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第四十四エロ 再会
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「知り合いかい?」
もふともがはあはあに問う。
はあはあと出会ってから喋り方が助態たちといる時と同じになっていたことに、ヌルヌルはすぐさま気が付いた。
更にさっきのはあはあの言葉も思い出していた。
「好きになるのに理由はない……か――」
そう呟きながらヌルヌルは助態をチラリと見た。
何? なんてキョトンとして問いかけてくる助態に軽く殺意がわく。
その呟きが聞こえたくびちがヌルヌルに、諦めなさい。と言っていた。
「見たところ別の種族だけど?」
本当に知り合いなのか? とティーパンが訝しむ。
「さきほど話していた鬼侍女が彼女です」
もっこりはそう答えてはあはあの傍に駆け寄る。
「さっきの私が影響を受けた人だよ」
はあはあももっこりに駆け寄りながらもふともにそう答えた。
「何してたの?」
つっけんどんにはあはあが聞く。
「別に何もしてない。ただ、集落に人間が居てこの子たちが迷子だから助けてくれって言うからここまで連れてきただけだよ」
この子たちと言ってもっこりは、ちんちんたちを紹介する。
もっこりの言い方もぶっきらぼうなものだった。
「ちんちん! ぱいぱい! まんまん!」
家族同然の鬼侍女三姉妹をはあはあが優しく抱きしめた。
「楽しかったよ」
心配をかけたなんて微塵も思っていない言い方でぱいぱいが言う。
「ちょっとした冒険だったね」
隣でちんちんも笑顔をキラキラさせる。
「大きな音がぐおーって鳴って、いてっ!」
同じく笑顔いっぱいで話すまんまんの頭を、はあはあがげんこつしていた。
「心配させるんじゃないの!」
「心配なんかされなくても平気だもーん!」
「そーだそーだばーか!」
「おにぃー!」
ちんちん、まんまん、ぱいぱいがそれぞれに負け惜しみを言いながら逃げて行った。
「まったく。いつまで経っても子供なんだから」
はあはあがやれやれと首を振る。
「あれが、君が前に言っていた家族同然の娘たちか」
そう言いながらもっこりは、前に聞いていた話を思い出した。
●
何度目かの逢瀬の時だった。
何の前触れもなく唐突にはあはあが言った。
「私もお人好しを始めてみたの」
最初に出会った時は、もっこりは自分の目で外の世界を見たいという好奇心から堕天使の集落を抜け出した。
その時はただの馬鹿だし、他の種族から攻撃されたのは自業自得だと思っていた。
でも次に偶然目撃した時にその考えが変わった。
もっこりは戦闘好きな種族、ラーシュというモンスターの子供を助けていた。
その後助けたはずのモンスターに攻撃をされていたが、その時は自業自得というよりもお人好しに思えた。
その時から理由は分からないが、はあはあの中に、――もっとこの人の様子を見てみたい――という感情が芽生えた。
だからだろう。
「次はいつ頃この辺にくるの?」
自然と言葉が口から出てきた。
「え?」
何を言われたのか分からなかったもっこりが聞き返すのも当然だ。
「だってもう来るなって言ったのにまた来たじゃん。ってことは、またこの辺に来るつもりなんでしょ?」
「そうだなぁ。明後日くらに来ようかなぁ」
空を見上げながらもっこりが何となく答えた。
「ふーん。じゃ、私も明後日にまた来るよ」
「え?」
急に言われてもっこりがはあはあの顔を見る。
「何?」
はあはあがもっこりの方を見る。
互いの目が合う。
――ドキンッ。
もっこりの心臓が跳ねる。
「あ、いや。本当に来るか分からないし」
尻すぼみになりながら言うがしっかりとはあはあには伝わった。
「別に来なくてもいいよ。私が来たいから来るだけ」
にしし。と笑いながら言う。
ふとはあはあは、笑ったのは久しぶりだと気が付いた。
明後日、もっこりははあはあに会いたいがためにその場所へ向かい、はあはあは本当にもっこりが約束を守るのかを確かめるためにその場所へ向かった。
ただの口約束――
それでもその約束を守ってくれたもっこりのことをはあはあは信頼し始めた。
この日、もっこりとはあはあは出会った瞬間、おかしくなってお互いに笑い合った。
それから何度か口約束だけで会う日々が続いた。
そんなある日突然に、はあはあがお人好しを始めてみたと言ってきた。
その内容は、身寄りのない鬼侍女三姉妹の母親代わりになるというものだった。
●
「あれからほぼ毎回、彼女らのことを君は話していたな」
昔を懐かしむようにもっこりが言う。
「べっ別にそんなに毎回もは話してないだろ」
少し照れたようにはあはあが言う。
「私が聞きたいのは」
周りから見ているとノロケているようにしか見えないもっこりとはあはあに向かってティーパンが言う。
「雷獄の洞窟への行き方だけなんだが」
「雷獄の洞窟か……聞いたことはあるけど場所までは分からないな……」
はあはあが残念そうに言う。
「やっぱりそう簡単には見つかりそうにありませんね」
助態も残念そうにティーパンに言うが、ティーパンは食い下がらない。
「それならこの世界の住人に見つからないように移動するルートとかは知らないかな? 君は特にこの世界でも異端な存在だろう?」
君と言ってもっこりを見る。
確かに魔界の住人から攻撃される可能性がある堕天使ならば、他の住人から見つからずに移動するルートを知っていてもおかしくない。
「噂じゃ、雨豹の縄張りの近くじゃなかったっけ?」
そういえばという感じではあはあがもっこりに言う。
「雨豹? あんな遠くなのか? それにあそこには何もないだろ?」
もっこりが首を左右にぶんぶん振る。
「だから噂だって言ったでしょ」
「そんな信ぴょう性もない噂を信じるなんて!」
また2人で言い争いが始まりそうだったのを、ティーパンが止める。
「噂でもなんでもいい。今の私たちは藁にも縋る思いなんだ。場所を教えて欲しい」
すると、はあはあともっこりがにこりと笑った。
「教える?」
「そういうわけにはいかないだろ?」
怪しい空気が立ち込め、全員が臨戦態勢をとった。
もふともがはあはあに問う。
はあはあと出会ってから喋り方が助態たちといる時と同じになっていたことに、ヌルヌルはすぐさま気が付いた。
更にさっきのはあはあの言葉も思い出していた。
「好きになるのに理由はない……か――」
そう呟きながらヌルヌルは助態をチラリと見た。
何? なんてキョトンとして問いかけてくる助態に軽く殺意がわく。
その呟きが聞こえたくびちがヌルヌルに、諦めなさい。と言っていた。
「見たところ別の種族だけど?」
本当に知り合いなのか? とティーパンが訝しむ。
「さきほど話していた鬼侍女が彼女です」
もっこりはそう答えてはあはあの傍に駆け寄る。
「さっきの私が影響を受けた人だよ」
はあはあももっこりに駆け寄りながらもふともにそう答えた。
「何してたの?」
つっけんどんにはあはあが聞く。
「別に何もしてない。ただ、集落に人間が居てこの子たちが迷子だから助けてくれって言うからここまで連れてきただけだよ」
この子たちと言ってもっこりは、ちんちんたちを紹介する。
もっこりの言い方もぶっきらぼうなものだった。
「ちんちん! ぱいぱい! まんまん!」
家族同然の鬼侍女三姉妹をはあはあが優しく抱きしめた。
「楽しかったよ」
心配をかけたなんて微塵も思っていない言い方でぱいぱいが言う。
「ちょっとした冒険だったね」
隣でちんちんも笑顔をキラキラさせる。
「大きな音がぐおーって鳴って、いてっ!」
同じく笑顔いっぱいで話すまんまんの頭を、はあはあがげんこつしていた。
「心配させるんじゃないの!」
「心配なんかされなくても平気だもーん!」
「そーだそーだばーか!」
「おにぃー!」
ちんちん、まんまん、ぱいぱいがそれぞれに負け惜しみを言いながら逃げて行った。
「まったく。いつまで経っても子供なんだから」
はあはあがやれやれと首を振る。
「あれが、君が前に言っていた家族同然の娘たちか」
そう言いながらもっこりは、前に聞いていた話を思い出した。
●
何度目かの逢瀬の時だった。
何の前触れもなく唐突にはあはあが言った。
「私もお人好しを始めてみたの」
最初に出会った時は、もっこりは自分の目で外の世界を見たいという好奇心から堕天使の集落を抜け出した。
その時はただの馬鹿だし、他の種族から攻撃されたのは自業自得だと思っていた。
でも次に偶然目撃した時にその考えが変わった。
もっこりは戦闘好きな種族、ラーシュというモンスターの子供を助けていた。
その後助けたはずのモンスターに攻撃をされていたが、その時は自業自得というよりもお人好しに思えた。
その時から理由は分からないが、はあはあの中に、――もっとこの人の様子を見てみたい――という感情が芽生えた。
だからだろう。
「次はいつ頃この辺にくるの?」
自然と言葉が口から出てきた。
「え?」
何を言われたのか分からなかったもっこりが聞き返すのも当然だ。
「だってもう来るなって言ったのにまた来たじゃん。ってことは、またこの辺に来るつもりなんでしょ?」
「そうだなぁ。明後日くらに来ようかなぁ」
空を見上げながらもっこりが何となく答えた。
「ふーん。じゃ、私も明後日にまた来るよ」
「え?」
急に言われてもっこりがはあはあの顔を見る。
「何?」
はあはあがもっこりの方を見る。
互いの目が合う。
――ドキンッ。
もっこりの心臓が跳ねる。
「あ、いや。本当に来るか分からないし」
尻すぼみになりながら言うがしっかりとはあはあには伝わった。
「別に来なくてもいいよ。私が来たいから来るだけ」
にしし。と笑いながら言う。
ふとはあはあは、笑ったのは久しぶりだと気が付いた。
明後日、もっこりははあはあに会いたいがためにその場所へ向かい、はあはあは本当にもっこりが約束を守るのかを確かめるためにその場所へ向かった。
ただの口約束――
それでもその約束を守ってくれたもっこりのことをはあはあは信頼し始めた。
この日、もっこりとはあはあは出会った瞬間、おかしくなってお互いに笑い合った。
それから何度か口約束だけで会う日々が続いた。
そんなある日突然に、はあはあがお人好しを始めてみたと言ってきた。
その内容は、身寄りのない鬼侍女三姉妹の母親代わりになるというものだった。
●
「あれからほぼ毎回、彼女らのことを君は話していたな」
昔を懐かしむようにもっこりが言う。
「べっ別にそんなに毎回もは話してないだろ」
少し照れたようにはあはあが言う。
「私が聞きたいのは」
周りから見ているとノロケているようにしか見えないもっこりとはあはあに向かってティーパンが言う。
「雷獄の洞窟への行き方だけなんだが」
「雷獄の洞窟か……聞いたことはあるけど場所までは分からないな……」
はあはあが残念そうに言う。
「やっぱりそう簡単には見つかりそうにありませんね」
助態も残念そうにティーパンに言うが、ティーパンは食い下がらない。
「それならこの世界の住人に見つからないように移動するルートとかは知らないかな? 君は特にこの世界でも異端な存在だろう?」
君と言ってもっこりを見る。
確かに魔界の住人から攻撃される可能性がある堕天使ならば、他の住人から見つからずに移動するルートを知っていてもおかしくない。
「噂じゃ、雨豹の縄張りの近くじゃなかったっけ?」
そういえばという感じではあはあがもっこりに言う。
「雨豹? あんな遠くなのか? それにあそこには何もないだろ?」
もっこりが首を左右にぶんぶん振る。
「だから噂だって言ったでしょ」
「そんな信ぴょう性もない噂を信じるなんて!」
また2人で言い争いが始まりそうだったのを、ティーパンが止める。
「噂でもなんでもいい。今の私たちは藁にも縋る思いなんだ。場所を教えて欲しい」
すると、はあはあともっこりがにこりと笑った。
「教える?」
「そういうわけにはいかないだろ?」
怪しい空気が立ち込め、全員が臨戦態勢をとった。
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