上 下
1 / 35

いきなり超展開? いきなりの異能バトル!

しおりを挟む
 場所は学校。時間は夜遅く。

 本来なら人はいない場所と時間。

 だが人影は4つ。そして、悪夢のような爆発音が轟いた。

 ちゅーん

 ドッカ~ン!

「あ、あはははは……まるでギャグマンガの爆発だ!」

 乾いた笑いを溢しながら、そんな事を呟くのは正道《せいどう》 翔《かける》という名前の男子。

 この学校に通うごく平凡だったはずの高校2年生だ。

 現実感は希薄だ。衝撃も爆風も透明な壁で防がれているためだろうか?

「結界……これ、本物の……いや、そんな事よりも!」

 目の前で繰り広げられる光景に現実逃避ぎみだった翔は、正気を取り戻す。

「大丈夫か! 先生っ! けあきっ! あかり!!!」

 ほんの少し前まで一緒にいた3人の名前を叫ぶ。

 担任の教師である賀茂 あすか

 謎の転校生 天王 けあき

 そして――――

 後輩であり、大切な存在である 鳥羽 あかり

 彼女たちからの返事はない。 

 なぜなら、爆心地のど真ん中。 さっきまで学校のグランドだったはずの場所で3人は元気に戦っている最中だからだ。

 3人共、先ほどの爆破の影響で衣服も焼け落ち、柔肌も露わになっている。

 だが、目前の超展開に翔は、それを気にかける事もできなくなっていた。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前――――」

「ほう……式神を操るのではなく、自らの肉体を依り代して神の領域まで届くか? 天王ひらぎよ!」

「止めなさい!ひらぎさん! それ以上は戻り橋から戻れなくなります。 それに人妖《そいつ》は神の力じゃ倒せません!」

「――――っ! でも先生! それでも、ここで狐を狩らないと、日本が、世界が滅んでしまう!」

「いいえ、私がさせません。 よく頑張りましたねひらぎさん。貴女が時間を稼いでくれたおかげで……」

「先生?」

「むっ? なにをするつもりじゃ、賀茂家の末裔よ。 メガネを取って……それは西洋魔術か。流石のわっちも魔眼を受けるのは初めてじゃ!」

「その傲慢さ。あるいは慢心が、人から敗北を刻まれる原因となっているのですよ」

「ふ……ふふふ、そんな事は100も承知よ! 異国の最新魔術なんぞ、既に学習済み」

「なっ! なぜ、魔眼の対策を! どうして、知っているのですか!?」

「先生、どいて! やっぱり、私が! 例え人に戻れなくなろうとも、聖剣を――――出でよ、天叢雲剣」

「かっかっか……! いいぞ、天王ひらぎ。神の領域にようこそだ。ここで決着を――――」

「そう、ここで決着をつけましょう狐……いえ、あかりさん!」
 
「応とも! 人の恋路を邪魔する娘は、狐に蹴られて死んじまえ!」

 まさに超展開である。

 正道翔は、ふらふらと歩きながら、

「どうしてこうなった?」

 ここ最近の出来事を思い越していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

亡くなった王太子妃

沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。 侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。 王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。 なぜなら彼女は死んでしまったのだから。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

もういいです、離婚しましょう。

杉本凪咲
恋愛
愛する夫は、私ではない女性を抱いていた。 どうやら二人は半年前から関係を結んでいるらしい。 夫に愛想が尽きた私は離婚を告げる。

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

夜の公園、誰かが喘いでる

ヘロディア
恋愛
塾の居残りに引っかかった主人公。 しかし、帰り道に近道をしたところ、夜の公園から喘ぎ声が聞こえてきて…

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

処理中です...