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第一章
三. 見えてきた手がかり(三)
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昨日までの沙樹は、だれにも胸のうちを話せなくて、迷路に囚われていた。しかし哲哉が道を示してくれたおかげで、明かりの射す場所を見つけられた。
「得能くんに打ち明けて正解だった。もっと早く話しておけばよかったね」
「悩みなんてものは胸に秘めているほど、ろくなことにならないものさ。悪い方悪い方へと考えが進むからな」
「おかげで胸のモヤモヤが減って、少し元気が出てきたみたい」
「それでこそ西田さんだぜ」
だがワタルが口を開かないことには、根本的な解決にならない。
「ワタルさんの行きそうなところ、本当にもう調べ尽くした?」
沙樹はカットしたピザを取り分け、哲哉に渡しながら問いかけた。
「心当たりはすべてね」
「でも見つからなかったんでしょ」
「残念だけど、おれもワタルを理解しきれてなかったってことさ」
「そんなことない。まだ何か見落としてることがあるはずよ。ワタルさんはどこか一か所にいると思うの。昔行って感動した場所とか、子供のときの思い出の場所とか」
「思い出の場所か……」
哲哉は腕組みしてしばらく考えていたが、やがて息を吐くと首を横にふった。
「西田さんの焦る気持ちは解るぜ。でもワタルのことだ。約束通りそのうち帰ってくるって」
「そうかもしれない。だけどあたし、じっとしていられないの」
「つまり、ワタルの居場所が解ったら、会いに行くってことか」
哲哉は真顔になり、沙樹を見返した。「行くよ」と答えると哲哉は深いため息をつく。
「ワタルが戻るまで待つべきじゃないか」
予想外の返答に、沙樹は目を見開いた。
「だれにも知らせてない理由を考えたことあるか? マスコミを避けるのだけが目的なら、大袈裟すぎやしないか」
たしかにここまで徹底して接触を断つなど、尋常なことではない。そうせざるを得なかった理由まで沙樹は考えていなかった。
「おれだって居場所が解ればすぐに連れ戻しに行きたい。でもワタルの不自然な行動を考えたら、本当にそれでいいんだろうか」
哲哉は視線を手元に落とした。
「あいつの性格を考えたら、こんなことを思いつきだけで行動するわけがない。きっとおれたちには言えない特別な理由があるんだよ。裏を返せば、会いに行くことで、ワタルの目的を台無しにしかねないぜ」
「でも得能くんたちだって捜してたでしょ」
「実はずっと迷ってんだ。ワタルを捜すことが正しいのかってね。もし居場所が解っても、少なくともおれは連れ戻しに行かないし、何も訊かない。連絡さえ取れればいいんだ。うちの社長は、行動するのを我慢して、ワタルから連絡が入るのを待っているみたいだぜ」
沙樹がワタルを捜す理由――それは他でもない、ただただ会いたいからだ。その先に別れがあっても受け入れよう。何があってもいい。一日も早くはっきりさせたい。
この想いは自己満足に過ぎないのか。
沙樹は自分の心に問いかける。何が正しくて何が間違っているのかは解らない。ワタルがどんな思いで姿を消したのかも。だが人の気持ちを優先させてばかりでは、一歩も踏み出せない。行き着くところは昨日までの迷い道で、せっかく見えた光を見失うことになる。
同じことの繰り返しは嫌だ。待つだけの日々は過ごしたくない。
沙樹の決意は揺るがない。
「それでもあたし、ワタルさんに会いに行く。ひとりで抱え込んで済ませるつもりかもしれない。でもそのせいで周りに迷惑かけてるのよ。そんなことも解らないで、リーダーっていえる?」
沙樹の真剣な顔を見、哲哉は軽く握った手を口元に当てて破顔した。
「何? あたし、変なこと言った?」
「いや、西田さんって本当にお母さんだな。自分勝手でわがままばかり言ってる子供を叱りに行くみたいだ」
「わがまま言ってる子ってワタルさんのこと?」
「そうだよ」
「あのねー」
同級生に何度も母親呼ばわりされるのも、嬉しいものではない。沙樹は複雑な気持ちを抱いたままワイングラスを手にした。
「ごめん、怒った?」
口では謝りながらも哲哉はまだクスクス笑いをやめない。沙樹がすねたふりをして口を尖らせても効果がなかった。
「いいなあワタルは。ここまで西田さんに思われて。本当に好きなんだっていうのが伝わってきて、こっちが照れちまうよ」
「褒めてる? それともからかってる?」
哲哉は窓の外に視線を向けた。沙樹もつられて外を見る。すっかり日が暮れて、あたりは夜の帳に包まれていた。
「西田さんみたいに真剣に思ってくれる人が、おれにはいない。なのにワタルにはお袋さんが三人もいるようなものか。まったくうらやましい話だよ」
哲哉はそう言うとピザを一口かじった。
サラッと流した哲哉の言葉がひっかかる。沙樹は頭の中で繰り返した。
――お袋さんが……三人いるようなものって?
「得能くん、今、三人のお母さんって言わなかった?」
「言ったよ。ひとりは西田さんだろ、ひとりは……」
哲哉は自分の何気ない言葉に気づき、手をあごに当てて考え始めた。やがて何か閃いたように目を輝かせる。
「そうか、そうだった」
「得能くん、ねえ、どうしたの?」
「解ったよ、西田さん。やっとワタルの居場所が解ったんだ」
「本当? どこなの?」
「まちがいない。今度こそワタルに会えるよ。でもどうしてこんな重要なことを見落としてたんだろう」
☆ ☆ ☆
「再婚?」
沙樹はインスタントのココアをテーブルにおきながら訊き返した。哲哉はうなずくとカップを手前に引き、言葉を選びながら語り始めた。
「デリケートな内容だから、本来ならおれが話すようなことじゃないんだ。でもこういう事態だからワタルも解ってくれるだろう。他言は絶対にだめだぞ。バンドメンバーでも」
哲哉は何度も何度も念を押し、沙樹は同じ回数だけうなずく。ようやく哲哉はココアを一口飲み、ふうと息を吐いた。
「あれはたしか、ワタルが小学二、三年のころだよ。ご両親が離婚して、北島家はワタルと親父さんのふたりだったんだ。それが終わったのはワタルが中学生になった春だっけ。親父さんが再婚したのさ。おばさんは女の子を連れててね。だからあの兄妹は血のつながりがないんだ」
「そんな話、一度も聞いたことなかった」
「おれだってワタルから聞いたわけじゃないぜ。幼なじみだからたまたま知ってるだけで、メンバーだって知らない話さ」
沙樹にだけ黙っていたわけじゃないんだよ、と哲哉が暗に教えてくれた。
「必要もないのにペラペラしゃべるよう内容じゃないからな。でも機会があれば、ワタルは話してくれたさ」
哲哉は、ワタル自身が話すタイミングを計っている件を、自分の口から告げることに躊躇いがあったのだろう。
「じゃあ、ワタルさんは実のお母さんのところにいるかもしれないのね」
「多分な」
「今すぐ電話したいけど、急にかけたら驚くかな。私じゃなくて得能くんがかけるべきね、ここは」
沙樹ははやる気持ちを抑えながらスマートフォンから充電器を外した。ところが対照的に、哲哉はうつむいたまま、人さし指で頬をかいている。
「どうしたの?」
「いや、それが……電話番号どころか、住所や名前も解んなくて」
「えっ?」
「……ごめん」
哲哉は肩をすぼめて頭をさげた。
「おれ、具体的は知らないんだ」
離婚当時哲哉が小学校低学年だったことを考えると、詳しいことを知らなくても責められない。
「初めに断っておくけど、親父さんから聞き出すなんてごめんだね。西田さんも絶対にするなよ」
さすがの沙樹も、ほとんど会ったことのない相手にそこまでする度胸はない。
「ワタルが高校のころまでは、毎年夏休みに行ってたようなんだ。そういえば大学のときも一度行ってるな。土産に地域限定のキーホルダーをもらった」
哲哉は自動車のキーをリュックから取り出し、テーブルの上においた。年季の入ったキーホルダーには県名が書かれていた。
「ここにいるのかな」
やっと見つけたワタルの手がかりは、幻のごとく儚い。手を伸ばしても宙をつかむようで、沙樹はもどかしくてたまらなかった。
「その点なら大丈夫さ。プロになってから帰ってないから、機会があれば行きたいって、つい最近も言ってたぜ」
「本当に?」
「確実な証拠はないぜ。でもおれは確信してるね。今となっては」
哲哉は腕組みをし、自信たっぷりに頷く。沙樹はそれに賭けることにした。
ワタルに会えなくとも、縁のある土地に行ってみたい。今まで知らなかったワタルの一面に、触れることができる。
それだけでもいい。じっとしているなんて沙樹にはできない。ワタルの影が残る街なら、たとえ会えなくても行ってみたい。
ワタルをもっと知りたい。それこそが手がかりに繋がるはずだ。
沙樹はそう信じて疑わなかった。
「得能くんに打ち明けて正解だった。もっと早く話しておけばよかったね」
「悩みなんてものは胸に秘めているほど、ろくなことにならないものさ。悪い方悪い方へと考えが進むからな」
「おかげで胸のモヤモヤが減って、少し元気が出てきたみたい」
「それでこそ西田さんだぜ」
だがワタルが口を開かないことには、根本的な解決にならない。
「ワタルさんの行きそうなところ、本当にもう調べ尽くした?」
沙樹はカットしたピザを取り分け、哲哉に渡しながら問いかけた。
「心当たりはすべてね」
「でも見つからなかったんでしょ」
「残念だけど、おれもワタルを理解しきれてなかったってことさ」
「そんなことない。まだ何か見落としてることがあるはずよ。ワタルさんはどこか一か所にいると思うの。昔行って感動した場所とか、子供のときの思い出の場所とか」
「思い出の場所か……」
哲哉は腕組みしてしばらく考えていたが、やがて息を吐くと首を横にふった。
「西田さんの焦る気持ちは解るぜ。でもワタルのことだ。約束通りそのうち帰ってくるって」
「そうかもしれない。だけどあたし、じっとしていられないの」
「つまり、ワタルの居場所が解ったら、会いに行くってことか」
哲哉は真顔になり、沙樹を見返した。「行くよ」と答えると哲哉は深いため息をつく。
「ワタルが戻るまで待つべきじゃないか」
予想外の返答に、沙樹は目を見開いた。
「だれにも知らせてない理由を考えたことあるか? マスコミを避けるのだけが目的なら、大袈裟すぎやしないか」
たしかにここまで徹底して接触を断つなど、尋常なことではない。そうせざるを得なかった理由まで沙樹は考えていなかった。
「おれだって居場所が解ればすぐに連れ戻しに行きたい。でもワタルの不自然な行動を考えたら、本当にそれでいいんだろうか」
哲哉は視線を手元に落とした。
「あいつの性格を考えたら、こんなことを思いつきだけで行動するわけがない。きっとおれたちには言えない特別な理由があるんだよ。裏を返せば、会いに行くことで、ワタルの目的を台無しにしかねないぜ」
「でも得能くんたちだって捜してたでしょ」
「実はずっと迷ってんだ。ワタルを捜すことが正しいのかってね。もし居場所が解っても、少なくともおれは連れ戻しに行かないし、何も訊かない。連絡さえ取れればいいんだ。うちの社長は、行動するのを我慢して、ワタルから連絡が入るのを待っているみたいだぜ」
沙樹がワタルを捜す理由――それは他でもない、ただただ会いたいからだ。その先に別れがあっても受け入れよう。何があってもいい。一日も早くはっきりさせたい。
この想いは自己満足に過ぎないのか。
沙樹は自分の心に問いかける。何が正しくて何が間違っているのかは解らない。ワタルがどんな思いで姿を消したのかも。だが人の気持ちを優先させてばかりでは、一歩も踏み出せない。行き着くところは昨日までの迷い道で、せっかく見えた光を見失うことになる。
同じことの繰り返しは嫌だ。待つだけの日々は過ごしたくない。
沙樹の決意は揺るがない。
「それでもあたし、ワタルさんに会いに行く。ひとりで抱え込んで済ませるつもりかもしれない。でもそのせいで周りに迷惑かけてるのよ。そんなことも解らないで、リーダーっていえる?」
沙樹の真剣な顔を見、哲哉は軽く握った手を口元に当てて破顔した。
「何? あたし、変なこと言った?」
「いや、西田さんって本当にお母さんだな。自分勝手でわがままばかり言ってる子供を叱りに行くみたいだ」
「わがまま言ってる子ってワタルさんのこと?」
「そうだよ」
「あのねー」
同級生に何度も母親呼ばわりされるのも、嬉しいものではない。沙樹は複雑な気持ちを抱いたままワイングラスを手にした。
「ごめん、怒った?」
口では謝りながらも哲哉はまだクスクス笑いをやめない。沙樹がすねたふりをして口を尖らせても効果がなかった。
「いいなあワタルは。ここまで西田さんに思われて。本当に好きなんだっていうのが伝わってきて、こっちが照れちまうよ」
「褒めてる? それともからかってる?」
哲哉は窓の外に視線を向けた。沙樹もつられて外を見る。すっかり日が暮れて、あたりは夜の帳に包まれていた。
「西田さんみたいに真剣に思ってくれる人が、おれにはいない。なのにワタルにはお袋さんが三人もいるようなものか。まったくうらやましい話だよ」
哲哉はそう言うとピザを一口かじった。
サラッと流した哲哉の言葉がひっかかる。沙樹は頭の中で繰り返した。
――お袋さんが……三人いるようなものって?
「得能くん、今、三人のお母さんって言わなかった?」
「言ったよ。ひとりは西田さんだろ、ひとりは……」
哲哉は自分の何気ない言葉に気づき、手をあごに当てて考え始めた。やがて何か閃いたように目を輝かせる。
「そうか、そうだった」
「得能くん、ねえ、どうしたの?」
「解ったよ、西田さん。やっとワタルの居場所が解ったんだ」
「本当? どこなの?」
「まちがいない。今度こそワタルに会えるよ。でもどうしてこんな重要なことを見落としてたんだろう」
☆ ☆ ☆
「再婚?」
沙樹はインスタントのココアをテーブルにおきながら訊き返した。哲哉はうなずくとカップを手前に引き、言葉を選びながら語り始めた。
「デリケートな内容だから、本来ならおれが話すようなことじゃないんだ。でもこういう事態だからワタルも解ってくれるだろう。他言は絶対にだめだぞ。バンドメンバーでも」
哲哉は何度も何度も念を押し、沙樹は同じ回数だけうなずく。ようやく哲哉はココアを一口飲み、ふうと息を吐いた。
「あれはたしか、ワタルが小学二、三年のころだよ。ご両親が離婚して、北島家はワタルと親父さんのふたりだったんだ。それが終わったのはワタルが中学生になった春だっけ。親父さんが再婚したのさ。おばさんは女の子を連れててね。だからあの兄妹は血のつながりがないんだ」
「そんな話、一度も聞いたことなかった」
「おれだってワタルから聞いたわけじゃないぜ。幼なじみだからたまたま知ってるだけで、メンバーだって知らない話さ」
沙樹にだけ黙っていたわけじゃないんだよ、と哲哉が暗に教えてくれた。
「必要もないのにペラペラしゃべるよう内容じゃないからな。でも機会があれば、ワタルは話してくれたさ」
哲哉は、ワタル自身が話すタイミングを計っている件を、自分の口から告げることに躊躇いがあったのだろう。
「じゃあ、ワタルさんは実のお母さんのところにいるかもしれないのね」
「多分な」
「今すぐ電話したいけど、急にかけたら驚くかな。私じゃなくて得能くんがかけるべきね、ここは」
沙樹ははやる気持ちを抑えながらスマートフォンから充電器を外した。ところが対照的に、哲哉はうつむいたまま、人さし指で頬をかいている。
「どうしたの?」
「いや、それが……電話番号どころか、住所や名前も解んなくて」
「えっ?」
「……ごめん」
哲哉は肩をすぼめて頭をさげた。
「おれ、具体的は知らないんだ」
離婚当時哲哉が小学校低学年だったことを考えると、詳しいことを知らなくても責められない。
「初めに断っておくけど、親父さんから聞き出すなんてごめんだね。西田さんも絶対にするなよ」
さすがの沙樹も、ほとんど会ったことのない相手にそこまでする度胸はない。
「ワタルが高校のころまでは、毎年夏休みに行ってたようなんだ。そういえば大学のときも一度行ってるな。土産に地域限定のキーホルダーをもらった」
哲哉は自動車のキーをリュックから取り出し、テーブルの上においた。年季の入ったキーホルダーには県名が書かれていた。
「ここにいるのかな」
やっと見つけたワタルの手がかりは、幻のごとく儚い。手を伸ばしても宙をつかむようで、沙樹はもどかしくてたまらなかった。
「その点なら大丈夫さ。プロになってから帰ってないから、機会があれば行きたいって、つい最近も言ってたぜ」
「本当に?」
「確実な証拠はないぜ。でもおれは確信してるね。今となっては」
哲哉は腕組みをし、自信たっぷりに頷く。沙樹はそれに賭けることにした。
ワタルに会えなくとも、縁のある土地に行ってみたい。今まで知らなかったワタルの一面に、触れることができる。
それだけでもいい。じっとしているなんて沙樹にはできない。ワタルの影が残る街なら、たとえ会えなくても行ってみたい。
ワタルをもっと知りたい。それこそが手がかりに繋がるはずだ。
沙樹はそう信じて疑わなかった。
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