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29、物置きのこと

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物置きを漁る回です。
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 早く外を見たい、とねだられ、私たちはとりあえずの仕分けを終えた書物を置いて、物置きに手を付けることにした。とかくごちゃごちゃ物が詰め込まれていて危ないので、まずは全てを安全に部屋の外へ出す作業からだ。

 コンラッド様と私で安全そうな所から崩していき、出した物は一旦全て弟妹様たちに運んでもらう。ちょうど床の空いた書庫を使うことにした。

「うわ。これ魔導具じゃないか?」

「えっどれ……わぁほんと……え、気を付けてくださいねどこで作動するか分かりませんよ」

「おう」

 魔導具用の回路が走っているよく分からん物体とかが普通に出てくる。こわい。
 これもしかして作りかけなんじゃないか? 書庫にも小難しげな書籍が多かった。研究者が住んでたんじゃないかなここ……。

「これ、シシリー卿に見せたら喜ぶかな」

「喜びそうですねぇ」

「なんか持ち出せそうなのあったら見せてあげよう」

「そうですね、小振りな物が見つかれば」

 慎重に物を運び出し、迂闊な扱いが出来ない物を除いて弟妹様たちに運搬してもらう。魔導具(仮)は結構な数があり、リビングがだいぶ埋まってしまった。これ……なんだ? 精査してもう1回ここに戻すのか……? ちょっと救出までにやり遂げられるか不安になってきた。

「お。見ろこれ、空調の魔導具」

「おお! それは使えそうですね」

 大量にあるゴミと謎物体の中でたまーに分かる物があると嬉しい。みんなでひとしきり喜び眺めて別途選り分けておく。

「これ、ここの人が作ったのかな」

「そのように見えますね」

「凄い人だったんだな」

「掃除は苦手らしいですけどね」

 違いない、と笑うコンラッド様は、なんだか遠くを見るように、分からない、と分類された物たちを見た。魔導具作りも楽しそうにしていたし、ひょっとしたらそういう、工作とか設計とかのが好きなのだろうか。普段雑務は全部私が片付けてしまっていたから気が付かなかった。

「あとで詳しく見てみましょうね」

「えっ、あ、うん。……いや、他にやることあるだろ」

「少しくらい構いませんよ。気になるでしょう」

「……うん」

「ふふ」

 どうせ、どうせここには親も親族も教師もいない。ちょっとくらい子供らしくしたって隙にはならないし、私はその方が嬉しい。
 いや、もちろん公爵家の跡取りとしていつでも最低限は整っていなければと思うけど。

「よし! 頑張る!」

「はい」

 嬉しそうに作業を再開したコンラッド様の背を見ながら、私も目の前に積み上がるパズルのような物たちを崩しにかかる。
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