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27、読書のこと
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書庫(暫定)を整理する回です。
コンラッドは曲がりなりにも高位貴族なので主要大国の言語なら簡単な読み書き発話が出来るし、主人公はそれに付き合って(出生国の公用語含む)複数言語を学習済み。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんとか証拠隠滅を済ませたあと、弟妹様たちが起きて来たので作業を再開。正直めちゃくちゃ疲れたし眠いが、掃除だけは早く済ませてきれいな場所で生活したいのでコンラッド様にも頑張ってもらうことにした。ある意味2人とも自業自得なので仕方ない。
「……クロード、コレ何語だ」
「あー……プロフェート語に似てますかね……?」
「じゃあこっちか。頑張ればいけるだろ」
「いやこれ古語じゃないです……? 持ってきた辞書でいけますかね……」
物置きらしき部屋は物が多すぎて危なそうだったので後回しとし、現在おそらく書庫であろう部屋の物たちを仕分けている。私とコンラッド様は端から順に『読める』『読めない』『ゴミ』を分別する係だ。
「このへんは全部ぼろぼろで読めませんね」
「ここ全部持って行って良いの?」
「はい、お願いします」
そして弟妹様たちは分類した物をそれぞれ分けて集める係。一旦置き場所と仮定した部屋の隅には、すでに小さな山が出来つつある。
この塔の先住民は随分と読書家だったらしい。あるいは収集癖でもあったのだろう。部屋の広さ自体はそれなりのはずなのに、棚や床にずらっと積まれた本や書類たちは凄まじく多い。ぱらっと目を通した読める本だけでも、普通の大衆小説から難しげな論文、あるいは有名な外国語の詩集まで選り取りみどりだ。ついでに使用言語もばらばら。
「あ、これ読んだことある」
「随分な乱読家だったんですね、ここの人は」
「それか、何人もいたんだな。図書館みたいなとこだったかも」
「なるほど……」
相変わらずここがどこなのかの手掛かりは出てこない。仕事の書類の1つも見つかれば分かりやすくて助かるのだけど、それらしきものは今の所見当たらなかった。
ぱらぱらといくらかページを捲っては、仕分けて次の本へ。私とコンラッド様の取得言語はある程度似通っているので、別々に作業をしても漏れができることはないだろう。分からなければさっきみたいに尋ねれば良いし。
なおこれは余談だが、私に所謂言語チートは無い。私は未だに日本語が母国語だし、ブロンデル皇国の公用語は英語寄りの異界語だ。自我を回復した初っ端で軽く絶望したのは記憶に新しい。何がなんでもコンラッド様と同時期に喋れるようにならねばと必死になり、人間死ぬ気でやれば意外と出来るものだと知った。今では主要大国の母語も含めて立派なマルチリンガルである。……わりと真剣に知恵熱で死ぬかと思った。
「あ。これは昔話の本ですよ」
「ほんと?」
「見たいー」
児童文学集を見つけて、ちょうど近くにいたジェーンお嬢様へ手渡す。今日の寝かし付けはこれを使おうかな。
この埃だらけの部屋に掃除機掛けたら気持ち良いだろうな……。いや、魔力制御の関係で『掃除機』なる魔導具はこの世に存在しない。あったとして私にはそんな燃費の悪い魔術は使えない気がするので、そういう妄想をしながら、船を漕ぎそうになるのを堪えつつ仕分けを続ける。
「コンラッド様、アマル語読めます?」
「んん……聞き取りなら多少は……」
「一応読めるにしておきますね」
なんでこんなに多言語が入り乱れているのか分からないが、少なくともしばらく退屈はしなさそうだということが分かった。手掛かりのために目を通すだけだとしても、かなりの分量かつ読解の手間がある。2人ともが言語を特定出来ない本は『読めない』に分類しているので、実際ここには世界中の言語が集まっていると見て間違いないだろう。
「……読めないやつは焚き付けにするか」
「良いですね。燃料の節約です」
だんだんと言語野が混乱してきた私たちは、八つ当たりのようにそんなことを話しつつ、なんとか大まかな分類をやり遂げた。
コンラッドは曲がりなりにも高位貴族なので主要大国の言語なら簡単な読み書き発話が出来るし、主人公はそれに付き合って(出生国の公用語含む)複数言語を学習済み。
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なんとか証拠隠滅を済ませたあと、弟妹様たちが起きて来たので作業を再開。正直めちゃくちゃ疲れたし眠いが、掃除だけは早く済ませてきれいな場所で生活したいのでコンラッド様にも頑張ってもらうことにした。ある意味2人とも自業自得なので仕方ない。
「……クロード、コレ何語だ」
「あー……プロフェート語に似てますかね……?」
「じゃあこっちか。頑張ればいけるだろ」
「いやこれ古語じゃないです……? 持ってきた辞書でいけますかね……」
物置きらしき部屋は物が多すぎて危なそうだったので後回しとし、現在おそらく書庫であろう部屋の物たちを仕分けている。私とコンラッド様は端から順に『読める』『読めない』『ゴミ』を分別する係だ。
「このへんは全部ぼろぼろで読めませんね」
「ここ全部持って行って良いの?」
「はい、お願いします」
そして弟妹様たちは分類した物をそれぞれ分けて集める係。一旦置き場所と仮定した部屋の隅には、すでに小さな山が出来つつある。
この塔の先住民は随分と読書家だったらしい。あるいは収集癖でもあったのだろう。部屋の広さ自体はそれなりのはずなのに、棚や床にずらっと積まれた本や書類たちは凄まじく多い。ぱらっと目を通した読める本だけでも、普通の大衆小説から難しげな論文、あるいは有名な外国語の詩集まで選り取りみどりだ。ついでに使用言語もばらばら。
「あ、これ読んだことある」
「随分な乱読家だったんですね、ここの人は」
「それか、何人もいたんだな。図書館みたいなとこだったかも」
「なるほど……」
相変わらずここがどこなのかの手掛かりは出てこない。仕事の書類の1つも見つかれば分かりやすくて助かるのだけど、それらしきものは今の所見当たらなかった。
ぱらぱらといくらかページを捲っては、仕分けて次の本へ。私とコンラッド様の取得言語はある程度似通っているので、別々に作業をしても漏れができることはないだろう。分からなければさっきみたいに尋ねれば良いし。
なおこれは余談だが、私に所謂言語チートは無い。私は未だに日本語が母国語だし、ブロンデル皇国の公用語は英語寄りの異界語だ。自我を回復した初っ端で軽く絶望したのは記憶に新しい。何がなんでもコンラッド様と同時期に喋れるようにならねばと必死になり、人間死ぬ気でやれば意外と出来るものだと知った。今では主要大国の母語も含めて立派なマルチリンガルである。……わりと真剣に知恵熱で死ぬかと思った。
「あ。これは昔話の本ですよ」
「ほんと?」
「見たいー」
児童文学集を見つけて、ちょうど近くにいたジェーンお嬢様へ手渡す。今日の寝かし付けはこれを使おうかな。
この埃だらけの部屋に掃除機掛けたら気持ち良いだろうな……。いや、魔力制御の関係で『掃除機』なる魔導具はこの世に存在しない。あったとして私にはそんな燃費の悪い魔術は使えない気がするので、そういう妄想をしながら、船を漕ぎそうになるのを堪えつつ仕分けを続ける。
「コンラッド様、アマル語読めます?」
「んん……聞き取りなら多少は……」
「一応読めるにしておきますね」
なんでこんなに多言語が入り乱れているのか分からないが、少なくともしばらく退屈はしなさそうだということが分かった。手掛かりのために目を通すだけだとしても、かなりの分量かつ読解の手間がある。2人ともが言語を特定出来ない本は『読めない』に分類しているので、実際ここには世界中の言語が集まっていると見て間違いないだろう。
「……読めないやつは焚き付けにするか」
「良いですね。燃料の節約です」
だんだんと言語野が混乱してきた私たちは、八つ当たりのようにそんなことを話しつつ、なんとか大まかな分類をやり遂げた。
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