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悟る想いと俺の初恋
悟る想いと俺の初恋①
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初めての恋は苦しさの方が多かった。
そんな苦しみから一瞬でもいいから逃れたくて名前の知らない誰かに縋ることに何の罪の意識も感じなくなっていた。
時刻は午前から午後になる前。学校の最寄りの駅前で車が停り、助手席から降りる。
制服の自分が降りてきたら傍からみたら、何処かのお金持ちのお坊ちゃまと思われるであろう黒いベンツの持ち主は、30代後半から40代の男。
手首には黄金に輝く、ごつい時計をしてるし、身につけているスーツや小物までもが高そうであるのは一目瞭然だった。
道中で貰った名刺には何処かの会社の代表取締役社長と書いてあった気がする。
「どうも」
空いた助手席側のサイド窓越しに運転席の男に挨拶をする。男は白い歯を見せてはにかんでくると、「構わないよ。もし良かったら連絡してね。君とは相性がいいみたいだから」と先程、貰った名刺に番号が書いてあることを指してきた。この男の詳しい素性は分からない。
「じゃあね。また機会があれば」
そう一言だけ残して窓が上げられ、男の車が去っていく。男とSNSを介して知り合ったのはここ2日の話しで、会ったのは初めて。ハンドルを握っている左手の薬指に指輪をしている所から既婚者であることは間違いない。
相手はあわよくば、割り切った関係を望んでいるようだったが、優作は一度きりで次にこの男と会う気などなかった。
ただ一晩だけの後腐れない関係。
さっきあった奴の顔を思い出せって言われても多分、もう浮かんでこない。
男遊びはただ欲求を満たすため·····だった。
彼に会うまでは。
最近は·····心の隙間を埋めるための逃げ場。近くにいるのに触れられないもどかしさを他人で埋める。
何も生まれないのは分かっていても辞められない。
桜田優作は二つ下の
篠塚兼に恋をした。
自分にはない純粋そうな瞳に惹かれた。
椿を好きな下級生。
自分が恋愛をしたところで成就しないのは分かりきっている。しかし、もう会って接点を持つことはないと思っても、何処か頭の片隅で彼があの日見ていた瞳は忘れられなかった。
それから、彼から声を掛けられて、拒否をするなんて選択肢はなかった。むしろ他人から友達として位置づいたことに嬉しくて、舞い上がって近くにいれるなら喜んで承諾した。
そんな苦しみから一瞬でもいいから逃れたくて名前の知らない誰かに縋ることに何の罪の意識も感じなくなっていた。
時刻は午前から午後になる前。学校の最寄りの駅前で車が停り、助手席から降りる。
制服の自分が降りてきたら傍からみたら、何処かのお金持ちのお坊ちゃまと思われるであろう黒いベンツの持ち主は、30代後半から40代の男。
手首には黄金に輝く、ごつい時計をしてるし、身につけているスーツや小物までもが高そうであるのは一目瞭然だった。
道中で貰った名刺には何処かの会社の代表取締役社長と書いてあった気がする。
「どうも」
空いた助手席側のサイド窓越しに運転席の男に挨拶をする。男は白い歯を見せてはにかんでくると、「構わないよ。もし良かったら連絡してね。君とは相性がいいみたいだから」と先程、貰った名刺に番号が書いてあることを指してきた。この男の詳しい素性は分からない。
「じゃあね。また機会があれば」
そう一言だけ残して窓が上げられ、男の車が去っていく。男とSNSを介して知り合ったのはここ2日の話しで、会ったのは初めて。ハンドルを握っている左手の薬指に指輪をしている所から既婚者であることは間違いない。
相手はあわよくば、割り切った関係を望んでいるようだったが、優作は一度きりで次にこの男と会う気などなかった。
ただ一晩だけの後腐れない関係。
さっきあった奴の顔を思い出せって言われても多分、もう浮かんでこない。
男遊びはただ欲求を満たすため·····だった。
彼に会うまでは。
最近は·····心の隙間を埋めるための逃げ場。近くにいるのに触れられないもどかしさを他人で埋める。
何も生まれないのは分かっていても辞められない。
桜田優作は二つ下の
篠塚兼に恋をした。
自分にはない純粋そうな瞳に惹かれた。
椿を好きな下級生。
自分が恋愛をしたところで成就しないのは分かりきっている。しかし、もう会って接点を持つことはないと思っても、何処か頭の片隅で彼があの日見ていた瞳は忘れられなかった。
それから、彼から声を掛けられて、拒否をするなんて選択肢はなかった。むしろ他人から友達として位置づいたことに嬉しくて、舞い上がって近くにいれるなら喜んで承諾した。
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