交わらない心

後悔

後悔①

学校に行くこと自体臆するが、一番気怠い体育の授業。バスケの試合が終わり、即座に体育館の隅へと座り込む。担任に単位が危ないと注意され、生徒指導行きになるのは、それこそ余計に面倒臭くなるので仕方なく受けている。

昨日のいつもお退けたように笑っては「優、優」と言いながら近づいてくる男の初めて見た鋭い目。「ふざけんな」と言って自分の腹部を殴ってきた男の瞳は本気だった。

普段温厚な吉岡に殴られるのは無理もなく自分が煽ったからだ。
兼に振られて何処にも気持ちのやり場がなくて、誰かに抱かれてしまえば忘れられると思った矢先に吉岡に見られてしまった。

そして引き止められた。

こんな俺を見てお前も拒絶すんだろ？
なんて投げやりなことを思っては、やり場のない気持ちにイライラして聞いた返事が否定の言葉じゃなくて肯定する言葉に余計に腹が立ち、本人に言うつもりのなかった地雷を自ら踏んだ。

全ては自業自得だといえども、兼に振られた以上に吉岡に縁を切られたのがショックだった。あれだけ吉岡との関係を壊したくなくて望んで触れずにいたものに触れてしまい、意図も簡単に壊れた。


次の日には何事もなかったように近寄ってきてくれるのではないかという甘えはただの自分の都合のいい考えでしかなく、実際は吉岡に距離を置かれたまま·····。