Broken Flower

なめめ

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Broken Flower2

Broken Flower2 ④

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「葵くん、紹介するね。この間話してた新しい子、塩谷亨くん」

慎文さんに挨拶をするのも忘れ、呆然としていると自分のことを紹介されて我に返る。
間違いない。二年経ったとはいえ、変わらない男の姿。

どうして今更此処に態々アルバイトとして入って来たのだろうか。高校生の時、一時的に恋人のような関係であった。しかし、彼は当時の養護教諭と交際しているにも関わらず僕に好きだと言ってきたのだ。

単なる暇つぶしであったのならそのまま放っておいてほしかった。顔も見たくなかったのに、突き放したその後も僕のことを待ち伏せして来たので江藤を盾に置いた。

人を盾にするなんて自分でも酷いことをしていたと自覚はあったが、改心した江藤が進学するために勉強を教えて欲しいと懇願された事から、行動を共にするようなった彼に甘えていた。

数年間イジめを受けてきたとしても、幼馴染だった江藤が本当は正義感が強くて優しいことは知っている。だから恨みや辛みは水に流せたと言ったら嘘になるが、彼が頼み込んできたときすんなり呑むことはできた。しかし、この男は違う。

それ程までに理解の出来ないこの男の行動が許せなかった。

やっと卒業式して出会うことなんかないと思っていたのに·····。

現状を嘆いたところでこの男がアルバイトに入ることには違いない以上、他人としてやり過ごすしかない。そう覚悟して一礼をした所で自己紹介を試みようとした時·····。

「あ、葵·····久しぶり·····」

耳朶を赤く染めながら、たどたどしくも、メモ帳とペンを胸の前で握り、先手を打たれてしまった。

「え·····君たち知り合いなの?」

当然、僕たちの事情など知らない慎文さんは僕と男の顔を交互に見て問いただしてくる。


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