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複雑な気持ち
複雑な気持ち③
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「相変わらず当たりが強いねー。君たちが一番うるさかったからかな?」
「そうですか。気をつけまーす」
水澤の言い分に吉岡は納得していない様子だったが、これ以上此奴と言葉を交わしたくなかったのか、表面上だけの反省を唱えて突き返していた。
それだけで済めば良かったのだか、水澤はその場から一向に動こうとはせず、重苦しい空気が続く。優作は心の中でそのまま立ち去ってくれることを願っていたが、吉岡を敵視している水澤が引き下がるわけもなかった。
「まあ、1番の理由は虫除け?優作に寄り付いてたみたいだから追い払いたかったからかな?」
「おい」
大人げなく、吉岡を挑発しにかかってる発言に重々しい空気が一瞬で凍りつく。
「先生、虫って俺の事っすか?生徒を虫呼ばわりって、先生としてどうなんですか?それとも今流行りのパワハラだったりします?」
「おい、吉岡」
普段ならこんな熱くなることないし、なんなら温厚に収めようとする吉岡が珍しく挑発に乗る。
「君もいい友達のフリしてないで優作を奪ってみたら?」
「はぁ?」
ヒートアップしていく水澤と吉岡に冷や汗をかく。止めようとしてもお互いに優作の聞く耳を持たないかのように、睨み合って視線が逸れない。
「いい加減にしろ、吉岡っ!」
「あっ·····」
意を決して挙げた声が余程大きくかったのか、それなりに騒がしかった教室が一瞬にして静かになる。吉岡は優作の声で我に返ったのか決まりの悪そうな表情を浮かべると、「ごめん、優·····」と小さく呟いた。
周りの生徒がざわつきだして、各々で「なに?なに?」と不審な表情を浮かべながら浴びせられる注目に為すすべもなく俯くことしかできなかった。
「はい。みんなー止まらない。続けてー」
そんな不穏な空気を持ち直したのは水澤で、両手をパンパンと叩くと、一声で先程の静寂はなかったかのように周りは再び文化祭の話し合いで教室の騒がしくなった。それと同時に水澤も教室の前方へと戻って行ったのに安堵する。隣の吉岡というと申し訳なさそうな顔で意気消沈しているようだった。
「そうですか。気をつけまーす」
水澤の言い分に吉岡は納得していない様子だったが、これ以上此奴と言葉を交わしたくなかったのか、表面上だけの反省を唱えて突き返していた。
それだけで済めば良かったのだか、水澤はその場から一向に動こうとはせず、重苦しい空気が続く。優作は心の中でそのまま立ち去ってくれることを願っていたが、吉岡を敵視している水澤が引き下がるわけもなかった。
「まあ、1番の理由は虫除け?優作に寄り付いてたみたいだから追い払いたかったからかな?」
「おい」
大人げなく、吉岡を挑発しにかかってる発言に重々しい空気が一瞬で凍りつく。
「先生、虫って俺の事っすか?生徒を虫呼ばわりって、先生としてどうなんですか?それとも今流行りのパワハラだったりします?」
「おい、吉岡」
普段ならこんな熱くなることないし、なんなら温厚に収めようとする吉岡が珍しく挑発に乗る。
「君もいい友達のフリしてないで優作を奪ってみたら?」
「はぁ?」
ヒートアップしていく水澤と吉岡に冷や汗をかく。止めようとしてもお互いに優作の聞く耳を持たないかのように、睨み合って視線が逸れない。
「いい加減にしろ、吉岡っ!」
「あっ·····」
意を決して挙げた声が余程大きくかったのか、それなりに騒がしかった教室が一瞬にして静かになる。吉岡は優作の声で我に返ったのか決まりの悪そうな表情を浮かべると、「ごめん、優·····」と小さく呟いた。
周りの生徒がざわつきだして、各々で「なに?なに?」と不審な表情を浮かべながら浴びせられる注目に為すすべもなく俯くことしかできなかった。
「はい。みんなー止まらない。続けてー」
そんな不穏な空気を持ち直したのは水澤で、両手をパンパンと叩くと、一声で先程の静寂はなかったかのように周りは再び文化祭の話し合いで教室の騒がしくなった。それと同時に水澤も教室の前方へと戻って行ったのに安堵する。隣の吉岡というと申し訳なさそうな顔で意気消沈しているようだった。
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