交わらない心

なめめ

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離れたい·····

離れたい①

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登校初日はあれ程、吉岡に会いたくて早起きまでして乗ったバス。
今は朝のラッシュが過ぎたせいか客は疎らだし乗客もお年寄りが多い。

正直今は吉岡と顔を合わせたくない。
あんな心にも無いことをを言ってしまったし、これ以上、水澤の件について踏み込まれたくなかった。

それに自分と関わるより他の連中といる方が吉岡には合ってるし、これ以上、吉岡も自分も傷つけず傷つかずに済む。

水澤に言われた「切るなら早い方がいい」なんて言葉を真に受けたわけじゃないけど、
いちいち吉岡の好意を気にしてしまう自分に嫌悪感を抱くのも事実だし、そのくせ他の連中と楽しそうにしてる吉岡を見るのもモヤモヤして不快に思う自分も嫌だ。

それなら一層離れてしまったほうが、吉岡が水澤からも避けられるし、自分も割り切れてしまえば吉岡に対する独占欲も無くなるんじゃないんだろうか·····。


自分の言葉で吉岡を傷つけたくない·····。

学校へ着き、下駄箱で靴を履き替えている途中でチャイムが鳴る。
下駄箱の正面に飾られている時計を見ると丁度正午になったところだった。

教室へ行くか迷いどころ·····。
吉岡は自分がいないときの昼は大体、飯田と辻本と教室にいるはずだ。


優作はそんな吉岡がいるであろう教室に行く気にはなれず階段を上がると非常階段へと向かう。
重たい鉄扉を開けると下の階との踊り場に人がいた。スーツに鮮やかなネクタイ、手すりに背を向けこちらを向いては煙草を吸っては煙を吐いている奴と目が合う。

「午前の授業に出ず昼から登校?悪い子だね。優作は」

目を細めて胡散臭そうに笑う水澤がそこにはいた。


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