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交わる心
交わる心⑦
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暫くすると、スパンコールジャケットをきた二人組が「はい、どーも」と言う明るい挨拶と共にステージへと登壇してきた。赤と青の
如何にもお笑い担当を醸し出しているような二人。
漫才のような軽快なトークを少しした後、マイクを持って一度咳払いをし、観客を静かにさせると「愛の大告白たいかーい」と大声でタイトルコールをしていた。
ルール説明を淡々と始める。
タイトル通りそのままの意味で好きな相手に公の場で告白する企画らしい。
文化祭きっかけに仲良くなって、男が気になる女に告白したり、部活の後輩が先輩相手になど良くある恋愛イベントだ。確かに店番をしている時にクラスの女子達が騒いでいたのを思い出す。
一組ずつ、様々な人が登壇しては告白し、
成功しては抱き合うと観客も盛大に盛り上がる。逆に振られると「どんまーい」なんて励まされている場面も見られた。
ふと、ここで吉岡への気持ちをぶつけてしまえば吉岡はどんな風に返してくるのだろうか。
「あーあ振られちゃった。コレ見てると、すげぇデジャブ見てるみたい」
吉岡が公の場で女に振られて壇上に取り残されている男を見ては急に呟いた。
「あーあいつの」
なんの事か言わなくてもすぐに椿の告白現場の事だとわかった。吉岡が告白してた時も自分は黙って見てたっけ。あの時は単純に仲良くなりたくて·····。
「でもさーこんな所で告白されたら断りにくいよね」
「なんで?」
「だって、あんな公の場で振ったら罪悪感残りそうじゃん·····」
自分からしたら人気のない場所とはいえ学校で告白するのも何処で誰が見てるかもしれないし、今の状況と大差ないように感じるが、やはり大勢と一人じゃ意識が違うんだろうか。
「さぁー盛り上がって来てますが。そろそろ終盤を迎えましたー!ここからは挙手制で行きたいと思います!この場で告白したい人いますかー?!」
そう言うと壇上では司会者がフロアから人を探していた。
見ている時は面白そうにしている見物者達も
いざやるとなると、誰一人として手を挙げるものはいない。
ざわざわと騒いでは「お前がいけよー」なんてふざけている者もいた。
「じゃあ、俺。今からお前に告白する。
いいよ、別に振っても」
優作はそんな周りの様子を見ながらもスッと右手を高く挙げた。
司会者が「おっ、参加者が現れましたー!」なんてマイク越しで喋ると一瞬にして視線が此方へと集まってくる。
優作は逆に大人数が見ている前だからこそ、吉岡に自分が生半可の気持ちじゃないということを証明できるような気がした。
今の自分には、吉岡に伝えるにはこれしか見当たらない。
「えっ?!優?!」
隣で驚いている吉岡など気にも止めずに、人が避けて出来たステージまでの道をゆっくりと歩く。
別に試す訳じゃない、この場で振られるなら、吉岡にもう気は無いのだと仕方ないことだと割り切れる気した。
吉岡の気持ちが知りたい、二人きりじゃ本気にして貰えないのなら、他人が見てるという多少リスクがあっても自分の気持ちを伝えたかった。
如何にもお笑い担当を醸し出しているような二人。
漫才のような軽快なトークを少しした後、マイクを持って一度咳払いをし、観客を静かにさせると「愛の大告白たいかーい」と大声でタイトルコールをしていた。
ルール説明を淡々と始める。
タイトル通りそのままの意味で好きな相手に公の場で告白する企画らしい。
文化祭きっかけに仲良くなって、男が気になる女に告白したり、部活の後輩が先輩相手になど良くある恋愛イベントだ。確かに店番をしている時にクラスの女子達が騒いでいたのを思い出す。
一組ずつ、様々な人が登壇しては告白し、
成功しては抱き合うと観客も盛大に盛り上がる。逆に振られると「どんまーい」なんて励まされている場面も見られた。
ふと、ここで吉岡への気持ちをぶつけてしまえば吉岡はどんな風に返してくるのだろうか。
「あーあ振られちゃった。コレ見てると、すげぇデジャブ見てるみたい」
吉岡が公の場で女に振られて壇上に取り残されている男を見ては急に呟いた。
「あーあいつの」
なんの事か言わなくてもすぐに椿の告白現場の事だとわかった。吉岡が告白してた時も自分は黙って見てたっけ。あの時は単純に仲良くなりたくて·····。
「でもさーこんな所で告白されたら断りにくいよね」
「なんで?」
「だって、あんな公の場で振ったら罪悪感残りそうじゃん·····」
自分からしたら人気のない場所とはいえ学校で告白するのも何処で誰が見てるかもしれないし、今の状況と大差ないように感じるが、やはり大勢と一人じゃ意識が違うんだろうか。
「さぁー盛り上がって来てますが。そろそろ終盤を迎えましたー!ここからは挙手制で行きたいと思います!この場で告白したい人いますかー?!」
そう言うと壇上では司会者がフロアから人を探していた。
見ている時は面白そうにしている見物者達も
いざやるとなると、誰一人として手を挙げるものはいない。
ざわざわと騒いでは「お前がいけよー」なんてふざけている者もいた。
「じゃあ、俺。今からお前に告白する。
いいよ、別に振っても」
優作はそんな周りの様子を見ながらもスッと右手を高く挙げた。
司会者が「おっ、参加者が現れましたー!」なんてマイク越しで喋ると一瞬にして視線が此方へと集まってくる。
優作は逆に大人数が見ている前だからこそ、吉岡に自分が生半可の気持ちじゃないということを証明できるような気がした。
今の自分には、吉岡に伝えるにはこれしか見当たらない。
「えっ?!優?!」
隣で驚いている吉岡など気にも止めずに、人が避けて出来たステージまでの道をゆっくりと歩く。
別に試す訳じゃない、この場で振られるなら、吉岡にもう気は無いのだと仕方ないことだと割り切れる気した。
吉岡の気持ちが知りたい、二人きりじゃ本気にして貰えないのなら、他人が見てるという多少リスクがあっても自分の気持ちを伝えたかった。
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