交わらない心

ピンチのときの

ピンチのときの②

「だから何？あんたこそ未成年とヤッたから俺が強姦だって訴えたら謹慎どころか捕まるんじゃないんですか？」

水澤は椅子から立ち上がるとこちらに向かって詰め寄ってくる。

「優作はそんなことしないだろ？僕達あんなに愛し合ったじゃない？」

あれの何処がどう愛し合ったと錯覚したのか分からないが、優作は此奴に対して何の愛情もない。一時の関係に過ぎなかった。

「ふっ·····たかだか一晩寝ただけで。愛し合ったって·····」

一度関係を持っただけで愛し合ったと錯覚するなんて、どこまで勘違い野郎で愛に飢えているのか、可哀想な程に笑えてくる。
優作は自身の中で抑えることなど出来ずに、思わず鼻で笑ってしまう。

すると、それが水澤の沸点に触れたのか、近くにあったパイプ椅子を蹴り飛ばすと、大きな音をたてて倒れる。その衝撃に驚いて身体がビクリと跳ねたと同時に優作の中で此奴は危険人物であると警報のように鼓動がうるさく鳴る。

「君は僕と付き合うべきだ」
「嫌だ」

詰め寄られるたびに一歩ずつ下がっては出口の扉までたどり着くと、優作は何時でも逃げられるようにと水澤に気づかれないように締められた鍵を回した。

追い詰められたことで至近距離まで近づいた水澤はの頬に触れてくる。