2 / 140
プロローグ
プロローグ②
しおりを挟む
「あーあー可哀相に振られちゃったかー」
遥か上の方から男の声が聞こえ、声のする方を見上げる。すると、目線の先の上階へと向かう、途中の階段の手擦りに身を乗り出してこちらを覗いている男がいた。
肩より少し上の長さの黒髪にYシャツのボタンを第二まで外し、制服を着崩していて妙な色気を醸し出しているこの男が誰であるか知っていた。
|桜田優作
千晃と同じクラスだが、入学当初からあまり学校に来ていることが少ない男。
悔しい程に顔立ちが整っていて、可もなく不可もなくな自分とお門違いな美男と呼ばれる部類に入る。
クラスメイトの粗方とは話したことある千晃だがこの男とは話したことはない。話しかけはしないが、そんな謎の多い男に千晃は以前から興味を抱いていた。
「椿かー。あいつは止めといたほうがいいよー。そう簡単に落ちないから。ってもう遅いか」
初めて聴いたであろう、見たであろう男の声と姿。千晃は一匹狼で近寄りがたい男が自分に向かって話しかけていることに内心驚いていた。
千晃は漠然と男を見て突っ立っていると、男はゆっくり階段を降りてきては目の前で足を止め、向かい合う。
「あんた面食いなんだね?椿のことが好きなの意外だったけど」
自分の中の男に対するイメージとは裏腹に軽快に口が動いている姿に、千晃は先程の消失感など忘れ、目の前の男に興味津々だった。
「ははは·····」
よっぽど今、男を見ている自分の顔が阿呆ヅラをしていたのか、黙って見ていた千晃の目の前で男の肩が急に揺れだす。
「そんな驚いた顔しないでよ。俺、無口だと思われてるみたいだけどちゃんと喋るし。吉岡千晃でしょ。あんた」
「そうだけど、君は桜田優作くんだよね」
千晃は目を瞠った。
学校に来ていることの少ない男が、自分の名前を憶えているなど予想外だった。
遥か上の方から男の声が聞こえ、声のする方を見上げる。すると、目線の先の上階へと向かう、途中の階段の手擦りに身を乗り出してこちらを覗いている男がいた。
肩より少し上の長さの黒髪にYシャツのボタンを第二まで外し、制服を着崩していて妙な色気を醸し出しているこの男が誰であるか知っていた。
|桜田優作
千晃と同じクラスだが、入学当初からあまり学校に来ていることが少ない男。
悔しい程に顔立ちが整っていて、可もなく不可もなくな自分とお門違いな美男と呼ばれる部類に入る。
クラスメイトの粗方とは話したことある千晃だがこの男とは話したことはない。話しかけはしないが、そんな謎の多い男に千晃は以前から興味を抱いていた。
「椿かー。あいつは止めといたほうがいいよー。そう簡単に落ちないから。ってもう遅いか」
初めて聴いたであろう、見たであろう男の声と姿。千晃は一匹狼で近寄りがたい男が自分に向かって話しかけていることに内心驚いていた。
千晃は漠然と男を見て突っ立っていると、男はゆっくり階段を降りてきては目の前で足を止め、向かい合う。
「あんた面食いなんだね?椿のことが好きなの意外だったけど」
自分の中の男に対するイメージとは裏腹に軽快に口が動いている姿に、千晃は先程の消失感など忘れ、目の前の男に興味津々だった。
「ははは·····」
よっぽど今、男を見ている自分の顔が阿呆ヅラをしていたのか、黙って見ていた千晃の目の前で男の肩が急に揺れだす。
「そんな驚いた顔しないでよ。俺、無口だと思われてるみたいだけどちゃんと喋るし。吉岡千晃でしょ。あんた」
「そうだけど、君は桜田優作くんだよね」
千晃は目を瞠った。
学校に来ていることの少ない男が、自分の名前を憶えているなど予想外だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
20
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる