交わらない心

なめめ

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後夜祭

後夜祭②

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優作は得意ではないやつに話しかけられ、身構えると同時にそんなに表情に出ていたかと思うと羞恥にみまわれる。

「いや·····。別に」

「安心しろよ。辻本も俺もそういう風に千晃のこと見てないから」
「別にそういうわけじゃない」

自分と同じ思考の奴なんて少数派だし、むしろ毛嫌いするやつの方が多い。
飯田と辻本もそんな感じなんだろうか·····。

大抵の男は女子に目が行くし。そんなの分かりきっているが、好きなやつが自分以外の奴とベタベタしているのはいい気はしないよな·····。

「っていうか、お似合いだと思うけど。俺からしたら桜田と千晃」

「えっ?」

「飯田、優に変なこと吹きかけないでよ」

辻本と話していた吉岡が自分たちの所へ戻ってきた。怪訝そうな顔で飯田を見ている。
飯田は、「二人してラブラブじゃん」なんて呟きながらも「千晃、いい写真みせようか?」とスマホを取り出してきた。

何何?と飯田のスマホを覗き込んだ途端に
吉岡の耳が真っ赤になる。

「えっ?!俺らじゃん·····。」

吉岡が飯田からスマホを取り上げては優作に画面を見せるように差し出してくる。
画面の中に写ってたのは紛れもなく、昼のステージの自分と吉岡。写真は吉岡が額にキスをしているところだった。

確かに見世物のように誰かに撮られててもおかしくはない状況だったが、まさか飯田に知られてるとは思わなかった。

「女子から回ってきた。一部の女子が盛り上がってたみたいだけど」

「飯田っちなになに」

辻本も近づいてきてはスマホを覗き込んでくる。

「まじ!?よっしー大胆。·····てことは片想いは成就·····」

写真を見るなり周りが一瞬だけ、こちらを見るくらい大きな声で話してくる辻本を吉岡は口止めするように手で抑えた。

「辻本、大声ではやめてっ。てかそもそも、飯田くん、物知りすぎて怖いんですけど·····」

普通、吉岡を恋愛対象として見ていなくても男が男のことを好きなら引くはずだ。
だけど二人は当たり前のように吉岡にいつもと変わらず接してるし、改めてみて吉岡の周りは恵まれているんだな·····ちょっと羨ましいような。

まぁ自分にも楓がいるけど·····。
他人に受け入れて貰ったことなかったからやっぱりいい奴にはいい友達がつくのだと
半ば蚊帳の外の中、三人を眺めていた。




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