交わらない心

なめめ

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嫉妬心と恋心

嫉妬心と恋心①

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「桜田先輩ですよね·····?」

それは突然のことだった。
不幸なことがあれば幸運なことも必ず訪れるとはよく言ったもので、優作への幸運はその日のうちに舞い降りてきた。優作と帰る放課後、教室から出てから数歩歩いた時だった。向かい側から昼の青年がこちらに向かって歩いてくる。昼のことがあっただけに優作の顔が青年を前にして強張っていたが、青年からは敵視した様子は見受けられなかった。

「昼休みはすみませんでした。桜田先輩、椿先輩の友達だったんですね」

青年は手のひらを返したように深く頭を下げて優作に謝る。
優作は下げられた頭に一驚すると戸惑いながらも、徐々に和らいだ表情になっていた。

「いいよ。俺も悪かったし、ごめんね」

何時も俺の前で向ける、冷ややかで気だるげな態度とは違う、優しくて澄ました先輩の顔。
自分が悪かったとしても自ら折れる事なんて滅多にないのに…。
見たことのない優作の反応、普段であれば面白可笑しく傍観しているのに嫌な胸騒ぎがした。

「あのっ厚かましいかもしれませんがっお友達になってくださいっ!」

千晃の予感は的中し、45度の更に深く頭を下げて懇願してくる青年。
この青年と優作が友達…?そんなの優作はいいって言うに決まってる。
千晃は今すぐにでも優作の耳を塞ぎたくなった。
塞いで優の手を引いてはそのまま、目の前の青年を通り過ぎたい。

この青年と優作が仲良くなる姿なんてみたくない。
千晃の視界が一気に霧に覆われた様に霞がかる。忘れていたはずの黒い感情が湧き戻っては2人の会話を真面な感情で聞くことが出来なかった。

昼間はあんな優に対して嫌悪だったのにどういう風の吹き回しだろう。


「いいよ」

案の定何の躊躇いもなく、青年を受け入れる。
落ち着いた先輩を演じている優作の頬が桃色に染まり、明らかに歓びを示している上がり気味の口元。

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