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幽霊屋敷を調査しよう 終わり
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その場を支配したのは業火の音。
不死身に対して不死鳥の炎が包み込む。
永遠の命ならば、無限に燃やせば良い。 私怨があるわけではないが……
ある種、どこまでも残酷な方法。
「――――!」と聖ドラクルが叫ぶ。 それは慟哭か? 断末魔か? あるいは――――
けれども、空気の震動すら許さぬ火炎は、耳を汚す事すら許されない。
「――――行こう」とジェル。「この地下は崩れる」と階段を駆け上る。
その途中、彼は振り返った。 邪悪なる吸血鬼に堕ちたとは言え、聖ドラクルは――――いや、聖ドラグル・ブラム・ジョージ。
彼は、この地に生きる者にとって伝説である事に違いはない。
それは敵意を向けられ、あわよくば捕食すら考えられていた彼――――ジェル・クロウにとっても敬意の対象であった。
なぜ、そうしたのかジェル・クロウ本人でもわからない。 彼は自然と頭を下げていた。
「さようなら、卿《ロード》。伝説は伝説のままに、塵は塵に、灰は灰に――――かくあるべし《アーメン》」
柄にもなく、教会が推奨する鎮魂の言葉を口にした。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
浄化の炎という意味では、不死鳥の炎は最上位。
水を利用した魔の螺旋。
上から下へ水が落ちていくのが自然のように――――
炎は邪を祓うように下から上へ燃え上がっていく。
モクモクと黒い煙を背後に屋敷から外に飛び出したジェルとシズク。
「ぜ、全員いるよな?」とジェル。
「あぁ、流石に行方不明者7人全員を抱き抱えての脱出は無理があったぜ」
そう答えるシズクは4人の人間を運んでいた。 背中にロープでグルグル巻きにして。
「ふっ、よかった。これで依頼完了だ」とジェルも3人の人間を優しく地面に降ろす。
そのまま、「もう動けない」とジェルとシズクは太陽を見上げて笑い合ったのだった。
――― 冒険者ギルド ―――
「行方不明者の捜索……依頼完了!」と受付嬢は書類にサインと印鑑を押した。
「いやはや、貴族の屋敷に隠された秘密に、伝説の吸血鬼ですか……この国の冒険者ギルドの依頼達成記録でも、中々見ない冒険報告書ですよ! これは――――狙っちゃいます?」
「狙うって何を?」とジェル。彼はいつも以上にテンション高めの受付嬢に押され気味で、若干引いていた。
「も・ち・ろ・ん・! A級冒険者ですよ! 我が国で10人もいない伝説の冒険者として名前を残しちゃいます?」
「い、いや、まだいいよ。A級となったら、それこそ国が問題解決を依頼してくるレベル……」
「そこまでは、とてもとても」と首を横に振るジェル。
「そうですか」と受付嬢は、どこか残念がっていた。
「ギルドにも冒険者昇進の強制権はありますが、今は執行しないようにしておきましょう。それにしても――――」
「ん?」
「不思議ですね。誰が私に変装してジェルさんたちに依頼を持ってきたのでしょうか?」
「――――やっぱり、君じゃなかったのか?」
「はい、ギルド職員に変装、名前を使用しての冒険者へ依頼を強制……これは我々への宣戦布告ですね」
普通、自分を騙る人間の存在に恐怖するものだろう。
しかし、彼女は――――いや、彼女だけではなく冒険者ギルドに所属する者は、たとえ職員であっても――――
どこか、獰猛で好戦的であり――――
紛れもなく、ここが『冒険者ギルド』であるということをわからせてくる。
不死身に対して不死鳥の炎が包み込む。
永遠の命ならば、無限に燃やせば良い。 私怨があるわけではないが……
ある種、どこまでも残酷な方法。
「――――!」と聖ドラクルが叫ぶ。 それは慟哭か? 断末魔か? あるいは――――
けれども、空気の震動すら許さぬ火炎は、耳を汚す事すら許されない。
「――――行こう」とジェル。「この地下は崩れる」と階段を駆け上る。
その途中、彼は振り返った。 邪悪なる吸血鬼に堕ちたとは言え、聖ドラクルは――――いや、聖ドラグル・ブラム・ジョージ。
彼は、この地に生きる者にとって伝説である事に違いはない。
それは敵意を向けられ、あわよくば捕食すら考えられていた彼――――ジェル・クロウにとっても敬意の対象であった。
なぜ、そうしたのかジェル・クロウ本人でもわからない。 彼は自然と頭を下げていた。
「さようなら、卿《ロード》。伝説は伝説のままに、塵は塵に、灰は灰に――――かくあるべし《アーメン》」
柄にもなく、教会が推奨する鎮魂の言葉を口にした。
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浄化の炎という意味では、不死鳥の炎は最上位。
水を利用した魔の螺旋。
上から下へ水が落ちていくのが自然のように――――
炎は邪を祓うように下から上へ燃え上がっていく。
モクモクと黒い煙を背後に屋敷から外に飛び出したジェルとシズク。
「ぜ、全員いるよな?」とジェル。
「あぁ、流石に行方不明者7人全員を抱き抱えての脱出は無理があったぜ」
そう答えるシズクは4人の人間を運んでいた。 背中にロープでグルグル巻きにして。
「ふっ、よかった。これで依頼完了だ」とジェルも3人の人間を優しく地面に降ろす。
そのまま、「もう動けない」とジェルとシズクは太陽を見上げて笑い合ったのだった。
――― 冒険者ギルド ―――
「行方不明者の捜索……依頼完了!」と受付嬢は書類にサインと印鑑を押した。
「いやはや、貴族の屋敷に隠された秘密に、伝説の吸血鬼ですか……この国の冒険者ギルドの依頼達成記録でも、中々見ない冒険報告書ですよ! これは――――狙っちゃいます?」
「狙うって何を?」とジェル。彼はいつも以上にテンション高めの受付嬢に押され気味で、若干引いていた。
「も・ち・ろ・ん・! A級冒険者ですよ! 我が国で10人もいない伝説の冒険者として名前を残しちゃいます?」
「い、いや、まだいいよ。A級となったら、それこそ国が問題解決を依頼してくるレベル……」
「そこまでは、とてもとても」と首を横に振るジェル。
「そうですか」と受付嬢は、どこか残念がっていた。
「ギルドにも冒険者昇進の強制権はありますが、今は執行しないようにしておきましょう。それにしても――――」
「ん?」
「不思議ですね。誰が私に変装してジェルさんたちに依頼を持ってきたのでしょうか?」
「――――やっぱり、君じゃなかったのか?」
「はい、ギルド職員に変装、名前を使用しての冒険者へ依頼を強制……これは我々への宣戦布告ですね」
普通、自分を騙る人間の存在に恐怖するものだろう。
しかし、彼女は――――いや、彼女だけではなく冒険者ギルドに所属する者は、たとえ職員であっても――――
どこか、獰猛で好戦的であり――――
紛れもなく、ここが『冒険者ギルド』であるということをわからせてくる。
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