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第24話 アリスの覚醒!?!? 首無し騎士との戦いです
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迫り来る首無し騎士。 その一撃をアリスは回避しながら叫ぶ。
「先生! 急に言われても私――――」
加速した首無し騎士は、そのまま距離を取り二撃目の準備を開始した。
「大丈夫だ、アリス。いつも私が指導してる内容を思い出せ」
「先生のご指導……」とアリスは記憶の糸を辿る。しかし――――
「先生のご指導って、妙な遺跡に連れ回されて、直接的な魔法を習った記憶がないのですが!」
「私の指導テーマは、環境が人を強くする……だからな!」
「サバイバル術だけ上達しましたよ!」とアリスは首無し騎士の二撃目を避ける。
「いやいや、随分と混乱してるな。そんなに慌てて攻撃を避けて」
「当り前です。避けなきゃ死んじゃうじゃないですか?」
「馬の速度。高い位置からの突き。裂帛の気合……それに騙されているだけだ。冷静になれ――――お前の防御魔法は、コイツじゃ砕けない」
「はっ!」とアリスは気づく。
真正面から、首無し騎士の一撃を受ければ、アリスの結界魔法ですら貫通しかねない。
それを見誤る師匠、ミゲールではない。
「――――だったら?」とアリスは考える。
だったら、どうしてミゲール師匠は砕けない。そう言ったのか?
(なら、ほかに防御の方法がある。単純に魔力の強度に頼るのではなく――――他に!)
既に目前には首無し騎士が迫ってきていた。 今度のアリスは避けない。
真正面から突いてくる凄まじい突き。 直撃すれば、小柄なアリスはバラバラになってしまっておかしくない。そんな威力の突きだとわかる。
(でも――――それでも――――わたしには、わかる。ここ、このタイミング!)
迫り来る突き。 それに合わせて、アリスの風の紋章は輝く。
自身を覆う結界魔法を使用する。
球体の結界は、槍の先端を往《い》なす。
突進力を殺すことなく、軌道を逸らされた首無し騎士。その突進力のまま、壁に向かって衝突した。
「これは……」と何かを掴んだように自身の両手をみるアリスに、
「そうだ。防御を転じて攻撃とする。おそらく、モズリーが想定していたお前の戦闘スタイルだ」
「防御を……攻撃に……?」
「通りで解せないわけだぜ。あの攻撃的魔法使いであるモズリーが指導するのに防御のみ……そういうスタイルを仕込んでいたなら納得だぜ」
「うんうん」とミゲールは頷く。 一方でアリスは――――
(私がイメージしたのはミゲール先生の戦い方。 地属性魔法で地面を操って、敵を投げる動き)
彼女の目と記憶、鮮明に刻まれたミゲールの闘法。 それは初めて彼女と迷宮探索に出かけた時、邪神復活を企んだ神官相手に使った技術……それが開眼した彼女に影響を与えたのだ。
「見事……」と声が崩れた壁から聞こえてくる。
もちろん、声の主は首無し騎士だ。自身の突進力を利用され、壁に叩きつけられても、その声から闘志は消えていなかった。
「東洋には魔法と見間違うほどの投げを使うマーシャルアーツがあるが……それと見間違うほどの神技。それを思い出した……本当に、その若年の身で使えこなせるものか? 試させてもらうぞ!」
そう言うと、首無し騎士は馬から飛び降りた。
突進による大技は読まれやすい。 そういう判断なのだろう。
ジリジリと正確な間合いを測るよう、ゆっくりと近づいてくる。 それに対するアリスは――――
地面に座り込んだ。 その瞳は閉じられている。
視覚を捨て、その代わりに慣れ親しんだ風魔法によって情報を集めている。
いや――――特記すべき事は、彼女の体勢。
その場に座り込み……妙な座り方。東洋で言う正座だ。
それに対峙する首無し騎士の内心は――――
(とても戦いに身を置く最中とは思えないほどに穏やかな表情。かつて、戦った東洋の達人に見間違うほどに――――だが、その技が本物か確かめさせてもらう)
既に槍の間合いに入っている。
槍の技……槍に多彩な技は不要。
(突き詰めれば、高速の突き1つあれば、それが最強の技となる。それを今――――放つ!)
だから、首無し騎士は――――それを放った。
その直後、彼の愛槍に伝わった感覚。 それは風――――
何か強引な力により、無理やり軌道を変えられたわけではない。
まるで自分の意思で槍をアリスから離れさせなければならない。そう動いたと錯覚するように――――彼の体は浮き上がり、逆さになり、地面に落ちていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
実戦、それも死地。 僅か7才にて、そこ立ったアリス。
極限にまで無駄を削られた集中力は、精神を無心の領域にまでたどり着かせ――――
「おい、アリス。いつまで呆けてやがる」
ミゲールの言葉にアリスは意識を取り戻した。
「ミゲール先生、私は……今の技を」
彼女は信じられないように両手を見つめて――――
「えい!」とミゲールの手を握って、投げ飛ばした。
天井にまで吹き飛ばされミゲールは、
「おい! 新しいおもちゃを手にしたからって、私で遊ぶんじゃねぇよ!」
天井に足から着地した彼女は、逆さのまま、コツコツと歩いて戻ってきた。
おそらく、地属性の魔法を使ったのだろう。
彼女の場合、魔法を使わなくても天井歩行が可能なのかもしれないが……
「モズリーに感謝するんだぜ」とミゲールはニヤリと笑う。
「アイツは私と同類だからな……きっと、自分の手で自分に匹敵する強敵を生み出して、負ける事を夢見て、お前を育ててるんだぜ?」
「いや、モズリー先生は、そんな事を思ってないと思いますよ?」
「先生! 急に言われても私――――」
加速した首無し騎士は、そのまま距離を取り二撃目の準備を開始した。
「大丈夫だ、アリス。いつも私が指導してる内容を思い出せ」
「先生のご指導……」とアリスは記憶の糸を辿る。しかし――――
「先生のご指導って、妙な遺跡に連れ回されて、直接的な魔法を習った記憶がないのですが!」
「私の指導テーマは、環境が人を強くする……だからな!」
「サバイバル術だけ上達しましたよ!」とアリスは首無し騎士の二撃目を避ける。
「いやいや、随分と混乱してるな。そんなに慌てて攻撃を避けて」
「当り前です。避けなきゃ死んじゃうじゃないですか?」
「馬の速度。高い位置からの突き。裂帛の気合……それに騙されているだけだ。冷静になれ――――お前の防御魔法は、コイツじゃ砕けない」
「はっ!」とアリスは気づく。
真正面から、首無し騎士の一撃を受ければ、アリスの結界魔法ですら貫通しかねない。
それを見誤る師匠、ミゲールではない。
「――――だったら?」とアリスは考える。
だったら、どうしてミゲール師匠は砕けない。そう言ったのか?
(なら、ほかに防御の方法がある。単純に魔力の強度に頼るのではなく――――他に!)
既に目前には首無し騎士が迫ってきていた。 今度のアリスは避けない。
真正面から突いてくる凄まじい突き。 直撃すれば、小柄なアリスはバラバラになってしまっておかしくない。そんな威力の突きだとわかる。
(でも――――それでも――――わたしには、わかる。ここ、このタイミング!)
迫り来る突き。 それに合わせて、アリスの風の紋章は輝く。
自身を覆う結界魔法を使用する。
球体の結界は、槍の先端を往《い》なす。
突進力を殺すことなく、軌道を逸らされた首無し騎士。その突進力のまま、壁に向かって衝突した。
「これは……」と何かを掴んだように自身の両手をみるアリスに、
「そうだ。防御を転じて攻撃とする。おそらく、モズリーが想定していたお前の戦闘スタイルだ」
「防御を……攻撃に……?」
「通りで解せないわけだぜ。あの攻撃的魔法使いであるモズリーが指導するのに防御のみ……そういうスタイルを仕込んでいたなら納得だぜ」
「うんうん」とミゲールは頷く。 一方でアリスは――――
(私がイメージしたのはミゲール先生の戦い方。 地属性魔法で地面を操って、敵を投げる動き)
彼女の目と記憶、鮮明に刻まれたミゲールの闘法。 それは初めて彼女と迷宮探索に出かけた時、邪神復活を企んだ神官相手に使った技術……それが開眼した彼女に影響を与えたのだ。
「見事……」と声が崩れた壁から聞こえてくる。
もちろん、声の主は首無し騎士だ。自身の突進力を利用され、壁に叩きつけられても、その声から闘志は消えていなかった。
「東洋には魔法と見間違うほどの投げを使うマーシャルアーツがあるが……それと見間違うほどの神技。それを思い出した……本当に、その若年の身で使えこなせるものか? 試させてもらうぞ!」
そう言うと、首無し騎士は馬から飛び降りた。
突進による大技は読まれやすい。 そういう判断なのだろう。
ジリジリと正確な間合いを測るよう、ゆっくりと近づいてくる。 それに対するアリスは――――
地面に座り込んだ。 その瞳は閉じられている。
視覚を捨て、その代わりに慣れ親しんだ風魔法によって情報を集めている。
いや――――特記すべき事は、彼女の体勢。
その場に座り込み……妙な座り方。東洋で言う正座だ。
それに対峙する首無し騎士の内心は――――
(とても戦いに身を置く最中とは思えないほどに穏やかな表情。かつて、戦った東洋の達人に見間違うほどに――――だが、その技が本物か確かめさせてもらう)
既に槍の間合いに入っている。
槍の技……槍に多彩な技は不要。
(突き詰めれば、高速の突き1つあれば、それが最強の技となる。それを今――――放つ!)
だから、首無し騎士は――――それを放った。
その直後、彼の愛槍に伝わった感覚。 それは風――――
何か強引な力により、無理やり軌道を変えられたわけではない。
まるで自分の意思で槍をアリスから離れさせなければならない。そう動いたと錯覚するように――――彼の体は浮き上がり、逆さになり、地面に落ちていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
実戦、それも死地。 僅か7才にて、そこ立ったアリス。
極限にまで無駄を削られた集中力は、精神を無心の領域にまでたどり着かせ――――
「おい、アリス。いつまで呆けてやがる」
ミゲールの言葉にアリスは意識を取り戻した。
「ミゲール先生、私は……今の技を」
彼女は信じられないように両手を見つめて――――
「えい!」とミゲールの手を握って、投げ飛ばした。
天井にまで吹き飛ばされミゲールは、
「おい! 新しいおもちゃを手にしたからって、私で遊ぶんじゃねぇよ!」
天井に足から着地した彼女は、逆さのまま、コツコツと歩いて戻ってきた。
おそらく、地属性の魔法を使ったのだろう。
彼女の場合、魔法を使わなくても天井歩行が可能なのかもしれないが……
「モズリーに感謝するんだぜ」とミゲールはニヤリと笑う。
「アイツは私と同類だからな……きっと、自分の手で自分に匹敵する強敵を生み出して、負ける事を夢見て、お前を育ててるんだぜ?」
「いや、モズリー先生は、そんな事を思ってないと思いますよ?」
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