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第5話 剣聖オスカー登場
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「どうも、お困りでしょうか?」
新しい人物の声。 声と同時に現れたのは大人の男だった。
白い髪を腰まで伸ばしてる細身の男性。
「この少年は、クロ。私の弟子であり、怪しい人物ではないと証明いたしましょう」
「――――どなたでしょうか?」とメイは、さらに警戒心を強める結果になった。しかし――――
「おやおや、私もまだ無名でしたか。それでは、これならどうでしょうか?」
男は帯びている剣を腰から外して、その鞘を見せる。 正確には、鞘に刻まれた紋章を……
「そ、その紋章は、剣聖オスカーさまの――――そんな、本物!?」
メイは驚き、視線をクロに向けた。
「そ、それでは、この少年は――――」
「えぇ、私の弟子は1人だけ……彼の名前はエドワード・オブ・ブラック。すなわち、エドワード皇太子ですよ」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
屋敷に戻ったアリスたち。
応接間にはアリスの両親。その向いには、クロが師匠のオスカーと並んで座っている。 メイは、扉の横に控えている。
「エドワード王子、うちのメイドが失礼をしました。どうやら娘を助けてくださったそうで、感謝してもしきれません」
アリスの父親の言葉。 エドワード王子――――クロは緊張した顔を見せながら。
「いえ、偶然です」とだけ答えた。その様子に彼の師匠は苦笑しながら、
「マクレイガー公爵、すでに2人は、親交を結んでいる様子。どうでしょうか? 2人の方が気兼ねなく話せるみたいですが?」
「おっと、これは私としたことが気がつかず……そうですな。ここは若い2人に任せますかな」
そんな、よくわからない事を言いながら大人たちは部屋を出て行った。
2人だけになったアリスとクロは――――
「クロ、王子様だったの?」
「うん、まぁそんな感じ」
「どうして教えてくれなかった」
「俺は、自分が王子なんて自覚がないんだ」
それに……と彼は話を続ける。
「王位継承権も高くない。生まれた時には魔法の才能も期待されていたけど、紋章が宿るほどの才能もなく――――中途半端な魔法剣士になった。……いや、なるしかなかった」
「中途半端? そんなことない。クロは凄かったよ? 私を助けてくれたんだもん」
「そう言ってくれるとありがたいけど、違うんだよ」とクロは首を左右に振った。
「魔法剣士ってのは魔法の研鑽に費やせば、剣の鍛練はおろそかに、剣の鍛練に費やせば、魔法の鍛練はおろそかに……そう言われてる」
「じゃ、剣と魔法の両方を頑張ってみたら?」
「────」とクロは言葉を失った。
アリスの表情は純粋な疑問。彼女は信じている。
クロなら、それができると信じている。
それがクロ自身にも伝わり────
「……そう、だな。やってみるか」
「うん、クロならできるよ。きっと!」
新しい人物の声。 声と同時に現れたのは大人の男だった。
白い髪を腰まで伸ばしてる細身の男性。
「この少年は、クロ。私の弟子であり、怪しい人物ではないと証明いたしましょう」
「――――どなたでしょうか?」とメイは、さらに警戒心を強める結果になった。しかし――――
「おやおや、私もまだ無名でしたか。それでは、これならどうでしょうか?」
男は帯びている剣を腰から外して、その鞘を見せる。 正確には、鞘に刻まれた紋章を……
「そ、その紋章は、剣聖オスカーさまの――――そんな、本物!?」
メイは驚き、視線をクロに向けた。
「そ、それでは、この少年は――――」
「えぇ、私の弟子は1人だけ……彼の名前はエドワード・オブ・ブラック。すなわち、エドワード皇太子ですよ」
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屋敷に戻ったアリスたち。
応接間にはアリスの両親。その向いには、クロが師匠のオスカーと並んで座っている。 メイは、扉の横に控えている。
「エドワード王子、うちのメイドが失礼をしました。どうやら娘を助けてくださったそうで、感謝してもしきれません」
アリスの父親の言葉。 エドワード王子――――クロは緊張した顔を見せながら。
「いえ、偶然です」とだけ答えた。その様子に彼の師匠は苦笑しながら、
「マクレイガー公爵、すでに2人は、親交を結んでいる様子。どうでしょうか? 2人の方が気兼ねなく話せるみたいですが?」
「おっと、これは私としたことが気がつかず……そうですな。ここは若い2人に任せますかな」
そんな、よくわからない事を言いながら大人たちは部屋を出て行った。
2人だけになったアリスとクロは――――
「クロ、王子様だったの?」
「うん、まぁそんな感じ」
「どうして教えてくれなかった」
「俺は、自分が王子なんて自覚がないんだ」
それに……と彼は話を続ける。
「王位継承権も高くない。生まれた時には魔法の才能も期待されていたけど、紋章が宿るほどの才能もなく――――中途半端な魔法剣士になった。……いや、なるしかなかった」
「中途半端? そんなことない。クロは凄かったよ? 私を助けてくれたんだもん」
「そう言ってくれるとありがたいけど、違うんだよ」とクロは首を左右に振った。
「魔法剣士ってのは魔法の研鑽に費やせば、剣の鍛練はおろそかに、剣の鍛練に費やせば、魔法の鍛練はおろそかに……そう言われてる」
「じゃ、剣と魔法の両方を頑張ってみたら?」
「────」とクロは言葉を失った。
アリスの表情は純粋な疑問。彼女は信じている。
クロなら、それができると信じている。
それがクロ自身にも伝わり────
「……そう、だな。やってみるか」
「うん、クロならできるよ。きっと!」
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