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VSサトリの妖怪
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サトリの妖怪。
人の心を読み、恐怖した所で殺して喰らう妖怪だ。
「まぁ、なんとなくね。なんとなく君が、まるで俺の考えを読んでいるような受け答えをしていたから、そう思っただけだよ」
「……やはり、人間は厄介。心が読めても、こっちの意表をついてくる」
「それが有名な君たちの攻略法だからね」
「どこまで、計算だったの? どこまで私を倒すための計画だったの?」
「さぁてね(まぁ、完全に当てずっぽうなわけだけどね)」
「――――こ、この! だましたのね!」
「ん? あれ? 体が大きく、もしかして本性を現したら、滅茶苦茶デカくなるパターンの妖怪?」
「黙れ! お前、殺す」
人型の巨人。 その姿は、まさに怪物。
打撃? 腕を真っすぐに伸ばして殴りかかってくる。
(人型だからだろうか? どんなに不規則な動きでも――――やり易い)
「こ、この! この後におよんで人間如きが!」
(ん? あぁ、俺の思考を読んでいるのか? ごめんよ、格下に見てしまって)
「なめるな!」
(蹴り……流石に速いけど、撃った後に隙が大きい。まぁ、その隙は狙わないけどね)
「むっ!」と蹴りの打ち終わりを狙われると読んでいたサトリ。
読みが外れて、動きが止まる。
「それじゃ行くよ」と翔は、普通に歩いて間合いを縮める。
僅かに身を屈めると、サトリの膝に打撃――――フックを打ち込む。
左右の二連撃。 関節部分という人体の弱点。
シンプルな激痛がサトリを襲う。 それは立っている事すら困難だ。
「やっぱり、やり易いね。『概念』とか心を読むくらいの能力なら、シンプルな打撃戦なら――――考えるよりも早く体が動くから」
そんなはずはない。
シンプルな打撃戦で攻撃が読まれる。そのアドバンテージは、どこまでも果てなく大きなもののはずだが……
(そんなのは関係ない。相手の動きに合わせて、こっちは自動的に反応して打つだけだ!)
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
その後、僅かな時間。 サトリは敗北を認めていた。
例え妖怪とは言え、敗北を認識して許しをこう。
「勝ったのはいいけど、どうするかな? 攫われた人間とか――――」
だが、敗北を決してもサトリは妖怪であった。
戦いの決着後でありながらも明確な隙を見せた翔に襲い掛かり――――
カウンター一閃
逆に翔の拳を叩き込まれたサトリ。 その想いは――――
(やはり……ニンゲン、……心にない…動きを行う……)
サトリの意識があるのは、そこまでだった。
「見事だ。まさか、人間の身で妖怪を倒すか」
「……誰?」と空を見上げる翔。 空中には天狗が舞っていた。
「新手の妖怪? まいったなぁ、俺はみんなが思っているよりも喧嘩すきじゃないんだけどなぁ」
「ほっほっほ……愉快! 山の神と言われたワシと喧嘩を所望か?」
「いや、喧嘩は好きじゃ……まぁいいけど」
「残念、残念。そちらの同行者と約束しておってな。見つけたら連れて帰ると」
「同行者? あかりの事か」
「ほう、人妖の神が名を呼ぶことを許すほど近しい人間か、これは珍しい」
「いや……あかりは彼女なんで」
翔の言葉に天狗は大きな目玉を、さらに大きくして驚いてみせた。
「まさか、寵愛を受ける人間がおるとは……」
人の心を読み、恐怖した所で殺して喰らう妖怪だ。
「まぁ、なんとなくね。なんとなく君が、まるで俺の考えを読んでいるような受け答えをしていたから、そう思っただけだよ」
「……やはり、人間は厄介。心が読めても、こっちの意表をついてくる」
「それが有名な君たちの攻略法だからね」
「どこまで、計算だったの? どこまで私を倒すための計画だったの?」
「さぁてね(まぁ、完全に当てずっぽうなわけだけどね)」
「――――こ、この! だましたのね!」
「ん? あれ? 体が大きく、もしかして本性を現したら、滅茶苦茶デカくなるパターンの妖怪?」
「黙れ! お前、殺す」
人型の巨人。 その姿は、まさに怪物。
打撃? 腕を真っすぐに伸ばして殴りかかってくる。
(人型だからだろうか? どんなに不規則な動きでも――――やり易い)
「こ、この! この後におよんで人間如きが!」
(ん? あぁ、俺の思考を読んでいるのか? ごめんよ、格下に見てしまって)
「なめるな!」
(蹴り……流石に速いけど、撃った後に隙が大きい。まぁ、その隙は狙わないけどね)
「むっ!」と蹴りの打ち終わりを狙われると読んでいたサトリ。
読みが外れて、動きが止まる。
「それじゃ行くよ」と翔は、普通に歩いて間合いを縮める。
僅かに身を屈めると、サトリの膝に打撃――――フックを打ち込む。
左右の二連撃。 関節部分という人体の弱点。
シンプルな激痛がサトリを襲う。 それは立っている事すら困難だ。
「やっぱり、やり易いね。『概念』とか心を読むくらいの能力なら、シンプルな打撃戦なら――――考えるよりも早く体が動くから」
そんなはずはない。
シンプルな打撃戦で攻撃が読まれる。そのアドバンテージは、どこまでも果てなく大きなもののはずだが……
(そんなのは関係ない。相手の動きに合わせて、こっちは自動的に反応して打つだけだ!)
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
その後、僅かな時間。 サトリは敗北を認めていた。
例え妖怪とは言え、敗北を認識して許しをこう。
「勝ったのはいいけど、どうするかな? 攫われた人間とか――――」
だが、敗北を決してもサトリは妖怪であった。
戦いの決着後でありながらも明確な隙を見せた翔に襲い掛かり――――
カウンター一閃
逆に翔の拳を叩き込まれたサトリ。 その想いは――――
(やはり……ニンゲン、……心にない…動きを行う……)
サトリの意識があるのは、そこまでだった。
「見事だ。まさか、人間の身で妖怪を倒すか」
「……誰?」と空を見上げる翔。 空中には天狗が舞っていた。
「新手の妖怪? まいったなぁ、俺はみんなが思っているよりも喧嘩すきじゃないんだけどなぁ」
「ほっほっほ……愉快! 山の神と言われたワシと喧嘩を所望か?」
「いや、喧嘩は好きじゃ……まぁいいけど」
「残念、残念。そちらの同行者と約束しておってな。見つけたら連れて帰ると」
「同行者? あかりの事か」
「ほう、人妖の神が名を呼ぶことを許すほど近しい人間か、これは珍しい」
「いや……あかりは彼女なんで」
翔の言葉に天狗は大きな目玉を、さらに大きくして驚いてみせた。
「まさか、寵愛を受ける人間がおるとは……」
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