交わらない心

なめめ

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交わる心

交わる心⑯

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「ん·····んっ········んふ」

静かな教室に響くリップ音と触れている感触に高揚して気持ちよくて声が漏れ出してしまう。このままもっと触れて欲しい·····なんて思ったところで唇がゆっくり離れていった。

完全に骨抜きにされてしまった優作は吉岡からすり抜けるようにその場に座り込む。唇が離れた瞬間、なんだか寂しくて吉岡を見上げた。

「よしおかぁ·····」

吉岡は同じ目線になるよう屈んでくると
顔を真っ赤にさせながら俯き加減で話してくる。

「優、その顔反則。これ以上すると襲いたくなっちゃうじゃん」
  
「吉岡が好きなのは本当だから·····」

吉岡は悶えた様子で片手で自分の頭を掻き回すと抱き竦めてきた。吉岡の体温は心地が良くて、心臓の音がバクバクと早く鳴っている。ずっとこうされたかったから幸福感で胸がいっぱいになった。


「前みたいにどうせダメな覚悟でいたけど、
優が嬉しそうに応えてくるから調子乗っちゃったじゃん」

「·····調子乗ってもっと触ってよ」

吉岡はそっと肩を掴みながら離れてくると
耳朶を真っ赤にさせながらこちらを見つめてくる。

「優の男殺し。後夜祭でる?」

「お前がでるなら·····」

「じゃあ、行こうか」

「えっ·····」

吉岡はその場に立ち上がると座席まで戻り、右肩には自分の鞄、左手には優作の座席に掛かっていた鞄を手に取っていた。
優作は先程の余韻が抜けないまま、早々とその場を退散しようとする吉岡に慌てて立ち上がっては追いかける。

なんだか不完全燃焼のまま吉岡の左手の鞄を受け取ると吉岡の後についていった。
その先なんて期待をしてしまった自分が恥ずかしくなる。

「優。続きはまた今度ね。俺、今までの分目移りさせないようにもっと優には俺のこと大好きにさせたいから」

教室を出る手前で吉岡が振り返ってくると
ニヤリと笑みを浮かべてきた。その表情から吉岡へのドキドキが収まらないまま優作は教室を後にした。
 
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