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『依頼 ワイバーンの大量発生』

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なんだか、気になる冒険者たちが騒がしい様子。

 それはこの依頼にあった。

『依頼 ワイバーンの大量発生』



 一定の時期になるとワイバーンの大量発生が起きる場所がある。

 どうやら産卵の時期らしい。 

 そのため、大量のワイバーンが集結する。

 厄介な事に出産前後のワイバーンは非常に獰猛だ。

 出産前に獰猛になるのは栄養を蓄えるためだ。

 農場の家畜はもちろん。人間を集団で襲う例が相次いで報告される。

 出産の後は卵を守るために、近寄る生物は――――例え相手がドラゴンであれ――――集団で襲い掛かる。

『幾多のワイバーン、時にドラゴンすら葬る』 

 そんな言葉すらあるほどに――――

「でも、そのワイバーンが大量発生する時期ってのはわかっていたことだろ? なんで、こんな騒ぎになってるんだ?」

 シズクの疑問だったが、ギルドの受付嬢は視線を逸らした。それから言いずらそうに……

「いつもなら、魔法使いを主力とした冒険者集団さんにお願いしてまして……」

「ん? あぁ、なるほど。空から襲ってくる敵には魔法じゃないと攻撃が届かないからな」 

「他にも、大規模な冒険者集団さんに魔法使いさんたちの防御を依頼していたのですが……」

「そうだな。 強烈な魔法が使える連中は、後衛に特化してるわけだから護衛が必要になるわけだ」

 そんなシズクと受付嬢の会話にジェルは、

「……おい、シズク。お前、気づかないのか?」と口を挟んだ。

「気づかない? 何の事だ?」

「本来なら依頼を受けていた魔法使いの冒険者集団。あと、護衛を請け負っていた大規模冒険者集団……両方ともお前が、代表的な人物を病院送りにしただろ」

「――――い、いや、ちゃんと手加減したから。回復魔法で簡単になんとか……」

「ならないよ」とジェルは断言した。

「普通の回復魔法は、応急処置や延命処置とか、あるいは怪我をしても戦い続けるために使われるもの。完全な回復魔法になると位の高い神官じゃないと難しい」

「……」

「加えて、位の高い神官さまは簡単に会って、回復を頼むのは――――」

「わかった、わかったよ」とシズク。彼女は、受付嬢に対して――――

「私とジェルとで、ワイバーンを退治するって依頼を受けるのは可能か?
 少なくとも私は、魔法使い集団より、大規模冒険者より――――強いぜ?」

「え?」と受付嬢は驚いて、表情が固まった。

「そ、それは……ジェルさんはB級冒険者なのですが、ギルドの規定では――――いえ、もしかしたら抜け道があるかもしれまん」

  
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