おっさんだってアイドルになりたい！

おっさんだってアイドルになりたい！

「本日発売！誰でもアイドルになれるVR！是非お買い求めください！」

　一部の人には夢のようなアイテムであった。
　そしてここにもそれを買い求めようと徹夜して並んで買った者がいる。
　小金健太41歳だ。

「ついに…ついに俺がアイドルになれるんだー！」

　たとえゲームでも嬉しかった。

「早速家に帰ってゲームを起動しよう！」

　そう言うと意気揚々と帰宅した。

「ただいまー」
「おかえりー。ハローワークでも行ってきたの？」
「もちろん。今日もいいのなかったけどね。」

　この会話から分かるように小金健太はニートである。
　37歳の時にリストラされニートになって早4年が経った。
　幸いにも一流企業に勤めていたためお金には困っていなかった。

「早速夢の装置を起動だ！オーン！」

　バイクのヘルメットのような顔全体が覆い被さるようなヘルメットを被りゲームがスタートする。
　その際脳に電流が流れ眠りにつく。
　聞くと危なそうだが、安全性は確保されているらしい。

　「ゲームを起動しています。」

　眼前にタイトル画面が出てきた。

「ようこそいらっしゃいました！こちらはアイドル仮想ゲームのアイ想です！」

　可愛い女の子が出てきてテンプレの案内を言う。

「まずはあなたのアバターを決めましょう！男性か女性のどちらか選んでね！」

　小金健太は迷わず選択した。

「俺は女のアイドルをたくさん見てきたから豊富な知識でてっぺん取れるはず！女を選択だ！」

　よってアバターも小金健太好みの女の子になった。

「アバター作成お疲れ様でした！それではチュートリアルも特にないのでアイドルの世界を楽しんで1位を目指してね！それじゃあばいばーい！」

　と、こんな感じで適当に終わらされた。
　このVRゲームはCOMはコーチやマネージャーのみで、それ以外は全員がオンラインの人である。
　MMORPGと同じだと思ってもらうと分かりやすいかもしれない。
　このゲームはスキルポイント制でダンス、魅力、歌声の3つに割り振ることができる。
　スキルポイントの最大値は255のようだ。

「早速アイドル活動始めるぞー！」

　そう、小金健太のアイドル生活は始まったばかりなのである。