交わらない心

思わぬ再会

思わぬ再会①

全校集会が終わり、担任が来るまでの間、久しぶりの仲間内との会話に浮かれ気味なのか騒がしくなる教室。

吉岡も自分の隣ではなく辻本や飯田達の座席の方へ行ってしまい、優作は退屈していた。
吉岡といるときは何とも思わなかったが、改めて一人になって、騒がしい教室は居心地が悪いと感じる。

吉岡がいなければいくら単位が危なかろうと以前の自分なら帰っていただろう·····。
その度に楓が担任に呼び出されるのも心配をかけるようで嫌だし、今はまだ吉岡が同じ空間に居るからいいと言い聞かせる。

だからと言って携帯を弄るのも飽きてしまった優作は、自分の両腕をそのまま机に伏せるようにしては瞳を閉じた。

完全に夜行性である優作は登校も昼から登校することの方が多いのに珍しく早起きして学校へきたものだから、集会中の校長の話はずっと眠くて、半分も意識がなかった。

このまま意識を手放せそう·····。

しばらくすると騒がしさは始業のチャイムと共に収まり、騒いでいる生徒を取り仕切る男の声が聴こえてくる。低い声は余計に睡魔を誘い、眠りの世界へと意識を手放し掛けた時、左肩を叩かれて起き上がった。

「桜田·····優作くんだよね？授業中寝るのはやめようか？」

顔を上げると目線の先の教壇には担任が変わらず授業をしている。

じゃあ誰が自分を注意するような真似をしてきたのだろう·····。
吉岡以外の友達がいない優作に話しかけてくるのは彼以外では教員ぐらいしか居ない。
顔を上げて肩の叩かれた方を見遣るとそこには生徒ではなく、背広と派手なネクタイを身につけた男が座っていた。