132 / 140
交わる心
交わる心⑪
しおりを挟む
教室も終わりメインの文化祭が終わる。
優作は家庭科室で着物から制服に着替えてはズボンだけ履き、上裸のまま
水道の水で顔を洗っていた。
人の声で騒がしくなる廊下。
うちの学校には後夜祭があるらしく、生徒たちはぞろぞろとグランドに向かっているようだった。
浮かれたような男女の声が廊下に響き渡る。
優作はタオルで顔を拭き、ワイシャツを羽織るとベストを着て家庭科室を出た。後夜祭は出るつもりはない。
吉岡とはあれ以来会って話せてないから関係は曖昧なまま。
真意を確かめたくても彼を捕まえられないことには意味が無い。
かと言って後夜祭を出たところで吉岡はきっと飯田と辻本と一緒にいるから近づこうにも近づけない。こんな時でも吉岡と後夜祭、一緒に出たかったなんて思ってしまう自分が虚しくなる。
考えれば考えるだけ気は落ちていくばかりで優作は深く息をつくと
大人しく教室に鞄を取りに戻ることにした。
消灯された真っ暗な廊下を気怠い足取りで歩く。
自教室前方の扉を開けると、月明かりに照らされた薄暗い教室の中で最後尾の自席に人影があった。
優作は扉横にあったスイッチを付けると、明るくなったことによりその人影の正体が姿を現す。
その姿を見た瞬間に内心ドキリとした。
「優、おつかれ」
てっきりいないと思っていた吉岡が俯きながら優作の座席に座っていたのだった。
右手を上げて挨拶してきては、一件いつもと変わらない吉岡と視線がかち合う。
「吉岡·····」
あれほど気持ちを確かめたかった男が、自分の目の前にいることに驚いていた。
てっきり、自分は避けられていると思っていたから.......。
優作は家庭科室で着物から制服に着替えてはズボンだけ履き、上裸のまま
水道の水で顔を洗っていた。
人の声で騒がしくなる廊下。
うちの学校には後夜祭があるらしく、生徒たちはぞろぞろとグランドに向かっているようだった。
浮かれたような男女の声が廊下に響き渡る。
優作はタオルで顔を拭き、ワイシャツを羽織るとベストを着て家庭科室を出た。後夜祭は出るつもりはない。
吉岡とはあれ以来会って話せてないから関係は曖昧なまま。
真意を確かめたくても彼を捕まえられないことには意味が無い。
かと言って後夜祭を出たところで吉岡はきっと飯田と辻本と一緒にいるから近づこうにも近づけない。こんな時でも吉岡と後夜祭、一緒に出たかったなんて思ってしまう自分が虚しくなる。
考えれば考えるだけ気は落ちていくばかりで優作は深く息をつくと
大人しく教室に鞄を取りに戻ることにした。
消灯された真っ暗な廊下を気怠い足取りで歩く。
自教室前方の扉を開けると、月明かりに照らされた薄暗い教室の中で最後尾の自席に人影があった。
優作は扉横にあったスイッチを付けると、明るくなったことによりその人影の正体が姿を現す。
その姿を見た瞬間に内心ドキリとした。
「優、おつかれ」
てっきりいないと思っていた吉岡が俯きながら優作の座席に座っていたのだった。
右手を上げて挨拶してきては、一件いつもと変わらない吉岡と視線がかち合う。
「吉岡·····」
あれほど気持ちを確かめたかった男が、自分の目の前にいることに驚いていた。
てっきり、自分は避けられていると思っていたから.......。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
理香は俺のカノジョじゃねえ
中屋沙鳥
BL
篠原亮は料理が得意な高校3年生。受験生なのに卒業後に兄の周と結婚する予定の遠山理香に料理を教えてやらなければならなくなった。弁当を作ってやったり一緒に帰ったり…理香が18歳になるまではなぜか兄のカノジョだということはみんなに内緒にしなければならない。そのため友だちでイケメンの櫻井和樹やチャラ男の大宮司から亮が理香と付き合ってるんじゃないかと疑われてしまうことに。そうこうしているうちに和樹の様子がおかしくなって?口の悪い高校生男子の学生ライフ/男女CPあります。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる