて緑色の泡になるなんてどんな凶悪な魔術なんだよ。大方暗い時に飛空艇を見た奴が適当に話しただけだろ。マースも変に煽った話し方すんな」
「てへ、ごめん。いやー私も後半のは無いなって分かってるんだけど、パーラ達がこうも怖がってくれるからついね」
気持ちはわからんでもない。
先程までブルっていた二人が今は胸を撫で下ろしている姿は、実に脅かしがいがある
というか、パーラは冒険者なんだから、人の話だけでそこまでビビッてちゃいかんだろ。
オチが着いたところで、そろそろ眠ろうかとなった時、問題が起きた。
それはマース達の寝床だ。
飛空艇にある個室は俺とパーラが使っているのと、物置代わりに使っているのを合わせて三部屋しかなく、ローキスは俺と一緒に寝ればいいが、マース達はパーラの部屋で寝るには少し狭い。
今から物置を片付けるには時間が遅いし、どうしたものかと思っていると、パーラがリビングを片付けてそこに三人で寝ると言い出した。
確かにリビングを使うなら広さ的には十分だし、空調が利いている飛空艇内なら風邪を引く心配もないので問題ないだろう。
わざわざ自分の部屋と物置から寝具を引っ張って来ると、テキパキと寝床を作ってしまったパーラ達だったが、何故か寝ずにおしゃべりを始める。
修学旅行気分だな。
「おーい、あんまり夜更かしすんなよ。明日も朝から飛ぶんだからな」
『はーい』
返事だけはするが、おしゃべりをやめることはしないパーラ達。
まぁ寝坊しても飛空艇ごと移動するので構わないが、なるべく朝食は一緒に取りたいので、夜更かしもほどほどにして欲しいものだ。
「アンディ、僕達はもう寝ようよ。正直、今日ははしゃぎすぎて疲れたよ」
「そうだな。最悪、俺達が起きればあいつらが寝坊してもいいし」
「うん。…あぁそうだ、明日の朝食は僕が作るね。アンディは飛空艇の操縦があるんだから、それぐらいはさせてよ」
「そいつは助かる」
今日の昼と夜は俺が作ったが、明日の朝はローキスに任せられるのなら随分と楽ができそうだ。
未だにキャッキャと騒ぐパーラ達を放っておいて、俺とローキスは部屋に行くと眠りについた。
明けて翌日、案の定寝坊したパーラ達を寝かせたままにして、飛空艇は飛び続け、昼を少し過ぎた頃には遠くで桜色に染まる丘が見える位置にやってきた。
「もしかしてあれ?確かに薄紅色って言われればそうだけど、もっと明るい感じの色だね」
遠目に映る桜を見て最初に口を開いたのはローキスだったが、パーラ達は桜を見て言葉を失っているような感じだ。
この世界でピンク色と言うのはあまりないもので、いくつかの果物に近い色があるぐらいだ。
そういえば、日本で初めて桜を見た外国人には、透明感のあるピンク色と言うのは実に鮮やかに見えるとなんかで聞いたことがある。
ローキス達もそんな感じなのかもしれない。
加えて、女というのはとにかくピンク色が好きな物で、ピンク色ならウ〇コであってもとりあえずカワイイと言う生き物である。
この桜を見てうっとりとした顔をしている女性陣を見るに、世界が違ってもそこは変わらないようだ。
飛空艇を丘の傍に降ろし、花見のために揃えた道具と食料などを分担して背負うと、頂上を目指してちょっとした登山となる。
さほど高さのある丘ではないので頂上まではあっという間だが、到着してすぐに花見開始とはならない。
今回の花見では一応全員分の弁当を用意してきたが、メインはバーベキューを考えていたため、まずはその準備からだ。
と言っても、食材の下拵えはローキスにも手伝ってもらって飛空艇で済ませてきたので、あとは焼くだけだ。
食材や道具を入れてきた木箱をテーブルや椅子代わりにし、少し離れた場所に火を熾す。
周りに落ちている石を集めて簡易の囲炉裏を作り、そこに網を乗せればあっという間にバーベキューグリルっぽいものの完成だ。
後は食材を火にかけていくだけなのだが、その前にやることがあった。
ここには同郷の人間が眠る墓があり、花見の場所を借りるということもあって、礼儀として墓参りだけはやっておかなくてはならない。
準備に動き回るパーラ達に一言断り、俺はあの日本風の墓石のある場所へと足を向けた。
少し歩いた先に現れた長方形の墓石と桜の組み合わせは、相変わらず異世界とは思えないもので、ここだけ日本だと言っても過言ではない。
一年ほど経ってそれなりに汚れも目立つ墓石を洗い、周りを少しだけ掃除したら線香を供えて手を合わせる。
この線香は本来冒険者が時間を図るのに使うやつであるため、日本の物よりも煙もかなり薄い上に匂いも大分違うものなのだが、他に代用できるものが無いので仕方ない。
線香は故人に捧げる食べ物という意味があるのだが、果たしてこの線香にそれを期待できるのか疑問ではある。
気持ちだけでも届いてくれるといいのだが。
一息つき、周りを見るとどうしても俺にはあるとが頭に浮かんできてしまう。
この墓石にしても桜の木にしても、長年の時間経過を思わせるくたびれ方はしているが、朽ち果てる気配のない、まだまだこの先も残っていくであろうと思わせるだけの頑強さを感じた。
御使いの伝承に確実な時間軸を特定させるものはまず無いが、それでも彼らがこの地に降り立ったのは百年や二百年前などという近代のことではない。
少なくとも千年単位で昔のことだ。
それこそ、今時々見つかる古代文明などよりもよっぽど古い時代に生きていた可能性もある。
そんな大昔に亡くなった人間が残した桜が、今もこうして立派に花を咲かせているということに驚愕するとともに、何故という疑問もまた覚えてしまう。
桜の木の寿命は、日本でよく見られるソメイヨシノでも五・六十年ぐらいだったと記憶している。
それ以外なら何百年単位で生きる種類もあるだろうが、それでも御使いの生きた時代から今日まで残っていることを考えると、ただ長生きな桜として話を終わらせるのはどうなのか。
それでも、この世界では魔術が存在しているし、もしかしたら品種改良の中で魔術を組み込んで、とんでもなく長命な桜として生み出されたということも考えられなくはない。
それ以外にも、植物に関して誰よりも優れた技と知識を有すると噂される妖精族ならあるいはとも思わせる。
妖精の伝承というのはどこまでも遡れるため、御使いの一人である『菅井久志』が生きた時代にも妖精は当然いたはずだ。
今と違い、人と妖精がもっと近かった時代であれば彼らの力を借りて特別な桜を作り出したのだとすれば、現存する桜が妙に長命なことの説明は一応つくことはつく。
だがこの桜も長い年月を経てその数を減じたことから、流石に無限に生き続けるわけでも病気にかからない無敵の植物でもないのは、生きるということはどこまでも自然の摂理に沿っているという証拠だろう。
もっとも、この桜に関しては俺のよく知るものよりも花は小ぶりだし、色も少し濃いように感じるので、この世界にある原種からの発展と思えば、かなり日本の物に近付ける努力はしたのだろう。
墓石の方は素材やらなんやらは門外漢なので、どうして今まで形を保っていたのかは分からないが、不思議に満ちたこの広い世界には、摩耗への耐久力が千年単位で図られるほどに強固な石材があることを否定できない。
まだまだ俺の知らない未知の物、あるいは古代に失われた素材で作られた遺物などはいくらでも存在しているはずだ。
こうして色々と考えてみると、改めてやはり世界は広いと思い知らされるとともに、未知への好奇心もまた刺激されてくる。
とはいえ、俺に研究者としての素養と機会があれば別だが、分からないままのものはそういうものだとして、ただあるがままに受け入れた方がよさそうだ。
墓参りを終えて皆の所に戻ると、既にバーベキューは始まっていた。
というか、墓を掃除している途中から肉の焼ける香ばしい匂いはしていたので、当然の光景ではある。
「あ、お帰りアンディ。先に始めちゃってたけどいいよね?」
そう言って出迎えたのは網の前で肉を焼いていたマースだった。
パーラとミルタはその網を挟んだ対面で、焼き上がりを待ち侘びて涎を垂らしている。
この二人は一体どうしてここまで食い意地の張ったキャラになったのか。
「ああ、一向にかまわん。むしろ、先に食っててもよかったんだぞ」
「流石にそれはね。二人共、アンディが来たから乾杯しよ?ほらほら、いつまでも肉の匂いを嗅がない!」
「ニャー」
「ウォーン」
まるで犬猫を追い払うようにシッシッと手を振って追い払うマースに、本当に犬猫のような声を上げて一度距離を取って恨みがましい目を向けるパーラとミルタ。
「ちぇ、匂いぐらいいいじゃん」
「いやでもさミルタ、逆に考えると乾杯したらこれ食べていいってことじゃない?」
「あ、そっか。じゃあ早く乾杯しよ!ほらほら、ローキスもこっち来て」
それまでテーブルの上に食器を並べていたローキスを呼び寄せるミルタだが、ちゃんと働いていたローキスに対して、網の前に陣取っていただけのお前らは一体何なのかと小一時間説教したいところだ。
果実水が入ったカップを手に持った面々がグリルを囲むようにして集まると、どいうわけか視線が一旦俺に集まる。
「…なんだよ?」
「いや、乾杯の前にアンディからなんかあるのかなーって」
ローキスの言葉に他の三人も頷き、何かを期待するような目を向けてきた。
これは多分、開催の挨拶的なものを言えとかなんだろうが、生憎大した催しでもない身内だけの席であるこの花見の席にそんなものは必要ない。
「無いよ、んなもん。どうせここにいるのはいつもの面々だし、今更挨拶とかいらんだろ。ってことで、飲んで食って楽しもーはい乾杯」
「えー雑ー」
『かんぱーい!』
サクッと乾杯の音頭をとった俺に不満の声を上げたのはローキスだけで、女三人組は声高に乾杯を叫ぶとカップの中身を飲み干し、パーラとミルタが早速と網の上で焼けた肉へとフォークを伸ばしていった。
「…んーまい!流石ザラスバードの肉!」
「ハグン、ぐあっ…へぇー、これがザラスバードなんだ。私初めて食べるけどおいしいね!マースちゃんは?」
「私は前にアンディがウチの宿屋に分けてくれたのを食べたことあるよ。切れ端がちょっと入っただけのスープだったけど、すっごくおいしかったよ」
今回の花見で食べようと提供したザラスバードの肉は好評のようで、初めて食べるミルタはもちろん、パーラもまるで初めてのような感動を仕草で示していた。
マースが以前食べたことがあると言っているのは、恐らく俺が初めて倒した巨大なザラスバードの手羽のことだと思う。
あの時はザラスバードの体でも一番うまいとされる部位を持ち込み料代わりに宿へと提供したわけだが、俺に出した分の余りをマースが食べたとかなんだろう。
あれと比べると今焼かれた肉は普通のモモ肉なのだが、そもそもザラスバードの肉はどこも抜群にうまいので、目の前にいる食いしん坊共を満足させることはできるはずだ。
「確かにこの肉は美味しいね。アンディ、これフライドチキンにしたらどうかな?それなりの量が手に入るなら僕達の店でも出してみようと思うけど」
「やめとけやめとけ。フライドチキンにしても美味いだろうが、安定した量は手に入らんよ。ザラスバード自体狩るのが面倒なヤツでな、冒険者を雇って手に入れようとすれば依頼料が結構かかるだろうよ。店で出そうとしたらかなり高い値段をつけなきゃやってられねーぞ」
「そっかぁ。これだけ美味しいならと思ったけど、手に入りにくいならダメだね」
手に持つ肉を一度ジッと見つめてから口に放り込んだローキスは、店で出すことはあきらめても今ある分を味わうことにしたらしい。
友人としての立場から、ザラスバードをローキスの店に卸すという選択肢もないことはないのだが、残念ながらそれはできない。
ザラスバードがヘスニル周辺に姿を見せるのは夏から秋口のごく短い期間だけ。
しかも個体としての強さがかなりの物であるのにもかかわらず、あまり人間に害を及ぼさないということから、ギルドで討伐依頼が出されることもめったにないため、積極的に狩りに行こうという気にはならないのだ。
肉を求めてというのなら話は別だが、正直なところ、自分達で消費するならともかく、料理として店で売りに出すと、やはり希少性とその味わいから値付けがどうしても上がってしまう。
低から中価格の料理が多いローキスの店では、メニューに出したところで売れることはほとんどないだろう。
それよりは、安価で手に入る鳥肉を使ったフライドチキンを売ったほうが数は出るし、原価率の点からも売り上げはいいはずだ。
そんなわけで、不特定多数の客に売れるかどうかわからない料理として出すよりは、こうして身内で消費したほうがいいため、ジャンジャン食べてしまってほしい。
「それにしてもこの桜って本当綺麗。ヘスニルから出たことなかった私が言うのもなんだけど、世界ってほんと色んなものがあるわね」
「そうだね。僕も村にいた頃は色んな花を見たけど、こんなに木全体が花で染まってるのは初めてだよ」
「あぁ、ローキスがいたのってビカード村だっけ。確かあそこは花も名産品だよね?」
「うん。僕の家は普通の農家だけど、近所には贈答用の花を作ってる家もあったから」
マースとローキスはレジャーシートに座り込み、桜の感想を互いに言い合っていた。
この二人以外の三人、俺とパーラとミルタは花見の片づけをしている。
バーベキューの焼き手や食器の準備などで動いていたマースとローキスは当然ながら片付けは免除、碌に動いていなかった俺達が最後は全部綺麗にして去るというわけだ。
「アンディ―、ゴミ集め終わったよ」
「お、そうか。じゃ穴掘るからそこにぶち込んじまえ」
「了ー解。ミルタ、そっちのをお願い」
「はいはーい」
食器を洗うのは俺の水魔術を使い、ゴミを集めるのはパーラの風魔術とミルタの手作業で行われた。
現代日本のキャンプと違い、使い捨ての紙コップや紙皿などが存在しないこの世界では、ゴミといっても食材のクズや薪を燃やして出た灰と燃え残りぐらいなものだ。
こういうものは土魔術で掘った穴に埋めてしまえば自然に還るので、環境に優しいどころか、始まりから終わりまで自然の一部で完結する大変エコな花見となった。
「三人ともお疲れ。…静かにね」
片付けを終えてマース達の所へと向かった俺達は、声を潜めるローキスの労いの言葉と共にかけられたそんな注意の言葉に一瞬首を傾げたが、その理由はすぐに分かった。
レジャーシートの隅っこの方でマースが俺達に背を向ける形で横になっており、規則正しく動いている肩の様子から完全に眠っているようだ。
起こさないようにそっとローキスの周りに座り込んだ俺達は、自然と話す声も抑えたものとなる。
「少し前に眠ったんだ。待ってるだけで暇だったからね」
「そうか。こっちは片付けも終わったからいつでも出発はできるが……今起こすのはちっとかわいそうだよな?」
「うん。なんだかんだでマースは旅に慣れてないからね。気持ちで疲れたところもあるんだと思う」
飛空艇に乗っての移動とはいえ、旅慣れていないマースに全くストレスがないわけもなく、加えて昨夜に夜更かししたのも今頃効いてきたのかもしれない。
時間的にはまだ昼を少し回ったぐらいなので、下手に起こすより自然に起きるのを待っても構わんだろう。
「仕方ない。じゃあ俺達はマースが起きるまで何か暇潰しでも……あれ、パーラとミルタは?」
ふと気付くと、一瞬前まで傍にいたはずのパーラ達が消えていた。
「アンディ、あそこあそこ」
「あん?」
チョイチョイとローキスの指さす先を見てみると、眠っているマースへ寄り添うようにして寝転がるパーラとミルタの姿がある。
三人横になって川の字となったそれは、どうも完全に寝る態勢へ移っているように思えた。
「いつの間に」
「僕もアンディに言われて初めて見つけたぐらいだからね。まぁでも気持ちはわかるかな。気持ちよさそうに寝てる人を見たらこっちも眠くなっちゃうよ」
「確かにな」
こうして話している俺達の声に反応を示さないところを見ると、どうやら二人もマースと同じように眠りに入っているようだ。
考えてみれば、夜更かししたのは三人とも同じはずなので、現在の眠気の程度もまた同じはずなので、こうなるのはある意味当然なのかもしれない。
昨夜バッチリ睡眠をとった俺とローキスは眠気に襲われることはなく、結局パーラ達が起きるまで男二人で桜を見ながら他愛ない話をし続けた。
「そりゃあお前が悪い。ミルタだってもう年頃なんだし、着飾ってもいいだろ」
「えーそうかな…。でもさ、いくらなんでもお腹が出てる服なんて、風邪ひいちゃうよ」
「そういうのが可愛いと思ってるんだよ。だからお前に小言を言われてカチンと来たんだって」
話の内容は主に最近のローキス達の暮らしようについてのものになったが、その中でも未だにミルタへ保護者のように接するローキスが、薄着になってきた近頃のミルタのことを心配して相談されたのには何とも言えない思いがあった。
あくまでも俺の想像だが、きっとミルタはローキスに可愛く着飾った自分を見てほしかったんじゃないだろうか。
二人は兄妹のように育ってきたと知ってはいるが、この世界的には大人の男女として見てもいい年ごろだ。
ミルタもローキスに好意を寄せているのは普段の振る舞いからなんとなく分かっていたのだが、ローキスが鈍感でいるせいでやきもきして、薄着でアピールするという手を使ったのかもしれない。
そしてこれもまた俺の推測だが、この案を出したのはマースかセレン辺りではないかと読んでいる。
マースには以前パーラの服装をガラっと変えたという前科があるし、セレンはミルタを可愛がっているようだから、相談を受けたら策の一つでも授けるぐらいはするだろう。
残念ながらこの件に関して俺がどうこうできることも無いので、周りの後押しを受けてミルタがいつかローキスを押し倒すという未来を予想しつつ、温かく見守るだけだ。
そんな風に時間を過ごしていると、背後からモソモソと動く気配を感じた。
振り向いてみると、上半身を起こしてボーっとしているマースの姿を見つけたが、パーラとミルタはまだ眠ったままだ。
しばし中空を眺めていたマースの意識がハッキリしたところで、あくびをしながらキョロキョロと見渡した目が俺達を捉える。
「……っぁふ、あーごめん、寝てたわ。あれ、なんでこの二人も寝てんの?」
「起きたか。別に誰の迷惑にもなってねーから気にすんな。その二人はお前が寝てるのに誘われて、ってところだ」
「あぁなるほど。まぁ私達三人は昨日遅かったからね」
パーラとミルタを起こさないよう、静かに立ち上がると俺達の方へとマースが近付いてくる。
だが遠くを見てその足が止まった。
眩しそうでいながら目を逸らせない何かを見つけたのか、その視線を辿って見ると、マースが立ち止まった原因を俺達も見た。
いつの間にか空は微かに赤みを帯びており、薄い赤光が桜の花を照らすと、まるで桜の木が空と一体になって溶けだしたような幻想的な絵となっているのだ。
これは確かに見入ってしまう。
俺とローキスとマースの三人は、引き寄せられるようにして顔を同じ方向へと向けたまま暫く動くことが出来なかった。
それから少し経ち、パーラとミルタも起きてきたところで撤収となり、飛空艇へと戻った俺達だったが、辺りはもうすっかり夕暮れといった中、これから飛んでもすぐに夜となってしまうため、結局桜の咲く丘の麓に飛空艇を置いたまま、一晩過ごすことにした。
明日の朝いちばんに飛び立ち、明後日の昼過ぎにはヘスニルに到着するという予定を立ててこの日を終えた。
余談ではあるが、翌日早朝に桜の花越しから見た朝日はとても絵になる、それはそれは素晴らしいものであった。
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