金髪紅眼の後輩が彼女になりました!(ただし、彼女の正体は地上最強の人妖とする)

チョーカ-

文字の大きさ
上 下
28 / 35

あかり対天狗

しおりを挟む
「天狗!? 実在していたのか! ――――っ、まずいなぁ」

(妖怪で言ったら超がつくほどの有名。たぶん、あかりの正体である妖狐以上の知名度……この戦いが『概念』と『概念』のぶつかり合いなら……)

 そんな翔の考えとは無関係にあかりと天狗の戦いは続いて行く。

「速い……この速度は、私――――いや、わっちよりも上か」

「――――」

「ふん! 誇りもせぬか。可愛げのない奴め! 燃えろ狐火」

「――――天狗火」

「むっ!? わっちの火にぶつけて相殺した。いや、自分のスピードを生かすために灯りを狙ったのじゃな!」

 無音。 そして、視界は殺された。

 しかし、それは互いに同じ条件。

(……天狗は夜に活動するなんて話も聞くが、この闇を利用する戦術、戦法なんぞ聞いた事もない……はずじゃが、さて)

 ――――その直後だ。

「むっ? 地震? ――――いや、『天狗の揺さぶり』ってやつか!」

『天狗の揺さぶり』

 人を驚かせるために、深夜に建物を揺さぶるという天狗の話だが、今宵揺さぶられたのは自然の大地。

 その自然をも操る天狗の力に人妖の神と言われたあかりですら、明確な隙を作らされた。

「狐の妖怪。その命、いただく」

「速い! いや、速すぎる!?」

「かまいたち」

「くっ!? 回避が間に合わな――――」


 その斬撃。

 風から生み出された剣撃は吸い込まれていくようにあかりへ、何度も撃ちこまれていく。

「まぁ、回避が間に合わなければ、防御を固めれば良いだけの話じゃがな」

「おぉ、怪物か? 我が斬撃を受けて平然と歩いている」

「ふん、見た目ほど平然としているつもりはないのじゃがな」

「なぜ……」

「ん? なんじゃ? 言いたい事があればハッキリと言わばよかろう?」

「なぜ、それほどの力を有しながら、村人を攫う?」

「――――ん? それは、お主ではないのか?」

「……我は守護者。山の神を信仰する者は、妖怪も人も守護する者」

「はん、何を偉そうに言う。わっち等を人さらいと勘違いしたのであろう?」

「まだ、貴様らが無罪だとは思っておらんが――――どうやら、新しい事件が発生したようだな」

「? 何を言っておる?」

「やれやれ、呑気だ。 貴様も同行者が神隠しに会った事に気づきもせぬか?」

「……翔先輩?」

 あかりは、自身の恋人がいるはずの方角を凝視する。だが――――

「い、いません? 先輩、隠れてないで出てきてください……先輩? 先輩!?」

「その動揺。ただの同行者ではなかったのか?」

「うるせぇ! 天狗野郎がっ!」

「なっ――――」

「あの人は、私の婚約者なんだよ! お前と、お前なんとか遊んでいる隙に、連れて……連れて……連れて……許さない。先輩を連れ去った存在……例え神仏の存在だとしても、ぶっ殺すと意識した」

「それほどの相手か。 よかろう、こちらも落ち度があった。手伝ってやろう」

「あん? 手伝ってじゃねぇんだよ!? てめぇ! こき使ってやるわ!」

「……」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

「っ――――ここは? 痛っ! たしか、あかりが戦っている間、誰かに後ろから殴られたんだ」

「気がついた? お兄さん?」

「君は、けあきちゃん? どうしてこんな事を?」

「うん、けあき」

「ん?」

「貴方が、最初に私を見てけあきって人に似ていると思った。だから、私はけあきになった」

「何を言ってるんだ? 意味がわからないよ」

「貴方が似てると思った。だから――――私の『概念』は強化された。そういう能力」

「君は――――けあきじゃないのか?」

「うん、お兄さん。私がなんだかわかる?」

「そうだな。もう少しヒントをくれないかな?」

「だめ、それは時間稼ぎだから」

「簡単にバレたか。そう、あかりが助けに来るまでの時間稼ぎだよ」

「……? お兄さん、変に正直なのね」

「――――」

「あぁ、なるほど。いろいろ考えているのね。例えば――――」

「君が俺の心を読めるか? なんてね」

「お兄さん? 貴方は何者なの?」

「俺? 俺は人間だよ。ただ恋人が人妖の神なんて言われていてね。一緒にいようとするだけでも大変なんだよ」

「それは、普通であると言う事、日常ってのを捨てないとダメなくらい大変なの?」

「そりゃ、そのくらい当たり前だよ。恋愛なんだから」

「驚いたわ。人間と妖怪がつがいになる。そんな事を夢見る人間がいるなんて……」

「夢を見てるんじゃないよ。夢を叶えようとしてるんだよ」

「私は驚いてばかりね。貴方の思考――――人間を学ぶためのはずが、私の心を蝕む毒になっていく」

「そうかい……大変だね。 サトリの妖怪ってのは」

「どうして、それを?」とけあき――――否。 けあきのフリをしていた妖怪は驚きを露わにした。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...