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第1話モブ中のモブに転生しました!
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「…、っ…この…悪…、魔がぁ…!!」
ごぼっ…、血と共に吐出された嫌悪の言葉は確かに彼の耳を塞ぐ前に届いただろう。数秒後、ごろん…と人の頭だった物が目の前に転がった途端に悲鳴を上げた。狂ったように悲鳴を上げ続けるそいつを抱き上げると俺は走った。重っ…いつの間にこんなに成長したんだ!
「叫ぶな!舌を噛むぞ!」
本音は耳元で叫び続けられると堪らないからだからだ。彼は口元を両手で塞いでブルブルと震えてる。悲鳴が微かに漏れているのは仕方ない。
ああ、コイツは賢い。だって主人公だもんな…と改めて思うが今はそれどころじゃない!
なんでっ、なんでだよ!此処は神殿だ。神殿といえば最も神に近い場所なのに…何で…なんで…
魔物が溢れているんだよぉおおおおおおお!!!!
異世界転生!と呼べば?!
『俺ツェエエエエ!うっひょー!』とか『悪役令嬢だけど逆にギャフン言わせたるわ!おほほほほ』とか『平凡だけど異世界で実は超人な生活してまーす!やりぃ!』が、常に俺のなかにはあった。
そう、俺が異世界に転生した時は、よっしゃー!来たーっ!遂に…遂に、俺の時代だぜエエエエ!と舞い上がったもんだ。
ーーーー鏡を見るまでは!
「え…」
黒髪…さらさら~じゃねぇ!さらさらとは程遠い!剛毛!剛毛!?剛毛ってわかるか?硬いの!ほんっとに硬ぇの!どれくらい硬いか教えてやろうか?短いからか朝起きたら枕が一緒に付いて起きてくるぐらいだよ!
お、可笑しいだろ?なにそのオプション?要らねぇよ!俺の朝の一番は毛のせいで突き刺さった枕を外すことだ!お陰で枕は剣で負傷したようなボロボロ枕になってしまった。かといって枕が無いと布団が穴だらけになるからな…。悲しい。
そして鏡を見て毎度の溜息。男前で溜息なら…ほんっ……とに良かっただけどね?
まず眉毛。うっす~い鉛筆で描いたような毛が、まばらな間隔で生えてる。
そして瞳。青い!おお!っと思った?俺も思った!かっちょええー!
じゃねーよ!!!三白眼!そう!白目部分がほぼ占めて貴重な青が点なんだよ!点?!これじゃせっかくの青も目立たねぇーーー!意味ねぇえええ?!んで、鼻なんか最も点だよ!顔のパーツの中で無いに等しいの!口は小さいのに牙があるんだぜ?笑うと牙が見えて…「コエぇ…」ので笑わないようにしてる。三白眼に牙とか吸血鬼か!ブシャコな吸血鬼!
…異世界転生、全然良くない。
こんなナリなので俺はモブだと直ぐにわかったね。モブでもこの世界には見目が良い奴ら多いのにね…。俺は本当に駄目モブを引いたらしい。同じくモブだろう街の住人が凄いスペック引いたキャラに全員が見えちまう。
せめての身体は普通だったのが良かった。いや身体はバランスが本当に、いいんだよ。…手足は長いし。これで顔が良かったらモデルなれたかもしれないな。顔が…残念だよな、もぉおおおーーーー!
「トバリ、お前に出来るような仕事なら…ああ。神殿の掃除なら仕事あるぜ?」
ほら、と渡された紙から視線を俺はギルドマスターに移す。仕事を斡旋するギルドには普通は戦闘員募集が主なんだが。
「睨むなよ?仕方ないだろ?お前、戦闘スキルが全っっっく無いだから。野ウサギも狩れないとか…。たく、有り得んだろ?」
いや、睨んでねーだけど。そう…本当に俺は戦闘スキルねーのよ…。身体はなんか主人公みたいにバランスいいからさ…これでも戦いはハイスペックかと思いきや、全く出来ません。剣を握るスキルもないから装備さえも出来ないという。ちなみに腕力もない。出来るのは薬草取りとか…?それも薬草の見分け出来るスキルねぇから図鑑を片手に凄く時間かけてやらないとならない。薬草取りで1週間を無駄にしたのは俺ぐらいだろう…しかも取ってきた薬草は使えないものばかりで…ギルドのマスターが『あり得ない…見事にクソ草ばかりだ』と呟いたのを覚えてる。いやいや、酷くねえ?あれでも途中で魔物に出会って死にものぐるいで逃げたんだけどね!そのときに落としたに違いない!たぶん。
なにせ足だけは速い、疾速のトバリとは俺のこと!…逃げ足だけ速いなんて自慢にならないけどな…はぁ…。
「これさ、あんまり金にならないだけど…家賃分にも…」
「あー、なら子守もするか?神殿で募集してたのがあったなぁ!付人なんだけどな!」
確かこっちに~とガサガサと書類を探すギルドマスター。実はけっこう親身になって良い人なんだよなぁ。じ~んと感動しかけて…いやいや、なんなの。異世界転生で掃除と子守ってなに?と情けなくなってきた…。
渡された書類には新しい神官見習いになった幼い子どもの似顔絵とプロフィールが載ってる。おいおい、これ個人情報…いや。この世界には個人情報保護法とかないか。ん?んん?見たことがあるような?
「ホリィパオラ、シリウス…?」
どっかで聞いた…。
あ!こ、これ…もしかして!
『君に輝きを、そして紡ぐ者』の主人公シリウス!!
ぜーったい、そうだ!そうだ!こんな変な名前、忘れねーもん!
うわー!マジか!シリウスの幼少期とか!?まさか、この世界が『キミツムグ(略)』だとは!うわ、マジ感動!
お、俺、映画を観に行ったよ!テレビのアニメシリーズから観てたんだよ!
映画、天女と呼ばれるヒロインと最終的には悲恋に終わるんだよなー!シリウスが彼女を護って死ぬんだよね!泣いた!もー、嘘だろーって映画館で号泣したんだ!最終回を映画に持ってくるから死亡フラグって当時、騒がれたんだよ。死亡は天女と噂があったのに、まさかの主人公が亡くなるとか…好きなキャラだったから凄くショックでさぁ…。
「おーい、なに百面相してんだ?」
ヤバい奴だな…とギルドマスターが依頼書を片付けそうになったので慌てて奪う。
「やります!子守も!清掃も!」
「え?さっきまで嫌そうな顔してたのに?…まぁ低賃金だからしたい奴はめったに居ないから助かるが…付人なら神殿で寝泊まり出来るから良かったな」
にこーっと俺が笑顔なるとマスターは怖いから笑うな!と嫌そうに言う。
ヒドイ!まぁいいや。この仕事ほど俺に向いてるものは無いだろう…だって、さ。シリウスの一番、安全で平和な幼少期だって知ってるからだ!しかも神殿は結界があるから魔物も居ない。そう、超安全地帯なのだ!それにシリウスが過去を振り返るシーンで神殿で幸せに穏やかに生活してたのがある。決定的だよな!成長してあの頃はこんな戦いや心理戦なんて無かった…って言ってたもんな!
そう…一番安全な幼少期に子守して…英雄なったときにヒョコリと俺は現れ…
『貴方がいたから英雄になれました…貴方は恩人です』とかなんとかで老後生活安泰!
よし!待っててね!シリウスちゃーん!
ごぼっ…、血と共に吐出された嫌悪の言葉は確かに彼の耳を塞ぐ前に届いただろう。数秒後、ごろん…と人の頭だった物が目の前に転がった途端に悲鳴を上げた。狂ったように悲鳴を上げ続けるそいつを抱き上げると俺は走った。重っ…いつの間にこんなに成長したんだ!
「叫ぶな!舌を噛むぞ!」
本音は耳元で叫び続けられると堪らないからだからだ。彼は口元を両手で塞いでブルブルと震えてる。悲鳴が微かに漏れているのは仕方ない。
ああ、コイツは賢い。だって主人公だもんな…と改めて思うが今はそれどころじゃない!
なんでっ、なんでだよ!此処は神殿だ。神殿といえば最も神に近い場所なのに…何で…なんで…
魔物が溢れているんだよぉおおおおおおお!!!!
異世界転生!と呼べば?!
『俺ツェエエエエ!うっひょー!』とか『悪役令嬢だけど逆にギャフン言わせたるわ!おほほほほ』とか『平凡だけど異世界で実は超人な生活してまーす!やりぃ!』が、常に俺のなかにはあった。
そう、俺が異世界に転生した時は、よっしゃー!来たーっ!遂に…遂に、俺の時代だぜエエエエ!と舞い上がったもんだ。
ーーーー鏡を見るまでは!
「え…」
黒髪…さらさら~じゃねぇ!さらさらとは程遠い!剛毛!剛毛!?剛毛ってわかるか?硬いの!ほんっとに硬ぇの!どれくらい硬いか教えてやろうか?短いからか朝起きたら枕が一緒に付いて起きてくるぐらいだよ!
お、可笑しいだろ?なにそのオプション?要らねぇよ!俺の朝の一番は毛のせいで突き刺さった枕を外すことだ!お陰で枕は剣で負傷したようなボロボロ枕になってしまった。かといって枕が無いと布団が穴だらけになるからな…。悲しい。
そして鏡を見て毎度の溜息。男前で溜息なら…ほんっ……とに良かっただけどね?
まず眉毛。うっす~い鉛筆で描いたような毛が、まばらな間隔で生えてる。
そして瞳。青い!おお!っと思った?俺も思った!かっちょええー!
じゃねーよ!!!三白眼!そう!白目部分がほぼ占めて貴重な青が点なんだよ!点?!これじゃせっかくの青も目立たねぇーーー!意味ねぇえええ?!んで、鼻なんか最も点だよ!顔のパーツの中で無いに等しいの!口は小さいのに牙があるんだぜ?笑うと牙が見えて…「コエぇ…」ので笑わないようにしてる。三白眼に牙とか吸血鬼か!ブシャコな吸血鬼!
…異世界転生、全然良くない。
こんなナリなので俺はモブだと直ぐにわかったね。モブでもこの世界には見目が良い奴ら多いのにね…。俺は本当に駄目モブを引いたらしい。同じくモブだろう街の住人が凄いスペック引いたキャラに全員が見えちまう。
せめての身体は普通だったのが良かった。いや身体はバランスが本当に、いいんだよ。…手足は長いし。これで顔が良かったらモデルなれたかもしれないな。顔が…残念だよな、もぉおおおーーーー!
「トバリ、お前に出来るような仕事なら…ああ。神殿の掃除なら仕事あるぜ?」
ほら、と渡された紙から視線を俺はギルドマスターに移す。仕事を斡旋するギルドには普通は戦闘員募集が主なんだが。
「睨むなよ?仕方ないだろ?お前、戦闘スキルが全っっっく無いだから。野ウサギも狩れないとか…。たく、有り得んだろ?」
いや、睨んでねーだけど。そう…本当に俺は戦闘スキルねーのよ…。身体はなんか主人公みたいにバランスいいからさ…これでも戦いはハイスペックかと思いきや、全く出来ません。剣を握るスキルもないから装備さえも出来ないという。ちなみに腕力もない。出来るのは薬草取りとか…?それも薬草の見分け出来るスキルねぇから図鑑を片手に凄く時間かけてやらないとならない。薬草取りで1週間を無駄にしたのは俺ぐらいだろう…しかも取ってきた薬草は使えないものばかりで…ギルドのマスターが『あり得ない…見事にクソ草ばかりだ』と呟いたのを覚えてる。いやいや、酷くねえ?あれでも途中で魔物に出会って死にものぐるいで逃げたんだけどね!そのときに落としたに違いない!たぶん。
なにせ足だけは速い、疾速のトバリとは俺のこと!…逃げ足だけ速いなんて自慢にならないけどな…はぁ…。
「これさ、あんまり金にならないだけど…家賃分にも…」
「あー、なら子守もするか?神殿で募集してたのがあったなぁ!付人なんだけどな!」
確かこっちに~とガサガサと書類を探すギルドマスター。実はけっこう親身になって良い人なんだよなぁ。じ~んと感動しかけて…いやいや、なんなの。異世界転生で掃除と子守ってなに?と情けなくなってきた…。
渡された書類には新しい神官見習いになった幼い子どもの似顔絵とプロフィールが載ってる。おいおい、これ個人情報…いや。この世界には個人情報保護法とかないか。ん?んん?見たことがあるような?
「ホリィパオラ、シリウス…?」
どっかで聞いた…。
あ!こ、これ…もしかして!
『君に輝きを、そして紡ぐ者』の主人公シリウス!!
ぜーったい、そうだ!そうだ!こんな変な名前、忘れねーもん!
うわー!マジか!シリウスの幼少期とか!?まさか、この世界が『キミツムグ(略)』だとは!うわ、マジ感動!
お、俺、映画を観に行ったよ!テレビのアニメシリーズから観てたんだよ!
映画、天女と呼ばれるヒロインと最終的には悲恋に終わるんだよなー!シリウスが彼女を護って死ぬんだよね!泣いた!もー、嘘だろーって映画館で号泣したんだ!最終回を映画に持ってくるから死亡フラグって当時、騒がれたんだよ。死亡は天女と噂があったのに、まさかの主人公が亡くなるとか…好きなキャラだったから凄くショックでさぁ…。
「おーい、なに百面相してんだ?」
ヤバい奴だな…とギルドマスターが依頼書を片付けそうになったので慌てて奪う。
「やります!子守も!清掃も!」
「え?さっきまで嫌そうな顔してたのに?…まぁ低賃金だからしたい奴はめったに居ないから助かるが…付人なら神殿で寝泊まり出来るから良かったな」
にこーっと俺が笑顔なるとマスターは怖いから笑うな!と嫌そうに言う。
ヒドイ!まぁいいや。この仕事ほど俺に向いてるものは無いだろう…だって、さ。シリウスの一番、安全で平和な幼少期だって知ってるからだ!しかも神殿は結界があるから魔物も居ない。そう、超安全地帯なのだ!それにシリウスが過去を振り返るシーンで神殿で幸せに穏やかに生活してたのがある。決定的だよな!成長してあの頃はこんな戦いや心理戦なんて無かった…って言ってたもんな!
そう…一番安全な幼少期に子守して…英雄なったときにヒョコリと俺は現れ…
『貴方がいたから英雄になれました…貴方は恩人です』とかなんとかで老後生活安泰!
よし!待っててね!シリウスちゃーん!
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