交わらない心

なめめ

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期待したくない

期待したくない①

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優作と別れて帰宅後、夕飯を作りながらガスコンロの鍋の前に立って呆然としていた。

水澤の一件が過ぎてから優作との距離が急激に縮まった気がする。

突然の自分を呼び止めてまで聞いてきた連絡先。
正直涙がでるほど嬉しかったし、その日1日の俺はそれだけで幸せいっぱいで浮かれてたと思う。
優作にはそんな気がないのは分かっているから、好きな人から連絡先を聞けたことに舞い上がってるのは自分だけ。

それは自分を親友として信頼してくれたに過ぎない。実際水澤除けのボディガードみたいになってるし·····。

自分も、それでいいと思ってる。

ただ、あの自分主義だった優作が文化祭で遅くなる俺を待つようになったのは驚いた。

もしかして·····なんて思ってしまうが、そんなのは自分の都合のいいように解釈しているだけで、すぐにそんな考えは払拭され、単なる優作の気まぐれだろうかと考え直す。

自分に懐いて頼ってくれてるのは嬉しいが、
優作と居れば居るほど膨らんでいく感情。

だけどこれ以上の感情を持てばもつほど、
今のままではいられなくなるのは分かっているから一定の距離を保とうと必死だった。


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