金髪紅眼の後輩が彼女になりました!(ただし、彼女の正体は地上最強の人妖とする)

チョーカ-

文字の大きさ
上 下
23 / 35

暴走幽霊トラック

しおりを挟む
「私は、こう考える時があります、正道 翔くん」

「はい?」

 櫛橋さゆりことリリィの言葉に翔は首を傾げる。その様子にリリィは満足げに――――

「県庁所在地の駅、通勤時の満員列車を見ながら、この中で何人が人を殺した経験があるのでしょうか……なんてね?」

「それは悪趣味と言うか悪癖だよ」

「ふっ……そうですね。でもまぁ、現役の殺人鬼は1人2人は当たり前に乗ってるでしょうね」

「……(なんて言うか、危うい感じがする、この子)」

「今回の事件は、そういう事です。日常に紛れて、大量に存在している物。そこに人は気づかない怪物が潜んでいるという事です」

「いや、良い感じに話をまとめようとするな。問題解決は、これからだろ。……それにしても」

「おやおや、翔くんもコイツがお好きですか?」

「まぁ、平凡な高校生程度には好きだよ。でもまぁ……」

(これをバイクと呼んで良いのだろうか?)

 リリィが用意したのはバイクだった。 しかし、そのバイクを一言で表現するなら『異形』

「タイヤ、ぶっ太い! バットマンのバイクみたいだ」

「ふふ~ん! 当然パンクしない仕様のタイヤですよ」

「ところで……これ、エンジンは400じゃないよね? 1000とか大型バイクって免許取れたけ?」

「……」

「お前、まさか……無免許なんじゃ……」

「翔くん? 私たちは、これから現代の怪物退治に出かけるのですよ? 法律? なにそれ? 美味しいですか?」

「いや、それは流石に――――」

「いいから、後ろに乗れ。これはお願いじゃなくて命令だぞ?」

「――――っ! わかった。わかったから、その銃を俺に額に突き付けないでくれ」

「まぁ、心配しなくても、霊的な特別カスタマイズしているだけでエンジン自体は怪物仕様ではなく、普通の400ccなんですけどね」

「う~ん(この見た目、エンジンとか免許の問題じゃなくても交通法に触れそうな気がするんだけど……)」

「そんな事よりも早く後ろに乗ってください! ハリーアップ! トゥナイトはベリーショートね! モンスターハントもタイムをオーバーするね!」

「急にキャラ設定を思い出したかのように英語を混ぜるなよ」

「ノンノンノン、これは私のメンタルを強化するためのルーチンね。モンスター退治はメンタルにライト&レフトされるのデース」

「左右されるって英語でライフ&レフトって言う? 本当に言う?」

「OK、乗りましたね。それじゃレッツゴー! スロットを回し、クラッチを繋げ、ローからセカンド……」

「うおぉ、爆音が! 本当に動き出した」

「しっかり、バックからホールドミーね! 振り落とされても――――」

「おい、リリィ?」

「いたわ。どうやら、バカでかい排気量に釣られるって予想は正解だったみたいね。バッドボーイズの運転に巻き込まれて死亡した運転手の亡霊かもしれないわね」

「おい、後ろを走ってるトラック。あれはそうだって言うのか? 少し前から普通に走っていたぞ」

「イグザクトリ! だから言ったでしょ? 日常に溶け込んでるタイプの悪霊は、感知すること自体が困難だって」

「――――いや、言ってない。一瞬、考えたけど、似たような事を言ってただけだ」

「あら、そうですか? ソーリーね。 でも、ノープログラム! 私のカンは、よく当たる!」

「一体、どこから銃を? 本当に、どこに隠してるの? それ?」

「急加速した距離を稼ぎ、ターンした瞬間――――コイツでショット&ファイアを狙う!」

「ちょ! 痛っ――――舌を噛んだ」

「翔くん、注意してくださいね。舌を噛みます」

「……(どうして、もう少し早く言ってくれないかな?)」

「こう距離を取って――――レッツダンス」

「くっ――――(こ、高速走行で蛇行を始めて、安定しない状態で銃を――――)」

「行きますよ。すれ違う瞬間に――――ショット&ファイア!」

「やったか!」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

「ふざけるな! ふざけるな! ふざけるな! 」 

(何度、怨みを声を出しか? もうわからない)

「ふざけるな! ブチ殺してやる!」

(何度、事故を誘発させたかわからない。 いつ、自分が生まれたのか? 自分が何者だったのか――――いや、違う)

「俺は生まれた時には悪霊だった。 しかし、その前は確かに人間だった。 だから――――」

(憎い! 憎い! 憎い! 死ね、人間ども! 全ての人よ!)

「そうか……俺には家族が……愛する者がいたんだな。 だから――――」

「(全ての人間を轢き殺さないと!)」

 幽霊トラック。 その運転手は怨嗟の言葉を吐く。

 自身の存在を知覚してから、無限の如く繰り返してきた自己確認。

 それが今宵――――

 銃声にかき消された。

「ヒット! 運転席を吹っ飛ばしてやりました!」

「お前、それ……ゴム弾じゃなくて実弾?」

「YES ゴム弾ではモンスター退治はできないね」

「じゅ、銃刀法違反」

「まぁ心配しなくても、ここだけの話ですが、悪霊を祓うなら特別な許可をいろいろ貰っているので大丈夫、大丈夫」

「本当かよ……それに、あんまり効果はないみたいだぞ」

「え? リアリィ!? 実弾をぶち込んでもまだ動くの! 合衆国《スティツ》のモンスターなら一発でフィニッシュなのに!」

「……おい。もしあれなら……」

「?」

「俺が倒してしまっても構わないか?」 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...