金髪紅眼の後輩が彼女になりました!(ただし、彼女の正体は地上最強の人妖とする)

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正道翔の日常(崩壊)①

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「早速だけど、貴方は鳥羽あかりという存在を認識しているのかしら?」

「鳥羽……あかり……」

「そうよ、金色の髪、赤い目の女の子。あなたには後輩として近づいてきているはず」

(どうして、今まで俺はあかりの事を忘れていたんだろう? もちろん、知ってる。大切な後輩だ。けど、素直にそれを話すのはダメな気がする)

「金髪に……赤目って……髪を染めてるって事ですか? それに赤いカラーコンタクトって、目立ちそうですね」

 翔は無理して笑ってみせた。

(加茂先生の言い方は、何かおかしい。うまく説明できないけど……
くそっ、頭がうまく回らない)

「……」と加茂先生は、翔の目を見つめる。
 いつの間にか、金色に光っていた瞳も黒色に。 まるで見間違いだったかのように、戻っている。

「まさか、薬も魔眼も効果が薄いなんてね。もう、どれだけ頑固なのよ? きみ、本当に普通の高校生よね?」

「え? そりゃ、もちろん……魔眼? 今、魔眼って言いました!?」
 
「別に秘密にしてないので言いましたよ。私、そういう組織の人間なのですから」

「はぁ……」と現実離れした言葉に、曖昧な答えを返す。

(これも薬とか、魔眼とかが原因かな? いまいち、現実感が……)

「単刀直入に言います。鳥羽あかりに近づくのは止めなさい」

「――――っ!? なんて言うか。いきなり過ぎます!」

 声を荒げて、少し失礼な言い方になってしまった。けど、もう俺には余裕がなくなっていた。……他人を気づかう余裕が。
 
「いきなり? いきなりじゃなくて、これはまだ忠告よ。忠告に、警告に、注意喚起、いきなりの実力行使じゃ遺恨を残すでしょ?」

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・
 
「……セン、パイセン! もう、翔パイセン聞いていますか! よし! もしも聞いてなかったら今がチャンスですね!」

 鳥羽あかりは、キョロキョロと人の気配を確認してから

「翔パイセン……いえ、正道翔さん。私、鳥羽あかりは、最初に会ったあの日からずっと、翔さんの事を……」

「ん? え? 何だって?」

「!?!? き、聞いていましたか? 今の私の言葉?」

「いや、ごめん。少しボ~としていた」

「そうでしたか。よかった……いや、よくないです! やっぱりよかった」

「どっちなんだよ……ところで今、俺に愛の告白しようしてなかった?」

「聞いてるじゃねぇか!」

「痛っ! 叩くなよ。いつもの冗談なんだろ?」
 
「冗談でも可愛い後輩の告白をからかってはダメです!」

「ごめん、ごめんって! 叩くなってばよ」

「それじゃ、今日は私がやりたいゲームに付き合ってください」

「いいけど、それじゃ第五人《アイデンティティファ》……」

「スマホとか、ソシャゲは図書館じゃ、ちょっと……」

「それもそうか。じゃ、テーブルトークRPGだな。最近、クトゥルー系を読み直してる。ラブクラフト全集しか読んでなかったから、これが斬新で……」

「2人じゃテーブルトークRPGはできませんよ?」

「ん? いや、できるよ? LINEとかディスコードを使えば」

「い、いえ、これは私からのお願いなので、私がやりたいゲームを頼んでもいいでしょうか?」
 
「ん? そりゃ構わないさ」

「それじゃ、『愛してるゲーム』でお願いします」

「正気か? お前? 互いに愛してるって交互に言うやつだろ? それも見つめ合って!! 勝ち負けの基準が照れて目を背けるか否かってルール…… 普通に狂気のゲームじゃねぇか」

「仕方がありませんね。それじゃポッキーゲームにしますか」

「なんで都合よくポッキーがカバンにあるんだ!」

「私のおやつ用です(ドヤ」

「そもそも『愛してるゲーム』も『ポッキーゲーム』も酒が飲めるようになった若い大人の男女がハイテンションになった時にやるゲームだろ」

「仕方がありませんね。『愛してるゲーム』と『ポッキーゲーム』のどちらか2択にしましょう」
 
「なんでお前が妥協したみたいに言う。……いや、2択にしましょうって、本当は両方やるつもりだったのかよ」

「で? どちらにします?」

「圧が強いよ! それじゃ……『愛してるゲーム』で」

「あら、あらあら……先輩は私に! わ・た・し・に告白したいって事ですね!」

「ん~ (まぁ、最初に疑似的な告白を受けたから、これでチャラかな?)」

「まぁ、わかりますよ。ポッキーゲームだと、互いの顔をゆっくりと近づけ合いながら、もしかしたら口づけを交わしてしまうかもしれないドキドキ感。高まる心音……先輩が回避しようとするのも頷けます」

「あかり」

「っ!?!? は、はい!」

「愛しているよ」

「くっ!? なんて破壊力ですか! で、ですが、なんとか耐えました。耐えきりま――――」

「できたら、俺と付き合ってほしい」

「――――っ!?」とあかりは顔を真っ赤にした。

「こ、これは愛してるゲームの範疇を越えているとおもうのですが?」

「あぁ、愛してるゲームをきっかけにして……本気で言ってる」

「ほ、本気での事を好きだと言ってくれてるのですか?」

「本気さ。 ……泣くなよ。俺が泣かしたみたいじゃないか」

「先輩が泣かしたのですよ」

「それは……まぁ、そうか。悪かった」

「謝らないでください。それで、それで……えっと、返事! そう返事ですよね?」

「そんなに焦らなくても、困っているなら返事は待つし、ダメならダメ――――」

「いいえ! 謹んで、謹んでお受けいたします」
 
「そうか、安心した。それじゃ、改めてこれからもよろしくな!」

「は、はい。よろしくお願いします!」
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