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嫉妬心と恋心
嫉妬心と恋心③
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高揚して余韻に浸っている姿を黙って隣で見ている事しかできない。
何か、声をかけなければならないのに『篠塚は優作を利用してるだけだよ』だとか
『篠塚は椿のことしか見てないから優が入ったって優が苦しむだけだよ』とか篠塚をひたすら否定する言葉がでてくる。
「優、良かったじゃん·····」
「あぁ…」
漸く振り絞って出てきた言葉は当たり障りのない言葉。
今までにないくらい生き生きとした表情をしている彼を見てこんな酷い言葉は出せなかった。
かといって千晃自身、盛大に祝う気持ちにもなれない。
篠塚が優を利用しているのがみえみえだから?これが他の人だったら自分はモヤモヤしなかった·····?
優作は赤面させて嬉しいはずなのに、言葉と表情が一致していない素っ気ない返事をしてみせた。
そんな恋をしている優作が皮肉にも可愛く思える。
優とのいつもの帰り道のはずなのに妙に空気が重たく感じながらも並んで歩いてはこの複雑な感情のやり場に困惑していた。多分、優自身は幸せいっぱいだから重たく感じているのは自分だけ。
他人の幸せにただ、嫉妬しているだけと思いたい。
帰り道、喋っているのは自分の方だし優作は相槌打つくらいで通常運転だ。彼の上機嫌以外は。
バスの停留所まで着き、優作と並んで待つ。
「優、こんなこと言うことじゃないけどさ、
あの子、優に興味あるんじゃなくて椿さんに興味あるんじゃないかな?」
優作の横顔を眺めながら、腹の底から沸き立つ黒い渦を自分の中に留めておくことが出来ず
ちょっとした意地悪心から問いかけてみた。
この問いに優作はなんて答えるだろうか。がっかりするだろうか。それともとっくに理解しているのだろうか。
全部の意識を彼の口元に集中し、答えを待つ。
「知ってる。そもそも初めてあったの告白現場だし」
やはり、感の鋭い優作は気づいていた。
「それに。可能性はなくても…兼に近づけるきっかけが出来たことは嬉しいから」
「そっか·····」
意外と控えめな返答が返ってきて驚いたと同時に虚しくなり、優作は本当に恋をしてるんだと身に染みては返す言葉が見つからない。こんな意地悪い質問をした自分に罪悪感を感じた。
何か、声をかけなければならないのに『篠塚は優作を利用してるだけだよ』だとか
『篠塚は椿のことしか見てないから優が入ったって優が苦しむだけだよ』とか篠塚をひたすら否定する言葉がでてくる。
「優、良かったじゃん·····」
「あぁ…」
漸く振り絞って出てきた言葉は当たり障りのない言葉。
今までにないくらい生き生きとした表情をしている彼を見てこんな酷い言葉は出せなかった。
かといって千晃自身、盛大に祝う気持ちにもなれない。
篠塚が優を利用しているのがみえみえだから?これが他の人だったら自分はモヤモヤしなかった·····?
優作は赤面させて嬉しいはずなのに、言葉と表情が一致していない素っ気ない返事をしてみせた。
そんな恋をしている優作が皮肉にも可愛く思える。
優とのいつもの帰り道のはずなのに妙に空気が重たく感じながらも並んで歩いてはこの複雑な感情のやり場に困惑していた。多分、優自身は幸せいっぱいだから重たく感じているのは自分だけ。
他人の幸せにただ、嫉妬しているだけと思いたい。
帰り道、喋っているのは自分の方だし優作は相槌打つくらいで通常運転だ。彼の上機嫌以外は。
バスの停留所まで着き、優作と並んで待つ。
「優、こんなこと言うことじゃないけどさ、
あの子、優に興味あるんじゃなくて椿さんに興味あるんじゃないかな?」
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ちょっとした意地悪心から問いかけてみた。
この問いに優作はなんて答えるだろうか。がっかりするだろうか。それともとっくに理解しているのだろうか。
全部の意識を彼の口元に集中し、答えを待つ。
「知ってる。そもそも初めてあったの告白現場だし」
やはり、感の鋭い優作は気づいていた。
「それに。可能性はなくても…兼に近づけるきっかけが出来たことは嬉しいから」
「そっか·····」
意外と控えめな返答が返ってきて驚いたと同時に虚しくなり、優作は本当に恋をしてるんだと身に染みては返す言葉が見つからない。こんな意地悪い質問をした自分に罪悪感を感じた。
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