14 / 42
第14話 お城でクロと再会しました
しおりを挟む
「なんでぇ、なんでぇ! お前らいい仲なのか、まだ若いのに隅に置けないね!」
「いえ、いい仲というよりも私とクロは婚約者なので」
平然と言うアリス。対してクロは少し照れているように見える。
「婚約者……だと!!」とミゲールは真顔になる。
「はい、いい仲か? って聞かれても、答えるなら将来を誓い合った仲です」
「……将来を誓い合った仲?」
「そう言えば、ミゲール先生って若く見えますけど何歳なのですか?」
それは、ミゲールが『まだ若いのに――――』と言った言葉から来た物であるが、ミゲールは心臓をナイフで刺されたような顔をしている。
離れて聞いていたモズリーは、ゆっくりと近づいてアリスの肩をポン!と叩くと――――
「アリス……年齢の話は、それくらいにしておいてあげなさい」
「くっ! モズリー! お前だって同じ歳だぞ! なんだ、その余裕は! まさか、お前! 私の知らない間に――――」
「何を言うつもりですか! 子供たちの前で!」
「私の知らない間に大人の階段を上ってしまったのか……」
「……」と微妙な表情を見せるモズリー。
アリスとクロは意味もわからず「?」と疑問符を浮かべていた。
その時だった。 集団が歩いてくるのが見えた。
「グラハム王子……」とクロの呟き。それでアリスも気がついた。
一番前を颯爽と歩く人物。集団の正体は、グラハム王子の取り巻き。
グラハム王子は、この国の第一王子……グラハム・オブ・ブラック。
つまり、次期国王の最有力者になる。
彼の側近となれば、将来は―――― 王の側近となることが約束されるも同じ。
(あの人が……そう言われてみるとクロに似ている)
「おや、エドワードじゃないか」と初めてそこにクロがいる事に気づいたように声をかけて来た。
「……」と顔を逸らすクロをグラハムは鼻で笑う。それだけで2人の力関係がわかってしまう。
グラハムは、アリスたちに視線を向ける。
「おや、客人かね? あぁ、彼女がウワサに聞くマクレイガー公爵の――――」
「私の弟子でもあるけどな」
グラハムは、言葉の主に――――ミゲールに気づくと
「――――」と無言で顔を青く染めた。
「おう! 王様候補さんよ! 最近、私とは遊んでくれないじゃねぇか。まるで避けられてみたいで悲しいぜ。今度、手頃なダンジョンの最下層まで行って楽しもうぜ? キャンプとか、狩猟とかな」
「ミ、ミゲールさま、最近は忙しくて顔を見せれずに……えっと、時間が空けば今度――――さようなら!」
そう言うとグラハムは、まるで逃げるように――――いや、実際に逃げて行ったのだった。
「やれやれ、グラハムちゃんも昔は可愛い男の子だったのにさぁ。何があって人の顔を見て逃げるような子になっちまったんだか」
「いや、貴方との会話を聞けば、だいたいの見当は付きますよ」
「マジか、モズリー! 教えてくれよ。私とお前の仲だろ!」
そんな一幕もあり、ミゲールはアリスの師匠となった。
もっとも、宮廷魔法使いであるミゲールはモズリーのようにマクレイガー公爵家に住み込みで家庭教師のような事は出来ない。
基本的にアリスが王城に来て、ミゲールから指導を受ける。
週に2日ほどは逆にミゲールがマクレイガー公爵家に指導に来る。
そういう風に決まった。 それを聞いていたクロは――――
「そうか。それじゃ、アリスに会える回数が増えるのか」と呟いた。
「いえ、いい仲というよりも私とクロは婚約者なので」
平然と言うアリス。対してクロは少し照れているように見える。
「婚約者……だと!!」とミゲールは真顔になる。
「はい、いい仲か? って聞かれても、答えるなら将来を誓い合った仲です」
「……将来を誓い合った仲?」
「そう言えば、ミゲール先生って若く見えますけど何歳なのですか?」
それは、ミゲールが『まだ若いのに――――』と言った言葉から来た物であるが、ミゲールは心臓をナイフで刺されたような顔をしている。
離れて聞いていたモズリーは、ゆっくりと近づいてアリスの肩をポン!と叩くと――――
「アリス……年齢の話は、それくらいにしておいてあげなさい」
「くっ! モズリー! お前だって同じ歳だぞ! なんだ、その余裕は! まさか、お前! 私の知らない間に――――」
「何を言うつもりですか! 子供たちの前で!」
「私の知らない間に大人の階段を上ってしまったのか……」
「……」と微妙な表情を見せるモズリー。
アリスとクロは意味もわからず「?」と疑問符を浮かべていた。
その時だった。 集団が歩いてくるのが見えた。
「グラハム王子……」とクロの呟き。それでアリスも気がついた。
一番前を颯爽と歩く人物。集団の正体は、グラハム王子の取り巻き。
グラハム王子は、この国の第一王子……グラハム・オブ・ブラック。
つまり、次期国王の最有力者になる。
彼の側近となれば、将来は―――― 王の側近となることが約束されるも同じ。
(あの人が……そう言われてみるとクロに似ている)
「おや、エドワードじゃないか」と初めてそこにクロがいる事に気づいたように声をかけて来た。
「……」と顔を逸らすクロをグラハムは鼻で笑う。それだけで2人の力関係がわかってしまう。
グラハムは、アリスたちに視線を向ける。
「おや、客人かね? あぁ、彼女がウワサに聞くマクレイガー公爵の――――」
「私の弟子でもあるけどな」
グラハムは、言葉の主に――――ミゲールに気づくと
「――――」と無言で顔を青く染めた。
「おう! 王様候補さんよ! 最近、私とは遊んでくれないじゃねぇか。まるで避けられてみたいで悲しいぜ。今度、手頃なダンジョンの最下層まで行って楽しもうぜ? キャンプとか、狩猟とかな」
「ミ、ミゲールさま、最近は忙しくて顔を見せれずに……えっと、時間が空けば今度――――さようなら!」
そう言うとグラハムは、まるで逃げるように――――いや、実際に逃げて行ったのだった。
「やれやれ、グラハムちゃんも昔は可愛い男の子だったのにさぁ。何があって人の顔を見て逃げるような子になっちまったんだか」
「いや、貴方との会話を聞けば、だいたいの見当は付きますよ」
「マジか、モズリー! 教えてくれよ。私とお前の仲だろ!」
そんな一幕もあり、ミゲールはアリスの師匠となった。
もっとも、宮廷魔法使いであるミゲールはモズリーのようにマクレイガー公爵家に住み込みで家庭教師のような事は出来ない。
基本的にアリスが王城に来て、ミゲールから指導を受ける。
週に2日ほどは逆にミゲールがマクレイガー公爵家に指導に来る。
そういう風に決まった。 それを聞いていたクロは――――
「そうか。それじゃ、アリスに会える回数が増えるのか」と呟いた。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
いつか彼女を手に入れる日まで
月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる