交わらない心

なめめ

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交わる心

交わる心⑥

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吉岡の返答を待ってみてもそれ以降、此方へ目線をくれることはなかった。
顔を上げずの吉岡を見つめながら「ごめん」はどういう意味だったのかを考える。


噎せたことへのごめん?

それとも、その気持ちには応えられないっていうごめん?


考えれば考えるほどやっぱり吉岡の気持ちは徐々に冷めてきているのでは無いだろうかと負の感情が湧き上がってくる。
そんなんじゃ折角の吉岡との文化祭が楽しめない·····。今俺が出来ることはこの吉岡といる空間を楽しいものにすることだ。想い想われてるじゃなくて、吉岡といることが大事だからと言い聞かせる。

しかし、ただ謝られてはどう返すことも出来ずに優作もそれ以上会話を続けることが出来なかった。

たこ焼きを食べ終えると先程からの気まずい雰囲気を察してか、吉岡が気を取り直すように校内の出店を回ることを提案してきた。
優作は躊躇いなく吉岡の提案にのる。

気まずく沈黙だったのが、嘘かのように吉岡は回っている最中は饒舌だった。
このクラスには面白い奴がいてーなんて情報を話してきたり優作にとっては半ばどうでもいい話。 

それでもいつものように吉岡の話を黙って聴いては安堵していた。悲しいけど自分が一歩吉岡に踏み込もうとすれば一歩引かれて微妙な空気になるよりはマシ。

校内をひと通り回り終え、野外ステージの催し物を観覧することにした。
これから何かが始まるのか、前方には文化祭の熱でテンションが上がっている生徒達がざわざわと騒いでいる。それを吉岡と後方に並んではステージを眺めていた。




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