85 / 118
第2章
第85話 魔導書の料理 『讃岐うどん』 その②
しおりを挟む
出されたのは、天ぷらの山。
その全てが、美しい黄金の衣に包まれている。
食べるのはどれからか? 順番に迷う。
「ん~ まずは野菜か」とユウトが手を伸ばしたのは、
『野菜のあげ揚げ』
まずは、大きさに驚く。
「凄い、立体の食べ物だぁ。どうなっているんだ、これ?」
そう立体なのだ…… 芸術作品のような高さを誇っていた。
芸術品というなら、この盛り付け。どうやったら、油で揚げる時に崩れないのか?
よほど、丁寧に組み合わされているのか?
皿の上には、野菜が美しく積み重ねられた状態で揚げられている。
その高さはまるで小さな塔のようだ。キャベツ、にんじん、玉ねぎなどの野菜が一つずつ重なり合い、衣の層が交互に現れていた。
まず、作り方の想像が難しい。
「どうやって、どこから食べようか」と迷いながら、ゆっくりと口に運ぶ。その味は――――
「まずは……衣。口に近づくにつれて香ばしさが漂ってきた。その表面はサクサクとした食感が楽しめた」
外側はサクサク、内側はふんわり。
「味そのものは、野菜の旨味と甘み――――うん、素材の美味しさがしっかりと感じられる」
手を伸ばしたの天つゆ。 黒い調味料に興味がでた。
味を変化させるために、浸していく。
「果たして、どんな感じで味に変化が訪れたのか?」
サクサクとした衣に天つゆが浸透していく。 素朴な野菜の味に、程よい甘さとしょっぱさが加えられる。
しっとりとした食感に変化――――
さっぱりとした天つゆにより、揚げたての野菜の油っぽさを引き締められている。
口の中で花が咲くような美しい体験であった。
「次は――――エビかな?」
『大海老天』
皿の上には2本のエビが乗っている。
それが、大海老天だ。赤い尻尾が可愛らしく見えている。
肉厚な身を口に運ぶ。
まずはプリプリとした食感。 衣の中にはジューシーな旨味が閉じ込められいた。
柔らかさと甘みが感じられる。身がふっくらとしており、一口食べると口いっぱいに広がるエビの旨味が堪能できた。
『ちくわの磯辺揚げ』
そもそも磯辺揚げの磯辺ってなんだ?
店主に訊ねてみる。帰ってきた答えは――――
どうやら、磯辺は「海岸の周辺」を意味してるらしい。
要するに海岸で獲れる魚や海産物を使用した料理だ。衣をつけた食材を揚げる際に、香りや風味を引き立てるために、海藻や塩などの磯辺をまぶすことが特徴。
(なるほど、俺たちはついつい忘れてしまう。ちくわとは―――― ちくわの正体は―――魚料理だ!)
ちくわの原料は魚。 魚のすり身を加工した物がちくわなのだ。
磯辺の風味。 真ん中に穴が空いている事で独特の弾力。
味蕾に広がり、舌の上で調和する。
『とり天』
白い淡白な鶏肉に黄金の衣。
他の天ぷらよりも白い存在として目立っている。
その特徴的な味わいは、淡白でありながらも繊細さを持っているのだ。
淡白な味わい……? 淡白な味わいとは、鶏肉本来の旨みが活かされていることを指すそうだ。
とり天は鶏肉の風味を重視しており、あえて濃厚な味付けやソースを加えずに、素材の持つ自然な旨みを楽しむことができるらしい。
「だが、ここで天つゆを投入だ!」
素材の旨味を味わえと言わんばかりの美しい白を、黒い天つゆで暴虐していく。
もうわかっている。 この組み合わせは――――
「絶対にうまいに決まっている!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
「ふぅ……」と満足したようにお腹をさするユウト。 その前に――――
一杯のかけうどんが置かれた。 最初に食べたうどんと同じに見える。
「これは?」と店主に確認すると――――
「天ぷらの食べ方は、1種類だけじゃねぇ。 うどんの上に乗せてみろ……飛ぶぞ!」
自信満々の店主。ここで断る理由はない。
倍だ…… 2倍楽しめる事にユウトは感謝した。
だが、これだけではない。
『かけうどん』と『冷かけ』
これはうどんの基本である。この2種類と天ぷらだけで終わるはずもなく……
さらに新しいうどんが準備されていく。
その全てが、美しい黄金の衣に包まれている。
食べるのはどれからか? 順番に迷う。
「ん~ まずは野菜か」とユウトが手を伸ばしたのは、
『野菜のあげ揚げ』
まずは、大きさに驚く。
「凄い、立体の食べ物だぁ。どうなっているんだ、これ?」
そう立体なのだ…… 芸術作品のような高さを誇っていた。
芸術品というなら、この盛り付け。どうやったら、油で揚げる時に崩れないのか?
よほど、丁寧に組み合わされているのか?
皿の上には、野菜が美しく積み重ねられた状態で揚げられている。
その高さはまるで小さな塔のようだ。キャベツ、にんじん、玉ねぎなどの野菜が一つずつ重なり合い、衣の層が交互に現れていた。
まず、作り方の想像が難しい。
「どうやって、どこから食べようか」と迷いながら、ゆっくりと口に運ぶ。その味は――――
「まずは……衣。口に近づくにつれて香ばしさが漂ってきた。その表面はサクサクとした食感が楽しめた」
外側はサクサク、内側はふんわり。
「味そのものは、野菜の旨味と甘み――――うん、素材の美味しさがしっかりと感じられる」
手を伸ばしたの天つゆ。 黒い調味料に興味がでた。
味を変化させるために、浸していく。
「果たして、どんな感じで味に変化が訪れたのか?」
サクサクとした衣に天つゆが浸透していく。 素朴な野菜の味に、程よい甘さとしょっぱさが加えられる。
しっとりとした食感に変化――――
さっぱりとした天つゆにより、揚げたての野菜の油っぽさを引き締められている。
口の中で花が咲くような美しい体験であった。
「次は――――エビかな?」
『大海老天』
皿の上には2本のエビが乗っている。
それが、大海老天だ。赤い尻尾が可愛らしく見えている。
肉厚な身を口に運ぶ。
まずはプリプリとした食感。 衣の中にはジューシーな旨味が閉じ込められいた。
柔らかさと甘みが感じられる。身がふっくらとしており、一口食べると口いっぱいに広がるエビの旨味が堪能できた。
『ちくわの磯辺揚げ』
そもそも磯辺揚げの磯辺ってなんだ?
店主に訊ねてみる。帰ってきた答えは――――
どうやら、磯辺は「海岸の周辺」を意味してるらしい。
要するに海岸で獲れる魚や海産物を使用した料理だ。衣をつけた食材を揚げる際に、香りや風味を引き立てるために、海藻や塩などの磯辺をまぶすことが特徴。
(なるほど、俺たちはついつい忘れてしまう。ちくわとは―――― ちくわの正体は―――魚料理だ!)
ちくわの原料は魚。 魚のすり身を加工した物がちくわなのだ。
磯辺の風味。 真ん中に穴が空いている事で独特の弾力。
味蕾に広がり、舌の上で調和する。
『とり天』
白い淡白な鶏肉に黄金の衣。
他の天ぷらよりも白い存在として目立っている。
その特徴的な味わいは、淡白でありながらも繊細さを持っているのだ。
淡白な味わい……? 淡白な味わいとは、鶏肉本来の旨みが活かされていることを指すそうだ。
とり天は鶏肉の風味を重視しており、あえて濃厚な味付けやソースを加えずに、素材の持つ自然な旨みを楽しむことができるらしい。
「だが、ここで天つゆを投入だ!」
素材の旨味を味わえと言わんばかりの美しい白を、黒い天つゆで暴虐していく。
もうわかっている。 この組み合わせは――――
「絶対にうまいに決まっている!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
「ふぅ……」と満足したようにお腹をさするユウト。 その前に――――
一杯のかけうどんが置かれた。 最初に食べたうどんと同じに見える。
「これは?」と店主に確認すると――――
「天ぷらの食べ方は、1種類だけじゃねぇ。 うどんの上に乗せてみろ……飛ぶぞ!」
自信満々の店主。ここで断る理由はない。
倍だ…… 2倍楽しめる事にユウトは感謝した。
だが、これだけではない。
『かけうどん』と『冷かけ』
これはうどんの基本である。この2種類と天ぷらだけで終わるはずもなく……
さらに新しいうどんが準備されていく。
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。
音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。
その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。
16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。
後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
婚約者を奪われて冤罪で追放されたので薬屋を開いたところ、隣国の殿下が常連になりました
今川幸乃
ファンタジー
病気がちな母を持つセシリアは将来母の病気を治せる薬を調合出来るようにと薬の勉強をしていた。
しかし婚約者のクロードは幼馴染のエリエと浮気しており、セシリアが毒を盛ったという冤罪を着せて追放させてしまう。
追放されたセシリアは薬の勉強を続けるために新しい街でセシルと名前を変えて薬屋を開き、そこでこれまでの知識を使って様々な薬を作り、人々に親しまれていく。
さらにたまたまこの国に訪れた隣国の王子エドモンドと出会い、その腕を認められた。
一方、クロードは相思相愛であったエリエと結ばれるが、持病に効く薬を作れるのはセシリアだけだったことに気づき、慌てて彼女を探し始めるのだった。
※医学・薬学関係の記述はすべて妄想です
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
[完結]回復魔法しか使えない私が勇者パーティを追放されたが他の魔法を覚えたら最強魔法使いになりました
mikadozero
ファンタジー
3月19日 HOTランキング4位ありがとうございます。三月二十日HOTランキング2位ありがとうございます。
ーーーーーーーーーーーーー
エマは突然勇者パーティから「お前はパーティを抜けろ」と言われて追放されたエマは生きる希望を失う。
そんなところにある老人が助け舟を出す。
そのチャンスをエマは自分のものに変えようと努力をする。
努力をすると、結果がついてくるそう思い毎日を過ごしていた。
エマは一人前の冒険者になろうとしていたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる