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第19話 謎の敵が現れました
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ピラミッドの内部、アリスたちが感じていた人の気配は正しかった。
前方から3人の人影。男たちは、ゴブリンと見間違うような恰好。
革でできた腰ミノ。 植物を編んで作った縄を体に巻き付けている。
皮膚が赤いため、魔物と見間違えそうになる。しかし、それは塗料を全身に塗りたくっているようだ。
顔は仮面――――白骨化したミノタウロスの頭部から作ったようだ。
「なんだアイツ等? やっぱり、原住民か?」
ミゲールはからかうように笑う。しかし、すぐに真剣な表情に変わる。
「――――いや、気をつけろアリス。アイツ等、少し装備がいい」
「装備ですか?」とアリスは3人組を観察する。
彼等の武器は不思議な形状をしている。槍と剣の中間のような武器。
剣にしては柄が長く、槍にしては刃が長く分厚い。
「変な武器ですね」
「あぁ……でも、注目すべき所は別にある。アイツ等の武器は鉄製だ。ここら辺で鉄を作る工場でもあると思うか?」
「そうすると外部から持ち込まれた武器ですか?」
「そうだ。たまたま、ここら辺を根城にしてる原住民じゃない。それにあの刃――――魔力が込められている」
「つまり、それは――――」
「あぁ、魔剣の部類だぜ? それも3本全部が」
「――――」とアリスは無言になる。
「どうした? 怖くなって怯んじまっているのか?」
「そりゃ、怖いですよ。たぶん、誰だって……」
「そうか? でも、私は怖くないぜ」
「それは先生だからですよ」
「私は、お前もそうなるように成長してほしいだがな」
「先生……」
「だから、ほら……頑張ってこい!」とミゲールはアリスの小さな背中を――――思い切り突き飛ばした。
「ちょっと! ミゲール先生っ!」とアリスは抗議の声を上げた。
しかし、時間は戻らない。 男たちは、アリスの姿を確認すると武器を構える。
3人組の男たち。 一見すると原始的な恰好でありながら、全員が魔剣使い。
その全員が、突如として現れた少女に驚くも一瞬……すぐに排除しようと魔剣を振るってきた。
『黒波の魔剣』 黒い魔力を斬撃に変えて、遠くの敵を切り裂く魔剣。
『爆裂の破剣』 斬った物を爆発させる。 あるいは爆弾に変えてしまう魔剣。
「厄災の毒剣」 剣に合わせて猛毒を噴き出す魔剣。 鉄の防具でも腐食させるほどに強力
それらが、殺意を持ってアリスへ向けられる。
そして、3人組は殺意のまま、アリスへ攻撃を開始した。
だが――――
「安心しな、アリス。お前の防御魔法を破れるのは私と対等に戦えるような強者だけだ。 ただの魔剣程度じゃ通じないぜ!」
ミゲールの言う通り、何度も斬りつけられ、爆破され、猛毒を浴びせられて――――それでもアリスは平気だった。
彼女の防御魔法を破壊できないまま、何度も繰り返す攻撃に、3人組の方が激しい疲労で動きを止めた。
その内の1人。背後にミゲールが瞬間移動のように現れる。
「さすがに成人してない弟子に殺生を見せたくはないね」
彼女は無防備になっている彼の首筋に向けて手刀をトンっと――――
「あれ? 間違ったかな?」
首を叩かれた男は、不意をつかれた驚きと首の痛みでうずくまっていた。
他の2人が怒りを見せながら、ミゲールに飛び掛かった。
しかし、彼女は避けると同時に、再び1人の背後に移動する。
「今度、こそ……いや、気を失えよ!」
やはり失敗した。
その隙を狙っていたのかもしれない。攻撃を受けていない1人がミゲールに向かって魔剣を――――
「もういい! 面倒くさいわ!」
ミゲールは、男の顔面に拳を叩き込む。 冗談のような破壊力。
殴られた男の仮面は砕け散った。
「せ、先生、その人死んでませんか? 殺生は見せたくないって今……」
「あん? 知らねぇよ。手加減はしてやった。もし死んだとしたら、死ぬ奴の方が悪い」
「そんな、滅茶苦茶な!」
ミゲールとアリスのやり取り。 残された2人は仲間を置いて逃走に――――
「おいおい、仲間を置いて逃げるなよ」と走り出すよりも早く、ミゲールが2人の肩を掴んだ。 次の瞬間、無造作に2人を床に叩きつけた。
それだけ、それだけで2人は動かなくなった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「さて、コイツ等の服装は助かるぜ。なんせ縛るための縄がたくさんあるんだからな」
「別に自分から縛られるために用意したわけじゃないと思いますよ、ミゲール先生」
「そうかい。それは、これからじっくりと本人たちに話を聞くことしようぜ?」
男たちは意識を失ったあと、縄で手足を縛られて並べられている。 まだ意識は戻っていないようだが…… ミゲールは「ちょっと待てよ」と何かに気づいた。
荷物から飲み水を取り出すと、水を男の頭にかけ始めた。
「ちょ! 先生!? なにをしてるんですか? ジャングルで貴重な飲み水を」
「気にするな。物資なんて、1日もあれば、手に入るだろ? お前が飛んで買いに行けば」
「私の負担が……って、あれ?」
アリスは気づいた。 ミゲールが水をかけている男は、彼女の拳によって仮面を砕かれている。
そのため、顔に塗られている塗料が流れ落ちていく。
「あれ? この人……原住民ではないのですか?」
「あぁ、知った顔だぜ。同業者さ」
「同業者ですか?」
「魔法使い。今は魔法学校――――エッグハント学校の教師だったはず」
ミゲールは、残りの2人から仮面を取った。 妙に若い。青年というよりも少年と言った方が正しそうな年齢。
「こっちは生徒。あるいは弟子や助手か?」
「どうして、こんな格好を? エッグハント学校って魔法使いにとって名門中の名門ですよ?」
「どうして……って、そりゃ私たちと一緒だろうよ」
「一緒? どういう意味ですか?」
「私たちと一緒で調査に来て、魔に取り込まれたってことだろうよ」
ミゲールは剥ぎ取った仮面を興味深そうに観察した。
「さっき、見つけた足跡の主。この3人の誰とも一致しない。すると――――」
「ここで大規模儀式を行おうとしている人物が、調査に来た人間を捕まえて手下にしている……ってことですか?」
「一流の魔法使いを手玉に取るような奴だ」
「そんな危険な相手が……」
「あぁ、ワクワクしてきたな!」
どこか、楽しんでいる様子のミゲール。 まだ、見ぬ強敵を想像しているみたいだった。
前方から3人の人影。男たちは、ゴブリンと見間違うような恰好。
革でできた腰ミノ。 植物を編んで作った縄を体に巻き付けている。
皮膚が赤いため、魔物と見間違えそうになる。しかし、それは塗料を全身に塗りたくっているようだ。
顔は仮面――――白骨化したミノタウロスの頭部から作ったようだ。
「なんだアイツ等? やっぱり、原住民か?」
ミゲールはからかうように笑う。しかし、すぐに真剣な表情に変わる。
「――――いや、気をつけろアリス。アイツ等、少し装備がいい」
「装備ですか?」とアリスは3人組を観察する。
彼等の武器は不思議な形状をしている。槍と剣の中間のような武器。
剣にしては柄が長く、槍にしては刃が長く分厚い。
「変な武器ですね」
「あぁ……でも、注目すべき所は別にある。アイツ等の武器は鉄製だ。ここら辺で鉄を作る工場でもあると思うか?」
「そうすると外部から持ち込まれた武器ですか?」
「そうだ。たまたま、ここら辺を根城にしてる原住民じゃない。それにあの刃――――魔力が込められている」
「つまり、それは――――」
「あぁ、魔剣の部類だぜ? それも3本全部が」
「――――」とアリスは無言になる。
「どうした? 怖くなって怯んじまっているのか?」
「そりゃ、怖いですよ。たぶん、誰だって……」
「そうか? でも、私は怖くないぜ」
「それは先生だからですよ」
「私は、お前もそうなるように成長してほしいだがな」
「先生……」
「だから、ほら……頑張ってこい!」とミゲールはアリスの小さな背中を――――思い切り突き飛ばした。
「ちょっと! ミゲール先生っ!」とアリスは抗議の声を上げた。
しかし、時間は戻らない。 男たちは、アリスの姿を確認すると武器を構える。
3人組の男たち。 一見すると原始的な恰好でありながら、全員が魔剣使い。
その全員が、突如として現れた少女に驚くも一瞬……すぐに排除しようと魔剣を振るってきた。
『黒波の魔剣』 黒い魔力を斬撃に変えて、遠くの敵を切り裂く魔剣。
『爆裂の破剣』 斬った物を爆発させる。 あるいは爆弾に変えてしまう魔剣。
「厄災の毒剣」 剣に合わせて猛毒を噴き出す魔剣。 鉄の防具でも腐食させるほどに強力
それらが、殺意を持ってアリスへ向けられる。
そして、3人組は殺意のまま、アリスへ攻撃を開始した。
だが――――
「安心しな、アリス。お前の防御魔法を破れるのは私と対等に戦えるような強者だけだ。 ただの魔剣程度じゃ通じないぜ!」
ミゲールの言う通り、何度も斬りつけられ、爆破され、猛毒を浴びせられて――――それでもアリスは平気だった。
彼女の防御魔法を破壊できないまま、何度も繰り返す攻撃に、3人組の方が激しい疲労で動きを止めた。
その内の1人。背後にミゲールが瞬間移動のように現れる。
「さすがに成人してない弟子に殺生を見せたくはないね」
彼女は無防備になっている彼の首筋に向けて手刀をトンっと――――
「あれ? 間違ったかな?」
首を叩かれた男は、不意をつかれた驚きと首の痛みでうずくまっていた。
他の2人が怒りを見せながら、ミゲールに飛び掛かった。
しかし、彼女は避けると同時に、再び1人の背後に移動する。
「今度、こそ……いや、気を失えよ!」
やはり失敗した。
その隙を狙っていたのかもしれない。攻撃を受けていない1人がミゲールに向かって魔剣を――――
「もういい! 面倒くさいわ!」
ミゲールは、男の顔面に拳を叩き込む。 冗談のような破壊力。
殴られた男の仮面は砕け散った。
「せ、先生、その人死んでませんか? 殺生は見せたくないって今……」
「あん? 知らねぇよ。手加減はしてやった。もし死んだとしたら、死ぬ奴の方が悪い」
「そんな、滅茶苦茶な!」
ミゲールとアリスのやり取り。 残された2人は仲間を置いて逃走に――――
「おいおい、仲間を置いて逃げるなよ」と走り出すよりも早く、ミゲールが2人の肩を掴んだ。 次の瞬間、無造作に2人を床に叩きつけた。
それだけ、それだけで2人は動かなくなった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「さて、コイツ等の服装は助かるぜ。なんせ縛るための縄がたくさんあるんだからな」
「別に自分から縛られるために用意したわけじゃないと思いますよ、ミゲール先生」
「そうかい。それは、これからじっくりと本人たちに話を聞くことしようぜ?」
男たちは意識を失ったあと、縄で手足を縛られて並べられている。 まだ意識は戻っていないようだが…… ミゲールは「ちょっと待てよ」と何かに気づいた。
荷物から飲み水を取り出すと、水を男の頭にかけ始めた。
「ちょ! 先生!? なにをしてるんですか? ジャングルで貴重な飲み水を」
「気にするな。物資なんて、1日もあれば、手に入るだろ? お前が飛んで買いに行けば」
「私の負担が……って、あれ?」
アリスは気づいた。 ミゲールが水をかけている男は、彼女の拳によって仮面を砕かれている。
そのため、顔に塗られている塗料が流れ落ちていく。
「あれ? この人……原住民ではないのですか?」
「あぁ、知った顔だぜ。同業者さ」
「同業者ですか?」
「魔法使い。今は魔法学校――――エッグハント学校の教師だったはず」
ミゲールは、残りの2人から仮面を取った。 妙に若い。青年というよりも少年と言った方が正しそうな年齢。
「こっちは生徒。あるいは弟子や助手か?」
「どうして、こんな格好を? エッグハント学校って魔法使いにとって名門中の名門ですよ?」
「どうして……って、そりゃ私たちと一緒だろうよ」
「一緒? どういう意味ですか?」
「私たちと一緒で調査に来て、魔に取り込まれたってことだろうよ」
ミゲールは剥ぎ取った仮面を興味深そうに観察した。
「さっき、見つけた足跡の主。この3人の誰とも一致しない。すると――――」
「ここで大規模儀式を行おうとしている人物が、調査に来た人間を捕まえて手下にしている……ってことですか?」
「一流の魔法使いを手玉に取るような奴だ」
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