金髪紅眼の後輩が彼女になりました!(ただし、彼女の正体は地上最強の人妖とする)

チョーカ-

文字の大きさ
上 下
10 / 35

鳥羽あかりVS天王けあきの空中戦

しおりを挟む
 「あかり、逃げるぞ!」

「え? でも……」

「良いから早く」

「わぁ、手を(ふぁあ、力強く引っ張ってくれる!)」

「少しでは遠く……もう少し……ここら辺まで走れば……大丈夫だったか? あかり?」

「いえ、大丈夫と言うより、3人とも倒れてたので逃げなくても良かったのでは?」

「いや、眼突きや金的蹴りを使ったけど、1分くらいで回復する。そういう風に技を使ったから」

「喧嘩が強いんですね翔先輩。見た目と違って」

「強くはないよ? 護身術だからね。いざと言う時に女性や子供でも男性を倒せる。そういう技を仕込まれてるだけだよ」

「へぇ~ 意外です」

「そんな事より、ごめんな。怖い目にあわせて、本当に大丈夫だったか?」

「……」

「あかり?」

「怖かった。……いえ、本当は、怖かったです。先輩が殴られるんじゃないかって思うと……」

「そうか、そうだよな……」

「私は、自分で自分か抑えられなかった。 あと少し遅ければ――――殺していた」

「――――っ!?」

「きっと、あの人たちを殺していた。

 きっと、惨たらしく。 きっと、残虐的に。

 きっと、人間だったとわからなくなるほどに破壊していた。

 だから、だから私は、そんな私が――――」

「けど、そうはならなかった」

「え?」

「そうはならなかったんだよ。だから、これからもきっと――――そういう時がまた来たら、俺が必ず止めるよ」

「先輩……」

 だが、唐突な声が飛んで来る。 2人共聞き覚えのない声だ。

「お話中に申し訳ありません」

「!?」

「え? 急に……どなたですか? あかりの知り合いか?」

「いいえ違います。鳥羽あかりさん、えっと……私の式を倒した正道 翔さんでしたかね?」

「どうして俺とあかりの名前を? 式って? 本当に誰なんですか? ……って日本刀!? 賀茂先生の知り合いか!」

「あの人は生徒に日本刀のイメージを持たれているのですか?」

「なんだ? 急に振り返って……背後に誰かいるのか?」

「ん~ 私1人で挨拶しろって事ですね、いいですよ。ただし――――」

「翔先輩、どいて! そいつ殺せない!」

「え? そんなラグナロクの伝説みたいな――――え?」

翔の視線からあかりは消えていた。 いや、あかりだけではない。

「2人とも、どこに?」

「翔くん、翔くん、結界を張ったわ。2人の戦いが終わるまでは耐えるわ」

「え!? 賀茂先生!? そんな事より、あかりと……あの日本刀の人は?」

「上よ」

「上って? 空を指さして――――え? あかり? 2人とも空を飛んでいる!?」

「本当に耐えれる? 鳥羽あかりさんが、彼女が本当に怪物だった正体を見せられても」

「……それが目的だったのですか? 俺たちのデートを尾行するって言いだした理由は?」

「そうね。それも1つの理由よ」

「……」

「人妖の狐が相手をしているあの子……天王 けあき。 彼女本人は認めたがらないでしょうが……紛れもなく日本最強の式神使いよ」

「天王 けあき……」

「見えてるのね。高速飛行で戦闘を行っている2人の攻防を」

「……はい? そりゃ見えてますけど?」

「そう(やはり、貴方も狐を引き付けるナニカがあるのね)」


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・

「なんです? 急に殴りかかってきて……私、貴方の名前も知らないのですが?」

「これは失礼。私、天王けあきと言います」

「そう、けあきさん。これはどういうことかしら? 出会い頭に、殴りかかってきたりして?」

「あら? 必要でしたかね? 怪物に自己紹介のマナーなんて?」

「わかったわ。殴り返すわ」

「――――っ!(距離にして10メートル以上の間合いがあったのに、空間を歪めて打撃の衝撃だけを飛ばしてきた)」

「あら、凄い。ゼロ距離の打撃を全部防御するなんて、抜いたら? その日本刀を」

「いいえ、切り札ですので――――まぁ、これを抜くと、死にますよ」

「あら? どっちが? 死ぬのは私? まぁ貴方になるのでしょうが!」

「狐火ですか? 賀茂さんには聞いてましたが――――この程度ですか」

「なに!?」

「気づいてませんね。本体から離れた貴方は、自身が思っている以上に弱体化してますよ?」

「だったら――――だったら、ここで私を――――わっちを殺してみるが良い!」

「それが本気? やはり、たわいない」

(わっちの弾幕を全て避けるつもり? 空中制動と速度に自信あるのかしら?)

「では、こちらも式を使用します」

「この霊力……鬼か?」

「然り、左鬼と右鬼と言います」

「もう少し、名前を捻ったら? 可哀そうよ……その手のひらサイズの子鬼さんたち」

「あら? 見た目で判断されます? 行きなさい! 左鬼! 右鬼!」

(なに? あの自信? 強い霊力は感じない……と言う事は特殊効果か。触ると拙いタイプ? だったら!)

「随分とアッサリと接近を許しますね。それが強者の弱点! 受けなさい弱者の一撃を!」

「ぐっ! コイツら霊力を喰らうのか! それに――――重い」

「落ちよ! この高さから地面に叩きつければ――――憐れな人妖よ、地球の重力に縛られよ!」

「くっ! おのれ! おのれ! おのれ、人間め! ――――なんちゃって!」

「え? 地面に落ちて縛られた……はず。それなのに最後の余裕は一体……」

「そりゃそうよ!」

「なっ! いつの間に上に――――人妖が2人!? 分身だったの? あの強度で?」

「愚かな……わっちが分身を作るのに1人で済むわけなかろう。10人じゃ」

「――――っ! 10人に増えた。そんな馬鹿な。封印されて、これほどの力があるはずがない」

「だったら、試せばよかろう。 それとも抜くか? 切り札と言っていた刀を?」

「それも……良いでしょう。ここで貴方を滅ぼ――――え?」

「なんじゃ? 急に? 油断を誘うと――――え?」

 2人は戦いを止めた。 なぜなら結界の中、もう1人が空中に出現したからだ。

 その1人は――――

「ちょ! 翔先輩! 何やってるですか! 危ない! 危ない! すぐ受け止めます!」

「あははは……ありがとう、あかり。 ここまで賀茂先生に打ち上がて貰った。超怖かったわ」

「どうして、こんな無茶を!」

「お前が辛そうだったから」

「――――!? どうして、どうしてそう見えるんですか! あんなに好戦的にわっちは、私は笑って見せてたじゃないですか?」

「ん~ なんだろうな? なんだか、本当は戦いたくなくて、それでも戦わないといけないから笑っていた。俺にはそう見えたよ」

「――――馬鹿! 馬鹿ですよ、先輩は」

「ごめんよ、馬鹿で」

「……こんな時に私のお願いを、頭を撫でないでくださいよ」

「約束だからな。1日1回、頭を撫でるって約束」

 そんな様子を天王けあきは――――

「私は、何を見せられているんですか? 人間と人妖がじゃれ合う様子なんて!」

「あ――――えっと、天王けあきさん? すまないけど、今はデート中なんだ。よかったら見逃してくれないかな?」

「――――! 早く、私が見えない所まで行ってください。じゃないと私は、何をするか自分でもわかりません」

「そうか……すまないな。行こうか? あかり」

「えっ? え?」

「どうした? 続けようぜ? デートの続きを」

「あっ! はい!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?

石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。 ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。 ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。 「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。 扉絵は汐の音さまに描いていただきました。

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~ その後

菱沼あゆ
恋愛
その後のみんなの日記です。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...