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第13話 入門テスト合格したようです
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ミゲールはゆっくりと動く。素手でアリスの結界に――――
「あっ、危ないですよ!」
思わず彼女は声に出した。
彼女の魔法は防御専門。攻撃魔法はない。
……とは言え、彼女の結界は魔力を流した風によって攻撃を弾く物。
それは高速で動き回る風。
不用心に素手で触れれば、傷を負うのは当然と言える。
しかし――――
「大丈夫だ。私を誰だと思ってやがる?」とミゲールはアリスの結界に手を触れた。
彼女の言葉とは裏腹に皮膚があっさりと切れる。
流血。
触れた指先から流れた血液が、アリスの結界に――――魔法の風に混ざって行く。
「こ、これは!」と彼女は自分の結界が赤く染まって行くのに驚いた。
(これは魔法媒体ですね。日常的に身に付けて物に魔力を流し続けることで、大規模な魔法が使用可能になる……ミゲール先生の血液そのものなら、その魔力はどれほどのものになるのかしら?)
アリスは確信していた。相手は『地上最強の魔法使い』と呼ばれる存在。
自分の結界魔法が必ず破壊されるほどの凄い魔法が執行される……と。
しかし――――
「悪いが、期待してる事は起きねぇよ。このくらいの結界魔法――――素手で殴り壊す!」
ミゲールが行った事は単純だった。結界魔法を――――ぶん殴った!
ただのパンチ。それだけ、それだけで――――
「わ、私の結界魔法が崩壊していきます」
アリスの周囲を守っていた風の魔法に大穴が開く。 そこを中心に魔力の流れが乱れると、結界は消滅していった。
「どうでぇ? 魔法使いに大切なのは魔力とか魔法じゃない! それを使うために鍛えられた肉体だ!」
それは、病弱な幼少期を過ごし、大人になるまで生きれないと言われたアリスにとって致命的とも思える言葉なのだが……
「す、すごい! 私もそれできるようになります?」
「あぁ、もちろんだぜ。私の弟子になったからには、教えれることは教えるつもりだぜ」
ミゲールとアリス。
意外と脳筋タイプの両者のやり取り。 離れて見ていたモズリーは「やれやれ」と言葉と共に、ため息をついた。
こうして、アリスはミゲール・コットの弟子となった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
ミゲール門徒への入門試験。
無事、合格!
合格となったアリスは王城で予想外の人物とである。
「あれ? アリス! アリスじゃないか!」
そう言って駆け寄って来るのはクロだった。
「あれ? クロ! どうしてここにいるの?」
「どうして……ここは俺の家だぞ?」
彼は冗談交じりのように答えた。その言葉に――――
「あっ! そうか!」とアリスは思い出した。
ここは王城。ならば、王位継承権のあるクロ――――エドワード・オブ・ブラックの家である。
「そうか、クロって王子様だもんね!」
「王子様……そういうガラでもないと思うけど」
そんな2人のやり取り。 興味深そうにニヤニヤと見ていたミゲール。
「こいつは面白そうだぜ」と割り込んできた。
「なんだい、アリス。魔法剣士の王子とは知り合いだったのか?」
宮廷魔法使いであるはずのミゲールの印象は、クロにとっても良くないものらしく、
「ゲッ! ミゲール・コット」
そう言いながら、一歩下がっていた。 しかし、ミゲール本人は気にしていない様子――――と言うよりも慣れているのかもしれない。
「あっ、危ないですよ!」
思わず彼女は声に出した。
彼女の魔法は防御専門。攻撃魔法はない。
……とは言え、彼女の結界は魔力を流した風によって攻撃を弾く物。
それは高速で動き回る風。
不用心に素手で触れれば、傷を負うのは当然と言える。
しかし――――
「大丈夫だ。私を誰だと思ってやがる?」とミゲールはアリスの結界に手を触れた。
彼女の言葉とは裏腹に皮膚があっさりと切れる。
流血。
触れた指先から流れた血液が、アリスの結界に――――魔法の風に混ざって行く。
「こ、これは!」と彼女は自分の結界が赤く染まって行くのに驚いた。
(これは魔法媒体ですね。日常的に身に付けて物に魔力を流し続けることで、大規模な魔法が使用可能になる……ミゲール先生の血液そのものなら、その魔力はどれほどのものになるのかしら?)
アリスは確信していた。相手は『地上最強の魔法使い』と呼ばれる存在。
自分の結界魔法が必ず破壊されるほどの凄い魔法が執行される……と。
しかし――――
「悪いが、期待してる事は起きねぇよ。このくらいの結界魔法――――素手で殴り壊す!」
ミゲールが行った事は単純だった。結界魔法を――――ぶん殴った!
ただのパンチ。それだけ、それだけで――――
「わ、私の結界魔法が崩壊していきます」
アリスの周囲を守っていた風の魔法に大穴が開く。 そこを中心に魔力の流れが乱れると、結界は消滅していった。
「どうでぇ? 魔法使いに大切なのは魔力とか魔法じゃない! それを使うために鍛えられた肉体だ!」
それは、病弱な幼少期を過ごし、大人になるまで生きれないと言われたアリスにとって致命的とも思える言葉なのだが……
「す、すごい! 私もそれできるようになります?」
「あぁ、もちろんだぜ。私の弟子になったからには、教えれることは教えるつもりだぜ」
ミゲールとアリス。
意外と脳筋タイプの両者のやり取り。 離れて見ていたモズリーは「やれやれ」と言葉と共に、ため息をついた。
こうして、アリスはミゲール・コットの弟子となった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
ミゲール門徒への入門試験。
無事、合格!
合格となったアリスは王城で予想外の人物とである。
「あれ? アリス! アリスじゃないか!」
そう言って駆け寄って来るのはクロだった。
「あれ? クロ! どうしてここにいるの?」
「どうして……ここは俺の家だぞ?」
彼は冗談交じりのように答えた。その言葉に――――
「あっ! そうか!」とアリスは思い出した。
ここは王城。ならば、王位継承権のあるクロ――――エドワード・オブ・ブラックの家である。
「そうか、クロって王子様だもんね!」
「王子様……そういうガラでもないと思うけど」
そんな2人のやり取り。 興味深そうにニヤニヤと見ていたミゲール。
「こいつは面白そうだぜ」と割り込んできた。
「なんだい、アリス。魔法剣士の王子とは知り合いだったのか?」
宮廷魔法使いであるはずのミゲールの印象は、クロにとっても良くないものらしく、
「ゲッ! ミゲール・コット」
そう言いながら、一歩下がっていた。 しかし、ミゲール本人は気にしていない様子――――と言うよりも慣れているのかもしれない。
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