交わらない心

なめめ

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交わる心

交わる心⑧

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舞台上へあがると、騒めきから歓声に変わり、より一層に盛り上がりが増す。主に女子からの黄色い声が多い。男子からはどちらかというと「こんなの上手くいくに決まってんだろ」と野次が飛んできていた。

壇上の真ん中で両サイド、それぞれ赤と青のジャケットの司会者に挟まれる。

「これはまた着物イケメンくんが来てくれましたよー!年次とお名前は?」

青い方が質問を投げてくると右側の赤い方が自分にマイクを向けてくる。

「3年a組 桜田優作」
「着物は出店の衣装ですかね?」

「ああ」

何か言葉を待っていたのかそれ以上喋らない優作の間に慌てた青い方の司会者が場を盛り上げようと「女子のみなさーん3年a組に行けばこのイケメンくんがいますよー!」と言うと赤い方が「あーこんなイケメンに俺も告白されたい」と唐突に発言しては「お前は速攻論外だわ」と青い方に突っ込まれひと笑いとっていた。

「では、桜田さんは誰に想いを伝えますか?」

気を取り直し、司会者にマイクを向けられては優作は客席の吉岡を見ると目が合った。
誰を指名するかなんて決まっている。
自分の想いを伝えたい相手なんて一人しかいない。

「同じクラスの吉岡千晃」

優作は吉岡の名前を口にした後、深く息を吐いた。自分が告白すると宣言して吉岡はどう思っているのだろうか。期待と不安で客席なんか見ることが出来ず、ステージと客席の間をひたすら眺めていた。

「吉岡さん?は此処にいるのかな?吉岡さん上がって来てくださーい。」

マイクを挟んで司会者が辺りを見渡しながら呼びかけてくる。
暫くして舞台下手側から吉岡が上がってくるのが分かったのは会場全体がどよめいてるのが分かったからだ。

「ちあき」と言うから周りも司会者も完全に女だと思ったのであろう。
上がってきたのは茶色い短髪で男子制服を着たごく普通の男。

吉岡が此方へと近づいてくる度に胸の鼓動が早くなる。

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