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第22話 マクレイガー家に秘密が見つかったようです
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アリスには師匠と言える魔法使いが2名いる。
ミゲールとモズリーだ。
最初の師匠、モズリー。彼女は、自分の次の師匠としてミゲールを紹介して去る予定だった。
しかし、モズリーは今もアリスの家、マクレイガー家にいて住み込みの家庭教師をしている。
『最強の魔法使い』ミゲールは、宮廷魔法使いであるため、マクレイガー家に住み着いて家庭教師をするわけにはいかない。
アリスは週に1度、王城に向かう。そこで2日間、ミゲールの指導を受ける。
代わりにミゲールも週に1度、マクレイガー家を訪ねると、2日間アリスを指導する。
モズリーは、ミゲールの指導の補佐的な立場でアリスの指導を続けることになった。
そんなある日――――
馬車に揺られて、外を眺めるミゲール。 マクレイガー家にアリスの指導へ行く途中だった。
定期的に通る道。 なんてなく――――
(だるい…… 私が本気を出せば、馬車よりも早く長く走れるだけどなぁ)
マクレイガー公爵の好意として、馬車の送り向い。 それを、自分で走った方が速いなんて理由で断るのは、貴族の礼儀としてあり得ない事なのだ。
(やれやれ、そう言うのが嫌で最強を目指したはずなんだけど……いや、なんだ? あれは?)
彼女の視線。その先には廃墟のような建物。
(今まで、何度となく通ってきた道のはずだが、あの建物には気づかなかったな。廃墟になった神殿? こんな場所で?)
何か、妙に引っかかるものを感じたミゲール。
「あとで調べて見るか」と馬車を止めさせず、マクレイガー家を目指した。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
――――マクレイガー家――――
到着。
従者であるメイド。メイが馬車を向かい入れ、ミゲールを丁重に屋敷へ案内して――――
「いや、まってくれ。メイドちゃん」
「……メイドちゃん? 私の事でしょうか?」
「他にいるかい? 少し、屋敷をスケッチしていって良いか?」
「スケッチですか? 私の一存では答えかねます」
「そりゃそうか。急に客人が妙な事を言っても、メイドちゃんじゃ判断できないか」
「よろしければ、主人へ許可を求めて――――」
「いや、良いよ。勝手に書くから。アンタは『止めたのですが、嫌がる私を無理やり乱暴を……よよよ』って言ってくれれば大事にならないだろ?」
「いえ、大事になるとしか思えませんよ。やるのなら誰にも見つからないように……内緒ですよ」
そう言ってメイは悪戯っ子のように舌を出した。
「いいね。私好みのメイドちゃんだ。もし、ここを首になったら私の所に来な。結婚しょうぜ」
「永久就職は魅力的なお誘いですが、結婚するなら男性と決めていますので」
「おやおや、振られちまったか。人生で一度くらいはメイドちゃんと結婚した人生だったぜ」
「結婚を軽く考えるのはいかがなものですが……」
「ご忠告、痛み入りするぜ。さて――――」
ミゲールは取り出したペンとメモ用紙。 素早く、屋敷をスケッチし始めた。
素早いペンの動き。 短時間で精密な絵が完成していく。
「なにをやっているんですか、先生?」と背後から話しかけられた。
「おぉ、アリスか? 少し気になることができたんだ」
「気になることってなんですか?」
「まぁ、詳しい話は、茶を飲みながらにしようぜ? どうせ、モズリーも待っているんだろ?」
2人……いや、メイドのメイを含めて3人は、移動する。
室内、庭が見える場所。
「なるほど、ここで私の奇行を2人で見ていたのか?」とミゲール。
「……自身の行動を奇行と意識しているなら慎んでくださいね」とモズリー。
「はん! 慎みなんて、私にほど遠い言葉なんて、みんな知っているだろ?」
「それで、ミゲール先生は何を書いていたのですか?」とアリス。
「ん~ お前は知っているか? この屋敷に続く道、途中に朽ちた神殿があるのを」
「神殿ですか? 確かにあります。昔、遊びに行った気がします」
「1人で屋敷を抜け出して」と彼女は付け加えた。
「相変らず、お転婆だな」
「お転婆ですみませんよ」とモズリーは、メイドのメイと視線を合わせて、同時にため息をついた。
話しは続く。
テーブルの上には、ミゲールが書いた屋敷の絵。
加えて、屋敷の見取り図も並べられた。 それも、ミゲールが即興で書いたものだ。
「これに、何か気づく人はいるか?」
「……?」とアリスだけではなく、モズリーも疑問符を浮かべる。
「この屋敷は、西洋だけじゃなくて東洋の魔術も参考して作られている。風と水の流れ――――」
内部の見取り図。ミゲールは赤いペンで上書きしていく……と
「外見と内部を見比べたら、一発だぜ!」
「これは……」とモズリーは驚く。
「……お父様に確認しに行きます」とアリスは席を立った。
ミゲールが書いた線。 それはマクレイガー家に隠し部屋がある場所を示していた。
ミゲールとモズリーだ。
最初の師匠、モズリー。彼女は、自分の次の師匠としてミゲールを紹介して去る予定だった。
しかし、モズリーは今もアリスの家、マクレイガー家にいて住み込みの家庭教師をしている。
『最強の魔法使い』ミゲールは、宮廷魔法使いであるため、マクレイガー家に住み着いて家庭教師をするわけにはいかない。
アリスは週に1度、王城に向かう。そこで2日間、ミゲールの指導を受ける。
代わりにミゲールも週に1度、マクレイガー家を訪ねると、2日間アリスを指導する。
モズリーは、ミゲールの指導の補佐的な立場でアリスの指導を続けることになった。
そんなある日――――
馬車に揺られて、外を眺めるミゲール。 マクレイガー家にアリスの指導へ行く途中だった。
定期的に通る道。 なんてなく――――
(だるい…… 私が本気を出せば、馬車よりも早く長く走れるだけどなぁ)
マクレイガー公爵の好意として、馬車の送り向い。 それを、自分で走った方が速いなんて理由で断るのは、貴族の礼儀としてあり得ない事なのだ。
(やれやれ、そう言うのが嫌で最強を目指したはずなんだけど……いや、なんだ? あれは?)
彼女の視線。その先には廃墟のような建物。
(今まで、何度となく通ってきた道のはずだが、あの建物には気づかなかったな。廃墟になった神殿? こんな場所で?)
何か、妙に引っかかるものを感じたミゲール。
「あとで調べて見るか」と馬車を止めさせず、マクレイガー家を目指した。
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――――マクレイガー家――――
到着。
従者であるメイド。メイが馬車を向かい入れ、ミゲールを丁重に屋敷へ案内して――――
「いや、まってくれ。メイドちゃん」
「……メイドちゃん? 私の事でしょうか?」
「他にいるかい? 少し、屋敷をスケッチしていって良いか?」
「スケッチですか? 私の一存では答えかねます」
「そりゃそうか。急に客人が妙な事を言っても、メイドちゃんじゃ判断できないか」
「よろしければ、主人へ許可を求めて――――」
「いや、良いよ。勝手に書くから。アンタは『止めたのですが、嫌がる私を無理やり乱暴を……よよよ』って言ってくれれば大事にならないだろ?」
「いえ、大事になるとしか思えませんよ。やるのなら誰にも見つからないように……内緒ですよ」
そう言ってメイは悪戯っ子のように舌を出した。
「いいね。私好みのメイドちゃんだ。もし、ここを首になったら私の所に来な。結婚しょうぜ」
「永久就職は魅力的なお誘いですが、結婚するなら男性と決めていますので」
「おやおや、振られちまったか。人生で一度くらいはメイドちゃんと結婚した人生だったぜ」
「結婚を軽く考えるのはいかがなものですが……」
「ご忠告、痛み入りするぜ。さて――――」
ミゲールは取り出したペンとメモ用紙。 素早く、屋敷をスケッチし始めた。
素早いペンの動き。 短時間で精密な絵が完成していく。
「なにをやっているんですか、先生?」と背後から話しかけられた。
「おぉ、アリスか? 少し気になることができたんだ」
「気になることってなんですか?」
「まぁ、詳しい話は、茶を飲みながらにしようぜ? どうせ、モズリーも待っているんだろ?」
2人……いや、メイドのメイを含めて3人は、移動する。
室内、庭が見える場所。
「なるほど、ここで私の奇行を2人で見ていたのか?」とミゲール。
「……自身の行動を奇行と意識しているなら慎んでくださいね」とモズリー。
「はん! 慎みなんて、私にほど遠い言葉なんて、みんな知っているだろ?」
「それで、ミゲール先生は何を書いていたのですか?」とアリス。
「ん~ お前は知っているか? この屋敷に続く道、途中に朽ちた神殿があるのを」
「神殿ですか? 確かにあります。昔、遊びに行った気がします」
「1人で屋敷を抜け出して」と彼女は付け加えた。
「相変らず、お転婆だな」
「お転婆ですみませんよ」とモズリーは、メイドのメイと視線を合わせて、同時にため息をついた。
話しは続く。
テーブルの上には、ミゲールが書いた屋敷の絵。
加えて、屋敷の見取り図も並べられた。 それも、ミゲールが即興で書いたものだ。
「これに、何か気づく人はいるか?」
「……?」とアリスだけではなく、モズリーも疑問符を浮かべる。
「この屋敷は、西洋だけじゃなくて東洋の魔術も参考して作られている。風と水の流れ――――」
内部の見取り図。ミゲールは赤いペンで上書きしていく……と
「外見と内部を見比べたら、一発だぜ!」
「これは……」とモズリーは驚く。
「……お父様に確認しに行きます」とアリスは席を立った。
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