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第23話 ダンジョン探索をしよう! ①
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三度目の正直。 二度あることは三度ある。
そんな対義語を思い浮かべてみた。
おそらく現状に相応しい言葉は他にもあるのだろうが、あいにく不勉強の俺には適切な物が思い付かなかった。
あえて言うとするならば
「まさか、3回連続でミノタウロスと戦うなんて、お天道様だって思いもよるまいよ!」
ダンジョンに入った俺たちが最初に出会ったモンスターはミノタウロスだった。
1階層で出現するようなモンスターじゃない。
普通ならば、スライムとか、ゴブリンとか、可愛らしくも害悪な怪物たちと戦うのが相場と決まってる。
だが、たまにある。 いわゆる『徘徊する怪物』
階層の最深部にある部屋に君臨する怪物。
通称ボスモンスターであるが、ボスと同等の力を持つモンスターが階層を無視して、本来いるはずのない場所に出現する。
それが『徘徊する怪物』である。
「前衛、サトルは右を任せる。左は俺が耐える!」
右と左……不幸な事に『徘徊する怪物』は2匹いた。
白い猛牛と黒い猛牛のコンビ。
「気をつけろ! どう考えてもギミックモンスターってやつだ。タイミングを合わせて同時に倒さないと復活するパターンだ!」
「え?」と背後で声がした。
『幽冥炎舞《ゴースト・フレイムダンス》』とアリッサの攻撃魔法は発動していた。
こういう複数人でダンジョンを進む場合、魔法使いの役割はボスのような強敵を相手に大ダメージを与える事。 言うならば動く大砲としての役割が求められている。
その大砲が白いミノタウロスに直撃した。
「ぶぅもおぅぅうぅぅぅ!!!」と断末魔を残してミノタウロスの体は消滅していった。
「……ギミックモンスターじゃなかったか。よし、黒い牛に集中攻撃を与えるぞ!」
前回、俺はミノタウロスを相手に素手で挑む狂気のゲームに苦戦しながらも辛うじて勝利を掴んだが……
まぁ、普通に武器を持って集団で戦ったら、簡単に勝てるよね?
「憐れなり、黒牛くん。 天国で白牛くんと仲良くね!」
俺は黒牛くんにとどめを刺した。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「意外と悪くないな。このパーティ」と俺は感想を言った。
サトルくんは前衛だった。
通常は俺が前衛で後衛がアリッサだが、受付嬢さんに推奨された通りにサトルくんを入れると、予想以上の安定感だ。
さっきのミノタウロス戦だって、いつもなら、2体を相手にしながらアリッサに攻撃が及ばないよう計算して動かなければならない。
それがサトルを加えるだけで戦いの幅が増えた……気がする。
アリッサも驚いていた。
「事前に確認はしていたけど、実際に見たら凄いですね、サトルさんのスキルと魔法」
サトルは前衛らしく『肉体強化』の魔法を持ちながら『治癒魔法』も覚えていた。
さらにサトルのスキルは2つある。 1つは――――『自動自己回復』
自身が習得している治癒魔法と同じ効果が常時展開されて傷を治す能力。
恐ろしいのは、自分の傷を治すのはスキルの効果であり、魔力の消費が一切ない所である。
ぶっちゃけチートスキルの部類だ。 呪術○戦の○金次先輩かよ……
もう1つは、なんと――――『収集空間《アイテムボックス》』
サトルのスキルは、重量が一切関与しないタイプの能力! 大当たりの部類だ!
冒険者として、将来の成功を許された才能。それがサトルバシコバ……
だが、疑問もある。
「どうして、そんなに強いのに4級に上がれないんだ?」
俺は純粋に疑問を呟いただけなのだが、サトル本人にはクリティカルな部分だったようだ。
「うっ!」と薄い胸を押さえていた。 強い能力を持っている反面、メンタルは弱いようだ。
「お、俺は、姉からスキル使用を制限されているんですよ。昇格試験はスキルに頼らず、自分の力だけで評価を得なさい……って!」
「ん? お姉さんも冒険者関係者なのか?」
「はい、ユウキさんも知ってるはずですよ。受付でユウキさんを担当しているって言ってました」
「受付で、俺を担当している……何の事だ?」
サトルの姉が受付嬢さんだという意味だと遅れてわかった。
「そうか、受付嬢さんが姉だったのか。あまり似てないなぁ」
「それは失礼ですよ、ユウキさん」とアリッサ。
「サトルちゃんだって、受付嬢さんみたいに成長すれば男性に間違われないように女性らしくなっていきますよ!」
「……」と俺は真顔になった。
サトルの性別は本当に女性……なのか?
確か、一緒に風呂に入った時は――――いや、ダメだ。頭にモヤがかかった時のように思い出せない。
しかし、いつまでも悩んでいるわけにはいかない。
ここはダンジョンだ。油断した奴から死んでいく。
休憩もそこそこにダンジョンを進んでいく。
やはり、『徘徊する怪物』みたいなモンスターは特別のようだ。
1階層のボス(女王蜂みたいなモンスターだった)も簡単に倒して、
2階層のボス(巨大な剣を2本持った大きなゴブリンだった)も簡単に倒して、
3階層のボス(巨大マンドレイクが3匹(3本?)が相手だった)も簡単に倒して、
1日で4階層に到達した。
「よし、そろそろ休憩。食事にするか!」
保存食として用意している燻製は牛肉だけではない。
ハムやベーコンと言った豚の燻製も準備している。
これに新鮮な野菜(保存が効かないので短期間で消費しなければならない)を使って――――
サンドイッチを作るぜ!
そんな対義語を思い浮かべてみた。
おそらく現状に相応しい言葉は他にもあるのだろうが、あいにく不勉強の俺には適切な物が思い付かなかった。
あえて言うとするならば
「まさか、3回連続でミノタウロスと戦うなんて、お天道様だって思いもよるまいよ!」
ダンジョンに入った俺たちが最初に出会ったモンスターはミノタウロスだった。
1階層で出現するようなモンスターじゃない。
普通ならば、スライムとか、ゴブリンとか、可愛らしくも害悪な怪物たちと戦うのが相場と決まってる。
だが、たまにある。 いわゆる『徘徊する怪物』
階層の最深部にある部屋に君臨する怪物。
通称ボスモンスターであるが、ボスと同等の力を持つモンスターが階層を無視して、本来いるはずのない場所に出現する。
それが『徘徊する怪物』である。
「前衛、サトルは右を任せる。左は俺が耐える!」
右と左……不幸な事に『徘徊する怪物』は2匹いた。
白い猛牛と黒い猛牛のコンビ。
「気をつけろ! どう考えてもギミックモンスターってやつだ。タイミングを合わせて同時に倒さないと復活するパターンだ!」
「え?」と背後で声がした。
『幽冥炎舞《ゴースト・フレイムダンス》』とアリッサの攻撃魔法は発動していた。
こういう複数人でダンジョンを進む場合、魔法使いの役割はボスのような強敵を相手に大ダメージを与える事。 言うならば動く大砲としての役割が求められている。
その大砲が白いミノタウロスに直撃した。
「ぶぅもおぅぅうぅぅぅ!!!」と断末魔を残してミノタウロスの体は消滅していった。
「……ギミックモンスターじゃなかったか。よし、黒い牛に集中攻撃を与えるぞ!」
前回、俺はミノタウロスを相手に素手で挑む狂気のゲームに苦戦しながらも辛うじて勝利を掴んだが……
まぁ、普通に武器を持って集団で戦ったら、簡単に勝てるよね?
「憐れなり、黒牛くん。 天国で白牛くんと仲良くね!」
俺は黒牛くんにとどめを刺した。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「意外と悪くないな。このパーティ」と俺は感想を言った。
サトルくんは前衛だった。
通常は俺が前衛で後衛がアリッサだが、受付嬢さんに推奨された通りにサトルくんを入れると、予想以上の安定感だ。
さっきのミノタウロス戦だって、いつもなら、2体を相手にしながらアリッサに攻撃が及ばないよう計算して動かなければならない。
それがサトルを加えるだけで戦いの幅が増えた……気がする。
アリッサも驚いていた。
「事前に確認はしていたけど、実際に見たら凄いですね、サトルさんのスキルと魔法」
サトルは前衛らしく『肉体強化』の魔法を持ちながら『治癒魔法』も覚えていた。
さらにサトルのスキルは2つある。 1つは――――『自動自己回復』
自身が習得している治癒魔法と同じ効果が常時展開されて傷を治す能力。
恐ろしいのは、自分の傷を治すのはスキルの効果であり、魔力の消費が一切ない所である。
ぶっちゃけチートスキルの部類だ。 呪術○戦の○金次先輩かよ……
もう1つは、なんと――――『収集空間《アイテムボックス》』
サトルのスキルは、重量が一切関与しないタイプの能力! 大当たりの部類だ!
冒険者として、将来の成功を許された才能。それがサトルバシコバ……
だが、疑問もある。
「どうして、そんなに強いのに4級に上がれないんだ?」
俺は純粋に疑問を呟いただけなのだが、サトル本人にはクリティカルな部分だったようだ。
「うっ!」と薄い胸を押さえていた。 強い能力を持っている反面、メンタルは弱いようだ。
「お、俺は、姉からスキル使用を制限されているんですよ。昇格試験はスキルに頼らず、自分の力だけで評価を得なさい……って!」
「ん? お姉さんも冒険者関係者なのか?」
「はい、ユウキさんも知ってるはずですよ。受付でユウキさんを担当しているって言ってました」
「受付で、俺を担当している……何の事だ?」
サトルの姉が受付嬢さんだという意味だと遅れてわかった。
「そうか、受付嬢さんが姉だったのか。あまり似てないなぁ」
「それは失礼ですよ、ユウキさん」とアリッサ。
「サトルちゃんだって、受付嬢さんみたいに成長すれば男性に間違われないように女性らしくなっていきますよ!」
「……」と俺は真顔になった。
サトルの性別は本当に女性……なのか?
確か、一緒に風呂に入った時は――――いや、ダメだ。頭にモヤがかかった時のように思い出せない。
しかし、いつまでも悩んでいるわけにはいかない。
ここはダンジョンだ。油断した奴から死んでいく。
休憩もそこそこにダンジョンを進んでいく。
やはり、『徘徊する怪物』みたいなモンスターは特別のようだ。
1階層のボス(女王蜂みたいなモンスターだった)も簡単に倒して、
2階層のボス(巨大な剣を2本持った大きなゴブリンだった)も簡単に倒して、
3階層のボス(巨大マンドレイクが3匹(3本?)が相手だった)も簡単に倒して、
1日で4階層に到達した。
「よし、そろそろ休憩。食事にするか!」
保存食として用意している燻製は牛肉だけではない。
ハムやベーコンと言った豚の燻製も準備している。
これに新鮮な野菜(保存が効かないので短期間で消費しなければならない)を使って――――
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