交わらない心

なめめ

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離れたい·····

離れたい②

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狐が人に化けたみたいに細くて鋭い瞳がしっかり俺を捉えている。優作は何も言わずに、鉄扉を開けて踵を返そうと校内へ一歩踏み出した瞬間、扉にカンッと何かが当たった音がして足を止めた。

足元を見るとライターが転がっている。
明らかに投げられただろうソレは水澤以外考えられなかった。

「優作。それ、取ってくれる?」

正直、ライターを取らずに無視をするという選択もあった首を絞められた挙句、携帯も勝手に盗み見られて
が逆上したら何をされるか分からない。ましてや、吉岡にも目をつけつつある水澤。
自分に仕掛けてこなくても彼に仕掛けてくる可能性だってある。
そんなことは避けたかった。
優作は扉を閉め、足元に落ちたライターを広い上げると気だるげに水澤の元へと近づく。


「それにしても俺見たらすぐ逃げるなんて冷たいなあー。折角二人きりになれるんだから逃げないでよ」

「誰があんたと二人きりになって喜ぶ…っ!」

ライターを手渡しながら皮肉の一言でも言って牽制してやらないと調子に乗る。
そう思った矢先にライターを受け取るフリをしてグイッと手を引っ張られてしまった。
その勢いで唇が乱暴に重なる。水澤は先ほどまで煙草を吸っていたせいか口内に苦味が広がって心地が悪い。

喉の奥からこみ上げる咽に拒絶から水澤の肩を強く押し、身体を話すと同意に唇に
ピリッとした痛みを感じた。

「げほげほっ…何すんだよ、気持ち悪いっ」


舌先で唇を舐めると仄かに鉄の味がすることから、思い切り唇に歯を立てられた。


「僕、冷たくされるの嫌いじゃないけどお預けばかりされる程、気は長くないんだよね」

腕を組んでは優作の血の味でも確かめるように親指を唇に当てながら舐める仕草をした水澤に悪寒がする。

「それにしても、昨日の吉岡くんは面白かったなー」

水澤は柵に持たれて胸ポケットから煙草を取り出し先程のライターで火をつけると再び吸い始める。
校内全面禁煙どころか、吸殻さえ見つかっただけでも大騒ぎなのに水澤はお構い無しに堂々している。


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