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好きだから守りたい
好きだから守りたい④
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「千晃くん、優ちゃんのこと好き?」
お互いに神妙な面持ちになる中、向かいの席から問われて思わず顔をあげる。
優ちゃんの事好き……?
好きに決まってる。見ていて危なっかしいくらい優作のことが気になってしかたない。
だけど、好きの種類にも多数あるだけに、楓さんが言う好きがどの位置に当たるのか思考を巡らせた。
「えっ?!す、好きですけど·····。あっそういう好きじゃなく·····友達としてもちろん」
優作への想いを隠したところで楓さんは怒りはしない人柄であることは分かっているが、咄嗟のことに誤魔化してしまった。
「隠さなくていいわよ」
楓さんはフフッと微笑み笑う。
千晃が誤魔化したのは無意味だったのか、どうやら楓さんには既に見透かされてしまっているようだった。ここで嘘をつく理由もなく、千晃は顔を熱くしながら静かに頷いた。
「はい·····。好きです」
いざ言葉にしてみると、相手が優作の母親同然であることも相まって恥ずかしさが増す。
ひた隠しにしていても、優作のことが好きなことには変わりない……。
「こんなに優ちゃんのこと考えてくれるの千晃くんくらいじゃない?会ったときからそんな感じはしてたけど、今の話してる姿で確信したわ」
俺だけが優作のことをちゃんと考えているなんて嬉しいけど、周りから見ていても優作への好意が分かるくらいなら、彼自身も気づかないわけが無い。
その気がないのに隣で好きですオーラを全面に出されたんじゃ、鬱陶しいがられても無理はなかった。
「·········俺がそう思っていても優の気持ちが優先だから、優が俺とは友達でいたいって言うなら俺はそれに黙って頷くだけです。それ以上は求めたりしない……」
「ホント千晃くんはいい子ねぇ····あたしとしては嬉しいわ。千晃くんみたいな子に優ちゃんが好かれてて。優ちゃんもねぇ、もっと男選ぶのに目が肥えてたらねー。こんな近くに男前がいるのに」
千晃は楓さんに褒められて嬉しいが複雑な気持ちになり、苦笑いをした。
俺が男前だなんて……。
ただのヲタクで優作のことが好きだから、見離せなくて、金魚の糞みたいにくっついているだけなのに……。
「別に俺は男前なんかじゃないですよ。」
「またまたー。あたしは好きよ。千晃くんのその優しいとこ。それに自覚ないかもしれないけど千晃くん充分カッコいいんだから」
「ありがとうございます……そう言ってもらえると嬉しいです」
四個下の妹でさえ「お兄ちゃん、きしょ」とアイドルの動画を見ていたら罵られるのに、
誰かにカッコいいだなんて言われ慣れていないので、ただ照れ笑いをするしかない。
「千晃くん、優ちゃんのこと宜しくね。私も注意はするけど。学校じゃあ私も構ってあげられないから、千晃くんしかいないの」
「もちろん。俺も優には幸せになって欲しいんで」
「ホント世話が焼ける子で困っちゃうわ」
楓さんは少し肩を撫で下ろしていたが何処か不安は消えていないようだった。
優作に何を言われようとも自分は彼が危険であれば助ける義務がある。義務って言ったら強制的な感じがして良くないが、行動せずに後悔するよりは、嫌われてもいい覚悟で行動して後悔するほうがいい。
彼が心から幸せになれるのであれば……。
お互いに神妙な面持ちになる中、向かいの席から問われて思わず顔をあげる。
優ちゃんの事好き……?
好きに決まってる。見ていて危なっかしいくらい優作のことが気になってしかたない。
だけど、好きの種類にも多数あるだけに、楓さんが言う好きがどの位置に当たるのか思考を巡らせた。
「えっ?!す、好きですけど·····。あっそういう好きじゃなく·····友達としてもちろん」
優作への想いを隠したところで楓さんは怒りはしない人柄であることは分かっているが、咄嗟のことに誤魔化してしまった。
「隠さなくていいわよ」
楓さんはフフッと微笑み笑う。
千晃が誤魔化したのは無意味だったのか、どうやら楓さんには既に見透かされてしまっているようだった。ここで嘘をつく理由もなく、千晃は顔を熱くしながら静かに頷いた。
「はい·····。好きです」
いざ言葉にしてみると、相手が優作の母親同然であることも相まって恥ずかしさが増す。
ひた隠しにしていても、優作のことが好きなことには変わりない……。
「こんなに優ちゃんのこと考えてくれるの千晃くんくらいじゃない?会ったときからそんな感じはしてたけど、今の話してる姿で確信したわ」
俺だけが優作のことをちゃんと考えているなんて嬉しいけど、周りから見ていても優作への好意が分かるくらいなら、彼自身も気づかないわけが無い。
その気がないのに隣で好きですオーラを全面に出されたんじゃ、鬱陶しいがられても無理はなかった。
「·········俺がそう思っていても優の気持ちが優先だから、優が俺とは友達でいたいって言うなら俺はそれに黙って頷くだけです。それ以上は求めたりしない……」
「ホント千晃くんはいい子ねぇ····あたしとしては嬉しいわ。千晃くんみたいな子に優ちゃんが好かれてて。優ちゃんもねぇ、もっと男選ぶのに目が肥えてたらねー。こんな近くに男前がいるのに」
千晃は楓さんに褒められて嬉しいが複雑な気持ちになり、苦笑いをした。
俺が男前だなんて……。
ただのヲタクで優作のことが好きだから、見離せなくて、金魚の糞みたいにくっついているだけなのに……。
「別に俺は男前なんかじゃないですよ。」
「またまたー。あたしは好きよ。千晃くんのその優しいとこ。それに自覚ないかもしれないけど千晃くん充分カッコいいんだから」
「ありがとうございます……そう言ってもらえると嬉しいです」
四個下の妹でさえ「お兄ちゃん、きしょ」とアイドルの動画を見ていたら罵られるのに、
誰かにカッコいいだなんて言われ慣れていないので、ただ照れ笑いをするしかない。
「千晃くん、優ちゃんのこと宜しくね。私も注意はするけど。学校じゃあ私も構ってあげられないから、千晃くんしかいないの」
「もちろん。俺も優には幸せになって欲しいんで」
「ホント世話が焼ける子で困っちゃうわ」
楓さんは少し肩を撫で下ろしていたが何処か不安は消えていないようだった。
優作に何を言われようとも自分は彼が危険であれば助ける義務がある。義務って言ったら強制的な感じがして良くないが、行動せずに後悔するよりは、嫌われてもいい覚悟で行動して後悔するほうがいい。
彼が心から幸せになれるのであれば……。
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