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第2章
第70話 エルフの里長
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里にあるエルフたちの住居や建物。それらは自然の素材と調和していた。
木々の枝や蔦が建物に絡みつき、建物が緑に包まれている。
まさに自然と共に生きているエルフ。その中でも一際、大きな住居に進められる。
「ここが里長さまのおられる家です」とメイヴ。
「この向こう側……エルフの地を納める里長がいるのか」
「はい、でもそんなに緊張する必要はありませんよ」
「緊張をしているのが見抜かれていたか。しかし――――」
そう言われても緊張は解けない。しかし、いつまでも里長の家の前で止まっている場合ではない。
「よし、行こう!」と覚悟を決めた。
「失礼します。メイヴ・ブラックウッドが帰ってまいりました」
すると――――
「おぉ、メイヴ。待っていたよ。入りなさい」
その声に従って中に入る2人。 広い室内、その真ん中に座っている老人。
白い絹の服に、長い白髪と髭。 物語に出て来る魔法使いの老エルフのイメージが、そのまま座っていた。
「お前が里を飛び出して200年程度。それでも成長が見て取れる」
「はい、ありがとうございます」
「それで、後ろにいる男が手紙に書いていた――――」
「はい、彼の名前はユウト・フィッシャー 私の伴侶です」
「伴侶……?」と疑問を持つユウトだったが、事前にメイヴから、
「これから行われるのは儀式的挨拶なので、奇妙な表現をするかもしれませんがお気にせずに」と言われていたので、そういうものなのかと納得した。
「ユウトとやら、もう少し近くに……顔を見せてくれ」
「はい」と彼は下げていた頭を上げて、里長に近づいた。
「おぉ、良い目をしている。さすが、メイヴが認めた男――――今日は里の客人として認めよう」
「ありがとうございます」
「夜は宴としよう。我々はエルフである。質素であるが、精一杯のおもてなしをさせてもらうよ」
こうして、里長との面談を終えて外に出た2人。すると――――
ダレスが待ち受けていた。
「ダレス兄さん……」
「その様子だと、里長に認められたようだな。里に滞在する事は……」
「はい、ありがたいことに」
「フン! お前はともかく、そこの男が認められるとはな!」
「兄さん、ユウトは里の客人です。失礼な言葉は、里長への非礼になります」
「ほう……そこまで、お前が感情を露わにするのは珍しいな。それほどまでに――――」
「いや、さすがに煽り過ぎだろ? なんか、メイヴに劣等感があるのか?」
そのユウトの言葉、反論されるとは夢にも思っていなかったのだろう。
ダレスは
「なッ――――!」と絶句した。
それ以上、言葉が出てこない、なわなわと怒りに肩を震えさせている。
「これ以上、用事はないな? 行かせてもらうぜ?」
それだけ言うと、歩き出したユウトとメイヴを止める事をダレスにはできなかった。
「クソっ! 只人が!」と2人の姿が見えなくなってから吐き捨てるように言う。
すると――――
「あらあら、舌戦では完敗したみたいね」と近づいてきたのは、メリスだった。
「お前の言葉を完全に信じた。メイヴは里長の座を狙うため、ここに只人を招き入れた」
「そうね。その通りよ」
「いいだろう。お前が言う通り、俺があの只人を殺す」
怒り狂っているダレス。その様子に、メリスは――――
(レインから貰った薬。魔導書の力が少し強過ぎてるわね。予定より、早くぶつけないと暴走しそうだわ)
ダレスは本来、聡明な男であった。 少なくとも里長候補に選ばれる程度には……
しかし、今の彼は異常。
メリスの『色欲』の能力。 レインの『怠惰』の能力。
この2人によって、暴走直前に精神になっていた。
「メリス……俺は、どうしたらいい? どうやって、只人を殺したらいい?」
「もう、こうなっては策略じゃダメね。単純な戦い……決闘を申し込みなさい」
「決闘……エルフ式の決闘か。悪くない。俺は――――
――――ユウト・フィッシャーを今日、殺す」
木々の枝や蔦が建物に絡みつき、建物が緑に包まれている。
まさに自然と共に生きているエルフ。その中でも一際、大きな住居に進められる。
「ここが里長さまのおられる家です」とメイヴ。
「この向こう側……エルフの地を納める里長がいるのか」
「はい、でもそんなに緊張する必要はありませんよ」
「緊張をしているのが見抜かれていたか。しかし――――」
そう言われても緊張は解けない。しかし、いつまでも里長の家の前で止まっている場合ではない。
「よし、行こう!」と覚悟を決めた。
「失礼します。メイヴ・ブラックウッドが帰ってまいりました」
すると――――
「おぉ、メイヴ。待っていたよ。入りなさい」
その声に従って中に入る2人。 広い室内、その真ん中に座っている老人。
白い絹の服に、長い白髪と髭。 物語に出て来る魔法使いの老エルフのイメージが、そのまま座っていた。
「お前が里を飛び出して200年程度。それでも成長が見て取れる」
「はい、ありがとうございます」
「それで、後ろにいる男が手紙に書いていた――――」
「はい、彼の名前はユウト・フィッシャー 私の伴侶です」
「伴侶……?」と疑問を持つユウトだったが、事前にメイヴから、
「これから行われるのは儀式的挨拶なので、奇妙な表現をするかもしれませんがお気にせずに」と言われていたので、そういうものなのかと納得した。
「ユウトとやら、もう少し近くに……顔を見せてくれ」
「はい」と彼は下げていた頭を上げて、里長に近づいた。
「おぉ、良い目をしている。さすが、メイヴが認めた男――――今日は里の客人として認めよう」
「ありがとうございます」
「夜は宴としよう。我々はエルフである。質素であるが、精一杯のおもてなしをさせてもらうよ」
こうして、里長との面談を終えて外に出た2人。すると――――
ダレスが待ち受けていた。
「ダレス兄さん……」
「その様子だと、里長に認められたようだな。里に滞在する事は……」
「はい、ありがたいことに」
「フン! お前はともかく、そこの男が認められるとはな!」
「兄さん、ユウトは里の客人です。失礼な言葉は、里長への非礼になります」
「ほう……そこまで、お前が感情を露わにするのは珍しいな。それほどまでに――――」
「いや、さすがに煽り過ぎだろ? なんか、メイヴに劣等感があるのか?」
そのユウトの言葉、反論されるとは夢にも思っていなかったのだろう。
ダレスは
「なッ――――!」と絶句した。
それ以上、言葉が出てこない、なわなわと怒りに肩を震えさせている。
「これ以上、用事はないな? 行かせてもらうぜ?」
それだけ言うと、歩き出したユウトとメイヴを止める事をダレスにはできなかった。
「クソっ! 只人が!」と2人の姿が見えなくなってから吐き捨てるように言う。
すると――――
「あらあら、舌戦では完敗したみたいね」と近づいてきたのは、メリスだった。
「お前の言葉を完全に信じた。メイヴは里長の座を狙うため、ここに只人を招き入れた」
「そうね。その通りよ」
「いいだろう。お前が言う通り、俺があの只人を殺す」
怒り狂っているダレス。その様子に、メリスは――――
(レインから貰った薬。魔導書の力が少し強過ぎてるわね。予定より、早くぶつけないと暴走しそうだわ)
ダレスは本来、聡明な男であった。 少なくとも里長候補に選ばれる程度には……
しかし、今の彼は異常。
メリスの『色欲』の能力。 レインの『怠惰』の能力。
この2人によって、暴走直前に精神になっていた。
「メリス……俺は、どうしたらいい? どうやって、只人を殺したらいい?」
「もう、こうなっては策略じゃダメね。単純な戦い……決闘を申し込みなさい」
「決闘……エルフ式の決闘か。悪くない。俺は――――
――――ユウト・フィッシャーを今日、殺す」
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